- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344433106
作品紹介・あらすじ
学生はワンコインで食べられる夜食専門店。痩せて可愛くなりたい若葉、何を食べてもおいしくない学年トップの小春、オーガニック料理だけで育った凌真......。悲しみや寂しさを少しずつ消化できるように、店主の朝日さんは愛情を込めた一皿をつくる。孤独な心に力が満ちて、止まっていた時間が動き出す。世界一優しいお夜食で再生していく感動作。
感想・レビュー・書評
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「ごはん」という文字を見てから気になっていた作品。
表紙の絵が可愛らしくて、また帯には青春物語とあって、手に取るのを躊躇していたのですが買ってしまった。
でも、買って読んで良かったと思っています。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが。
舞台は、「お食事処あさひ」お夜食を出してくれます。
そこに各々の事情で「食べたくない」「食べちゃだめ」「食べてみたい」「食べられない」そんな思いを抱えた人がやって来ます。
辛く、心の奥で凝り固まった気持ちを店主の差し出すお夜食で優しく解いていきます。
似たような設定の作品はあるかもしれませんが、描かれている店主の人柄が良いです。私は好きですね。
また、作られるお夜食も、真似したくなるくらい簡単に作られるものが多くて勉強になります。
読み終わる頃には、簡単でも良いので、義務感ではなくて食べてくれる相手を思って楽しく料理をしたいな~と思いました。
来年の春に続巻が出るようなので楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもあたたかいお話だった。
汐見夏衛さんの作品、最近すごくすき。 -
泣いた。
ジブリの猫の恩返しのような、繁華街にひっそりと佇む一食100円の夜食食堂には、今夜も「呼ばれた」人たちが温かい優しさに包み込まれにやってくる。どれもじんわりと心に沁みるストーリーばかりで涙腺が緩んだ。予想外で嬉しい誤算だ。
── 食べ物と同じように、悲しみも咀嚼して、反芻して、消化して、吸収しないと自分の中に取り込めない。
あぁ、うまい言い方だなと思う。
たとえ逃げ続けて時間が経ったとしたも、月日は悲しみを癒やしてくれない。噛んで噛んで、少しずつ消化するんだね。たぶんそれが、成長と呼べるもののひとつなのかもしれないな、と思った。
食べることは生きることだとしたら、悲しむことまた、生きることか。嬉しいことは…デザートかな?
さよならごはんという妙なタイトルの響きが、読み終わった時にはスッと入ってくるような心地よさだった。
いま見ると表紙の絵までがジブリっぽい。ややダサくもあるが。
思わず周囲にも勧めたくなる一冊。 -
とても心温まる優しいお話でした。
所々に出てくるお料理のレシピのようなくだりも実際に匂いが漂ってきそうな描写に空腹感を掻き立てられました。
人は様々な思いを抱えて生きていることを良い意味で改めて思い知るキッカケになった作品でした。
朝日さんのような人が身近にいたなら幸せだろうな…とそんなことを染み染み考えました。
どんなことも笑って吹き飛ばしてしまうような大きな愛ある人に私もなりたいな、と純粋に思いました。 -
温かい話だった。
私は、もともと食が細い。子どもの頃は本当に食事が苦痛だった。
年頃になると過度なダイエットと勘違いされて面倒なので必死に食べた。中高生の頃はそれなりに食べれるようになったが、それは努力の上にあった。
痩せてるけどちゃんと食べる…は好感度高い。が、痩せてて食が細い…はみんな必死に食べさせようとする。食が細い悩みは、ほとんどの人に羨ましい悩み、贅沢な悩みに変換されてしまう。
食べることは生きること。
でも、食べれないことも受け入れてくれる、そんな温かい本だった。
いつも給食を半分以上残していた私にとって、今この瞬間も餓死しているアフリカの子どもたち…と学校での授業やテレビ番組は私を苦しめた。食べられない罪悪感。恵まれているのに罰当たり。完食することの美学に反するマナー違反。わがまま。
第5回公認心理師の国家試験で出た、「痩せたい」から食べないわけではない摂食障害に関する出題。専門家の中でも摂食障害は痩せたい人のもの…と思われがちだが、そこに一石を投じる良問だった。
食に対する意識が少しずつ変わってきているように感じる。それとも生きやすくなったのは大人になったからだろうか? -
私が大好きな作家さんの一人、汐見夏衛さんの作品。
料理の描写が読んでるだけなのに凄く美味しそうで私もついついお腹がすいてしまいそうになりました(笑)
「食」にも、食べたくない、食べちゃだめ、食べてみたい、食べられない、食べてほしいと色々ありその度に出てくる料理と朝日さんの言葉にホッコリしました。
暖かい作品です。良かったらみなさんも。
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商店街に佇む夜食専門店の「お夜食処あさひ」
ここに吸い込まれるのは、食にまつわる様々な悩みを抱える人々。
「食べたくない」「食べちゃだめ」「食べてみたい」「食べられない」「食べてほしい」
食べることに様々な想いを抱え、悲しみや寂しさを抱えて寒く固まった心に、お夜食処で作られた心のこもった一皿が深く染み入る。
食べることは生きることにつながるからこそ、そして自分の心も食べたい食べたくないという気持ちと結びつくからこそ、食に対して様々な悩みを抱える人が多くいる。
そんな中、自分のために考えられた温かいごはんを食べることで、止まっていた時が動き出す。そして一歩踏み出すことで、闇に染まった夜から温かみのある灯火が灯り、前を進む活力を得られる。そして自分の進みたい道へと足を踏み出していくのだ。
あたたかな未来へ進む、希望あふれる小説だった。 -
電車遅延して、本もってなくて買った本。
こんなにあたたかい気持ちになるとはおもわなかった。
「手作りで、できたてのあたたかい料理だけが人を救うわけじゃない。そのとき、その人によっていちばん必要な食べ物こそが人を救う」
この表現が、料理できなくても冷凍とかお菓子でも
いいんだって思える。
人のためにつくるごはんってどうしてこんなにあったかいんだろう‥
自分のためにつくるごはんもあったかく思えたらいいな。 -
小学生の男の子にふかし芋とおからクッキーはちょっとねぇ〜、ダイエット中の女性ならいいかもしれないけど。小学生男児が身体に良いからとそんなものばっかり出されても。子供が可愛いからこその親の愛だとは思うけどそれで歪んだ欲望ができて万引き未遂になっては本末転倒。
小春のお父さんでモラハラ夫だね。典型的な仕事第一の人だったみたいだけど「家族の枠からお父さんが外れる」なんて表現されちゃう家族観を作り出してどうなのよ。
Audibleで聞きました。最近観た映画に出てた河合優実さんがナレーターで楽しめた。