乃木坂46という「希望」 ―彼女たちの表現世界が語る “もうひとつの声"

  • 11人登録
  • 2.83評価
    • (1)
    • (0)
    • (2)
    • (3)
    • (0)
  • 3レビュー
著者 : 土坂義樹
  • 幻冬舎 (2016年3月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344974531

作品紹介

AKB48とは異なる輝きを放つ、乃木坂46とはいったい何者なのか?彼女たちのMV映像作品を中心に新時代の可能性を読み解く、待望の乃木坂46論、誕生!

乃木坂46という「希望」 ―彼女たちの表現世界が語る “もうひとつの声"の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 「待望の乃木坂46論、誕生!」とオビにあり、映像作品を通じて乃木坂46を語る、という内容になってはいるが、実際には映像作品の「解説本」であり、ここには生身の乃木坂46は残念ながら見当たらない。
     確かに映像作品の分析は丁寧だし、細かい部分まで目が行き届いていると思う。
     著者の主観が少しばかり強すぎるなと思える箇所もあるが、読み応えはあると思う。
     ただ、文章で映像の流れを細かく説明しようとしているので、核心に触れるまで長々と映像の説明文を読まされなければならず、まどろっこしい。
     それに、乃木坂46とは直接には関係のない書物や映画等からの引用には、衒学的な印象を感じてしまったりもした。
     彼女たちの映像作品ということでいえば、「MdN EXTRA vol.3 乃木坂46 映像の世界」の方が、写真も豊富だし、彼女たち自身や映像監督へのインタビューも掲載されているし、資料的価値も高い。
     また、集英社から出版された「乃木坂46物語」の方が彼女たちの魅力を語っているように思う。
     そう考えると、一体どんな読者を想定して書かれたのか、ちょっと疑問に思ったりもする。
     くどいようだけれど、本書は「乃木坂46論」ではなく、あくまでも「乃木坂46映像作品解説本」という意味合いで読まれるべきだろうと思うし、その点ではある程度は興味深く読むことは出来た。

  • 乃木坂46の魅力を、MVなどの映像作品の解釈をおこないながら考察した本です。

    著者はまず、乃木坂46のMVにおいてストーリー性への志向が強く見られることを指摘し、そこに見出される「百合」的なイメージに「少女たちだけのユートピア」という意味を認めるとともに、それが「ままならぬ現実」と対置されていると論じます。しかし著者は、「少女たちだけのユートピア」を「ままならぬ現実」からの非難所として理解するのではなく、むしろ彼女たちが取り結ぶ「紐帯」が、「現実」の中へと歩み出していく「希望」につながっていることを指摘します。さらに著者は、映画『超能力研究部の3人』、舞台作品『じょしらく』、ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』を考察の対象とすることで、彼女たちの作品において「虚構」と「現実」の二分法が溶け合っているという主張を展開します。

    ところで、日本のサブカルチャー批評という分野においてもすでに相当な研究の蓄積があり、それらを無視してアイドルについて語ることはできません。しかし本書は、それらの先行研究を十分に踏まえていないように見えます。

    東浩紀がセカイ系の作品などに見られるメタフィクション的な構造について考察をおこなったのに対し、宇野常寛が『ゼロ年代の想像力』(ハヤカワ文庫)で東に対する批判を展開し、その後AKB48の魅力について語っていることはよく知られていますが、宇野はけっしてAKB48の魅力を「虚構」に対置されるような「ガチ」に見出していたわけではありません。ポストモダン的な語り方をするならば、セカイ系的な想像力が「形式化」と特徴づけられるのに対して、宇野や濱野智史といった論者たちがAKB48に見ようとしたのは、彼女たちがメタフィクショナルな「形式化」を既定の枠組みとして言わばそれを利用することにおける「強度」を享受するような少女たちの振る舞いでした。

    本書で主張される「現実」と「虚構」の二分法の解体という結論は、それなりに説得力のあるものですが、それを先行研究に対してどのように位置づけられるのかが明確にされていないために、読者としては「そういうものか」と聞いておく以外にどうしようもないと感じてしまいます。

全3件中 1 - 3件を表示

乃木坂46という「希望」 ―彼女たちの表現世界が語る “もうひとつの声"のその他の作品

乃木坂46という「希望」 Kindle版 乃木坂46という「希望」 土坂義樹

土坂義樹の作品

乃木坂46という「希望」 ―彼女たちの表現世界が語る “もうひとつの声"はこんな本です

乃木坂46という「希望」 ―彼女たちの表現世界が語る “もうひとつの声"を本棚に登録しているひと

ツイートする