野良犬にさえなれねぇ (バーズコミックス ルチルコレクション)
- 幻冬舎コミックス (2014年5月24日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (166ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344831261
感想・レビュー・書評
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久し振りに読んだBLである。シスコさんの作品は、実は同人誌時代に及ぶ…自分が会費を払って会員になっていたオリJUNE同人サークルの、メイン描き手のお一人だった。会費を払って原稿を提出しても、冊子に乗るかどうかのレベルが高く、審査が入り、つまり編集者がいて、会員の殆どは回避を払って会誌を購読する購読会員みたいな、それくらいレベルの高いサークルだった。私は小説書きをしていたが、ある時期を迎えるまで、一作品たりとも掲載された事がなかった。ある時期とは、小説JUNEで中島梓が主宰していた「小説道場」と言うコーナーで、投稿作の中から「良いでしょう」と言う部分を取り上げるほんの小さなコーナーに、私が公募した作品が載ったのだ。小説道場に取り上げられた作品、と言う事で(門下生にもなれなかったが)初めて会誌に作品を掲載させて貰った。そうか、そう言う事か、JUNEでほんの少しでも取り上げられれば会誌に載せるのか、と、斜に構えた気持ちになり、会を奪回し、オリJUNEジャンルの小説を書くのを辞めてしまった。なので、この作家さんには個人的に非常に複雑な感情が付いて回るので、冷静に読むのが難しいのだが、1話(前・後編)の「ハートに風穴」の義理の兄、兄の悪ダチ二人、そして高校生の自分、と言う関係性が非常に面白く、楽しんで読んでいた。BLには違いないんだけど、ノンケを(あんまホモばっかだと現実離れしすぎてるもんなぁ)的に入れるんじゃなく、ノンケの方が圧倒的に多いんだから、それも含めて人間関係として描かれてたなぁ。自分では決して救えないもどかしさが詰まっていた。
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装丁:ワタナベジュンコ
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心にズシンと響くものがありました。
若気の至りでやんちゃな青春時代を過ごした過去。いつも何となくつるんでいた仲間。そして、いつかは別々の道に分かれやがてそれぞれ違う人生を歩んで行き。
でも、どんなに変わろうといつまでも断ち切ることのできない絆が心の中にあり続ける、そんな関係。ノスタルジックな気持ちにさせられます。
「ハートに風穴」はそんな関係にあった保、洋平、蓮の三人の現在を、保の義弟である央登の視点から描いています。
重くてちょっと痛い話には違いないけど、あえてドライでからっと笑い飛ばす雰囲気がますます漢気をあげていて、カッコよさすら感じさせるところがいいですね~
央登が洋平や蓮に憧れる気持ちがよくわかるし、兄や洋平に大事にされているのも凄く伝わってきます。洋平といい、保といい、央登への心配とラブがハンパなくてニヤつきました。
そして表題作は、蓮がどうしてそんなサイテーな人間になっちゃったのかというストーリーで、高校時代の3人の過去が描かれています。
切ないです。うるっとしてしまいました。
やんちゃしていた仲良し3人だったけど、家庭環境はそれぞれ微妙に違っていて、抱えている闇がある奴ない奴の落差もどんどん見えてきて、いつまでも一緒にいられないこともわかってくる高校卒業間近の空気感。
すごくよく出ています。さすがです。
そんな中、蓮を想う洋平は何とかしてどんどん堕ちていく彼を守りたいと思うけれど非力で、逆に蓮から拒絶という形で守られてしまいます。
洋平のそれからの人生に、蓮はものすごく影響を与えているんですよね…二人の関係に萌えまくりました!
そして、これからは洋平と央登が自然なカタチで幸せになればいいと思える結末でした。
あ、でも保がもっと心配性になるんだろうな~
門限秒読み兄ちゃんに涙が出ました。