凡人として生きるということ (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎
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レビュー : 134
  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980891

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと内容があっていない気がした。
    新書だからキャッチーなタイトルをつけざるを得ないんだろうけど。

    『オタク』という言葉の定義が以前は
    「何か特定の分野に異常なまでの執着を示すこと」
    「欲望の代替物としてアニメや漫画を利用するだけの社会性のない人々」
    だったのに対して、今は、
    「特定の分野に著しい情熱を持ち続けること」
    「ある種の情熱を持った人々」として再定義されている。
    この情熱を持ち続けるという生き方だけが、現代日本という
    羅針盤も道標もない世界を渡っていくうえで、唯一の指針となるものだ。

    という言葉が印象に残った。

  • 20121016

  • この人の撮る映画はすごく好きで、特にイノセンスのセリフなんかは秀逸。

    ですが、書いてあることはすごく普通。
    曰く、
    ・若いことに価値はない
    ・若者は大量生産された衣服を身に着けて、かっこいいと勘違いしている
    ・若者は失敗を極端に恐れる
    とか

    誰でも言っているようなことだし、若いとか若くないで論じることに意味があるのだろうか?
    若くても出来るやつはゴマンといるし、それと同等に若くなくても無知な人もゴマンといる。

    後半のセックスと文明、オタク、コミュニケーションの話はまぁ面白かったかな。
    独自の視点、価値観が感じられる。
    イノセンスの面白さはこういうところから来ているのかなと。

    ご自身も言っているように、映画は一人では作れないので、
    映画監督が人に理解されない孤高の存在では成り立たないと。
    ま、そういうことなんでしょうね。

  • 映画監督は映像で伝えないといけないとしながらも、敢えてペンを握る押井守。
    特に、若者への期待を感じさせる一冊。

    章でみると、下記の通りだ。

    ・オヤジ論
    ・自由論
    ・勝敗論
    ・セックスと文明論
    ・コミュニケーション論
    ・オタク論
    ・格差論

    押し付けの文章ではなく、少しづつ噛み砕きながら自身の考えを伝える姿勢は堅苦しくなくてよい。
    章ごとに飛躍している訳ではなく、一貫性のある一冊。

  • なぜか押井節に引き付けられる。

  • 平凡な我々に何ができるか?考えさせてくれる本

    「働きアリの中でも一生懸命働くのは一部だけ。一生懸命働くありだけを集めてもやはり同じ割合だけ怠け者が出る。」
    うーむ、なるほど

  • 名声でもお金でもなく、美学を持って勝負する。これが目的でないと、自分らしい生き方はできない。でも凡人だからお金もほしいしなぁ(笑)しかし、初めから富と名声だけを目的としては、道を誤る。
    仕事も人生も、自分で「よくやった」と納得できるかどうかが凡人の矜持だ。

  • ぼんやりと考えていたことに押井守流の答えを突き付けられ自分なりに咀嚼し、自分だけでは消化不良だったところがすっきりした感じ。

    例えば自由を求めて孤独に生きると最終的には不自由になりかねないということ。社会と関わり、親なり配偶者なり子どもなりを背負って家庭を持ちながらそれらのフィールドを自在に行き来し、不自由さの中に楽しさを見つけて生きることを真の自由と語っている。結婚などについても価値観を押し付けず独自の理論で語っていてなるほど納得。どうやら結婚も悪くないものらしい。親や近所のおばちゃんの「結婚して一人前」という言葉よりよほどいい(私の親はそんなこと言わないが)私の言葉だと稚拙になってしまうので気になる方は是非読んでほしい。

    他にも「納得できない映画は作らない」、「金ではなくまず美学を持って行動せよ」、「勝負を恐れず諦めず、しかし、勝ち続けることを狙ってはいけない」とうい映画監督として、人生の先輩としての哲学も語っているし、オタク論、格差論、引きこもり、虐待などについても広いような偏った視点で独自の理論を展開していて非常に面白い。仕事仲間はいるが友達などいないというのも押井監督らしい。

    既存の価値観の崩壊と再構築が進んでいる現代では非生産的な存在であったオタクですら産業を生んで進化し続けていること、アキバの生産性についても語っており、メイド喫茶で働く女の子とたちは現役期間が短いスポーツ選手と同じであると例えているのはすごいと思った。私も少し考えてた「ちょっと年齢層が上のメイド喫茶の誕生」を予言している。私は個人的に「ベテランメイドがいるスコーンと紅茶がおいしい英国風カフェ」の誕生を夢見ている!高齢化が進めば「ばあや」レベルのメイドも需要があるのではないか(笑)

    文明やメディアがもたらす害についてはなるほどと思った。また、彼はメディアは既存の言葉に頼らず、独自のメッセージを発信せよと語っており、彼は独自の方法でもう発信しているという。本書が発売された後に公開された『スカイ・クロラ』に若者に向けたメッセージが込められているらしい。心して再度見なくては!

    本書のタイトルは『凡人として生きるということ』であるが、彼のメッセージは「努力を続け、熱意を持った凡人になれ」ということらしい。努力を続け、熱意を持って映画を作り続けた著者だからこそ言える言葉だと感じた。

  • 何気なく見つけて買った本。
    著者の作品は実は1つ(スカイ・クロラ)しか観てない。
    けど、これを読んでいて、押井さんの作品を観たくなった。

    この本のタイトルはちょっと置いておいて(確かに、そのタイトル通りの話も展開されているのだけど)、各章で言及されていることや考え方は刺激的だった。わかりやすくストレートに表現してもらえるのは壮快。

    個人的には、最後のあたりが特に好き。
    最後の最後には、映画に込めている思いが語られる。

    確かに、スカイ・クロラを観たときに、なんとも言えない感覚をずっしり持つことになり、その感覚がなんなのか探し求めるかのように、原作を読んだり(しかも既に5回も・・・)、DVDで再び見たり、他の本でリンクするような内容にぴくんと反応して考えを巡らせたりしていた。
    それが、押井さんの、仕事を通して語りかけようとしていた結果だったのだなぁと思った。(ああもうやっとわかったよー)
    けど残念ながら、そのことについて、私はまだしっくりくる言葉で表現できない。

    「大人になる」と「子供」、「生」と「死」、「負う」と「身軽」、「自由」?、「本音」と「建前」
    こんなキーワードがずーっと頭の中を巡っている。もうここ2、3年。きっかけは押井さんの映画なんだよーぅ。

    しばらく経ってから、もう一度読みたい本。

  • 押井守さんのエッセイ。
    僕は彼の作品が好きでけっこう観ているが、コンテンツを観たことによって、色々と示唆をくれるという意味で彼の作品が好きだ。

    本書の中にも、作品について触れられる箇所がいくつかあるが、「うる星やつら ビューティフルドリーマー」に関してはやはり思い入れが強いのか、出現頻度が多い。

    本書の目次を紹介しよう。
    第1章 オヤジ論―オヤジになることは愉しい
    第2章 自由論―不自由は愉しい
    第3章 勝敗論―「勝負」は諦めたときに負けが決まる
    第4章 セックスと文明論―性欲が強い人は子育てがうまい
    第5章 コミュニケーション論―引きこもってもいいじゃないか
    第6章 オタク論―アキハバラが経済を動かす
    第7章 格差論―いい加減に生きよう

    彼の主張するところには、映画監督は作った作品がすべてであり、言葉は必要がないそうだ。だが、なぜ本書を出したかと言えば、優れた洞察により世の中を批評する批評家がいないためであるとされる。

    なるほど。これは一理ある。報道がワイドショー化し、ネタとなるものは瞬間風速的に祭り上げられる光景はいまや日常茶飯事だ。
    これにはインターネットの進展における情報流通スピードの早さも要因としてあげられるだろう。

    そのモチーフになりうる、「攻殻機動隊 Ghost In The Shell」を作った押井さんがインターネットに関しては興味がないとばっさりと言ったことに驚きと新鮮味を感じたのだ。
    今、世の中のインターネットはまさに攻殻機動隊の描いた世界へと日々進歩している。それはコンテンツとして世に出たそれに模倣する形に違いない。

    本書の指摘にもあるように、文化とは模倣であり、コンテンツとして世に出た瞬間から正当化されるのである。
    これは別の文脈では「ミーム」として形容されるケースも多く、言葉は違えど様々な分野の先人が感じていることではないだろうか。

    新書ということもあり、内容もそれほど重厚ではないが、押井さんのエッセンスが多分に含まれた本書はオススメである。

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著者プロフィール

押井 守(おしい まもる)
1951年生まれ。東京都出身。東京学芸大学教育学部美術教育学科卒。
映画監督・演出家。
タツノコプロダクションに入社、テレビアニメ「一発貫太くん」で演出家デビュー。
その後、スタジオぴえろに移籍し、「うる星やつら」ほか、数々の作品に参加。後にフリーとなる。
日米英で同時公開された劇場版アニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(95)はジェームズ・キャメロン監督やウォシャウスキー兄弟ほか海外の著名監督に大きな影響を与えた。また、『紅い眼鏡』以降は、『アヴァロン』など多数の実写映画作品にも意欲的に挑戦を続けている。主な監督作品『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』など。

「2019年 『セラフィム 2億6661万3336の翼 《増補復刻版》』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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