宿命と真実の炎 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2020年10月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (664ページ) / ISBN・EAN: 9784344430297

作品紹介・あらすじ

幼き日に、警察に運命を狂わされた誠也とレイ。大人になった二人は、彼らへの復讐を始める。警察官の連続死に翻弄される捜査本部の女性刑事・高城理那は、かつて〝名探偵〟と呼ばれた元刑事の存在を気にしていた。彼だったらどう推理するのか――。人生を懸けた復讐劇がたどりつく無慈悲な結末。最後の1ページまで目が離せない大傑作ミステリ。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

復讐劇が織り成す緊迫感あふれる物語が展開され、読者を引き込む。幼少期に運命を狂わされた誠也とレイの復讐を軸に、女性刑事高城理那が捜査を進める姿が描かれる。前作『後悔と真実の色』のキャラクターたちが再登...

感想・レビュー・書評

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  • むちゃくちゃ面白かった。一気読みだった。

    本書は、山本周五郎賞を受賞した『後悔と真実の色』の続編だけど、『後悔と真実の色』を読んでいなくても十分楽しむことができる。

    僕も『後悔と真実の色』は既読だったのだけど、ずいぶんと前に読んだものなのでほぼストーリーを忘れてしまっていた。でも、こんな感じでも本書を読むのは全然OKだったので、この本を単独で読んでもいいかもしれない。

    主人公は全く前作と違うし、今回おこる事件も前作のものとは関係がない。前作の主人公・西條刑事は当然登場するのだけど、今回はメインで動くわけではない。

    本作の主人公は、所轄署の若手女性刑事。
    「女性刑事」といえば『ストロベリーナイト』シリーズの姫川玲子刑事や『アンフェア』シリーズの雪平夏見刑事などのように「無駄に美人」な女性刑事が有名だけど、今回の主人公の高城理那刑事は、お世辞にも「美人」とは言えない女性警察官。ガタイがよく、柔道体形で、その辺の華奢な男なんかは一発でノシてしまえるような姿。顔もその器量を誇れるものではない。

    そんな「不美人」な自分にコンプレックスを抱きつつ、女性蔑視が当たり前な男社会の警察のなかで自分の力をその手腕で認めさせようと躍起になっている若き女性だ。

    本作のあらすじであるが、
      ある所轄署の白バイ警官が自損事故を起こして死亡する。しかしそれは事故に見せかけた連続警察官殺しの幕開けであった。次々と不審な死を遂げる警察官たちであったが、唯一、他殺と発覚したのは野方署管内で発生した事件のみで、そのほかの警察官の死亡は殺人事件とは認知されなかった。野方署の捜査本部の刑事たちは、通り魔的な犯人の姿を追うことができない。そんななか、捜査一課9係とともに捜査にあたっていた野方署の高城刑事は、白バイ警官の事故死の不自然さに気が付く。しかし、今回の事件とは何の関係もないような気もする。唯一の共通点は年代が同じで交通畑の警察官というだけだ。そんなおり、以前9係に所属し、「探偵」と呼ばれ数々の事件を解決したものの、スキャンダルを起こして警察を去った天才刑事・西條の存在を彼女は知ることとなる。

    本作は、警察モノのミステリーであるが、犯人側の視点と警察側の視点が交互に描かれるので、読者には犯人が誰であるかは最初から分かっている。

    ミステリー小説の三要素(「フーダニット(誰がやったか)」、「ハウダニット(どのようにやったか)」「ワイダニット(なぜやったか)」の2要素(「フーダニット」「ハウダニット」)は明らかになるものの、なぜ犯人がこの連続警察官殺しを実行しているかが分からない。
    ここが最大の本書の読みどころだ。

    まさに読者は、「犯人側の視点」と「警察側の視点」の両方から本書を存分に愉しめるのである。

    特に面白かったのが、主人公の高城刑事と捜査一課の9係主任・村越警部補のコンビのやりとりである。
    この村越刑事は「理那ちゃん」などと高城刑事を呼び、傍から見ればただの中年セクハラおやじなのだが、不美人の高城刑事に対して「可愛い」を連発し、高城刑事は「自分のような者にまでセクハラしてくるのかこのおやじ、キモ過ぎ」という感じなのであるが、この二人のやり取りが絶妙な具合で非常に愉快だ。
    ただ、このセクハラおやじも、ただのオヤジではない、そこは腐っても捜査一課の主任。
    やるときはやります。それを見て高城刑事が村越刑事を見直すってところもなかなかよいのだ。

    この高城・村越コンビの活躍は今後もぜひやってもらいたい。

    次作では高城刑事が捜査一課に抜擢されて、本格的に事件捜査に乗り出すってところをやってもらいたいな。

  • 貫井徳郎『宿命と真実の炎』幻冬舎文庫。

    山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』の続編。最後まで予測不能の異色の長編警察小説。

    まさかの事実と様々な複線、驚きのトリックと真相によくぞ思い切ったなと感心。間違いなく前作より面白いが、犯人の動機と犯行のバランスに多少の違和感。

    幼き日に警察に運命を狂わせられた渕上誠也とレイは証拠を残さずに次々と警察官を殺害する。女性刑事の高城理那はセクハラおやじの上司と共に、この難解な事件を捜査する。前作で警察を辞めた西條を事件捜査に巻き込み、警察官連続殺害事件の真相に近付く理那……

    本体価格930円
    ★★★★

  • 「後悔と真実の色」の続編
    警察官だった頃の知った名前も出て来るのでその面々と会えるのも
    お楽しみ。
    暗闇に落とされたような生活をしている西條にまた光は見えるのか。
    その後の西條にもぜひ会いたい。

  • 『後悔と真実の色』の主人公だった西條輝司や捜査9係のメンバーも登場するので、その続編と言えるか。
    しかし今回、おもに捜査の主役となるのは所轄の女性刑事高城理那。女性刑事が主人公の警察小説では、大概美人として描かれるのが相場だが、この女性刑事は頑固刑事みたいなご面相だとかとで、ユニーク。がむしゃらに捜査に邁進する彼女に、コンビを組む捜査9係の村越も評価を高めてゆく。
    最初反発していたこの二人、捜査が進むにつれてお互いの能力を認め合い、最良のコンビとなって行く。
    そんな警察小説の側面と、冒頭から犯人が登場し、行動や内面が逐一描写されることから、ピカレスク小説の側面もある。
    さらに、事件の背後に冤罪と警察機構の隠蔽体質も浮かび、社会派推理小説の面も加味される。
    文庫本で649頁にもなるが、それも納得の内容。
    前作では主役であった西條輝司は、今作ではアームチェアディテクティブな役割。捜査が膠着し、打開策を見つけんと、理那は紹介を受けた西條を訪ね、教えを乞う。
    彼女の覚悟を認めた西條は、解明のヒントを示唆し、捜査は急展開を果たす。
    物語の進展とはかかわりのないような西條の古書店訪問。しかし、事件解決への重要な伏線が張られていたとは。
    さらに様々な場面で伏線が張られていることがわかり、思わず頁をさかのぼり、該当箇所を探してしまう。
    警察を辞め、自分を見失い一時はホームレスのような生活をしていたという西條。事件解決に側面援助したことにより、変わろうとしていた自分に気がつく。彼の活躍する続編があるようなので、新作に期待したい。

  • 2022.6.15読了。
    読み応えあり。警察同士の手柄の取り合いなど、内情の複雑さが多く描かれている。
    続編がありそうな気になる終わり方。

  • 『後悔と真実の色』の続編。貫井徳郎さんの社会派ミステリーというだけで期待は高まるが、期待を超えて読み応えがあった。倒叙ミステリーであり、警察サイドの捜査と、犯人側の描写が交互に記され、最後に彼らの本当の動機や背景が明らかになる。西條と古書店主とのサイドストーリー(本編にちゃんと繋がってくる。書棚を見ればその人がわかる、というのも面白い)も良い。

  • 今年初の貫井作品。簡潔に言って、最高だったわ!主に三視点から構成される。まずは"犯人"視点。最初にあげるからには特別で、この作品は倒叙ミステリなのだ!次に理那ちゃん(笑)の"警察"視点。最後に前作の主人公"西條"視点だ。これらが複雑に絡み合い、素晴らしい作品になっている。良いところは沢山あるのだが、いくつか挙げよう。高城刑事が徐々に警察官として頼もしくなっていく、サツカン成長物語。西條視点だと元刑事の再生物語としても面白く読めるだろう。次作にも続く設定だったり、終わり方だったりでシリーズ化を視野に描かれていて非常に楽しみだ。勿論、ミステリとしても抜群に面白い!犯人は既に読者に開示済みで動機の追求のみでこれだけ読ませるのはさすが貫井さんと言ったところか。個人的には西條と古書店店主との読書談義がとても好きだ。著者にしては珍しく、実在の小説もいくつかあげられていて興味をそそられた。最後にこの作品も根底には"家族(愛)"が裏テーマみたいな感じで存在しているような…。理那と全盲の元警官の父。西條とその兄。誠也とレイの兄弟。警察組織もまた家族の一形態と言えるでしょう。

  • 前作は未読。西條が主役の話も読んでみたくなったので、前作もいずれ読みます。

    初めて読んだ貫井徳郎作品が見事な叙述トリックだったのもあって、解決パートまでずっと「騙されないぞ」って気持ちで読んでました。
    なので犯人の正体は比較的早めに察しがついてはいたのですが、そこから更に一捻りされた真相までは予想できなかった!
    途中でちょっと雑に見えたところが実は仕組まれてたものとわかったときの衝撃!

  • まんまと、ひっかかってしまった。他も読みたい。これだけ入り込めない女性主人公は、『グロテスク』以来。

  • あ〜面白かった‼︎ 読み応えあります。
    「後悔と真実の色」の続編だったのですね!題名が似てるので(いや、ちゃんと見れば違うんだけど笑)本屋さんで最初「読んだやつだな」なんて思ってから二度見しました。(←おばかさん)
    前作を読んだのはメモを見たら10年前でした。前作を知らずとも大丈夫です。

    自分はつくづく、ミステリー、警察もの、推理小説の類いが好きだなぁと思うのでした。もちろん、しっとり、しんみりするお話も好きだけど…。

    今作は最初から犯人が登場します。とはいえ、途中までの予想は少し当たるけれどかなり外れる…というような味わい。私は「刑事コロンボ」をちょっと思い出しました。いつも、犯人が完全にわかっていながら面白いところが素晴らしい!ということですね。

    女性刑事の理那ちゃんが、頑張りました。彼女を支えた村越も味があり、九係の面々も飄々としていながらいい奴ばかり。無慈悲ともいえる結末の復讐劇の中、救いとも思えました。

    心に残った言葉をいくつか、パラパラと…。
    - - - - - -

    明るいところだけを通って生きていくのが、人の一生とは限らない。一緒に歩いてくれる人がいるなら、暗い道をゆくのも苦ではなかった。

    本は読みたい人の許へ行くべきなんだ。

    神ならぬ身には、時間が経たないとわからないことがたくさんある。

    私たちが考えるべきは、真実についてだけですね。それ以外のことは、些事でした。

    肩肘を張るよりも、真実を追っている方がよほど充実感があると、初めて知った。

    正当化できる殺人なんて、ないもんね。

    自分にはやるべきことがあると考えると、まだ生きていることの言い訳にできる。

    迷うのはいい。アンフェアなことに腹を立てる正義感は忘れるな。だが、最後は必ず自分の仕事を誇れ。警察官が自分の仕事を誇らなければ、被害者は浮かばれない。
    - - - - - -

    真実を知りたいと思い読み進め、最後の最後まで目が離せない傑作でした。

  • やはりこの方の本が1番好きだ。
    分厚い本で手に取った際に
    少し躊躇ってしまったが、
    4時間ぶっ通しで読めるほど読みやすく
    とてもいい結末だった。

    たった2行で読者を混乱におとし入れる力量には
    感嘆した。
    とにかく手に取って欲しい作品。

  • 久しぶりに貫井さんの本。
    やっぱ面白い!

    読んでる途中で『後悔と真実の色』の続編ということに気付き、8年前?全然内容覚えてないので再読します

  • ページ数も登場人物も多いけど一気に読めた。

  • この作家はやっぱり面白かった^_^

  • 女性刑事が警察側の主人公。事件は連続して警察官が殺害されていきます。警察対犯人、そして前作の主人公である西條のエピソード、犯人側の背景といった多面的に物語は進行していきますが、決して読みにくくなるのではなく、人物描写や背景描写が綿密であるため、読むスピードが上がっていきます。
    犯人が連続殺人に手を染める動機が少々薄いように感じましたが傑作でした。まだ続編が出そうなので楽しみです。

  • 貫井徳郎さんの本は、どれも面白いです。
    この小説は、文庫本でもすごく分厚くて、読み始めるまでは、「長く掛かりそうだなぁ」って思ってましたが、読み始めると、早かった!
    面白い本って、長さを感じさせませんねぇ!
    けっこう、「匂わせ系」で別々の状況の人たちが描かれているのですが、登場人物の背景がどれも興味深くて記憶にとどまっていて、読みにくさを一切感じなかったです。

  • 古畑任三郎的な倒叙系。
    中盤から終盤にかけた展開は、貫井ファンとしてはやや物足りない。それだけ貫井作品は期待値が高いということ。
    西條シリーズとして純粋に登場人物の活躍ぶりにニヤニヤさせられる。二作目、続編にも期待。
    展開を読ませない。登場人物毎のエピソードがどこで交錯するのか。人物像を深掘りしておいて被害者へ転落、といった貫井作品らしさも随所に。

  • 先日読み終えた「後悔と真実の色」刊行から8年ほどの間隔をあけて出版された続編だそうです。
    ということで、"名探偵"と称される捜査一課のエース刑事であった西條輝司が再び登場!
    その彼は、どん底のホームレス暮らしから脱して警備員の職についています。
    そして、本と本好きを愛していることが伺える、やや偏屈な雰囲気をまとった店主が営む小さな古書店で、文庫本を買うことをささやかな楽しみにしています。
    個人的に、映画「イコライザー」でデンゼル・ワシントンが演じたロバート・マッコールとイメージがダブって、読んでる間中、西條のキャスティングはデンゼル・ワシントンでした(ちなみに、前作は西島秀俊さん)。

    この古書店主の娘が巻き込まれたストーキング事件の解決に協力したことで、自分の天命を自覚した西條が、半ば伝説化した警視庁時代の自分の活躍に憧れ、捜査協力を求めてきた所轄の女性刑事・高城理那の頼みを受けて、警察官連続殺人事件の謎に挑みます。
    こうなると、高城のキャスティングは当然アンジェリーナ・ジョリーですよね(笑)
    西條が所属していた捜査一課九係のメンバーも、前作に増して個々の能力を存分に発揮して活躍し、その様も読んでいて心地よいです。

    事件を起こした犯人たち(倒叙形式なのでネタバレではないです、ご心配なく)の生い立ちの設定や彼らの動機こそ、「貫井徳郎」的ではありますが、これまでに読んだ貫徳作品の中では、比較的エンタメ感があって気分穏やかに読み進めることができました。
    でも、それだけで終わらせないエンディングとそれに伴う後味は、前作によく似通っていて、とっても貫徳的でした。
    この作品、大好きです。

  • まずまずの読後感。
    最近の貫井君、重たい話が多いんだよね。
    でもこれは警官殺しという重いテーマにも関わらず、女刑事や退職警官などが登場し読者を飽きさせへん。本屋の親父もええ味出してるわ。

  • 後悔と真実の色の続編。貫井さんの作品としては、少し犯罪の動機面が弱かった印象。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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