はやぶさ: 不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書 よ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980150

作品紹介・あらすじ

世界88万人の夢を乗せて、我らが探査機「はやぶさ」は太陽系誕生の鍵を握る、小惑星イトカワへと旅立った。果たして表面の物質は採取できたのか。本当に地球に帰還できるのか。3億キロの彼方で繰り広げられた人類史上初の大冒険を伝える感動と興奮のサイエンス・ノンフィクション。独自のロケット、独自の探査計画で世界中の研究者を驚かせ続けている異能集団「宇宙研」の歴史を辿り、その独創性の秘密に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ビギナー向けですが、用語の説明もありながらはやぶさの魅力を伝えてくれています。
    はやぶさの話はいろいろあるので他にも読んでみたいな。

  • これを読めば、2位じゃダメな理由がわかります。

  • はやぶさの奇跡の重みがわかった。はやぶさプロジェクトは、日本の将来を背負ったものだ。諦めずに、逆転の発想で、度々の困難を乗り越えた、はやぶさプロジェクトのストーリーを体験できた。

  • 「はやぶさ」本は沢山出ていますが本書は同じ学術系の著者が公開されているデータに解説を加えつつ宇宙研や糸川博士の歴史もおりまぜて客観的に書かれています。理工の協力による成果等の学術的に見方はある意味面白いですし公開データも分かりやすいです。ただカラーページも少なく地道に読む人向けかと。昨年ちょっと共著論文の査読も受けていた私には面白かったです。

  • 成功とは過去の栄光である。自分達の未来を、過去に託すことはできない。何が分かっていないか、を分かっているのがプロなのである。その為の知識である。このことを弁えない知識自慢は、素人の証明である。(69ページ)

    前例とは、自身がそこに安住していない、ということの確認のためにこそ必要なのであって、そこに留まってることに安心し、心理的な保証を得る為にあるのではない。(144ページ)

    日本人に独創性、創造性が無いなどというのは途方もない。誤解である。誤解の発端は、見事に発達した官僚機構に屈した故である。如何なる新規なアイディアも、「前例と書類」という鋳型に嵌めれば、その新鮮さを失ってしまう。それは全てが新しいのではない。「一歩」が違うだけなのだから。泉の如くアイディアが溢れ、それを実現させるに足る能力を持った人物は、今も何処かに、確実に居るのである。彼等に不足しているのは発想ではない。前例主義に屈しない交渉力と肝力である。(145ページ)

    「物作り」は教育になるが、「金扱い」は教育にはならない。金の操縦法を幾ら学んだところで、実は金に操縦されているのである。(284ページ)

  • かっこよすぎる。あまりにもかっこよすぎる。はやぶさが帰還する前に書かれた本ですが、はやぶさの物語を満喫するにはおそらく最高の一冊。そのままプロジェクトXの台本になりそうな熱い語り口、一読の価値ありです。

  • 「はやぶさ」は成功したから注目を集めたが、宇宙研の真骨頂は「失敗してもめげずにしぶとい」点にありそうだ。宇宙研が世界に誇るべきなのは、はやぶさの成功そのものより、少ない人数と最小限の予算で試行錯誤を繰り返し、天才に頼ることなく泥臭い汗と工夫を積み重ね、何より失敗を糧として少しずつでも前進してきた歴史なんじゃないだろうか。世界を驚かせた頃の日本は全体がそうだったんじゃないかという気がする。失敗を責め立て、恐れ、汗をかくのをいやがる組織や国は没落する。

    本としては話があっちこっちに飛んだり、妙に前のめりで大仰な書き口のわりには人の姿が(糸川英夫以外)は見えてこなかったりしていまいち。むしろ淡々と読みたかった話。

  •  ミッション終了後、雨後のタケノコのようにちまたに溢れた「はやぶさ」関連書籍とは一線を画す本書。なにしろ初版は2006年なのだから。

     2006年といえば、「はやぶさ」プロジェクトが暗礁に乗り上げていたころだ。
     05年に無事イトカワに到着後サンプル回収中のトラブルに見舞われ、そのあと年をまたいで46日間の消息不明ののち満身創痍の姿で見つかり、やっと地球に帰れると思ったら今度は四機あるイオンエンジンがすべて停止という最悪の状況に陥っていたのが06年だ。
     当時、はやぶさを知るひとは「もうダメだろう。でもよくがんばったよ」という雰囲気だったろう。

     本書はそのころに出版された。
    「はやぶさ」にとって最悪の状況なうえ、世間では「はやぶさ」なんてまったく気にも留めていなかった。なのになぜ出版されたのか? それは「はやぶさを知ってほしい」の一念だったのかもしれない。

     著者の思いは「はやぶさ」だけには留まらないようで、本書では「はやぶさ」の生みの親である宇宙科学研究所の数奇な運命や、「はやぶさ」が目指した小惑星「イトカワ」の名前の由来になった日本宇宙開発の祖、糸川英夫教授の苦心の研究にもかなりの紙面を割いているのだけれど、そのせいでタイトルの「はやぶさ」がかすんでしまっているのが惜しい。

     本書を好意的に解釈すれば「はやぶさの背景も含めてよくわかる本」と言える。でもそれにしても背景が多すぎるのだ。これではほとんど糸川教授の一代記になってしまっている。タイトルが「糸川英夫」や「宇宙科学研究所の歴史」だったらタイトル通りだったろうに。


     しかし。
     本書が柳の下のドジョウを狙ってちまたに溢れる「はやぶさ」本とはまったく違う生い立ちなのは確かだ。
    「宇宙科学研究所と糸川教授の研究、そしてはやぶさプロジェクトを知りたい」というのならオススメの本である。

  • 理系の学生の必読書。

  • 最近はやぶさの期間でにわかに宇宙への興味が増えてきたが、日本においての宇宙技術の礎を築いた宇宙研の歴史とはやぶさの記録が書かれている。
    2006年に出版なので、その後のアクロバティックな運用については書かれていないが、2010年のカプセル帰還がほど予想と同じ通りなったのには驚いた。

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著者プロフィール

京都大学工学博士(数理工学専攻)。

「2021年 『はじめまして数学リメイク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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