精神科医は腹の底で何を考えているか (幻冬舎新書 か 7-1)

著者 :
  • 幻冬舎
3.28
  • (15)
  • (43)
  • (68)
  • (20)
  • (5)
本棚登録 : 504
感想 : 68
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981065

作品紹介・あらすじ

精神科医とはどんな人たちなんだろうか。人の心を治療する医者だから、人の心の闇を知り精神の歪みにも精通し、人格的にも高い成長を遂げているはず。だが本当はどうなのか。テレビに出てくるあの人はあやしくないか。臨床体験豊富で熟練の精神科医である著者が、エクソシスト医師、無責任医師、赤ひげ医師、新興宗教の教祖的医師、タレント医師、世間知らず医師などなど累計100名を、裏も表も建前も本音もすべてリアルに描き尽くす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 精神科医を100のタイプに分け、精神科医と患者との関係、そもそも精神医療において「治る」とはどういうことかといった問題を取り上げる。
    医者はクライアントに対して診察中は真摯に対応しつつも、常に一定の距離を保って客観的に病状を捉える必要がある。その“客観的”な部分の内容が綴られているので、内容はものすごく冷静かつ淡々とした印象。でも多くのクライアントを担当するゆえに、これくらいの冷めた視点というのは精神科医には必要なのかもしれないとも思った。

    腹の底で何を考えているか「語る」というより、終始「吐露する」といった様子。口語的な文章は読みやすかった。
    精神科医のタイプ、クライアント、姿勢を覗き見したいときに。

  • 精神科医と患者は、患者と相互依存してるような関係もある。
    相手を見ずに、テストに依存する人も。

    良いと言われてる人必ずしも名医ではない。は患者の言いなりだったり。


    境界性パーソナリティ。
    人のことをよく見抜く。

    愛情があればこそ、無意識に相手をコントロールしたくなる。
    他人にコントロールされることは必ずしも不愉快で窮屈とは限らない。


    DVを受けている女性は、間違えた物語を生きている不幸な人物なのか?
    ドラマチックな人生でしか満足いかないのでは。

    149p
    妄想とはなぜ生まれるのか。
    妄想とは物語である。
    物語を自分の人生に導入することによって世界を納得できる。
    自分の不幸な人生を一挙に説明してくれる。


    168
    様々な思惑て患者を入院させようとする家族もいる。
    強制入院は慎重に。



    177
    精神の治る。とは。

    風邪のようにコロリと治る。
    糖尿病のようにコントロールできるの、治る。
    大怪我をして痛みなどは残ったけど治る。

    糖尿病と怪我の真ん中である。



    うつはなおる。
    風邪に近い。
    最近はパーソナリティー障害との合わさりで治りが悪いものもあるが。

    統合失調症の場合は抗精神薬により、大胆な改善は期待できるようになった。
    思春期など、若い時期に発症する。


    親の期待がうえを行きすぎていた場合。
    引きこもりをしている間は自分の無能さを知ることはない。
    とはいえ危機感はあるので暴力を振るってみたりするが、無力感を感ずる。
    親の期待へ答えられないこともあり、罪悪感もある。
    親もまた現実を見なくて済むので引きこもりという現象は続くこととなる。
    一種の安定した形となる。

  • 内容は赤裸々、が一番な表現。文末ごとの「○○な医師」は要らないな。こんなこと考えているのか、こうやって患者を捌いて診察時間を捻出しているのか、など現状を伝える部分あり。通院している人はあまり読まない方がいいかも、自分がこう思われている?と疑心暗鬼になりかねない。

  • ひっじょうに面白い。
    なんか,リアルです。内容的にも面白いけども,個人的には濃密な文体に妙に魅了されてしまった。
    ぜひとも他の本も読んでみたいですな。

    それにしても,この人は捻くれてるというか,斜に構えてるというか・・・。でも,そんなところがとっても良いし,ある意味で素直な人なんだろうなぁと想像しながら楽しく読ませていただきました。

  • ともかくリアル。
    迷いやら逡巡やらを含めて。

  • タイトル通りの内容。精神科医とはどんな人達で、患者にとって良い医者、名医とはどのような医者なのかを綴ったエッセイ。読んで精神科医は大変だなあとつくづく思いました。春日武彦さんの著作は面白いので見つけては読んでいますが、患者としてはあんまり罹りたくない医者だなあというのが本音です(ごめんなさい)。

  • お医者さんは頭が良くて優しくて、ニコニコしてて尊敬している。という方は読まれないほうが良いでしょう。そういう医師もいらっしゃるかと思いますが、この本には載っていないようです。

    興味深かったのは第7章でした。不幸な環境から脱するのではなく、そこで安定と維持を試みるのは女性にありがちかもしれません。

  • 勉強

  • 臨床の精神科医が、主として患者との関係においてどのようなことを考えながら治療に当たっているかを、主に本人の経験を通じて若干シニカルに100人の精神科医のパターンとしてエッセイ風に触れており、そのことによって相対する「患者」が実にバリエーションに飛んだ人々が存在するのかも浮かび上がらせている。
    特殊な症例が多いので、「ふつう」の患者に対して医師がどう考えているかはあまり分からないかも。

  • 人の狂い方はせいぜい100種類しかないということだが、むしろそんなにあるのか!と驚いた一方で、世の中淡々と過ごすためには裕福であることが前提条件ということについては、なるほどその通りだなと。
    当たり前だけど医者も一人の人間なんだということが再認識できたことが一番の収穫。

全68件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

春日武彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×