寂しい生活 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2024年7月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784344433960

作品紹介・あらすじ

原発事故を機に「節電」を始め、遂には冷蔵庫も手放した。広い家を出て、会社も辞めた。生活を小さくしていく中で考えた。多くの家電に囲まれ、毎日美味しいものを食べ、買い物に興じる「便利で豊かな暮らし」は、本当に便利で豊かなんだろうか? アフロえみ子が、ちっぽけな自分に出会い、生きるのに必要なことを取り戻す、冒険の物語。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

生活の便利さと豊かさについて深く考えさせられる作品で、著者が原発事故を契機に冷蔵庫を手放し、シンプルな生活を選ぶ姿が描かれています。多くの家電に囲まれた生活が本当に豊かかどうか、所有することの恐怖や、...

感想・レビュー・書評

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  • 作者はアフロヘアの自由人で、元新聞記者の稲垣えみ子さん。高学歴・高収入の過去が、その後の何ものにも依存しない生活とのギャップをより際立たせる。ちなみに、レシピはもういらない本で話題になっていた方だと後で知った。

    原発事故を機にモノへの執着を捨て去り、冷蔵庫など必需品を次々に手放していく作者。等身大の自分、研ぎ澄まされていく感性に気づく過程が、面白おかしく、ときに真剣に描かれる。寂しい生活と題したのが不思議なくらいである。

    作者の心境は端的には次のとおりであり、一見、寂しさは微塵も感じない。
    「あれほど『なきゃ生きていけない』と思っていたものが、驚いたことに『なきゃないでなんとかなった』。それどころか『意外に楽しい』、いや『実に面白い』、いやいや『ないほうがまったくもって清々しい』のだ」

    その境地に達してみたいとは思う。が、家族の賛同は得られそうにない。極端な行動は色々な意味で、リスクがある。昨今の猛暑続きであるが、自分の部屋くらいはエアコンを止めて扇風機で過ごし、地球温暖化に体を慣らすのが精々である。

    ちなみに、玄侑宗久和尚によるあとがきは、作者の悟りの境地を僧侶がどう見たかという点で興味深かった。個人的には、お寺にも冷蔵庫はあるという、言われてみればそうだろうなという事実の提示も、良い仕事をしているなと感じた。

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    含蓄のあると感じた文章を記録しておく。知識なのか、自身の実感から出たものか定かではないが、腑に落ちるものばかりであった。
    ◯ 何かを手に入れることは、実は何かを失うことであったのかもしれない
    ◯ 厳しい寒さが少しずつ緩んできた時の、まったくもってあの心の底から湧き上がるような喜びというかなんというか!…私は本当に心からホッとしたのである
    ◯ 「暑いなあ」とは思う。しかしジャッジはしない。暑い。以上。それが何か?
    ◯ なるほど冷蔵庫とは、時間を調整する装置だったのだ
    ◯ ところが冷蔵庫をやめてしまったら、…その現実を生きるのに必要なものは驚くほど少なかったのだ
    ◯むしろ「美味しすぎない」からこそ毎日食べてもまったく飽きない
    ◯ あれこれの夢をため込んではほったらかしにして、次々と腐らせてきたんじゃないだろうか?
    ◯ 便利は人を退化させ、不便は人を進化させるのであります
    ◯ 私は、人生の「いつか」、つまりは人生の可能性を捨てているのだ
    ◯ 必要十分を十二分に満たした要塞化した家々の中で、我々は人とのつながりや、助け合う力や、共感する力をとうの昔に失ってしまったのではないか?
    ◯ 本当の自由とは、その思い込みを脱すること、すなわち「なくてもやっていける」自分を発見すること。もう何も追いかけなくていいんだと知ること
    ◯ …他人より上に立つために、自分自身の時間も差別してきたんです。無駄な時間を疎ましく思い、排除しようとしてきた。だから頑張れば頑張るほど、自分の人生の一部を憎むことになった
    ◯いろんな局面で、人はいつだって「役に立たない」存在に転落していく
    ◯ その恐怖から脱する道は、…この世の中に「役に立たないもの」なんて一つもないんだ!と、思い込むことです
    ◯ すべての瞬間を、そして人間を、バカにせず、差別せず、正面から向き合って、生きることなんじゃないか
    ◯生きるってね、面倒くさい。…でも、面倒くさいからこそね、素晴らしいんだ

  • えみ子師匠(勝手に呼ばせてもらっている)の「魂の退社」を読んでハマり、続いてこの「寂しい生活」もハマった!
    もちろん、今すぐ冷蔵庫を手放すのはめちゃくちゃ難しいんだけど笑

    「自分が変われば世界が変わる」
    そうなんだよね、難しいけどね。
    そして、何かをなくすと、もう何にも無くなっちゃいそうな恐怖が付きまとうんだけど、そうじゃない、また違う世界が立ち上がってくるんだって。

    色んなの持っていると、無くしたり、奪われたりするのが怖くなるもんね。
    足るを知る、っていうか、なんか所有し過ぎないって、これからの自分に大切かもしらん。

    いい本に出会えました、えみ子師匠好きだわぁ。

  • 同じ著者の「魂の退社」と一緒にBOOKOFFオンラインにて購入、読了。

    「魂の退社」でずきゅーんとハートを射抜かれたので続けて読む。
    冷蔵庫のない、そしてガス契約も止めて暮らす稲垣えみ子から目が離せない。
    玄侑宗久さんの解説にあるとおり、これは「冒険譚」だし、私には社会実験に見えた。

    そういえばYouTubeにも小さい生活を実践している人の動画などあり、ネットの記事にもそういう方の記事が出ることもある。そして私はちょっと憧れながら見ている。
    たぶん私も興味があるのだ、小さい生活に。

    バブル時代も謳歌したであろう稲垣さんが辿り着いた境地がここなんだなぁ、と思ったのでした。

  • 便利で豊かな暮らしって何だろうと考えさせられました。
    最新の家電で時短料理をして、AI搭載の掃除機やエアコンで部屋を整える…確かに自分の手を煩わせることはないのですが一度この便利を覚えるともっともっと便利を追求してしまうのではないでしょうか。
    豊かさのために便利を生み出していたはずが、いつの間にか次々に不便を生み出して「それいるのかなー」って商品が発売されていますよね。

    原発事故で電気について考えを改めて生活をした人は多かったと思います。が、今は事故の前以上になってしまっています。
    稲垣さんは事故当時の自分を省みて便利に頼らない生活を始めますが、冷蔵庫まで捨ててしまったのはびっくりです。
    お考えは尊敬しますがそこまでは出来ないかも…でもちゃんと自分で考えて生活を見直すことは出来るかもです。
    自分で考えて工夫して生活するほうが、ボタンひとつで終わらしてしまうことより豊かで生きてるなーと実感できるのではないかとこの本を読んで思いました。

  • 稲垣えみ子が語る(前編)「他人を幸せにすることが幸せに近づく第一歩」 | スマイルすまい | カーディフ生命(2017年11月14日)
    https://danshin-smile.cardif.co.jp/me-and-my-happiness-9/

    大切な本『寂しい生活』との出会いと気づき。自分の暮らしを見つめ直すきっかけは、冷蔵庫にあった!|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅する(2018.3.2)
    https://colocal.jp/topics/lifestyle/relocate/20180302_111388.html

    寂しい生活 | 東洋経済STORE
    https://str.toyokeizai.net/books/9784492046128/

    『寂しい生活』稲垣えみ子 | 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344433960/

  • 3.11の原発事故を機に節電を始めた著者の物語。冷蔵庫を含む家電を殆ど手放し、江戸時代のような暮らしをする様は、一人暮らしだとしても簡単には真似できない、というか覚悟と意思がかなり必要とされる生活だと感じる。でもその生活を心から楽しんでいて、且つ環境と財布にとても優しいとなると、真似できるところから少しずつ真似してみたい。手始めに眠っていた湯たんぽを収納の奥から引っ張り出してきた。暖房なしでも意外といけるかもしれない。

  • よくある断捨離本、節約本?それとも悟りを開いた人の宗教っぽい本?なんて思っていたら全然違ったぞ。「なんで物欲って抑えられないんだろう?」ひとつ手に入っても次から次へと欲しいものがでてくる。
    もちろん全て手に入れることは出来ない。無いことにより未来が「不安」に感じる。 まさに"欲望に支配されていた私"
    この本を読んで良かった!選んで良かった!
    もちろん真似して実践するなんてとても無理(今も冷房の効いた部屋で冷たい飲み物を飲みながら読んでいた)だけど気持ちの持ち方は変えられるかもしれない…
    なんでもかんでもお金やもので解決しようとしない。
    自分の錆びついた頭で考えて「工夫」してやってみる。
    「なきゃ生きていけない」と思っているものを「本当に?」「なきゃないで何とかなる」って考えてみる。
    「面倒くさい」をマイナスに定義つけないで「生きるって面倒くさい」→面倒くさいからこそ素晴らしいんだ!

  • 「便利」があって当たり前になっていた事に気付かされ、
    物を持たないことで世の中のおかしな刷り込みに気付くこともできる事もわかりました。

    「節電とは電気を否定することではなく、電気を大切にすることだ(抜粋)」
    これと同じように節約もお金を否定するのではなく、お金を大事にすることということかな

    引っ越しを機にゼロからスタートしたいと思いました。

  • 我が家もモノが溢れてる。これって煩悩なのか。
    断捨離って、そういうことなんだな。

    最近、稲垣えみ子さんとか気象予報士の小林さん(ミニマリスト)に興味があるのは、薄々(モノが多すぎるなぁ……)と気づいてるからだし、キレイな家はモノが少ないなぁと感じているし、マシンガンズの滝沢さんが、『金持ちほどゴミが少ない』って言ってたのも、あーだろうなぁ。って、
    思うのも、このままではヤバいと心の何処かで思ってるからなんだろうな。

    少しずつでもやればいいんだけどね……。
    まだ煩悩の塊なんだろうな。自分。

    母親の1日中捜し物の行や、隙あらば寝てしまうっていうのも、何か身につまされたな。
    モノに溢れてるのは危険でもあるからなあ。
    でも、先ずは自分が片付けやらないとなぁ。
    モノを買うときはこれはどこに置くのか、番地を決めてから買うようにしないと。

    「いつか」を捨てるって、難しいなぁ。

  • いやぁ、凄い覚悟で暮らしている作者の生活に驚愕。でも悲壮感は全くない。
    ほとんど全ての家電を手離し、電気代150円で暮らすって凄すぎ。
    冷蔵庫がないから、その日使う分だけ買い、余ったらベランダで干し野菜にする。
    お酒を温めたお湯を白湯として飲む。
    徹底してます。
    自分ではなかなかできないけど、日々の掃除を掃除機を使わずにほうきや雑巾で代用するのはやってみたい。

    自分に合った節約術を探ってみようと思えたよいきっかけを頂きました。

  • 著者の体験が綴られた一冊。捨て方やミニマリスト的生活に関する本かなぁと思いながら読み始めましたが、全然違いました。
    東日本大震災での原発事故をきっかけに「節電」を試みる著者。ただ節電するだけで終わらず、欲望や生き方について考え直す過程が記されています。
    稲垣さんの域に達することはできないけど、自分の様々な「持ち物」が多いことに疑問を感じていたので、私も少しずつ削ぎ落として手放していきたいと考えました。

  • タイトルからどんな本なのだろう…?とドキドキして、ああ、節約の本なのね…と思ったら最後は自分の生き方、根本的なことを考え直したくなる1冊。
    昔、所ジョージさんが「めんどくさいことがやれるって幸せなこと」みたいなことをおっしゃっていたことを思い出した。
    自分に本当に必要なことは何なのか?を時間をかけて整理したくなる。あと、実家の様子もうちと似ていてちょっと落ち込んだけど、自分と親は『何を大切だと思っているか』の価値観は違うし、その価値観が本当に自分の心の底からきているのか、他人や世間の『正解っぽいこと』から来ているのかを、自分自身が判別つけるためにはそれなりの時間がかかるから、ゆっくり向き合っていこうと思えた。

  • 一人暮らしが不安であると友人に相談したらおすすめされた1冊です。

    心強い。一人暮らし準備って何を買わないとダメ?あれも必要?など考えてたけど、いらなさそうね笑

    等身大の生活で十分ではないか!


  • 生きることとは、主体的に選択をするということなのかもしれない。
    朝目覚めてから夜眠るまで、なんとなく社会のベルトコンベアにのっかって、日々時間を"消費"して。薄々どこかで違和感を感じてはいながらも、見て見ぬ振りをしている。
    AIとか、自動なんたらとか、正直もういらないのに。どこの誰の幸福のために作ってるんだろう。
    不快の解消のもたらす幸福はほんの一瞬のこと。
    慣れてしまえば何にも感じなくなる。
    筆者のように、今まで自分を作ってきた世界を疑い揺さぶることはかなりすごい覚悟がいることだと思う。すごい。尊敬というか、畏敬。
    私も、やってみたいけどこわい。自分の内側の空っぽに向き合うのがこわい。

  • 自分がいかに便利な世の中に依存していたのかが思い知らせる本。手放すことってすごく怖いことだけど、思い切ってやってみることで新たな可能性が広がるかもしれない。何も奪われるものがないことってなんて無敵なことなんだろう。常に奪われる、無くなることに恐怖を感じ、便利さをお金で買って安心していましたが、それこそがまさに自分を窮地に追い詰めていたのだと気付かされました。

  • ◎信州大学附属図書館の所蔵はこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD07803858

  • 「家事か地獄か」に続く2冊目の稲垣さんの本。私たちは生きている、生きている限り死ぬまで続く家事。私は育児と親の介護と同時にある日々を今生きるが、子どもにも、老人にも、私自身にも、そして家事を嫌がる我が夫にも全ての人に知って欲しいことが、この本に書かれている。家事は素晴らしいと思えるようになれば人生は驚くほど面白くなると私も思う。しかしそれは簡単にできることでも、毎日続けていけることでもない。疲れた時には電気にお世話になればいい。
    原発も、メガソーラーも、電気にまつわる問題は山積みな中、立ち戻ってやっぱり電気との付き合い方は皆それぞれ見直す必要があると思う。どこまで自分でやって、どこから電気に頼るのか。
    冷蔵庫はまだ手放せないけど、闇雲に詰め込むことはやめることができる。
    節電生活の末、引っ越したマンションがまさかのオール電化物件だったのは、なんてうっかりな人なんだ!と驚いた。しかし、そのおかげで稲垣さん目線のオール電化住宅を知ることができて大変勉強になりました。

  • 今の時代に電気を使わない生活とは⁈と驚きながらも案外普通に、むしろ生活がしやすくなったという所には納得できると思った。電化製品には便利過ぎて逆に不便な時がある。電気を使わない生活は真似できないが無駄のない最小限のエネルギーを使う小さい暮らしは心掛けたいと思った。

  • 物を捨てて町へ出よう
     文章、おもしろい。
     断捨離、でもないが、原発をきっかけに節電して、価値感がまるきり変ってしまった、その模様である。

     たとへば、掃除機をつかはないことだけでも、こんなにちがった。
     掃除機のつかひかた。スイッチオン、するだけではない。まづ、掃除機を物置からひっぱりだす。コードを伸ばす。掃除機を連れまはす。終ったら、コードを外す。収納する。
     工程がわりと多い。ちょっとめんどうで、イライラしてたいへんである。
     で、著者は掃除はじぶんはキラひだとかんちがひした。
     ところが、じつはさうではなくて、友達から掃除機を捨てたと聞いておどろき、自分もちりとりと、はうき、ぞうきんで試してみたら、掃除はたのしいものになってしまった。面倒くさくなくなってしまった。
     
     なんだかあたりまへかもしれないが、そんな日常ひとコマが語られて、べらぼうに説得される。うん、だってひとり暮しで一軒屋でもないのに、掃除機、つかふ必要がない。でも、こころのすみでは、なんとなく掃除機が必需品のやうにおもってゐたのである。

     そんな、ちひさな価値感の転換が積み重なって、だんだん中年の意識すら変へてしまった話だ。

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著者プロフィール

1965年生まれ。元朝日新聞記者。原発事故後に始めた「超節電生活」や、50歳で会社を早期退職したことを機に、都内の築50年のワンルームマンションで、「夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なし」の楽しく閉じていく人生を模索中。著書に『魂の退社』『老後とピアノ』『家事か地獄か』など。

「2024年 『シン・ファイヤー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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