雨に消えた向日葵 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2022年3月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (408ページ) / ISBN・EAN: 9784344431751

作品紹介・あらすじ

埼玉で小五女子が失踪。県警の奈良も捜査に入る。錯綜する証言、意外な場所で出た私物、男に目を付けられていたー情報は集まるも少女は見つからない。捜査本部が縮小されるが、奈良は捜し続ける。彼を駆り立てるのは、かつて見知らぬ男に陵辱され、今も心に傷を負う妹の存在だった。奈良の執念は少女発見に繋がるのか。警察小説の新旗手、最高傑作。

みんなの感想まとめ

失踪した少女を巡る、切実な捜査と家族の絆を描いた物語は、現実的な警察小説として多くの読者の心を捉えています。失踪から三年、捜査が難航する中で、家族の不安や希望が交錯し、奈良刑事の執念が際立つ様子が克明...

感想・レビュー・書評

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  • レビューに惹かれて吉川英梨さん、初読みです

    現実的で地道な捜査過程を描いた警察小説
    フィクションなのにミステリーの様な刺激的な話ではなく、エンタメ性も控えた作品なので、より現実感のある作品だった

    激しい雨の中失踪した美少女葵ちゃん
    探す家族と奈良刑事の執念の三年間の話
    そして並行して時が過ぎて行く奈良刑事と妹の人生

    捜査が難航し、不確かな望みと不安を常に抱えながら葵ちゃんの情報収集に費やす家族の日常が克明に描かれていて、いつまでもやまない雨の中にいる様でなかなか辛いものがあった

    しかし悪い事ばかりではなく、離れていた家族は次第に歩み寄り、捜査が打ち切られても周りの人や刑事が協力を惜しまないという静かなドラマもある

    ラストは、この三年間の家族とそこに協力してきた人々や奈良刑事の姿が走馬灯の様に駆け巡り、目頭が熱くなった
    そして奈良刑事が大切に見守って来た妹の人生も重ねて動き出す…

    動機が弱い部分が気になって☆四つにしてしまったが、いつも変化に富んだ作品を読む事が多い中、久しぶりに静かに味わえる話を読んだ気がする
    こういうのも有りだなあ〜

    どうでもいいことかもしれないが、私はずっとカバーの傘の色が赤だと思っていた
    読んでオレンジだと知る
    確かにオレンジか・も・・(๑•ૅㅁ•๑)
    思い込みだったと気付いた時、人はやたら驚く
    (๑ʘㅁʘ๑)!!

  • 吉川英梨さん著、「雨に消えた向日葵」

    最高の作品。
    今まで読んできた刑事物の物語で一番面白かったと感じている。
    こんなに夢中で物語を読み進めたのも初めてかもしれない。

    なんだろう、なんとも言えない表現の仕方が難しいもどかしさと不穏さが多方面から常に感じさせられる作品だった。そしてその何もかもが奥深すぎる。

    失踪事件、捜査、手掛かりがつきていく様子、本部解散。そこに纏わる被害者家族の物語、事件に携わる警察官の苦悩。交わってくる協力者。反対に沸き立つ様に沸いてくる非難抽象、野次馬、詐欺。SNSやテレビ報道による知人の反応と世間の反応。物語の進行はその全部が同時に大きく渦巻くように罷り起こりながら進んでいく。
    その大きな渦巻きが様々な不穏さを生ませ、読者を色んな方角から刺激してくる感じがたまらない。

    そして事件後捜査が進むにつれ、同時に被害者家族の家族愛も発展していく。石岡家の父、母、姉は共通した家族の目標がこの事件きっかけで明確になる。家族愛が透明に深まっていく。それはなにも家族愛だけでなく姉に至っては一人間としても成長している。父親も同様、親として成長していく感じが読み取れる。
    そこに奈良の兄妹の話もリンクしてくる。だからこそ、この事件があったからこそ奈良の兄妹の最後の話もグッと心が動かされる。

    最高の作品。次作もあるらしいので明日早速買いにいこうと思う。

  • 埼玉県警なのに奈良!
    もう少し、苗字の方は、違う県でも…
    意味変わらんという事か?_| ̄|○

    年間8万人ぐらいいるのか…行方不明者は…しかも9歳以下が1000人も。
    こんな小さな子が、行方不明になった原因なんか、ええ事思い浮かばんし(T_T)

    この話も突然いなくなった少女を
     探す…
     探す…
     探す…
    なんやけど、ええ方向にはいかない…
    月日が経つと情報も少なくなるし、それに関わる人達の人数も↓

    でも、諦めない〜
    話の流れからすると、最悪の方向に向かってるのは、ヒシヒシと感じながら…

    でも、良かった〜
    クライマックスは、縮小されたはずの捜査員も有志の応援で大人数に。

    今度は奈良さん自身もクライマックスになるように頑張って!






    最悪の方向に向かう話が多い中、こういうのも良いね。
    好みは、血ドバドバ、クズ、ムシとかとしても(−_−;)

    • ultraman719さん
      今、中山七里さん読んでるので、それ終われば、帰還します!
      もう「紅のアンデッド」まで、キープしました〜
      ココロが、ボロボロになるまで、読みま...
      今、中山七里さん読んでるので、それ終われば、帰還します!
      もう「紅のアンデッド」まで、キープしました〜
      ココロが、ボロボロになるまで、読みます!
      2023/12/09
    • 1Q84O1さん
      準備万端ですね!
      ウジたちと一緒に帰還をお待ちしていまーすw
      準備万端ですね!
      ウジたちと一緒に帰還をお待ちしていまーすw
      2023/12/09
    • ultraman719さん
      了解致しました!
      いっぱい持って帰ってプレゼントします〜(^^)v
      了解致しました!
      いっぱい持って帰ってプレゼントします〜(^^)v
      2023/12/09
  • レビュー評価の高い「雨に消えた向日葵」
    なぜか、なんでもかんでも予約いっぱいの我町の図書館なのに 吉川作品は、すぐに手に取れる不思議。
    小学5年生の美少女が、激しい雨の日、突然行方不明になる。家出か、事故か、事件か。
    始まる地域住民達の捜索、警察の捜査、家族の動揺。捜査範囲は広められていくが、少女は見つからない。
    わずかな手掛かりから捜査を深めるが、進展はせず絶望感が広がる。
    創作と思えない臨場感で事件を追っていくのに緊張感が途切れない。
    疑わしい人物が、次々と浮かんでは消えていく。
    思うだけ、考えるだけ、見るだけ。
    どこからが罪なのか、現実感ある人物設定に思わず考えさせられる。
    それでも吉川さんの作品は、ハードに描いた後の暖かい部分を忘れない。

    • 1Q84O1さん
      私たちの周りだけでブレイク中
      私たちの周りだけでブレイク中
      2024/02/25
    • おびのりさん
      それな。
      大衆受けしてないのかな?
      それな。
      大衆受けしてないのかな?
      2024/02/25
    • 1Q84O1さん
      広めていくのがカリスマの役目
      某カリスマがきっと広めてくれるでしょう!w
      広めていくのがカリスマの役目
      某カリスマがきっと広めてくれるでしょう!w
      2024/02/25
  •  吉川英梨さん2作目。『海の教場』に感銘し、ぜひ続けてと思いました。そこで思い出したのが、ひまわりめろんさんの「ひまわりシリーズ」第1作の本書です。いやー、とてもよかったー! ひまわりめろんさん、大正解です!

     行方不明児童を扱った警察小説の括りになるのでしょうが、それ以上に濃密かつ繊細に描かれた人間ドラマという印象を強烈に受けました。
     様々な事情を抱えた被害者家族と刑事。両方の視点から、難航する捜査、出口の見えない混迷ぶりがリアルに浮き彫りになります。刑事だけでなく失踪少女の父・姉も、想像を絶する執念によってのみ突き動かされている感じです。
     特に、県警刑事の奈良とその妹の存在と過去も、物語に厚みをもたせている気がします。
     
     本書の8割くらいは、この苦悩・絶望感がどこまで続くのかと思いながら読まされます。希望や救いはないのか、とヤキモキしながら結末へ‥。
     結末のネタバレはされませんが、安心してください!
     
     おそらく本書を読まれた方は、無意識のうちに読み手の心に抑圧されて溜まった苦痛の感情が排出され、浄化される感覚を味わいながら、ゆっくりと心の緊張が解きほぐされていくでしょう。
     本当によかった! 陶酔しました! 救われました! 再生と希望を受け取りました! この読書体験を、ぜひ皆さんにも!

    • ひまわりめろんさん
      本とコさん
      こんちは!

      そうでしょうそうでしょう
      さすがカリスマレビュアーですよね

      『海の教場』にも言えることなんですが、この物語の良い...
      本とコさん
      こんちは!

      そうでしょうそうでしょう
      さすがカリスマレビュアーですよね

      『海の教場』にも言えることなんですが、この物語の良いところは、話のほとんどが、手の届く範囲の感情で占められているところだと思うんですよね
      理解できる、共感できる、そして置き換えられる
      そんな物語だったことが最後に受け取るものの大きさに繋がったのかなと思いました
      2023/07/16
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
       ありがとうございます。
      お陰で素晴らしい読書体験ができました。
       近いうちに、『向日葵を手折る』もいってみたいと思ってます。いやいや、「ひ...
       ありがとうございます。
      お陰で素晴らしい読書体験ができました。
       近いうちに、『向日葵を手折る』もいってみたいと思ってます。いやいや、「ひまわり」はなかなかによろしいシリーズですな〜。
      次は「サクラ」とか「守る」シリーズとかいくんですか?
      2023/07/16
    • ひまわりめろんさん
      いや、次「り」なんでw
      いや、次「り」なんでw
      2023/07/16
  • とても良かった。感動的な物語でした。
    大きな波は来ないが、被害者周辺の3年にわたる生活がジワジワと・・・ずっと引き込まれ放しでした。
    吉川英梨作品は「13階の母」以来2冊め、他の作品も読んでみようと思う。

  • 最 & 高!!


    ある豪雨の日、向日葵の咲く田んぼ道で小学5年生の少女、石岡葵が傘1本だけを残し、突然姿を消した。誘拐か、家出か、事故か。

    遅々として進まない捜査
    挙がっては消えていく何人もの容疑者
    年月だけが無情にも過ぎていく。

    そして捜査本部の解散
    田んぼに咲く向日葵は 奈良刑事の背を追い抜いた。

    もうね、本当に最高です。
    「埼玉県警なのに奈良」
    奈良ー!地道な捜査、葵の家族への想い、執念。

    そして事件解決の糸口が見えた時に集まった捜査員たち。「絶対に犯人を捕まえる」という全員の気持ち。 熱い。もう大好きだ。大好物なやつだ。

    ひまめろさんありがとう!
    さすがカリスマおすすめ( ᵒ̴̶̷̤ ᵒ̴̶̷̤ )

    もっと奈良の活躍を読みたいなぁー
    その時は奥村もいて欲しいなー(好き)

    WOWOWでドラマ化されてるんですね
    ムロツヨシ主演
    レンタル屋さんで見つけた!
    観てみよーっと

    • ゆーき本さん
      うわー!めちゃ面白かったよ\(¯ᗜ¯)/
      わたしは昨日 奈良シリーズ2作目の「虚心」読み終わったところ。レビューはいつになるかわかりませんが...
      うわー!めちゃ面白かったよ\(¯ᗜ¯)/
      わたしは昨日 奈良シリーズ2作目の「虚心」読み終わったところ。レビューはいつになるかわかりませんが笑
      あと今 AX読んでるよ!読んでる時 顔がニヤニヤしちゃう笑
      2023/10/04
    • ultraman719さん
      表と裏のギャップがありすぎて面白いですね。
      表と裏のギャップがありすぎて面白いですね。
      2023/10/04
    • ゆーき本さん
      (。-∀-)ニヤリ
      (。-∀-)ニヤリ
      2023/10/04
  • ど真ん中ストレーーート!!
    って感じの警察小説。

    ブグログ内で評価高いですね~。

    行方不明になった少女を探す警察と家族の姿が描かれています。
    まさに執念。主人公の警官の捜査には頭が下がります。
    実際の警官がみんなこうだとどれほど頼もしいだろうか。
    被害者家族の苦痛や頑張りも痛々しいほどでした。

    まるでノンフィクションのようなフィクション。
    でも、すらすら読めますね~。

    そして私ですら2度も目頭が熱くなってしまいました。
    ラストはもちろんですが、中盤での母親の置き手紙。あれはヤバい。
    いつ帰ってきてもいいように鍵をかけずに仕事に行き、晩ごはんを用意しておくなんて。おそらく毎晩かかさずやっているのだろうと思うと、ゆるゆると涙腺が緩みます。
    な、泣きはしませんよ。緩んだだけですから。
    それにしても母親って不思議ですね。最後もそうだったけど、どうしてそんなに子供のお腹を心配するのか。本能の為せる業なのか~。

    犯人にたいしてはもちろんですが、野次馬やら心無い言葉を発信するクズどもに大いにムカつき、さらにそれよりもゾッとしたのは、自分ではレイプできる力が無いからといって少女の情報を流してレイプに役立たせ、何処かの誰かにレイプされてる少女の姿を想像して歓んでいた男の醜悪さよ。クズか。クソか。どんな歪み方よ。
    よくもこんな設定を思いつけるもんだわ。
    ネットの進化は捜査にも役立つが、犯罪にも役立ってしまう。
    人間の本質は善も悪もある。残念だが道具の進化はどちらにも利してしまうのだろうなー。

    塩田武士さんの「罪の声」のときもそうだったが、あまりにも実際の事件に寄せられ過ぎていて、そこが嫌だった。
    実際の事件から着想を得るのは構わないけど、そこから一歩も出ていない気がする。
    良い意味でも悪い意味でもど真ん中ストレート。
    いろんな感情を刺激された良い作品ではあったが、まんま過ぎんかな?

    好きな人にはごめんなさ~いm(__)m

    • ultraman719さん
      やはり、土瓶さんの⭐︎4は、奇跡なんですね!
      泣いてそうな気もしないではないですが…
      今、フリマアプリで、「嘘の木」買ってしまいました(^◇...
      やはり、土瓶さんの⭐︎4は、奇跡なんですね!
      泣いてそうな気もしないではないですが…
      今、フリマアプリで、「嘘の木」買ってしまいました(^◇^;)
      2024/04/28
    • 土瓶さん
      う、潤んだだけですからね!
      泣いてはいません!!
      そこは否定します!!!

      ウルトラマンさん。
      購入派でしたか。
      責任重大じゃな...
      う、潤んだだけですからね!
      泣いてはいません!!
      そこは否定します!!!

      ウルトラマンさん。
      購入派でしたか。
      責任重大じゃないですかーΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)
      2024/04/28
    • ultraman719さん
      責任取って下さい〜笑
      でも、もう既に買ったので、溢れ返ってます。
      土瓶さんをはじめ、皆さんの感想読むと思わず買ってしまいます(^^;;
      仕方...
      責任取って下さい〜笑
      でも、もう既に買ったので、溢れ返ってます。
      土瓶さんをはじめ、皆さんの感想読むと思わず買ってしまいます(^^;;
      仕方なしですね〜誘惑に勝てません(^_^;)
      2024/04/28
  • 小学5年生の少女が、雨の日の下校途中に突然姿を消してしまった。
    事件か、事故か、家出なのか?
    なんの手掛かりもないまま、時間だけが過ぎて行く。
    ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

    家族の視点と警察の視点とで語られるストーリー。
    少女の失踪の理由は何なのか、そして少女は無事なのか?先が気になって一気読み。

    フィクションなんだけど、家族の娘を思う気持ち、警察の捜査体制、世間の家族に対する対応、全てが凄くリアルな気がした。
    とにかくマスコミにしろ世間の風評にしろ、最初は同情だったのが時間が経つにつれて、無関心になったり誹謗中傷に変わったりしていく様子がとても怖かった。
    それでも諦めない家族と、奈良さんみたいな人がいてほんとに良かった。

    面白かったけど、なぜ?っていう所が、ちょっとサラッとし過ぎてたな〜な印象。
    その辺がもうちょっと知りたかったかも。

  • ある夏の夕暮れ、豪雨の中、1人の少女が姿を消した、一本の傘を残して。
    家出、事故、誘拐事件、、、様々な観点から捜査が進むが、一向に進展は見えない。
    果たして、彼女は生きているのか?

    事件を追う埼玉県警の奈良刑事は、かつて見知らぬ男に陵辱され、心に大きな傷を追う妹の存在があった。
    奈良の執念は、少女発見に繋がるのか?

    泣きながら少女に伝える、最後のシーンに、ウルウルしました。
    『君をずっと探していたんだ。』
    『女刑事を集めてくれ。こんな基本的な事に思い及ばないなんて。ガイシャの担当は女刑事じゃなきゃだめだ。』

    被害者の心理に重きを置く、優しい奈良刑事の思いやりに、しんみりします。
    奈良刑事の活躍を期待します。

  • 雨の放課後、小5の女児が消えた。
    誘拐か家出かはたまた事故…。
    手がかりのないまま難航する捜査。
    家に帰る間もなく解決に向けて奔走する捜査員たち。
    疲弊して行く家族。

    綻びを見つけてはそれを追う捜査員。
    それによって傷付いてゆく人々。
    辛い日々を送る家族への心無い誹謗中傷。
    3歩進んでは2歩下がる…先の見えない日々の中で時だけがすぎて行く虚しさやるせなさそして緊迫感。
    それでも葵ちゃんを諦めない捜査陣と家族。
    これは、読んでいるこちらも心をすり減らし体力を消耗する思い。

    少しずつ真相に近づいて行くのではなく、目星を付けた結果、何も得ることのない無関係な捜査もあることで喪失感を誘う。そのことでよりリアリティを感じる。
    きっと現実の捜査とはこう言うものなのだろうと思う。

    扱いが難しいと思ったのは、趣味嗜好…それに賛同はしないけれど理解も難しいけれど、思うだけでも〝罪〟なのか〝悪〟なのか…。
    事件がなければ何事もなく生きて行けたかも知れない男の人生を思うとちょっとやるせない。
    現実…その職業を選択した時点でそちら側という人は少なくないような気がする。
    子育てする中で「ん?」と思うようなことは何度もあった。
    もちろん全ての人に当てはまるわけもなく、そうであっては困るけれど、ひっそりと息を殺して生きている人たち全てを表に晒し出すことはできない。
    だけど、表にでてしまったらもう〝普通〟の場所には戻れない。

    被害者もまた〝もといた〟場所には戻れない。
    それでも生きていかなくちゃならない苦しみに被害者でないものが寄り添うことは難しい。
    人は自分と違うものを嫌悪したり好奇の目で見たり排除しようとしたりする。結局、それも弱さなのだろうと思う。

    日本の年間行方不明児童は1,000人を超えるという。それを知ると小説だなんて言ってられない。
    被害者家族への誹謗中傷も詐欺行為も物語ではなく現実におきている。
    誰もいなくならないでほしい。ただそう思うことしかできない。

    今年の28冊目

  • 初めて読む作家さん。
    小学五年生で、かなりの美少女の葵ちゃんが、降りしきる雨の中、下校途中にある田んぼの一本道で忽然といなくなった。学校を出る時、担任の男性教師と顔を合わせている。奈良という刑事を中心に、警察による捜査の過程が詳しく描かれる。

    参考文献に、清水潔さんの『殺人犯はそこにいる』が挙げられていました。読んでいると、なるほど、『殺人犯は〜』のフィクション版のような感じです。フィクションだから、いくらか気楽に読めます。が、『殺人犯は〜』を読んで、衝撃を受け、心を痛め、被害者や、被害者家族の気持ちを幾らか伺い知った経験があるので、ドキドキしながら面白く読む自分を許せない感情も出てきて、複雑な読書体験になりました。

    捜査の過程がとても詳しく書かれていて、特に奈良刑事の人柄と一生懸命な姿に心を打たれます。この人怪しい、この人も…とハラハラと心が高鳴ります。結局、解決には3年近くの年月がかかりました。えっ、あの時のあの人が犯人…!って、もう面白さが爆発です。

    最近は巧妙な筋の物が多い中、真っ直ぐで面白い一冊でした。

  • 雨の日に忽然と失踪した小5女子の葵。
    そして行方を追う捜査官の奈良刑事。

    家庭崩壊手前から一致団結して、誹謗中傷や嫌がらせにも耐え、諦めなかった家族。
    奈良刑事や警察の執念が実り、葵は無事に発見されるけど、発見までに3年。

    子供が犠牲者って許せない。
    葵失踪直前に一緒にいた友達と友達の家族も可哀想。何も悪いことしてないのに責められて。
    奈良刑事にも心に傷を持つ妹の存在があり、
    なかなか息苦しいお話でした。
    この先も色々問題があるだろうけど、犠牲者や犠牲者の家族が幸せであって欲しいと願う。

  • まさに執念の捜査。事件解決に近づく糸口が見つかってからは怒涛の如く捜査が進んでいく。
    特別なトリックや仕掛けがあるわけではないか゛
    面白かった。

  • 小五の石岡葵が学校からの帰り道で行方不明になる。ゲリラ豪雨に見舞われた夕方、周りは田んぼしかない一本道。事件なのか事故なのかあるいは?

    埼玉県警の奈良を中心に葵の行方を追う警察と被害者家族石岡家のことが淡々と描かれていく。読み進めるほどに、辛い。凄惨な場面や猟奇的な出来事は一切ない。だが、辛い。フィジカルではなくメンタルの耐性を試されているような気持ちになる。

    警察の捜査にかける熱量や執念はヒシヒシと伝わってくる。しかし、有力な情報や決定的な証拠などが見つからず遅々として進まない。現実の事件はそうそう都合良く解決できるものではないのだろうと連想させられる。思い通りに進まないことがリアリティを強くする。葵の父親は警察に尊大な態度を取ることもなく、自らも必死に捜索する。奈良との絆も生まれてくる。しかし、否応なく月日が過ぎていき、奈良や父親の信じ続ける気持ちが、辛い。

    捜査が進むほどに、事件とは無関係な人たちの上辺の優しさを纏った興味本位に晒される。SNSでは誹謗中傷が止むことはなく、リアルでは嫌がらせや詐欺事件に巻き込まれる。全て葵の行方も状況も分からないままの間の出来事。家族の安否が分からない中での、拠り所を根こそぎ排除するような悪意が、辛い。

    そんな中でも、葵の姉の友人は味方として心強く、ほんのひと時でも安らぐ。純粋な善意を持った情報提供者にも心安らぐ。離婚調停中だった葵の両親の家族に対する愛情や変化、姉の沙希が葵のいない日常を生きる強さや変化に胸が締め付けられる。だからこそ、葵の安否が分からない現実が、辛い。

    奈良の家族も過去に忘れらない出来事があり、重く辛い。

    その全てが、何もかもが、頭の中で一緒くたになり、エピローグは涙なしでは読めなかった。

  • 吉川英梨『雨に消えた向日葵』幻冬舎文庫。

    小学生女児の失踪事件を巡り、揺れ動く家族の姿を描いた小説。

    小学生女児失踪事件は未解決のまま、延々と平坦なストーリーが続く。警察捜査のリアリティー追及の結果なのか、これ程、警察捜査に進展が無いのも珍しい。あり得ない話ではないのだが、日本の警察はここまで無能なのだろうか。

    埼玉で夫と別居中の母親、姉と3人で暮らす小学5年生の美少女・石岡葵が豪雨の日に学校帰りに突然失踪する。少女の失踪は事件なのか、事故なのか、家出なのか。少女の行方を捜査する奈良警部補だったが、容疑者は次々と浮上するものの失踪とは直接関係せず、少女の行方は杳として知れない。

    半年後、捜査本部が縮小される中、ゴルフ場の池の中から葵のランドセルが見付かりるが、犯人の特定には至らない。やがて1年が経過し、奈良警部補も捜査から外れ、迷宮入りの様相を呈するが……

    3年が過ぎ……

    葵は生きているのか、死んでしまったのか……

    本体価格790円
    ★★★★

  • 地道や愚直という言葉を体現するかのような小説です。
    ドラマだとあっという間に解決していく事件も、現実は途方もない時間の労力の積み重ねで一つずつ進めていくのだなと感じました。
    また、詐欺被害に遭ってしまうシーンは、こんなにも酷いことをよく出来るものだと呆れてしまいました。

    「沙希はケーキを二つしか買っていなかった。」

  •  初めて吉川英梨さんの作品を読みました。読み応えのある正統派警察小説でした。たった1冊読んだだけなのに吉川英梨さんの他の作品もたくさん読みたいと感じました。
     陳腐なトリックもなく、都合の良すぎる展開もなく、地道に愚直に捜索活動を続けて、遠回りしながらも犯人に近づいていく家族と刑事たち。何を書いてもネタバレになりそうで、これ以上は書けません...。
     読むきっかけは、やはりブクログの他のユーザーさんの本棚に吉川英梨さんの作品があることが多かったからかな?この本を読めて本当に良かったです。素直に感謝です!
     日本での行方不明者は8万人を超えており、児童の行方不明も毎年1000人を超えるとのこと。一刻も早く無事に見つかることを祈ります。

  • 面白かった!

    こういう話は夢中で読んじゃう。
    途中でこんなことあるー?っていう所もあるんだけど、ほぼ一気に近い感じで読み終えた。

    奈良さんがすごく良かった。
    奈良さんの次回作も読みたいなぁ。
    けど、図書館には入ってなかったわ( ; ; )


  • 刑事、家族、被害者たちの折れない姿に
    胸が揺らされる物語。

    太陽を見続ける向日葵のように真っ直ぐで
    力強い人たちのお話でした。

    ーーーーー
    豪雨の日に、学校から帰宅途中の一本道で
    忽然と姿を消した小5の少女。

    手がかりのないまま、必死に探し続ける
    家族と刑事たち。

    事件が事故か、もしくは家出か、幾つもの
    選択肢から絞り込めずに捜査は進むけれど
    少女の足跡も犯人の痕跡も見つからない。

    センセーショナルな事件に周囲は騒然となるが
    時間の経過とともに、徐々に人々の記憶から 
    遠ざかり話題に上らなくなっていく。

    そんな中、一人の刑事が諦めずに事件を
    追いかけ続け、その真摯な姿に次第に家族とも
    心を通わせていく。

    使命感か正義感か、諦めない刑事の執念の
    根底にあるものも並行して見えてきて、
    失踪した少女が見つからないまま月日は経ち
    疲弊していく人々の姿には絶望が堆積していく。



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著者プロフィール

『私の結婚に関する予言38』(宝島社文庫)にて第3回日本ラブストーリー大賞のエンタテインメント特別賞を受賞し、2008年デビュー。近著に『ブラッド・ロンダリング』(河出文庫)。そのほか、「原麻希」シリーズ(宝島社)、「新東京水上警察」シリーズ、「海蝶」シリーズ(ともに講談社)、「十三階」シリーズ(双葉社)、「警視庁53教場」シリーズ(KADOKAWA)、「感染捜査」シリーズ(光文社)など著書多数。

「2023年 『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 グリーン・ファントム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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