空にピース (幻冬舎文庫)

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  • 幻冬舎 (2024年1月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (424ページ) / ISBN・EAN: 9784344433519

作品紹介・あらすじ

東京郊外の公立小学校に新しく赴任したひかりは衝撃を受ける。ウサギをいじめて楽しそうなマーク、ボロボロの身なりで給食の時間だけ現れる大河、日本語が読めないグエン。これまでの経験がまるで役に立たない現場で一人一人と向き合ううち、いつしかひかりは子どもたちの真の輝きを見つけていく……。新米教師の奮闘と成長に心震える感動作。

みんなの感想まとめ

教育現場の厳しい現実を描いた物語は、理想を抱える若い女性教師がさまざまな困難に立ち向かう姿を通じて、教師という職業のハードさを浮き彫りにしています。ネグレクトや不登校、言葉の壁を抱える子どもたちに寄り...

感想・レビュー・書評

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  • 文部科学省が2022年に発表した”「教師不足」に関する実態調査”の結果によると、全国の公立小学校において、1,218人もの教員が不足していることが明らかになりました。

    誰もが通った小学校、義務教育の最初の一歩でもある小学校にはさまざまな思い出をそれぞれにお持ちだと思います。時代によって、また住む場所によってクラスメイトの数には一定の幅があると思います。しかし、担任の先生が必ずいるのは共通です。両親以外唯一接する大人でもある担任の先生。そんな先生と接する中に、こんな思いを抱くきっかけを育まれた方もいらっしゃるかもしれません。

     『私、小学校の先生になるのが夢だったんです。小学生の頃からずっとぶれずに、先生になりたいと思ってました』。

    純粋な思いそのままに、教員採用試験へと歩んでいく人たちばかりであれば、上記した教員不足は起こりません。そうです。昨今さまざまに報道される通り、『夢』だったはずの教師という職業には、子どもには見えなかった厳しい現実が待っているのです。

    さてここに、自らの『夢』を叶えて小学校の教師となった一人の女性を描く物語があります。数多降りかかる難題の一方で子どもたちとの絆を培っていく主人公を描くこの作品。”ミステリー”な要素も匂わさせるこの作品。そしてそれは、『教育現場は縦社会』という中に、それでも情熱を持って子どもたちと向き合っていく一人の教師の一年を描く物語です。

    『おはようございます。はじめまして、澤木ひかりです。…今日から一年間、みんなの担任として頑張りますので、どうぞよろしくお願いします』と、『教壇に立つ ひかりは、背筋を伸ばして六年二組の児童たちを見回』します。『男子十二名、女子十名。これから一年間、この子たちが自分の教え子になると思うと、胸の奥からじわりとした喜びが滲み出』てきます。『公立小学校の教師になって今年で五年目』という二十六歳の ひかりにとって『高学年』を受け持つのは初めてのことです。『好奇心に満ちた目でまっすぐ自分を見つめてくる子。眠そうな子。心ここにあらずで窓の外を眺めている子。外国籍の子もい』ると子どもたちの顔を見る ひかりは、『みんなのことを知りたいので、自分の好きなものを先生に教えてください』と伝えます。『どんなに無口な子どもでも、自分の好きなものに関してなら少しは話せるものなのよ』と母校で教えられたことを思う ひかりは子どもたちを『じっと眺め』ます。そんな中、『自分の名前を口にした後、グエン・ティ・ロンが黙りこんでしま』います。『先生、ロンは日本語が話せないんです』と『教壇の前に座っている女子』、高柳優美が教えてくれます。『じゃあグエンくんは名前だけでオッケーだよ。ありがとう』と伝える ひかり。『この子たちの前担任は、五年生の三学期に入ってから体調を崩し、修了式を前にして休職したと聞いた。病名は鬱。この仕事をしているとよく聞く話だが、担任がある日突然来なくなったことに児童は戸惑ったに違いない』と考える ひかりは、『え、いま水柄(みずえ)小学校って言った?それは大変だ』と、『前に勤めていた小学校の先輩教師、荒井沙織に四月からの着任先を告げた時、そんな風に言われた』ことを思い出します。『なにか問題のある学校なんですか』と荒井に訊いてもはぐらかされた ひかり。そんな時、ひかりの『目の前を、浅黒い肌をした男子が通り過ぎてい』きます。『ちょ、ちょっと。どこ行くのっ』と訊く ひかりは『この子はたしか…今田真亜紅(いまだ まあく)。自己紹介では「武器ならなんでも好き」と口にした児童だ』と思い、『今田くん、いま授業中よ』と伝えます。『段ボールで作ったピストル』を持ちながら、『ひかりの制止を無視して』『廊下に出てい』った真亜紅の『ことを職員室にいる副校長に報告するべきか躊躇』する ひかりに『「先生、真亜紅は放っておいていいですよ」と』優美は語ります。『いつもああだから。ほぼ毎日、教室から出ていくんです』と言われ『ほんとに?』と驚く ひかり。そんな時、ちょうど『終業のチャイムが鳴っ』て、『始業式の今日はこれで終わりとな』りました。『挨拶を済ませ』た ひかりは『今田くん、今田真亜紅くーん』と真亜紅を探す中、『真亜紅なら、たぶん家に帰ってますよ』と優美から言われ『荷物が教室に残ってる』ことを説明します。『真亜紅はカバンなんて持ってきてません。いっつも手ぶらだもん』、荷物なんて『持って帰らないです』と優美に言われ教室に戻った ひかりが『彼の机』を確認すると確かに『カバンは』ありません。そんな ひかりが『家庭調査票』を見るとそれは『すべて空白』でした。
    場面は変わり、職員室に戻り『書類の整理をしている』と、『どうですか。新しいクラスの感触は』と養護教諭の水野に声をかけられます。『まあそう肩に力を入れず、まだ初日なんですから』と慰労してくれる水野。そんな中、『六年一組の担任、相庭直人が席に戻ってき』ました。『本来なら同じ六年生の担任として情報をすり合わせておくべきなのに、まだ挨拶以外の会話をしていない』と思う ひかりは『相庭先生、おつかれさまです』、『ちょっといいですか』と話しかけます。『席に着くなりノートを開き、書き物を始めた』という相庭は『新しく着任した ひかりにクラスの様子を聞こうなど、これっぽっちも思っていないのだろう』と感じるも、『怯んではいられない』と、『うちのクラスの佐内大河(さうち たいが)くんなんですが、今日欠席だったんです』、『自宅に電話をかけてみようと思ったんですが…これ見てください』と『前任者が残していったクラス名簿を』見せます。『佐内大河の住所と電話番号の欄が修正液で白く塗りつぶされている』という名簿を見て、『これがなにか』と返す相庭。『なにかって、あの…住所と電話番号が消されてるんですけど』と訊く ひかりに『保護者が書きたくなかったんでしょう』と『淡々と口に』する相庭は『自分の手元に視線を戻』します。『わずか数十秒で会話が終わってしまった』と思う ひかりは『あの、相庭先生は佐内くんの自宅の住所、ご存じないですか』と『しつこく口に』します。『なんのために必要なんですか』と言われ『家庭訪問に行こうかと思いまして』と返す ひかり。『家庭訪問…。佐内大河が不登校児だってこと、前年の出席簿を見てわかりませんでしたか?それに、保護者が学校に住所と電話番号を教えていないということは、連絡を取ってほしくないという意思表示です。そんな家に家庭訪問なんかしたら、迷惑がられるだけですよ』と『平たい声』で言われ、『でも迷惑に思うのは保護者であって、佐内くん自身はそうじゃないかもしれませんし』と返す ひかりですが、『じゃあどうぞ、好きにしたらいいですよ。住所は誰か他の児童に訊いたらいいんじゃないですか』と言われてしまいます。そんな時、『澤木先生、来客です。児童の保護者のようですが』と言われ、『新学期早々に連絡もなく突然訪ねてくるなんて、なにか問題でも起こったのだろうか』と廊下に出た ひかり。『はじめまして、澤木です』と挨拶すると、『私は青井です。青井文香の母親です』と話し始めた女性は、『先生、いったいどういうことなんですかっ』と『いきなり怒鳴』りはじめます。新学期早々、さまざまな問題が着任早々の ひかりを襲う先に、六年二組の子どもたちと一年を過ごす ひかりの姿が描かれていきます。

    “東京郊外の公立小学校に新しく赴任したひかりは衝撃を受ける。ウサギをいじめて楽しそうなマーク、ボロボロの身なりで給食の時間だけ現れる大河、日本語が読めないグエン。これまでの経験がまるで役に立たない現場で一人一人と向き合ううち、いつしかひかりは子どもたちの真の輝きを見つけていく…。新米教師の奮闘と成長に心震える感動作”と内容紹介にうたわれるこの作品。幻冬舎の「小説玄冬」に2020年10月から2021年9月にかけて連載された作品を加筆修正の上、単行本、文庫本として刊行されています。

    そんな作品の作者である藤岡陽子さんは看護師でもあり、デビュー作の「いつまでも白い羽根」の他、「晴れたらいいね」、「満天のゴール」など、医療の現場を舞台にした作品が有名です。その一方で、”中学受験”をテーマに描かれた「金の角持つ子どもたち」や沖縄を舞台に”スピリチュアル”な世界を描く「この世界で君に逢いたい」のような作品も執筆されるなど、思った以上にバラエティ豊かな世界を見せてくださる方でもあります。そんな藤岡さんがこの作品で手がけられるのは公立小学校を舞台に一人の女性教師を主人公とした物語です。上記のダイジェストでご紹介した通り、主人公の澤木ひかりは四月から新しい小学校に着任したばかりという場面から物語はスタートします。まずは、舞台となる小学校について見ておきましょう。

     ● 『水柄小学校』ってどんな小学校?
      ・『全員で二十五名の教師がいる』
      ・『東京郊外の小さな地域』=『水柄地区』にある。同地区は『自動車会社の大型工場が閉鎖』され『止まらない高齢化』、『シャッターの下りた商店街』→ 『ロストタウン』と言われる
      ・『水柄地区の小学校は、都内ワースト1の学力』
      ・『児童の親の平均所得は都内の小学校では最も低い』
      ・『水柄地区で暮らす外国人の中には、自分たちの存在を公にしたがらない方々もたくさん』

    おおよそのイメージがお分かりいただけるかと思います。今や日本各地で”シャッター街”は珍しくもない状況があると思いますが、この作品で描かれる『水柄地区』もその代表格のような街であることがわかります。一方で主人公の ひかりが着任した『水柄小学校』の全体規模は記されていません。各学年に何クラスがあるのかもわかりませんが、ひかりが担任となるクラスは『男子十二名、女子十名』ということですからかなり小規模であることが類推されます。物語は、『六年二組』の担任となった ひかりの一年を描いていきます。

     『一日も早く六年二組の児童たちのことを把握して、クラスに溶け込みたいという思いがあった』。

    しかし、そんな ひかりの思いの一方で、内容紹介にもある通り、”これまでの経験がまるで役に立たない”というくらいにさまざまな問題を抱える子どもたちの姿が描かれていきます。クラスメイト全員が描かれるわけではありません。あくまで ひかりが向き合っていく子どもたちに順番に光が当たっていきます。では、そんな子どもたちに簡単に触れておきたいと思います。

     ・グエン・ティ・ロン: 『五年生の途中でベトナムから来日』。『日本語を理解していない』。『日本語が得意ではないのに、いや、苦手だからか、どんな時もひかりの顔を真剣に見つめ』耳を傾ける。

     ・今田真亜紅: 授業中に教室から勝手に出ていく。クラスメイトも『先生、真亜紅は放っておいていいですよ』と言うくらい。複雑な細工をした手作りの『ピストル』でウサギを撃つ。

     ・佐内大河: 不登校。給食を食べるために時々登校してくる。『彼が体を動かすたびに、汗をたっぷり吸い込んだ靴下のような臭いがする』。『住所と電話番号の欄が修正液で白く塗りつぶされている』

    ひかりが担当する『六年二組』は男女合わせて、22名しかいないとは言え、そこには上記した三名の子どもたちが起こす事ごと以外にもさまざまなことが起こります。

     『この地区には自分がこれまで持っていた常識をはるかに超えた厳しい現実が、たしかに存在している』。

    そんな中では、本来同じ六年の担任同士でタッグを組むべき存在でもある六年一組の相庭は、『一見とても誠実そうな印象』を見せる一方で、『その目はどこか冷たく』頼りになるような存在ではありません。それどころか、こんなひとことが ひかりの心を蝕んでもいきます。

     『澤木先生、善意の押し売りはやめてください』。『いいですか、もう一度言います。この学校では、なにも、しないことです。三年間です。三年我慢すれば異動できるんです。それまでは多くのことを見ないようにしてください。児童に媚びる必要もありません』。

    そんな言葉を放つ相庭にも何かしらの過去があることが匂わされていきます。そんな中で、ひかりと唯一心を通い合わせる養護教諭の水野がこんな問いかけをします。

     『ねえ澤木先生、保健室登校してくる子っているでしょう?その子たちの中には卒業するまで保健室に来る子もいれば、途中で教室に戻っていく子もいるの。その違いってなにかわかる?』

    問われていることはわかるものの答えがすぐに思い浮かばず思いを巡らせる ひかりに水木はこんな風に続けます。

     『答えはね、誰か一人、がいるかどうかなの』

    そんな言葉の先に子どもたちに向き合っていく ひかり。しかし、そんな ひかりの思いとは裏腹に、『やたらに書類を作る業務があ』るという忙しい日常が待っています。また、保護者のクレームに対応したり、『給食費の取り立ては担任の仕事』というように、子どもたちと向き合う本来の仕事以外にも多々雑務に追われていく姿が描かれています。この作品の巻末には飛鳥井千砂さんによる〈解説〉が収録されています。そこで、飛鳥井さんはこんなことをおっしゃいます。

     “この物語にはもう一人、重大な弱者が存在すると私は思う。他でもない、ひかり先生だ”。

    そうです。この作品では、”社会全体の問題の中に生まれ落ちた、もしくは組み込まれてしまった、圧倒的な弱者である”子どもたちに向き合う澤木ひかりの姿が描かれていきます。しかし、そんな ひかりはまだ『公立小学校の教師になって今年で五年目』に過ぎないことを飛鳥井さんは指摘されます。

     “二十六歳で、教職に就いて五年目と若い彼女は、四十代半ばの私からすると、社会経験もまだまだ少ない、か細く小さな女の子に過ぎず、子どもたちと同じく、周囲からのフォローが必要だと感じる存在だ”。

    教員の”オーバーワーク”には、昨今ようやく手を差し伸べようとする動きがあります。しかし、物語では『給食費の取り立て』のために担任が『自宅を訪問するなどして請求しなくてはいけない』といった現実をはじめ、育児放棄や家庭内暴力が当たり前となった子どもたちへの対応に果てしない時間を割いていく教師たちの姿が描かれていきます。これでは、病んでしまう教師は元より、その成り手がいなくなる現状はさもありなんと言わざるを得ません。

     『神様、どうか、この世に生まれたすべての子どもたちを、幸せにしてください』

    そんな切実な思いの中に、子どもたち一人ひとりに誠実に向き合っていく ひかりの姿が描かれていくこの作品には、この国に潜在する教師個々人の熱意だけに頼る他ない教育現場の深刻な現状と現実が描かれていました。

     『どうして罪のない子どもが苦しまなくてはいけないのか。この子たちがなにをしたというのか…。自分の訴えは、たぶんどこにも届かない。
      でも声を上げずにはいられない』。

    『公立小学校の教師になって今年で五年目』という二十六歳の澤木ひかりの担任としての一年を描くこの作品。そこには、『公立小学校』の現場のリアルを見るさまざまな問題が描かれていました。22名という少人数クラスでもこれだけのあれやこれやの問題が噴出する現状を思うこの作品。そんな問題を解決するのが、教師個々人のひたむきな思いだけだという現実が恐ろしくもなるこの作品。

    作品全体を貫く”ミステリー”な要素が、絶妙に物語を引っ張ってもいく素晴らしい作品でした。

    • さてさてさん
      ミユキさん、こんばんは!
      衝撃的な作品ですよね。ミユキさんのレビューを見せていただいて、”子どもは、親を選べない”、”子どもは先生も選べな...
      ミユキさん、こんばんは!
      衝撃的な作品ですよね。ミユキさんのレビューを見せていただいて、”子どもは、親を選べない”、”子どもは先生も選べない”と書かれていらっしゃる視点、まさしくそうだと思いました。私はどちらかと言うと教師視点から離れられなかったところがあります。同じ作品を読んでも読み方が違うのは面白いですね。
      いずれにしても学校現場が置かれている危機的な状況がよくわかりました。予算も厳しいところがあるのだと思いますが、無理が無理を呼ぶこの厳しい状況、このまま放置するわけにはいかないと思います。知ることはまずもっての第一歩、多くの方に読んでいただきたい作品だと思いました。
      2025/09/01
    • さてさてさん
      ミユキさん、
      知ることって大切ですよね。
      藤岡陽子さん、この作品もそうですし、お受験に光を当てる「金の角持つ子供たち」、介護の現場に光を...
      ミユキさん、
      知ることって大切ですよね。
      藤岡陽子さん、この作品もそうですし、お受験に光を当てる「金の角持つ子供たち」、介護の現場に光を当てる「森にあかりが灯るとき」などなど鋭く切り込まれている作品多々な方です。これからも読み進めていきたいと思います。
      ありがとうございました。
      2025/09/02
  • かなり重苦しかった。
    理想に燃える若い女性教師が、疲労でうつろな瞳になっていく姿が目に浮かぶ。唯一心を開いていた養護教諭の前でも自ら心を閉じてしまう。
    ネグレクトや昼夜逆転で不登校に陥る子、日本語をうまく話せない外国籍の子、給食費を滞納せざるを得ない子。そんな子たちに寄り添って擦り切れていく先生。
    最後はかすかな光が見え、報われたように見えるけど、きっと彼女は疲弊している。そしてそれが蓄積され、ボディーブローのようにひびいていく。
    理想に燃える一人の教師の存在が周りの教師に刺激を与え、活気づくことはあるだろう。
    でも、今の教育現場の抱える問題はチームで対応し、他の教育機関と連携しないと解決の糸口は見えない。
    「空にピース」をしながら卒業生と笑顔を見せる女性教諭。よかった。本当によかった。
    でも、もう一人の6年生担任は最後の力を振り絞って卒業生を見送り、教師を辞めていく。何年か前から教育の限界を感じて。元は若き女性教師と同じように子どもに寄り添っていた熱い教師が。
    藤岡陽子さんの描きたかったのはどちらの姿なのか。たぶんどちらもだろう。

    「あなたが、この世に見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい。」(マハトマ・ガンジー)

    • うるうるさん
      どこでお返事すればいいのかわからなかったのでここで失礼します( ˊᵕˋ ;)こちらこそフォローありがとうございます、よろしくお願いします!山...
      どこでお返事すればいいのかわからなかったのでここで失礼します( ˊᵕˋ ;)こちらこそフォローありがとうございます、よろしくお願いします!山登り楽しいですよね、お膝お大事にしてくださいm(_ _)m
      2025/02/06
    • まいけるさん
      ありがとうございます!
      レビュー楽しみにしています!
      ありがとうございます!
      レビュー楽しみにしています!
      2025/02/06
  • 貧困地域の学級崩壊、不登校、ネグレクト、不法滞在、小児性愛者等ありとあらゆるトラブルを抱えて、それに正面から取り組もうとする若い女性教師の姿を描いてます。
    構成が上手く物語の展開が面白いので大切なものを見落としがちですが、現実に主人公の様な先生がいたら、この展開では身も心も削られてしまい、定年まで勤める事は出来ないであろうと思います。あらためて「教師」が如何にハードな職業かと認識させられました。
    どなたかの感想で、(教職者かと思われます。)
    「先生の行動が美徳のようにして描かれてるのは違うと思う。これが世間の理想とする教職員の姿なのかと思うとぞっとする。」とありました。
    まさにその通りです。
    学校単位や特に教師個人の能力に依存したままの現在、限界は既にに迎えているはずで、国として真剣に学校教育を考えないと教育システムが崩壊するという警鐘が聞こえてきました。

  • 見て見ぬふりをしたり、最初から諦めたりできれば業務の負荷は減るかもしれないけれど、一方で罪悪感に苛まれてしまうかもしれない。
    報道などで教育現場の実態を伝えるものを見聞きし、何となくは分かっているものの、教員はとても大変なお仕事だろうと思います。
    少し暗いトーンで話は進みますが、子供の笑顔やクラスがまとまる様子にほっとします。
    誰か一人でも味方になってくれる人を見つけることができるといいなと思います。
    最後はイキイキした子どもの様子が目に浮かぶような締めくくりで良かったです。

  • 教育現場のリアルな実態に衝撃を受けた。

    新米教師の奮闘ぶりを描いたハートフルな物語だと思ったが、知らなかった、知ろうとしてこなかった教育現場の実態を、まざまざと思い知らされた。

    4月に水柄小学校に着任したばかりの主人公「ひかり」の受け持つ6年2組には、大きな問題を抱えた生徒が大勢いる。どんな時も生徒一人一人に寄り添い、生徒の目線で動くひかり。

    そんな彼女は同僚から時に疎まれ、上司からは厳しく叱責を受け、保護者からの理解も得られない。
    それでも強い信念を持ち、心が折れそうになりながらも、自らを叱咤し、辿り着いた先にみえた光とは・・・
    物語全体を包むミステリー要素も効果的で、どんどんのめり込んでしまった。

    弱者であるこどもの問題も勿論だが、巻末の解説にもあったように、若干26歳、教師5年目のひかり自身も弱者だと言わざるを得ない。

    彼女の直向きな働きぶりがあまりにも眩しい・・・
    だからこそ、このままの姿勢で教職が長く続けられるのかと、色々思いを膨らませ、心配な気持ちになってしまった。
    唯一の救いは、ひかりの味方でいてくれる養護教諭、水野先生の存在だ。たった一人、この存在がいるかいないかは、天地ほどの差があると思う。

    教師の高い離職率、休職者の多さ、教師不足の実態。
    プライベートと仕事の区別なく働いている私の知人もいるが、その現場の過酷さをどこまで知っていただろうか。

    まずは知ること。そして自分の考えをもつこと。
    必要なときは力を尽くそうと気付かせてもらえる素晴らしい作品だった。

    ラストの希望のある温かな締め方に、藤岡陽子さんのお人柄を感じた。

  • ペンは剣より強い。
    私が読後、真っ先に思い浮かんだのがこのフレーズ。
    著者の知り合いの教員から聞いた話を元に、構成されたストーリーなのだと言う。誰かが書かないと、という著者の正義感なんだろうなぁ。私はそういうの嫌いじゃない。

    虐待されていたり、ネグレクトだったり、移民だったりで、小学校に通えないとか、どうにか通っても馴染めない子どもたちと、それをなんとか救おうとする若い教師。
    フィクションではあるけど、こういう家庭は確実にあるし、社会的に守られていない弱者がいるのだと知ることはとても重要だと思った。
    作中に出てくる児童の中で、印象に残っているのは文香だ。私の子どもの頃と重なる。

    子どもを育てていると、本を読んでいると、心の中にしまっていたどす黒い箱が開く時がある。
    その箱があること自体、忘れていたのに。

    私が藤岡作品を読むのは3作目。
    この本は、『きのうのオレンジ』を読み終えたタイミングで知って、娘が小学生になる前に読みたいと思っていた。
    何より、主人公の名前に吸い寄せられた。

    娘が保育園の担任に注意されることが多く、私自身がダメ出しばかりされているように思っている。
    先日ついに「こういう、生きていく上で大事なことって、やっぱりご家庭でちゃんとお子さんとお話して欲しいんですよ」と言われてしまった。

    保育園の先生は子どものプロだから。
    私などが、解決策を導けるはずもない。
    何でも教えてやってください。よろしくお願いします。
    そんな風に、子どもたちを保育園に預けてきた。
    ここまで、赤ちゃんのときからずっと。

    先生たちに教えてもらったことは、本当にたくさんある。
    というか、娘たちは、大事なことや必要なことを全部保育園で教えてもらった。
    私は、つくづくダメな母だと思う。

    作中で、大河の母のセリフに泣いた。
    私は彼女とは真逆に高齢出産なのだけど、それはそれで「アナタ、何年生きてきたんですか?」「これだけ生きてるんだから当然できますよね?」という圧をいたるところで感じる。
    何歳で産んでも初めてのことはわからんし、向いてないものは向いてない。
    まぁでも…開き直ってばかりはいられない…。
    これを読み終わって、自分の子どもたちへの関わり方を考えざるを得ないな…と思っている。

    夫は、保育園の先生からの指摘を「先生自身の支配欲を満たしたいだけ」「担任との相性が悪いだけ」と全く聞かない。先生との相性が悪い…それは…アンタや。
    先方もそれを感じているから、先生から子どものトラブルを聞かされるのは、いつでも私の役目だ。

    「よく見てくださって、ありがとうございます」
    「様子をお知らせいただき、ありがとうございます」
    私の、先生へのセリフ集である。
    これを、泣かずに、喧嘩せずに、言えるようになったのは年を重ねた成果かもしれない。

    藤岡作品は、温かい。
    「誰か一人、がいるかどうか」
    水野先生のこのセリフも、私は泣いた。

    お友達とのコミュニケーションでトラブルを起こす娘に、私は言ってしまう。
    おうち帰ったら、たくさん好きな絵本読もうか、と。
    甘やかしているだけなのかもしれないけど。

    その一人を見つけられるか。出会えるか。
    今は出会えなくても、いつか出会えるよ。
    今、ひとりぼっちなら、たくさん本が読めるよ。
    ひとりぼっちでも、たくさん本は読めるよ。
    私の中のちいさい人に、そう声をかけた。

    藤岡さんは、すっかり私のお気に入りの作家さんの一人だ。たくさん読めば、いろんなことと繋がれる。
    だから読書はやめられない。

  • 新しく赴任した小学校で6年2組の担任となった新米教師のひかり。そこで目の当たりにしたのは生徒たちの過酷な現状。これまでの経験がまるで役に立たない中、一人一人と向き合っていく。

    子供たちが希望を持てない現実が重く苦しい。ひかりが壊れてしまわないか心配になりながらも、目を背けずに読む。
    もっと多くの味方はいないのかと思うも、大人もまた心が折れてしまう過酷な現実。それでもたった一人の行動が生徒の心の灯となり、光へと繋がったラストは涙が溢れた。

    希望を持てる社会を諦めてはいけない。
    負けない人になろうと強く思う、大切にしたい物語。多くの人に触れてほしい。

    • まいけるさん
      みんとあめさん、こんにちは。まいけるです。
      この先生が子ども達の心を照らしてくれたんですよね!
      諦めない気持ち。いくつになっても持ち続けたい...
      みんとあめさん、こんにちは。まいけるです。
      この先生が子ども達の心を照らしてくれたんですよね!
      諦めない気持ち。いくつになっても持ち続けたいです。この先生が壊れなくてよかった。
      すてきなレビュー、ありがとうございます。
      みんとあめさんのレビュー拝読して、私も一気読みしました。
      2025/02/06
    • みんとあめさん
      まいけるさんのレビューを拝読して、そのとおりだな痛感します。
      マハトマ・ガンジーの言葉は私も心に刺さりました。
      読友さんにおすすめされて読ん...
      まいけるさんのレビューを拝読して、そのとおりだな痛感します。
      マハトマ・ガンジーの言葉は私も心に刺さりました。
      読友さんにおすすめされて読んだのですが、今年の初めに読めて良かったです。
      2025/02/06
  • 教師×小学生の設定は没入しにくく、昨今社会的に問題になっているような話がテーマのため読み進めにくい作品。でも終わりが素晴らしいので、挫折しそうな方はぜひ最後まで読んでほしい。
    初めての藤岡陽子さん、とても丁寧かつ実直な文章を書かれるような印象。

  • 藤岡作品。
    医療介護以外ても、強いメッセージ性のある作品で。
    私の回りはほとんどが教師である。
    私は首を突っ込む、また、依怙贔屓性があるので、教師は目指さなかった。だから、周りの話を聞いて、目指さなくてよかったと思う(なれなかっだろうけど(笑))
    そんな周りの話を聞いて、この本を読むと
    親との確執、同僚との指針の違い、ネグレクトの子供、不登校どれもあるあると。
    周りの教師達にこの本を薦めてみようか。ちょっと感想聞きたいけど、怖い気もする。
    だってこの主人公は強し。
    強すぎる。
    こんなに精神力があるのは凄い。
    最後はやっぱりよかった~でした
    ピース✌

  • いわゆる《親ガチャ》で、どちらかと言えば残念なほうに当たってしまった子どもの担任になった若い小学校教師が主人公。

    今思うと、自分が小学生の時のクラスメイトだったあの子、もしかしてそうだったのかな(都内23区在住)というケースも

    時代が令和になると、そういう環境の家庭も聞かなくなったな、いたとしても珍しいのでは、と思っていたが…。

    《環境から生じる格差》
    子どもにはなんの責任もない。

    真冬の屋外、もこもこのダウンジャケットの子とお下がり何代目なの?の古いコートの子じゃ寒さの体感は違う。


    でも、子どもはみんな親が大好きだ。
    クソみたいな毒親でも子どもは親を庇うし親から好かれたい。

    子どもたちがかわいらしくていい子だからこそ、本人が、望む道を貧困を理由に諦めることがない社会になればいいと思う。

    大人目線や常識、自分の経験で決めつけるのではなく、一人一人とそれぞれ丁寧に話を聞こうとする、不器用でちょっとトロくてたまにイラつく先生にも好感が持てた。

    にしても切ない。

  • 面白かった。
    サスペンス要素がうまく融合しながらもひたむきな主人公と子供たちの葛藤と成長が良く描かれていた。
    確かに考えると学校って、いくらでも事件やトラブルが起こり得る環境だよなぁ。
    教育現場の過酷な実情を垣間見れた気がする。

  • 悲惨な家庭環境に苦しんでいる子どもが、次から次へと出て来て辛かった。こういう現状が実際にあるかとは思うけど、とにかく読むのがしんどかった。

  • 最初の方はとても辛く、読むのをやめようかとも。
    澤木ひかり・・と同じ仕事をしていたのは、私の周りに複数います。
    なので読むのが辛いと思えるところが‥‥

    そしてきっとこの後、その仕事に就くかもしれない大学生がいるかも。
    穏やかな終わり方なので、よかったです。

  • 今年最後、素晴らしい終わり方でした。
    生徒に全力でぶつかって行く小学校教師の主人公にエールを送りながら読みました。

  • 文句なく⭐︎5つ!
    素晴らしい小説だった。
    帯を見て新米教室が子供達に降りかかる困難に奮闘するお話…と思い手にしたが、そんな軽いものではなかった。
    今や小学生の抱える問題はお友達と喧嘩しちゃった…勉強が難しい…ありきたりなものではなく不登校、ネグレクト、貧困、不法滞在、小児性愛者…そのどれもが紛れもなく社会問題である。
    社会問題があどけない小学生の学校生活にまで入り込んでいる事が恐ろしい。
    そしてそれらの問題から目を背ける事が当たり前のようになってしまう教師のあり方、そうせざるを得ない教師を取り巻く環境、教師ばかりではなく親の在り方、家庭環境、地域社会の子供への関わり方…波紋はどんどん広がるばかりだ。
    「金の角持つ子供たち」の塾講師、加地先生も素晴らしい先生だったけれど本書の澤木先生もまた心から子供を想い、正面から向き合う先生…こんな先生が1人でも多く…と思わされる先生の象徴だ。
    (クラス全体を見た時賛否両論ありそうな先生だけど…笑。問題児とされる生徒に心を奪われすぎると手の掛からない生徒や保護者の心は歪む問題も多々^^; 理解してくれる生徒や保護者ばかりではない)
    小説として充実した読書時間を持てた事は確か!ただそれだけではない…小説の中の話だから…と終わらせられない大きな問題定義を掲げてくれた!
    そう、こういう現実がある事をもっともっと知らなければならない。
    知るところから始まると思わされた!

    藤岡さんの小説、やっぱり好き。
    他の小説もたくさん読んでいきたい!

  • 重い、重い題材。だからこそ読み進めるのに気が引けることもあった。
    でも、とても切なくも素敵なお話。
    先生という職業は尊い。
    今私がここにいるのも、この感想を読んでいるあなたも、先生の存在なくしては実現しなかったはず。
    先生次第で、人は良くも悪くもその後の人生に大きく影響を与える。そういう職業なのである。
    その重責に苦労しつつもやり甲斐を覚え、児童一人一人の現実に真摯に向き合い、遂に心を許し合う。そんな先生の、紆余曲折と醍醐味を具現化したような内容に大変感動しました。



  • ネグレクトや虐待、貧困や不法在留など様々な問題に直面する小学校六年生の子供たちを救おうと、その担任の先生が孤軍奮闘する。

    こういう系の本は苦手かも?と心配していたが、担任教師であるひかりの考えや行動は決して押し付けがましくなく、純粋に子供たちを心配する愛情ゆえなので、自然にひかりを応援する気持ちになれた。

    絶望とも言える程の苦難の中、少しずつ光が見えてくるラストは圧巻で心が暖かくなり、目には涙が溢れた。

    新年の1冊目、よい本を読めて幸せ。

  • 小学校教諭になって6年目の澤木ひかりの奮闘を描くお話。

    現代の子どものバックグラウンドには、貧困、虐待、など、多種多様な問題が隠れていることも少なくない。澤木先生は、そういった生徒たちの問題に真正面から対峙し、「なんとかしたい!」という熱い想いを持って直感で行動していく。そして子どもたちやその問題と向き合っていく。その姿勢には本当に感銘を受けた。

    でも、こうした複雑に絡み合う問題を解決していくには、先生たった1人の情熱だけではなく、他機関連携のもと、チームで解決していかないと、先生が潰れてしまう。子どもたちの未来はもちろんのこと、その子どもたちを支える、そこに関わる方々の未来も、明るいものでありますように。

  • 藤岡陽子さん、2冊目の作品です。
    晴れたらいいね を最初に読みとても感動しましたが、この作品も間違いないです。
    感動。涙。先生という職業の難しさも大変さも感じました。主人公は本当に素晴らしい先生です。
    ラストも良かったですね。
    藤岡陽子さんの作品、ほかにも読んでみようと思います。

  • 26歳のひかりが赴任した小学校。
    6年2組は問題だらけ。

    不登校 ネグレクト 不法滞在 虐待 モンペ

    ひとつひとつに真摯に向き合うひかりに
    子供たちは次第に心を開いてゆく

    これはねぇ、きれいごとじゃないよね
    こんなの先生が壊れちゃうよ。。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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