- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344431416
作品紹介・あらすじ
死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。
感想・レビュー・書評
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パンチの効いた短編集。油断して読むと痛い目をみるかもしれない。
「どうしても生きてる」というタイトル。「生きる」でも「生きてく」でもなく「生きてる」としたところに、生きづらさや、生きることのままならなさ、同時に力強さが表れている。
人間の弱さや醜さが鋭い視点で描かれており、それでも「どうしても生きてる」のが人間なんだよなぁと突きつけられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
朝井リョウさん初読です。
年末に購入したものの、なかなか手をつけれずにいました。
一言でいうと、すごい!個人的に期待以上!です。
話は明るくはない、もちろん。人間の本性本質が垣間見える感じ。
わかるわかる、こゆ人いるよねーと思いつつ、私はこゆひととは違うなんて心で思ってしまっていたりと、私自身も都合の良い解釈してるーって。。
短編で読みやすかったです。次何が良いかな、、皆さんの感想評価を参考に選ぼう〜!
朝井リョウさんについても、調べたくなっちゃいました。 -
本の題名になんだか嫌な予感をしながら読んでみる事に。
話は面白いけれども中身は読んでいて救われない気持ちになる。
確かにそれでも生きていくしかない。
もし自分がそれを止めてしまえば周りの人も巻き込んでいく。
そんなに悪い事をしたのか、他に方法はあったのか。
誰だって味わう事のある気持ち。
読んでいて気分が悪くなるけれども、痛いところをついている。 -
生きる6人分のリアル。重い。
正欲は好きだったのですが、これは救いがなくとにかく読むのがしんどかったので☆2でm(__)m
『健やかな倫理』
『流転』
『七分二十四秒めへ』
『風が吹いたとて』
上の者がルールを破っているのに、下の者にはどうにもできないよ。そんなことより目の前に考えることは山のようにある。生きていくために。というメッセージには頷けた。
「自分の誠実さに酔うのは、目の前の話を片付けてからにして」
「誰かが破ったルールの上を、快適に歩いている。」
『そんなの痛いに決まってる』
現代のレスや不倫の何%はまさしくこれなんじゃないかと感じさせられた。
「心のままに泣いても喚いても叫んでも驚かない人がひとりでもいれば、人は、生きていけるのかもしれない。それが誰にとっても誰でもない存在としてでしか向き合えない人であっても、それでも。」
『籤』
「自分はこんなに醜いのだ、ということを明かしたところで、本当は何の区切りにもつかない。なぜ、吐露した側はそこで悦に入ることができるのだろう。こんなにも醜い部分を曝け出せたという点を、自分の強さ、誠実さだと変換して勘違いできるのはどうしてだろう。さもその一秒後から新たな自分が始まるとでも思っているらしいことも、不思議だ。
ラストは少し希望を感じさせる作品かな。
6作品とも「どうしても生きてる」でした。 -
けっこう前から気になっていた本作、文庫化したのを見つけて購入、読了。
うーーん、思ったほど…という感じだったかなぁ…
ものすごいスピード感で色んな負&闇を見せつけられたもんで、ちょっと消化不良というか…問題提起?だけされまくったものの、自分の理解と考えが追いついてないというか…
一つのテーマを深々と掘られる方が、個人的にはしっかり向き合えて好きかなぁ…とか思いました。
短編なら長嶋有さんとか、ああいった雰囲気が良いさっぱりもんの方が好みかなぁと。
あと、本作がイマイチ共感できない自分って、やっぱ圧倒的にのほほん生きてるんだろうなと(笑)
まあそれが自覚できただけでも、良しとするか…(´∀`)
<印象に残った言葉>
・なんか、もう、いっか。って、思ったんだろうな。わかるな、なんか。こういうことがあった辛くてたまらないもう死にたい死にたい死にたいって助走があるわけじゃなくて、ふと、別にもういっか、ってなる瞬間。いきなり風が吹いたみたいに、わって。(P53)
・どこに向かって進んだって後ろめたさの残る歴史を歩み続ける以外に、この人生に選択肢はない。(P125)
・生きていくうえで何の意味もない、何のためにもならない情報に溺れているときだけ、息ができる。(P151)
・心のままに泣いても喚いても叫んでも驚かない人がひとりでもいれば、人は、生きているのかもしれない。それが、誰にとっても誰でもない存在としてでしか向き合えない人であっても、それでも。(P278)
<内容(「Amazon」より)>
死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。 -
タイトルから放たれるとてつもない吸引力。
まさにタイトル通り、逃げ場もなく、生きづらい世の中で、それでも明日を生きるしかないという、誰しもが直面するであろう現実をリアルに描いた短編集。
性別も、外見も、家庭環境も、社会のルールも、自分は選べないし、変えることもできない。そんな状況のなかで、逃げることもできず、追い込まれて、時に道を踏み外したりすることもある。読み手のこちらまで、辛くて、苦しくて、逃げたい気持ちになって、だけど最後まで見届けたい、そんな気持ちにさせられる。
朝井さんは、本当にこうした現代社会の生きづらさみたいなものを、リアルに描く天才的だと思う。
エッセイとのギャップがすごすぎる。 -
タイトル通りの一冊。
読み終えるのに体力も気力も必要。
解説を万城目学さんが書かれているのだが、私は万城目さんの描く〝虚〟の方が好きだな…
今という時代は〝実〟を求めているのかもしれないけれど、救いが無さすぎるのは現実だけでいいかなと思う。
男性はどこまでも弱く、女性はその分生きなければならないと言われている気がする。
書中にもあったけれど、それを曝け出したからといって赦されるものではないし…どうにも時代遅れな男性像に感じられるのだ。 -
朝井リョウは天才。
リアルを切り取る能力がすごい。
建前を捨てたら自分の奥底にもこんな気持ちがあるんだろうな、というものを言語化できるところ -
最初は短編集と思ってなくて章が切り替わってしばらくして気づきました