凍てつく太陽 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 248
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344430099

作品紹介・あらすじ

昭和二十年、終戦間際の北海道・室蘭。逼迫
した戦況を一変させるという陸軍の軍事機密
をめぐり、軍需工場の関係者が次々と毒殺さ
れる。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は
「拷問王」の異名を持つ先輩刑事の三影らと
ともに捜査に加わるが、事件の背後で暗躍す
る者たちに翻弄されていく――。真の「国賊」
は誰なのか? かつてない「戦中」警察小説!

感想・レビュー・書評

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  • 葉真中顕『凍てつく太陽』幻冬舎文庫。

    以前から気になっていて、文庫化されるのを待っていた作品。

    アイヌという日本のマイノリティを一つのテーマに、アイヌの血を受け継ぎながら日本人よりも日本人らしく生きようとした主人公・日崎八尋の過酷な運命が描かれる。室蘭市に隠された3つ目の太陽の正体は何か、カンナカムイの秘密を握る陸軍関係者の連続殺人事件の犯人は誰か、といったミステリー要素もあり、非常に読み応えのある長編小説だった。

    時代は終戦間際の昭和20年。序章に描かれたエピソードだけでも十分に読み応えがあった。アイヌ人の母親を持つ特高刑事の日崎八尋は室蘭市の飯場に人夫として潜入し、飯場からの脱走事件の真相を突き止めるのだ。

    本編に入ると、八尋が潜入した飯場に関係する陸軍少佐の金田と飯場の棒頭の伊藤が何者かに刺殺され、八尋は『拷問王』の異名を持つ先輩刑事の三影らと共に犯人の捜査にあたる。その後、刺殺事件は連続殺人の様相を示すが、八尋は三影と三影を操る陸軍の憲兵らにより嵌められ、事件の犯人に仕立てあげられる……

    網走刑務所に収監された八尋を待ち受けていたのはさらなる過酷な運命だった……

    一連の事件の意外な真相と結末……

    本体価格930円
    ★★★★★

    • りまのさん
      おはようございます !
      ことぶきジローさん。
      フォロー、ありがとうございました。
      りま は今から、朝ごはんです。
      ことぶきジローさん、こちら...
      おはようございます !
      ことぶきジローさん。
      フォロー、ありがとうございました。
      りま は今から、朝ごはんです。
      ことぶきジローさん、こちらは、何か雨になりそう。
      2020/08/10
    • ことぶきジローさん
      おはようございます。こちらも雨が降りそうです。今日も家でおとなしくします。
      おはようございます。こちらも雨が降りそうです。今日も家でおとなしくします。
      2020/08/10
    • りまのさん
      にゃんこまるさん、今から実家に、
      にゃんこまるさん、今から実家に、
      2020/08/10
  • 『ロストケア』『Blue』に続き、
    手に取りました✋

    社会に出ると誰しも多少は感じる違和感を取り上げて、それと葛藤する主人公の姿がありました。

    是非、こちらも映画化して欲しいです。八尋は妻夫木聡さん、ヨンチュンは鈴木亮平さん、で。もう年かなぁw

  • 終戦間近の北海道室蘭が舞台。アイヌの人達がこの時代どう生きたのか、ミステリーや脱獄もののエンタテーメントの要素があって読み応えあった。

  • 戦時下、民族差別といったシリアスな設定ながらも、一方でエンタメ要素も十二分に盛りこまれたミステリー。非常に力のこもった力作だということは、読んでいて伝わってきました。

    書き出しから濃い場面から始まって引き込まれる。
    凍える寒さの北海道室蘭の貯炭場で重労働を課せられる朝鮮人の人夫たち。その過酷な環境下の中で、ある指令のため人夫たちにまじり潜入捜査をする刑事。

    ここまでですでに相当カロリーの高い設定だけど、これはあくまで序章に過ぎないのがまたすごい。

    そこから軍需工場関係者の連続殺人や、犯人が現場に残した血文字の謎めいたメッセージと興味を惹く展開で、物語を引っ張っていく。

    そして主人公を追い込んでいく展開が容赦ない。主人公の刑事がアイヌにルーツを持つ出自であるがゆえ、同僚の刑事にも疑惑の目を向けられ、そこからさらに拷問、収監と徹底的に追い込まれていく。そこもまた引き込まれるゆえんです。

    時代背景や展開も重厚だけど、そこから浮かび上がるテーマもかなりシリアス。
    国家、戦争、そして民族。個人を捨て国家や天皇に従属することが求められた戦時下の大日本帝国。そこの矛盾や、国や体制に虐げられた個人の叫びが事件を通して浮かび上がっていく。

    葉真中さんの作品って社会の闇に飲まれていった個人に焦点を当てた社会派ミステリという印象が強いけど、その持ち味や視点を戦時下という時代の作品でも遺憾なく発揮されています。

    軽く読める作品ではないけれど、読み応えのある作品だったと思いました。

  • 舞台は戦中の北海道。
    戦況を一発逆転させる作戦を巡っていろいろな事件が起こる。主人公はアイヌ出身の刑事。差別されたり捜査妨害されたり苦難が続くが、苦労してたどり着いた真相は、正義とは何かを疑うものだった。

    登場人物がエグい。当時はこうだったんだろうなと、現在とは違っているのは理屈ではわかるが、とは言え、当時でもエグい。それを乗り越える主人公は大変なものだと思った。

    • はるさくさん
      そうですね。正義って何なんですかね?考えちゃいます。
      そうですね。正義って何なんですかね?考えちゃいます。
      2023/04/13
  • 話の筋がすぐわかるから、推理ものとして読むものではない。
    アイヌの人たちの歴史を垣間見れる

  • 葉真中顕さん、書く前にとても勉強するのだなと尊敬しています。

  • 終戦直前の日本を舞台としたサスペンス小説。
    特高警官が主人公という異色。
    朝鮮人、アイヌ、国内の異民族、大東亜共栄圏に内在する問題点など、凄くバランスの取れた視点で書かれていると思った。
    物語も面白く「謎」の牽引力はそこそこある。
    太陽=あの兵器ってのは、序盤で分かる人には分かるけど、でもって震洋が出てきた時点で?だったけど、なるほど分ってらっしゃったのだなーという感じ。
    はっきりいって面白いし、勉強になった。

  • 戦時下のこと、アイヌのこと、難しい内容のはずがするすると入ってくる。
    惹き込まれる作品。

    夢中になりすぎて夜中まで読んで、その日の夜は自分が監禁されて脱獄して捕まる夢を見て目が覚め眠れなくなるという…これほど作品に惹きこまれた作品。

  • やりたいことは分かるんだけど準備期間が短かったのか作者の力量か、設定世界観ともに薄い

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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