ラプンツェル王子の通い妻 (幻冬舎ルチル文庫)

著者 :
  • 幻冬舎コミックス
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本棚登録 : 107
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344844605

感想・レビュー・書評

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  • いただき本。BLで受けを妻とか嫁とか評することには抵抗があるので一瞬身構えたが、最終的に受けが単なる妻ではなく、一人の男性として攻めに立ち向かい、これまた不器用で相手の気持ちを推し量ることが上手くない、でも才能に溢れ多くの人を魅了する絵描きである攻めと対等の関係を築き上げ、お互いがお互いの人生を尊重し合あいながら人生を共にしていくというWin-Winな話で好感が持てた。受けの意志が思った以上に固かった。でもな、どうなんだろう、攻めがあそこまでして変わる必要があったのかなとちょっぴり哀れな気もしてしまった。

  • ▼あらすじ
    売れっ子画家で彼氏の克己は生活力ゼロ。通い妻みたいに昭良がご飯を作り身の回りの世話をするけど、これって×恋人○オカンかも!?

    ***

    ストーリーの完全度:非常に高い
    トーン:あまあま・せつない・シリアス(高)
    エロ度:少ない
    萌え度:非常に高い
    総合評価:★4.5

    小中先生の作品は今までハズレ無しなので期待を込めてこちらの作品を購入しました。今回も期待を裏切らず凄く面白くて、ページを捲る手が止まらなかったです。
    ただ、私の想像とは大分異なる印象の作品でした。表紙を見て勝手にあまあま・ほのぼの系の作品だと思っていたのですが、まさかこんなにもしんどい話だとは思いませんでした…(笑)
    小中先生の作品は「夜啼鶯は愛を紡ぐ」を読んだ時もしんどくてヒーヒー言いながら読んだ記憶があるけど、今回はそれ以上にしんどかったかも…。こんなに可愛い雰囲気の表紙なのに…。

    今回は生活能力0の天才画家(克己)×世話焼き系リーマン(昭良)のお話なんですが、前半は克己があまりにも考えなしでちょいちょいイラッとさせられます(笑)
    画家として成功している上に、元々家が資産家で事故で亡くなった親の遺産なんかもあるからお金には全く困ってないんですよね。一見、スマートだし紳士的なんだけど、絵の事以外はまるで駄目。ボンボン育ちだから生活能力0だし、恋人の誕生日やデートの約束なんかも平気で忘れたりすっぽかしたりする最低なヤツです(笑)
    ただ、悪気はないんですよね。良くも悪くも絵一筋ってだけで浮気はしないし、結果空回りしちゃうけど克己なりに思いやりを見せるシーンもあって、昭良の事はちゃんと好きだったと思うんです。(…まぁ、それでも言葉足らずだし気は利かないし昭良の好意に甘え過ぎだとは思いましたが。)

    前半までは昭良を応援していたので、克己をフッた時は正直、スカッとしましたよ(笑)
    その前に克己の配慮に欠ける行動や言動が多々あって「流石にそれはないわ〜」って思ってたので、お灸を据えるという意味でいいぞもっとやれって思ったのも事実です。
    ただ、そこからの展開がもう辛くて辛くて…。
    ヨリを戻そうと必死になる克己に対して、昭良は割と冷静なんですよ。全然ほだされてくれなくて、ちょっと厳しいんじゃないかなぁ…ってうっすら思い始めてしまって。
    だから、変わろうと努力している克己を依存だって突っぱねて拒絶するシーンはいよいよ克己が可哀想になってしまって、この辺から昭良に対する好感度が自分の中で少しずつ下がっていってしまったかな、と。
    だって魂を込めた絵や亡くなった家族との思い出が詰まった家はおろか画家という人生まで捨てる覚悟って克己からしたら相当だったと思うんですよ。昭良の言ってる事も分かるしその通りだとも思うけど、その覚悟を少しくらい汲み取ってあげても良かったんじゃないかなって思うんです。

    そうやって昭良がとことん拒絶しても克己は昭良を諦めきれず、落ちるところまで落ちて目も当てられない姿になっていくんですが、登場する度にどんどんみっともなくなる攻めの姿に胸が掻き毟られるような気持ちになりました…。
    ただでさえ可哀想なのに、最早可哀想を通り越して痛々しいんですよ。あのお金には困ってないはずの克己がただのスーパーでアルバイトをして上司に叱られてる姿なんて見たくなかったです、正直。
    でもこの哀れっぷりに萌えられないかと言ったらNOで、心身共にボロボロになっても克己なりに変わろうと必死に努力する姿に非常に萌えてしまいました…!(同時にめちゃくちゃ辛かったけど!泣)
    昭良も健気だと思いますが、克己はそれ以上に健気だと思います。ほんと、克己以上に昭良を愛してくれる人なんかいないと思いますね。
    克己のストーカー行為ですら、普段なら私も「うわ、気持ち悪」って思っちゃうところですが、彼があまりに必死だからそんな風に思えなかったよ…。ていうか昭良が克己をそこまで駆り立てたようなものですし…。

    後半はしんどい描写が続きましたが、最後は無事にヨリを戻せて本当に心底安心しました。やっと昭良が許してくれた時は克己と一緒に私まで泣きそうになったくらいで(笑)
    この作品を読み始めた時はまさか攻めがこんなにヘタレ化すると思わなかったですし、受けもこんなに強気なキャラだと思わなかったので前半と後半の力関係の逆転っぷりには驚かされましたが…ある意味一生忘れられない作品になりました。
    それにしても、小中先生にヘタレ攻めを書かせたら右に出る者はいないんじゃないでしょうかね。ますますファンになってしまいました(笑)

  • 読んでいくうちに昭良が可哀相で、昭良の愛情に胡座をかいている克己に腹が立ってきた。才能はあるのかも知れないけれど、ここまで人の気持ちを考えられないって一体...。と。自分のこと、絵のことしか考えていないように見えるし。
    そんな克己が昭良を失わないように必死になっているところを見ると、早くそうすれば良かったのに。と思えてしまう。今後は相手のこともちゃんと考えられるようになって、「一緒に」幸せになって欲しい。

  • これは見事なざまぁ作品!
    芸術家の没頭すると周りが見えなくなる恋人を世話する普通のサラリーマンが坂の上にある家に世話をしに通うのでラプンツェルというタイトルです。

    読んでる最中、ずっと見捨てろ!見捨てろ!と思いつつ読み進め望む展開になったらよし!いいぞ!もっとやれ!という野次馬的心理で読んでましたw
    すごい面白かった。

  • 画家の克己×会社員の昭良。
    タイトルとあらすじから思ってたよりシリアスなお話で、とても胸にきました。
    どんどん卑屈になっていく昭良が切なくて、でも決めたらきっぱりと別れるのが強いなと思いました。きっと本来はこういう性格なんじゃないかなと。好きだから臆病になってウジウジしてしまう。最初は克己がなんてひどい男だと思ったんですが、一生懸命立ち直ろうと足掻いてる姿に、なんだか泣きそうになってしまいました。別れても付きまとわれても嫌いになれず、再び付き合うようになって、お互いのペースで歩み寄る努力をするようになって安堵しました。でもラストの克己の変わりようにはびっくりしましたが。

  • 生活力ゼロの売れっ子画家×もはや通い妻の新米リーマン。
    ラブコメなのかな?と思って読み始めたら、意外にもシビアで深刻で、とても考えさせられるお話でした。

    二人のなれそめからして、ちょっと暗雲かかってたよね…
    不安がよぎるってやつです。
    克己は見た目とはギャップがあり過ぎな男でしたね。アーティストっていうクリエイティブな職業の克己と、オフィスワーカーの昭良では、そもそも価値観が大きく異なっていて当然かもしれません。
    それでも、不満を一切もらさずに惚れた男のためにせっせとその家に通い、掃除洗濯食事まできちんと家事をこなして尽くす昭良の恋心に感動しました。
    …自分なら絶対無理(笑)
    アーティストが全てを作品に捧げて傑作を生みだすのは理解してるつもりだけど、いざそんな彼氏を持ったら果たしてついていけるかなと思ってしまいました。
    案の定、昭良もそんな状況が3年も続くとさすがに堪忍袋の緒が切れちゃいました。納得。

    リオンとのことが、とにかくダメでしたよね。
    詳しい説明なしで同居とか、マジでありえません!!詳しい説明してもらっても絶対受け入れられないけど。
    克己のあんまりな仕打ちで、さすがに昭良も別れを決意。正解だと頷きました。

    ところが、克己にしてみれば青天の霹靂だったみたいでヨリを戻そうと必死になって、ついにはストーカーまがいの行動までやらかしてしまって、びっくりドン引きました!!
    …あれ?最初の印象ではイケメンでカッコよかったはずなのに。こんなダメダメオトコだったなんて。
    昭良視点で見てたから、なんかのフィルターがかかってたんでしょうね…
    別れてからの克己がめっちゃダメダメで、読んでいて逆に哀れになってしまったり。
    そんなに昭良のことを好きなら、最初からもっといっぱい相手の気持ちを思いやるべきでしたよね。作品のことしか考えていなかった未熟さです。
    しかも昭良がまだそんなダメ男に未練あったりするから、始末に負えないです。もう焦れ焦れさせられました。

    はたから見たら、捨てられた克己がなおも昭良に付きまとう姿はキモッとしか言いようがないのですが、それまで適当にあしらわれていた昭良にしてみれば、こんなにわかりやすく好意を向けまくってくれるのは悪い気はしなかったようですね~!
    互いに相手の気持ちに寄り添っていくことを学んだ二人に安堵です。人として、成長してる。
    しかし、攻様がダメだとこんなにも安心できないもんなんですね~ハラハラしましたよ。Hシーンでも落ち着かなかったです…
    タイトルとはかけ離れたリアル感でした。でもそのリアル感が、なんだか面白かったんですよね。

  • やー、泣きました。攻の克己さんの不器用な生き方が切ない。受の昭良くんが、克己さんに愛想を尽かして別れようとした時、本当に甘えなしにすっぱり切ろうとする決意が見えて、私としてはそれが良かったなぁ。ずるずる情に流されなくて エライ。真剣さがいい。真剣に反省しつつやっぱりキモい(褒めてます)愛し方しかできない克己さんの、不器用ながら凡人の世界に降りてきて「常識的」に振る舞おうとする懸命さが泣ける。
    恋愛と、それによって描く絵が変わり、人生が変わる。昭良くんも、自分の仕事をがんばる。どっちかが我慢しすぎるのでなくこれからはケンカしながらふたりで歩んでいけたらいい✨

  • 泣いた。腹立った。末永くお幸せに。リオンの話も読みたい。

  • 小中さんにしては珍しく、ほのぼののないお話。
    受がとにかく無理をしていて、読んでいて辛かったな。
    受自身も、攻が絵を描くことしかできない人だってわかっているから何も言えず。プラス付き合ってもらっているという引け目が追いうちをかけていて、苦しさばかりが募った。
    一方的に、攻が悪いだけじゃないのが妙にリアルというか…。
    後半、攻ザマァの要素もあったけど、ここまでしないと復縁できなかったのかと思うと気の毒な気も。複雑な心境になったお話でした。

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著者プロフィール

小中大豆(こなかだいず)・作家・白泉社「指先がすれ違う」にてデビュー・現在、BL各レーベルで執筆中

「2022年 『王さまのがっこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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