世界と日本経済30のデタラメ (幻冬舎新書 ひ 4-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980990

作品紹介・あらすじ

未曾有の危機に陥った世界経済。元凶は、ヒト・モノ・カネの歯止めなき自由化で世界を投機市場に変えた、経済のグローバル化であるのは明らかだ。にもかかわらず、わが国のエコノミストや政治家は「サブプライム問題は決定的な原因ではない」「日本はまだまだ構造改革を進めるべきだ」「もっと公共投資を削り、公務員を減らし、民営化を進めるべきだ」などのデタラメを垂れ流す。緻密なデータ分析とロジックで絶大な信頼を得ている経済ジャーナリストが、亡国の虚言・妄言を徹底論破。

感想・レビュー・書評

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  • 良かった。
    データに基づき冷静に経済を分析していた。
    経済ニュースや本を鵜呑みにしないためにも、このような考え方は必要だと思った。

  • ロングテールがパレートの法則同じだなんて。知らないことだらけだった。

  • 東谷氏が世間にはびこる30の経済に関する嘘をとりあげて解説しています、彼の指摘する嘘が本当なのかどうかは、今後、勉強していくことで検証していく必要はあるかと思いますが、世間に出ている通説に異議を唱えるためには相当な準備が必要だと思いますので、彼の努力のたまものを数時間で閲覧することができるので、読書をする素晴らしさを痛感してしまいます。

    特に、老人を少ない人数で養わなければという議論において、同様に養わなければならない子供についても考慮している点(p124)は、目から鱗でした。

    今後は、相対する双方の説について解説された本を読んで生きたいと思っています。

    以下は気になったポイントです。

    ・パニックに陥った人間は、合理的な説明をしている説に従うのではなく、自分の知識の範囲内で分かりやすい説にとびついてしまう(p7)

    ・2008年の日本の株価下落が他国と同様に大きい(4割減)のは、構想改革の遅れではなく、消費が急落しているアメリカの輸出下落の予測である(p16)

    ・内部の使用権が売却済みのロックフェラーセンターの外側のみを、凄い価格で売りつけられた(p29)

    ・公共投資を含む財政出動の効果は、為替レートが上昇してしまうと効果が減殺されるし、そのときの国民のマインドによっても変化する(p43)

    ・租税負担の国民所得比は日本は、25.1%(2007年)であり、英国:37%、ドイツ:27%、フランス:36%、スウェーデン:50%と比較して、それほど大きくない(p46)

    ・アメリカは第二次世界大戦終了時に、戦時国債をGDP比較120%を発行していた、その後に世界経済がインフレ基調になったのが幸運であった、アメリカの大戦中の財政赤字が解消したのは1970年代になってから(p48)

    ・外国為替資金特別会計は、外貨準備金をドル債の形で運用する運用益である、1ドル90円になるとゼロになる(p51)

    ・日本政府が巨大な財政累積赤字を抱えながら国債を発行できるのは、日本はかなり大きな国有財産を持っているからである(p54)

    ・アメリカ会計基準は、伝統的に原価主義であり、デリバティブや有価証券のみ、時価主義を適用した、日本の時価会計ブームは誤報と誤解から成っていた(p63)

    ・時価会計を会計基準では受け入れたが、商法においては選択とした、法律上は適用しなくても良いことにした(p66)

    ・アメリカで企業は株主のものだと言われるようになったのは、1977年のカリフォルニア州における商法改正からである(p68)

    ・全国の郵便局長は、民営化により業務が煩雑になったため、この3年間で4割近くが辞職した、郵政民営化の模範であったドイツポストは破綻状態であり、世界中の郵政民営化は今までの例外のドイツを含めてすべて失敗となった(p80)

    ・戦後しばらくは、5人が働いて5人(子供と老人)であった、1995年頃は、6人が働いて5人、2015年は5人強が働いて、5人弱を養うという状態で、1995年と同様(p124)

    ・基軸通貨から転落するのは、歴史を振り返っても稀にしか見られない出来事である、ポンドが転落したのは、何十年もの危機的状態が続いたから(p137)

    ・1944年にブレトン・ウッズ会議でドル本位制になった後も、ポンドは基軸通貨として使われ続けた、最終的に役割を終えたのは、1964年頃である(p140)

  • 初めて聞く言葉もたくさん。
    でも、なるほどねって思える事もたくさんありました。
    日本は公務員が先進国の中ではとても少ないそうです。
    それなのに、公務員削減を掲げている。民にお仕事を流す方が経済は回るのかもしれないけどね〜。
    雇用促進の為に公務員増やしたらどうかしら♡

  • 日本の医療技術は世界一の効率だったらしい。
    小泉改革における医療費削減がそれらを崩壊させたらしい。
    医療制度に興味を持った。
    満足度7

  • [ 内容 ]
    未曾有の危機に陥った世界経済。
    元凶は、ヒト・モノ・カネの歯止めなき自由化で世界を投機市場に変えた、経済のグローバル化であるのは明らかだ。
    にもかかわらず、わが国のエコノミストや政治家は「サブプライム問題は決定的な原因ではない」「日本はまだまだ構造改革を進めるべきだ」「もっと公共投資を削り、公務員を減らし、民営化を進めるべきだ」などのデタラメを垂れ流す。
    緻密なデータ分析とロジックで絶大な信頼を得ている経済ジャーナリストが、亡国の虚言・妄言を徹底論破。

    [ 目次 ]
    いまの不況は構造改革を後退させたから
    世界同時不況には戦争以外の解決策がない
    欧米金融機関が破錠のいま日本の金融機関のチャンスだ
    アメリカの金融資本主義は崩壊する
    不況対策に公共投資のバラマキはまったく効かない
    ムダな支出を減らせば増税は必要ない
    「埋蔵金」を使えば不況は脱出できる
    非正規雇用を規制すると日本経済は活力を失う
    時価会計が穏和されてこれからは会計不正が増える
    日本企業の停滞は株主重視の姿勢が足りないから〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • TVで一時的に指示された意見や、
    討論なので少し変わった切り口で展開しようとする
    意見の中で、デタラメなものを否定する本です。

    小泉内閣不支持だったので、そりゃそうでしょう。
    って内容も多かったです。
    他にもぱっと聞いて「無理だね」直感的に皆が思うことを
    論理的に解説してたりします。

    特に作者が拘っていそうで、紹介したい内容は、
    「日本の公務員は多すぎない」ということ。

    嫁が公務員だから弁護するわけじゃないですが、
    先進国の中で、国民あたりの公務員数は少ないほうです。
    なので税金も決して高くないそうです。

    北欧の福祉制度のいいとこだけ紹介したりしますが、
    税金がどれだけ取られているか・・・

    しかし少ない税収で一杯借金作ってるので、
    いつまで経っても返済できない。利子が増える一方。
    これを解決するのは増税するしかない。とのこと。

    TVは公務員叩くの大好きですからね。
    ちなみに国民の平均賃金からみて、
    公務員のもらっている賃金も、先進国の中では少ないそうです。

    個人的には数減らすんじゃなくて、
    質をどうにかしてください。と思います。

    一部、逆にそれはあってるの?ってのもあったけど。
    よく出てくる年金の受給額の話で、

    今の受給者は支払いの4倍ぐらいもらえて、
    若い人はとんとんぐらいしかもらえない。

    とかいう話。数字は適当に書いたけど、
    物価の上昇も計算した上でなんでしたっけ?
    今から仮に35年前だとして、その時の賃金(支払額)ってどうだったの?
    という、とっても単純な疑問が出るんだが。

    そうすると、とんとんってのも酷い話で、
    歴史的に考えると、今から数十年後は今よりインフレが
    進んでいると考えるのが普通で、
    そこでとんとんだと相当目減りしてるよな・・・

    少子高齢化といいますが、
    「高齢化」は問題じゃない。「少子化」が問題なんだ。

    と言う言葉になるほどと思いました。

  • 各々の言説を論破していくのはいいが、間違っていると指摘するだけでは何にもならない。対案を出さない限り、あまり批判に意味はない。ただ、個々の話題で、参考になる部分はいくつかあった。バイオエタノールに関する考察や、アメリカの会計基準に対する考え方、日本の医療制度の優れているところなど、知らないことを知ることができた点に関してはよかったと思う。

  • 日本の公務員の数は他国に比べて圧倒的に少ない。

    何でもかんでも減らしたり緩和したりじゃだめなのだ。
    沈黙の螺旋理論 Spiral of silenceも一言触れられているだけだが興味深い。

  • 環境問題にだまされるな、みたいな内容。
    声が大きい人の意見だからと鵜呑みにするのではなく、自分に都合がいいからと鵜呑みにするでもなく、自分で考えて本当のことを知り判断しようと言っている本。
     世間一般に正しそうだと思われている30の事柄をデタラメだと糾弾しているけれど、反証データがあるからといってそれがデタラメだといえるのだろうか。
     典型的な非建設的議論に感じる。現在の危機を脱却するために正しい認識をしようと言っているけれど、そもそも正しい認識、判断ができれば危機を脱却できるということ自体がデタラメかもしれないとは、考えないのだろうか。
     さらに、「正しさ」は後世の歴史が決めるものだということを知らないのだろうか。
     これだけの良質な情報を載せているのに、いまいちグッとこないのは、量が多いゆえにそれぞれが浅くなってしまったからだろうか。

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著者プロフィール

1953年山形県に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。ビジネス誌や論壇誌の編集者として活動、「ザ・ビッグマン」編集長、「発言者」編集長、「表現者」編集委員を歴任後、1997年よりフリーのジャーナリストとして活躍中。
『エコノミストは信用できるか』『エコノミストを格付けする』『予言者 梅棹忠夫』(以上、文春新書)、『日本経済新聞は信用できるか』(PHP研究所)、『経済学者の栄光と敗北』『不毛な憲法論議』(以上、朝日新書)など著書多数。

「2017年 『山本七平の思想 日本教と天皇制の70年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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