- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344432482
作品紹介・あらすじ
「絶対、あきらめないで。待ってるからね。ずっと、ずっと」。美術館で受け取ったのは、亡き祖母からのメッセージ――。作家志望でライターの亜衣は、忙しさを言い訳に遠ざけていた祖母を突然喪ってしまう。後悔と孤独に苛まれる亜衣を救ったのは、お節介な年上の隣人だった(「豊饒」)。傷ついても再び立ち上がる勇気を得る極上の美術小説集。
感想・レビュー・書評
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6編からなる短編集。
それぞれに主題となる有名な絵画が出てきます。
マハさんらしい人間味溢れる作品ばかり。
しかも解説には美術館の学芸員の方が書かれています。
もっと早くにこんな本たちに出会っていたら、もう少し芸術にも親しめたのに、、
この本も大切な一冊になりました。
みんなにおすすめ出来る一冊です。 -
アートにエネルギーをもらった人たちのお話
豊饒が特によかった
この本に出てくる絵を、スマホで調べてみたけれど、本物を見ることが大切なんだと思った
にわかの知ってるじゃなくて、本物からもらえるパワーを自分がどう感じるか
自分で経験、体験してどう感じるか
それを感じた本でした! -
絵画の歴史や背景とともに、「色々あるけど前向きに生きていこう」と読者の背中を優しく押してくれるような、ほっこりする物語が心を温めてくれました。
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『<あの絵>の前で』原田マハ
美術館にでかけたくなる ☆☆☆☆☆
ほっとできる ☆☆☆☆☆
絵の楽しみ方 ☆☆☆☆☆
【原田マハさんの小説を選ぶ理由】
絵画を知らない、距離が遠いわたくしにとって、原田マハさんとの出会いは、「絵画」と距離を縮めたくなる機会となりました。
長編、短編あわせて10以上の物語と出会いました。
今回の「<あの絵>のまえで」は、原田マハさんの新しい魅力に触れることができました。その魅力は、原田さんが絵画を見る「視点」です。
【読み終えて】
美術館に足を運びます。理由もなく、1枚の絵の前でしばらくたたずみます。なんでだろう?そのときは何も考えていません。しかし、あとで振り返ってみて「いろいろな想い」が重なっていることに気づくことはありませんでしょうか?
<あの絵>の前での主人公たちも同じように、1枚の絵画と出会います。そして、自分自身との対話をはじめます。
絵画や音楽って、食事のように生きるための「MUST」ではありません。でも、生きる・感じる・考える「源/みなもと」の一つであるのでは?と考えています。
だから、わたしたちは、また、「あの絵」の前に立ち寄りたくなるのではないしょうか?
【<あの絵>の前で。あらすじ】
6篇の短編小説集です。この6話で登場する絵画は以下のとおりです。検索をかければ、絵画にたどりつきます。みなさんは、この絵画からどのような印象・インスピレーションを得ることができますでしょうか?
前述のとおり、この6個の絵画と6篇の物語をつなぐ「視点」が斬新です。
1.ドービニーの庭 ゴッホ
2.窓辺の小鳥たち ピカソ
3.砂糖壺、梨とテーブルクロス セザンヌ
4.オイゲニア・プリマフェージの肖像 クリムト
5.白馬の森 東山魁夷
6.睡蓮 モネ
【タイトルと主人公】
1.ハッピーバースデー
大学入学と同時に広島から上京した女性。就職活動がうまくいかず、毎年8月6日には帰省します。ある日、母親と美術館に立ち寄り、大学生になる前の「なりたかったもの」を思い出します。
2.窓辺の小鳥たち
高校生の男女が初めて美術館を訪れます。卒業後、東京で一緒に暮らすことになり、彼は音楽とギターが好きで、彼女は彼の一面に惹かれます。年齢を重ねるうちに、彼女が彼を見る視点に「変化」が生まれ、10年以上前に見た絵画の印象を語り合います。
3.檸檬
社会人の女性は高校時代に絵画を執筆するのが好きでしたが、筆をとることはありませんでした。ある日、会社に出勤する途中で、卒業した高校の美術部の生徒に出会います。彼女はその生徒の歩みに導かれ、日常の仕事から離れ、新たな場所へ向かいます。
4.豊穣
小説家になりたい女性は、厳しい現実の中でWEBライターとして生計を立てています。隣人となった高齢の女性との出会いが訪れ、晩御飯の食卓を共に囲む仲になります。隣人への約束として「小説」を書くことになります。その約束、果たすことができるのでしょうか?
5.聖夜
60代の夫婦は退職をきっかけに田舎に引っ越しました。二人には一人息子がいました。しかし、不慮の事故で亡くしています。いつものように、子供の墓参りへ。そこで、夫婦は手紙を見つけます。その送り主は、亡くなった息子の交際相手でした。手紙の内容とは・・・。
6.さざなみ
20代の女性は、入院中、テレビを通じて、ひとつの風景と出会います。それが、四国の「直島」です。島全体が「芸術」となっていることを知り、一人旅を決意する彼女。島でどのような出会いが待っているのでしょうか? -
『楽園のカンヴァス』に魅了され、大好きになった原田マハさん
読んでいない作品は沢山あるのに、一気に読んだら勿体無い気がして、大切に読んでいます
マハさんの短編集は、今回初めて読みました
どれも素晴らしかったです
それぞれきっかけがあって、美術館に行く事になり、作品に導かれて行きます
たった一枚の絵が心の支えになったり、モチベーションを維持するものになったり、心を奪われるものとなったりと、普通の生活をしている私達にとって身近に感じるアートの在り方が描かれていました
特に『檸檬』『豐饒』が気に入りました
六話にそって、六つの美術館と六つの作品が出て来ます
広島美術館『ドービニーの庭』(ゴッホ)
大原美術館『鳥籠』(ピカソ)
箱根ポーラ美術館『砂糖壺、梨とテーブルクロス』(セザンヌ)
豊田市美術館 グスタフ・クリムト 『オイゲニア・プリマフェージの肖像』(グスタフ・クリムト)
長野県立美術館・東山魁夷館『白馬の森』(東山魁夷)
地中美術館『睡蓮』シリーズ5点(モネ)
どの美術館も遠い、もっと早くに読んでいたら。。。
しかし!作品で得た知識を持って、今後の旅の目的の一つとして、立ち寄る様にします
そしたら絶対楽しい旅になるでしょう
アートや美術館は敷居が高いものだと思っていましたが、マハさんの作品を読む様になってから随分印象が変わりました
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6作品の絵を契機に、それぞれの人生が動いていく短編集。
通して感じたのは、マハさんの絵に対する愛情や尊敬、そして美術館への誘い。
見たことがない作品ばかりだったけれど、観る人によってどのように絵を感じるか、それぞれの思いを表現している文章が美しくて、登場する美術館へ行ってみたくなった。幸い全て国内!
物語から広がる背景は、就職活動への苦労、近しい人からの妬み、大切な家族を失う哀しさや後悔、予期せぬ病…といった重いものが描かれる。
でも、さらりとした語り口、温かい思いやりをもつ人が主人公を見守り、希望を感じさせてくれる着地に。
マハさんの優しさを感じる読後感でした。
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「ハッピー・バースデー」「窓辺の小鳥たち」「檸檬」「豊饒」「聖夜」「さざなみ」の6篇収録。いずれも、一枚の絵画をきっかけとして主人公(女性)が心の癒しを得、人生を再生する物語。
各作品が取り上げている絵画は順に、
ゴッホ〈ドービニーの庭〉(ひろしま美術館)
ピカソ〈鳥籠〉(大原美術館)
セザンヌ〈砂糖壺、梨とテーブルクロス〉(ポーラ美術館)
クリムト〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉(豊田市美術館)
東山魁夷〈白馬の森〉(長野県信濃美術館・東山魁夷館)
モネ〈睡蓮〉(直島・地中美術館)
ネットで絵を見ながら読んだ。直島の地中美術館、行ってみたいな。 -
絵画にまつわる6つの心温まる短編集。
なんだかモヤモヤして落ち着かず、あっという間に過ぎる毎日の中で触れるにはぴったりの本だった。
一つ一つのお話は短いのだけど、それぞれの主人公の思いに共に苦しくなり、思い出の絵画に触れて(私はネットで見て)希望を感じ、そっと背中を押してくれる気がした。
どの美術館も行ってみたいが、特に長野県立美術館と地中美術館に心惹かれる。アートに触れる旅、してみたい。 -
文庫版での再読。
読んだっけ?と最初分からなかったのは、表紙のイメージがハードカバー版とガラリと変わったからのように思う。
ハードカバー版は、水色のベースにピカソの〈鳥籠〉が当てはめられていた。
文庫版では、クリムトの〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉の明るい黄色が目に入ってくる。
そして、私自身にも変化があった。
ちょうどハードカバー版を読んでから、文庫版を読むまでの間に祖母を亡くすという経験をした。
「豊穣」は、母に捨てられた娘が、祖母に大切に育てられながらも、目指す作家になれない日々の中、祖母と離れ、孤独にさせてしまったことを責めている。
一人暮らしの亜衣の心を開くのは、お隣に引っ越してくるスガワラさんというおばさんだった。
スガワラさんと祖母を重ね合わせながら、表紙の絵に出会うシーンで、なぜか私まで、勝手にこの絵に祖母の面影を見出したのだった。
さらに文庫版では、各話で出て来る美術館の学芸員さん達が、それぞれ解説を書いている。
これ。なかなか素敵な趣向だと思う。
一度読んだ人も、新たな気持ちで手に取ってみて欲しい。
私も読みたいなー、って思ってる本なの
解説が学芸員の方なんですね...
私も読みたいなー、って思ってる本なの
解説が学芸員の方なんですね!
ますます興味あります
ありがとう(人*´∀`)。*゚+
コメントありがとうございます。
この本すごく良くって、読み始めて涙活にいいかもって思って...
コメントありがとうございます。
この本すごく良くって、読み始めて涙活にいいかもって思っていたら、一気に読んじゃいました。
原田マハさんらしさがすごく出ていて、よかったです。
マハさん 本当に尊敬します。
是非読んでみて、感想を聞かせてくださいね。