右翼と左翼 (幻冬舎新書 あ 1-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980006

作品紹介・あらすじ

「もはや右翼も左翼もない時代」といわれる。が、依然「右‐左」のレッテルはさまざまなものに貼られている。しかし「では右って何?左って?」と訊かれると答えに窮する。「右‐左」の対立軸は何か?なぜ「上‐下」「前‐後」ではないのか?定義はもとより世界史的誕生の瞬間から派生まで、影響された日本の「右‐左」の特殊性から戦後の歪み、現代の問題点までを解き明かし、ここ百数十年の世界史とそれに巻き込まれた日本の歴史がわかる画期的な一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 右翼って何!?左翼って何!?
    右翼・左翼って呼ばれる人たちって、どういう価値判断で行動してるわけ?…という素朴な疑問から、読んでみました。

    なーるーほーどー!!!と思うことが多くて、わかりやすくて面白かった。今まで自分が持っていた簡単なイメージとしては、
    ○右翼=保守、愛国、天皇崇拝
    ○左翼=急進派、革命
    ○どっかの国の国会で右と左に議員の席が分かれてたことから右翼・左翼という

    これくらいの知識でした(まぁ、間違ってはいなかった)。で、右翼・左翼という言葉が生まれたフランス革命の頃の説明から始まって、明治維新から大戦前後、現代の右翼・左翼の定義まで、わかりやすく説明してあります。

    人権が侵害されていた世の中から、“左”の人たちは“自由・平等”を求めて戦い、その時代の“右”はどんどん押しやられていって、“左”が真ん中になり、さらにもっと進んだ人権を求める“左”が生まれてきた。そして今落ち着いているところが“議会制民主主義”であって、それより更に“左”は“社会主義”や“共産主義”であり、これ以上左には行きようがない、ってところですね。
    今では当たり前の“民主主義”も“王政”の時代にはものすごく左だったわけです。
    ということは、中国など、現在社会主義国の場合は、たてまえ上は“自由・平等”の理想の社会を実現した究極の“左”に位置しているわけだから(実際はどうかは別として)、“民主化”を唱える団体などは“右”と言われるらしい。
    おもしろいなぁ!!!

    だいたい、この本を読むまで共産主義が“自由・平等”を求めた市民革命の理想の、更に先を見ていたっていうことも分かっていなかった。市民革命が目指していた“自由・平等”と“共産主義”は全く別のベクトルだと思っていた。
    今まで“なんとなく分かったつもり”だったことが、ちゃんと理解できるようになる本です。

  • 日常で使われる「右」「左」という用語、なんとなく分かるようで分からなかったこの概念を歴史を紐解きながら解説する。
    本書を読むと、この「右」「左」という概念が極めて相対的であり、ある時期には「右」であっても、時代の流れと共に「左」と認識されることもあり得ることが分かる。
    *「左」「左翼」…人間は本来「自由」「平等」で「人権」があるという理性、知性で考えついた理念を、まだ知らない人にも広め(啓蒙)、世に実現しようと志す(p44)。
    *「右」「右翼」…「伝統」や「人間の感情、情緒」を重視。「知性」や「理性」がさかしらにも生み出した「自由」「平等」「人権」では人は割り切れないと考える(p45)。
    *「歴史は進歩している」「その進歩とは『自由』『平等』の実現をいう」とする考え方を前提に、その「進歩」をより先取りしようとする立場が「左」「左翼」で、押しとどめようとする立場が「右」「右翼」(p100)。
    進歩史観的な軸で見ていくと分かりやすい左右の対立概念もまた、戦後になると四次元、五次元と、複雑な世界情勢を背景にその概念、対立軸が入り混じり、結局「ウヨ」「サヨ」といった軽い言葉へと変質してしまったように思えてくる。
    何れにせよ、本書は「右」「左」という政治的概念の(イメージではなく)本質的な部分に迫った良書であることは間違いない。

  • 右翼と左翼の違い。「保守⇔革新」「国粋⇔国際」「権威⇔平等」「秩序⇔自由」のようなキーワードで、漠然とイメージできても、演繹的に説明するのはなかなかできない。このシンプルな問いの答えは、本書の早い段階で明かされるが、それが本書のメインテーマではない。右と左という物差しをあてて、歴史を見直すのが本書の主軸。新著1冊にはちょいと高密度すぎるが、近世以降の日本史・世界史のおさらいは、学校の授業とは一味も二味も違ったテイストがあることを知らしめてくれる。
    時代や国の事情(歴史)によって、相対的な尺度でもある右翼~左翼だが、個人的には、数直線のイメージではなく時計か羅針盤のイメージ ---- 極右や極左のもっと先では、両者は近寄るものだと勝手に思っていた。でも、それは表層だけをとらえた誤った見方だと気付いて勉強になった。

  • 右翼左翼、右左。
    頻繁に聞くけど、まったく意味を理解していなかったので購入。歴史から右左を解説。

    〇概要
    ・右翼:保守派、愛国、天皇崇拝
    ・左翼:急進派、革命、社会主義、共産主義
    ・右翼と左翼とはフランス革命の時代に議長の席から見て右側が保守派、左側が急進派だった事が語源のルーツ。

    「右」「左」という概念が極めて相対的であり、ある時期には「右」であっても、時代の流れと共に「左」と認識されることもある。

  • 「右」「左」を生い立ちから説明している。
    右翼と左翼とはフランス革命の時代に議長の席から見て右側が保守派、左側が急進派だった事が語源のルーツ。
    右翼と左翼が分かる本。
    面白く分かりやすく、興味深い良い本だったと思う。

  • 恥ずかしながら右翼と左翼ってどっちがどうなんだっけ、と言う状態だったので、読んでみました。
    そもそもなぜ右翼、左翼と呼ぶのか、そのルーツからかいせつしてくれており、お陰様で多少理解できるようになりました。
    と言いつつ、フランス革命から現代まで、右翼と左翼の意味の変遷が目まぐるしく、途中わけがわからなくなりました。

  • 「「もはや右翼も左翼もない時代」といわれる。が、依然「右‐左」のレッテルはさまざまなものに貼られている。しかし「では右って何?左って?」と訊かれると答えに窮する。「右‐左」の対立軸は何か?なぜ「上‐下」「前‐後」ではないのか?定義はもとより世界史的誕生の瞬間から派生まで、影響された日本の「右‐左」の特殊性から戦後の歪み、現代の問題点までを解き明かし、ここ百数十年の世界史とそれに巻き込まれた日本の歴史がわかる画期的な一冊。」

    目次
    第1章 「右」と「左」とは何か―辞書を引いてみる
    第2章 フランス革命に始まる―「右」と「左」の発生
    第3章 「自由」か?「平等」か?―一九世紀西洋史の「右」と「左」
    第4章 「ナショナル」か?「インターナショナル」か?―一九~二〇世紀世界史の「右」と「左」
    第5章 戦前日本の「右」と「左」―「国権と民権」・「顕教と密教」
    第6章 戦後日本の「右」と「左」―憲法第九条と安保体制
    第7章 現代日本の「右」と「左」―理念の大空位時代
    エピローグ 「右‐左」終焉の後に来るもの

    著者等紹介
    浅羽通明[アサバミチアキ]
    1959年、神奈川県生まれ。「みえない大学本舗」主宰。著述業、法政大学非常勤講師。81年、早稲田大学法学部卒業

  • なんとなく知りたかったから読んだ。
    なんとなく、分かったような分からなかったような、微妙。
    内容としては、適切に書かれているんだろうけど、私には理解しにくかった。

  • 右翼と左翼が何を指すか、どう生まれたか、現在日本はどうなってるのか、など細かく把握できた。
    思ってた以上に細かく、そこに興味がある人は楽しめる一冊

  • 右と左、なんとなくのイメージでしかわからなかった概念。
    右=日本バンザーイ!戦争バンザーイ!天皇バンザーイ!改憲だ!
    左=戦争は断固反対!憲法九条は絶対!
    この本を読む前に私が持っていたイメージ。結果的に本を読んだ後もそのイメージから大きく変わることはなく、やっぱりそうなんだという感じでした。
    右と左という考え方が生まれたフランス革命の時の話も記載されていたが、私からすると正直退屈な内容でした。
    一つ感じたこととしては、現代においては右と左という対立構造を持つ必要はほとんどなくなってしまったんだなということ。とはいえ、一冊を通して右と左という考え方に触れたのは良い経験だったと思う。

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著者プロフィール

浅羽 通明(あさば・みちあき):1959年、神奈川県生まれ。「みえない大学本舗」主宰。著述業。81年、早稲田大学法学部卒業。著書に『ニセ学生マニュアル』三部作(徳間書店)、『大学で何を学ぶか』(幻冬舎文庫)、『『君たちはどう生きるか』集中講義』『右翼と左翼』(以上、幻冬舎新書)、『教養論ノート』(リーダーズノート新書)、『思想家志願』『天皇・反戦・日本』『昭和三十年代主義』(以上、幻冬舎)、『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』(ちくま新書)、『ナショナリズム』(ちくま文庫)、『野望としての教養』(時事通信社)、『教養としてのロースクール小論文』(早稲田経営出版)、『澁澤龍彦の時代』(青弓社)、『時間ループ物語論』(洋泉社)等がある。

「2021年 『星新一の思想 予見・冷笑・賢慮のひと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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