狂った裁判官 (幻冬舎新書 い 2-1)

著者 :
  • 幻冬舎
3.01
  • (3)
  • (11)
  • (48)
  • (12)
  • (2)
本棚登録 : 175
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980242

作品紹介・あらすじ

法廷が開かれる前に、有罪の判決文をあらかじめ作成している裁判官。内心「無罪」ではないかと思える被告人に対して、自らの保身のために「有罪」を言い渡す裁判官。判決起案という煩雑な仕事を避けるために、脅してでも当事者に和解を強要する裁判官-。日本の司法システムがこうした「狂った」裁判官を生み続けてきたのはなぜか?司法改革を主張し、退官を余儀なくされた元裁判官が、「99%有罪」のからくりを解き明かす衝撃の一冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 元判事の著者が 書いた本でした。

    和解が 裁判官には楽だそうです。
    というのも 判決を下して
    それが 不服になって 上訴になった時
    自分の判決がひっくり返ったら
    自分の成績がマイナスになってしまうので
    多くの裁判官は 判決をするより 和解をすすめるそうです。

    確かに 自分の判決が覆されたら 前の判決はミスだったと
    みなされてしまうけど でも そう思ったのだから いいのでは?と思ったけど。

    裁判官は人の命も左右する判決をするのが
    一人で決めなければ ならないので 凄いストレスだそうです。
    確かにそうですよね。
    検察から 犯人だと言われても やっていないと言ってる時に決定をするのは
    凄いストレスですよね。

    だから 間を取って ということで
    上訴を避けるためにも 罪を少し軽くして終わらせるという事をする。

    裁判官って 独立していると思ったけど
    案外しがらみがあったという事がわかる本でした。

    けど 狂ったという タイトル程 
    狂ったイメージの内容ではなかったですね。

  • 裁判員制度については全く同意。元裁判官が著者なだけあって、裁判所の内情がわかり面白い

  • なんでこんな下品なタイトルつけちゃうかなあ。中身はそれほどへんでもないのに。

    最後の方の私怨丸出しのところはともかくとして、裁判官の興味深い本音が知れてよかった。
    裁判官と言えども「普通の人」だからねえ。ガチガチの正義の番人であって惜しいのはやまやまであるものの、そういったスーパーマン的なものを求めることは酷であることもわかる。うーん難しい。

  • 無職の不法移民が何年も日本に滞在でき、しかも強制送還されず、その移民が犯罪を犯しても不起訴で無罪放免、っておかしくない?
    もともと加害者に優しい司法は不法法民にも優しい。それは、彼らが人権弁護士の飯の種だからです。
    司法そのものの機能不全が最近顕著です。
    本書は、特に裁判官について書かれていますが、その問題の根幹は人事評価システムにありそうです。
    例えば、検察官が無罪判決を3回出してしまうと島流しやクビになるといわれる話。そもそも検察が有罪確実な案件しか扱わないのも問題ですが、有罪判決の確率99%からしても無罪判決は検察の大失態として評価されます。
    逆に、裁判官が一審で無罪とし最終的に有罪となれば、こちらも人事考課に影響します。裁判官の独立の原則からみても、判決自体が人事評価に影響するなら独立もクソもなく、自己防衛のためとにかく有罪にしておけば安心というインセンティブが働きかねません。
    さらに、外部からのクレームも人事評価のマイナスとなります。クレームの主体は弁護士で、そのために極力上訴を避けるため執行猶予をつけるなど刑を軽くする傾向にある様です。
    先ほどの不法移民が起訴されないのも、検察が面倒くさい案件を極力忌避し、裁判官も口うるさい弁護士に気を遣うという馴れ合いだとは考えられないか?
    また、裁判官の抱える訴訟は平均180件(毎月30件プラスされる)と言われています。結局、処理時間不足が判例踏襲という安易な形となり、裁判自体の形骸化が進み判決はAIでも出来そうという話にもなる。
    本書後半は、筆者の恨みつらみが爆発します。当時横浜地裁所長の浅生重機氏から裁判干渉(裁判事務への口出しは禁止)され、人事評価減点となり判事再任の延長(基本任期は10年ごとで不再任となれは退官)を拒否されました。これって、裁判官の独立を唱えながら、上司の言うことを聞かなければクビにするという恐ろしい話ですよね。退官後とはいえ、実名告発など結構やってしまってますが、そもそも多種多様な人材を抱える度量がこの組織には無かった様です。
    その他、裁判官の給料の引き下げ、裁判員制度の廃案も主張しています。

  • 狂った裁判官。井上 薫先生の著書。狂った裁判官という過激なタイトルのこの本に出てくる裁判官たちは本当に狂った裁判官と後ろ指をさされてもおかしくない人ばかり。たとえ少数でも狂った裁判官や不良裁判官がいれば日本の司法制度への信頼は地に落ちるし誰も裁判官を信頼しなくなる。狂った裁判官や不良裁判官がいなくなるような制度がないことが問題。狂った裁判官や不良裁判官は狂った裁判官や不良裁判官としてきちんと世間から批判されて罷免されるような世の中じゃないと、まじめに頑張っている裁判官や裁判所の職員、一般市民は報われない。

  • 裁判官の仕事の概要は分かった。多忙なのも分かった。


    しかし、再任拒否されて退官したからといって実名を晒しての


    個人攻撃は頂けない。





    センセーショナルが売りの幻冬舎だからこのタイトルなのだろうけれど、


    恨みつらみが強過ぎて著者本人が狂っちゃったのか?





    内幕話は好きだけれど、本書はやり過ぎ。時間の無駄遣いしちゃった


    よ。とほほ…。

  • 裁判官の仕事は知らなかったので参考になった。著者の訴えたい事がわからなかった。愚痴っぽい内容だった。

  • 感情的で読んでて疲れる。批判したいポイントはそれぞれ何を批判したいかはわかるけど、「赤字気にしてさっさと事件を終わらそうとする」「最初から結論見えてる事件でもうるさい当事者だと証拠調べ付き合って長引かせる」とか…何が「最初から結論見えてて早く終わらせるべき事件」で何がそうでないかの見極めってそんなに出来るものなのか、すべきものなのか。多くの人がそうだと思う事件はあるかもしれないけれども、こんなに感情的に「すべからく裁判官は~」っていうような主張はどうかと思う。

  • 「狂った」という表現はややいただけないのでは、と思いつつレビュー。
    検察官が起訴した事件は99%有罪になるという、よく知られた慣習の説明から始まり、「裁判官には独立の原則があるにも関わらず、人事を気にするあまりに有罪判決を出す恐れがある」「裁判官という職業は激務であるため負担を減らすために和解を勧める可能性がある」「判決文の理由欄には本来必要ない記述がされている事がある(と、筆者は考えている)」「間違った判例によって判決が下される恐れがある」といった内容が書かれている。
    本書では裁判官を退官した理由が記されていますが、この点は相手(筆者の上司)の言い分が分からないので不問としました。
    疑問に思われた事に、第四章で小泉首相靖国神社参拝違憲訴訟の判決が長くなっていると批判していますが、両者の気持ちを慮る事はそれほど悪いことなのだろうか、と感じたことです(もし何かこの点について説明している本があれば教えて頂きたい)。
    以前に『つぶせ!裁判員制度』を読んだ際にも感じたことですが、ところどころに感情的な表現が見られて、そのことが本の評価を下げる事になっているのでは、と邪推をしてしまいました。

  • 特に先入観なしでフツーに読み終えたので、
    レビュー見たらあまりに評価が低いんで軽くびびった。

    法以外何者にもしばられないはずの裁判官も
    所詮サラリーマンに毛が生えた程度のものであり、
    組織や社会の呪縛からは逃れられないのだなあと。

    実体験からくる上記の話しはそれなりに説得力もあるが、
    たぶん興味がない人が読んだらすんごくつまんないだろう。


    個人的に司法ブームが来ているオトキタは
    引き続き陪審員制度と死刑制度についての
    書に手を出していきたいと思います。

    この夏、陪審員制度が熱いっ!
    そんな夏はイヤー

全27件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

同朋大学大学院人間福祉研究科・社会福祉学部准教授。臨床心理士。
名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程(心理学専攻)修了(文学修士、1982)。愛知県児童相談所に勤務(1983〜1999)。1999年より同朋大学社会福祉学部専任教員。家族援助論、児童福祉臨床研究などを担当。児童家庭相談、特に児童虐待防止ケースマネジメントを研究。
主な著書等:『児童虐待へのブリーフセラピー』(共著 金剛出版 2003)、『新生児医療現場の生命倫理』(共著 メディカ出版 2004)、「サインズ・オブ・セイフティ・アプローチ入門」(共著 そだちと臨床vol.2 明石書店 2007)。訳書として、『安全のサインを求めて』(ターネル、エドワーズ著 共監訳 金剛出版 2004)、『児童虐待を認めない親への対応』(ターネル、エセックス著 共監訳 明石書店 2008)

「2008年 『子ども虐待防止のための家族支援ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上薫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×