- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344981218
感想・レビュー・書評
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211002
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「ポストモダンでは、第一に、社会の「底が抜けた」感覚(再帰性の主観的側面)せいで不安が覆い、第二に、誰が主体でどこに権威の源泉があるのか分からなくなって正統性の危機が生じます。不安も正統性の危機も、「俺たちに決めさせろ」という市民参加や民主主義への過剰要求を生みます。
不安や正統性危機を民主主義で埋め合わせるのは、体制側にも反体制側にも好都合です。体制側は危機に陥った正統性を補完でき(ると信じ)、反体制側は市民参加で権力を牽制でき(ると信じ)るからです。」
社会の底が抜けたポストモダンにおいて、関係性の学である社会学に何ができるのかはよく分からなかったけれど、立脚する大地のない思想は根付かないので、いつも上からか下からか眺めているだけなんじゃないかと思われる。 -
宮台真司が自身の社会学者としてのスタンスから現代社会の問題点を述べていく。
国際情勢や政治だけでなく、コミュニケーションなどの社会の在り方についてなど、多岐に渡る内容ながらその根底には一つの大きな軸が存在するように感じる。
新書とは思えぬ難解さだが、教育や政治について考える時にことあるごとに見返したい一冊である。 -
13080
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「普遍主義の不可能性と不可避性」の視点から日本の課題を分析する一冊。ポストモダンを生き抜く視点を提示してくれます。
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やっと読めた。私には難解でした。そしてずいぶんディープな領域に踏み込んだ本である。
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読むのに時間のかかる本だけど、言っていることには一読の価値あり。
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平易に書かれている雰囲気なんだけど。。。分からない事は、調べることにして、いっそガイドブック的に。
2009年に書かれたもの。2012年が終わろうとしている現在でも、ここに書かれている日本の問題がさっぱり減っていないような気がして、少しさびしい。
現代の日本社会には、何かと問題がある、かどうかはわからないが、少なくとも、多くの人がそう認識している、ということは言える。そういう世の中で、学問の世界の人々は、どういう理論に基づいて、何を考えているのか。そんなことに興味を持ったら読んでみると良いかも知れない。
ただ、ある程度社会学などの素養が無いと、そもそも何を言っているのか分からない箇所があるかと思う。というか、僕はあまり良く分からないところがあった。逆に、分からない所や分からない言葉が出てきたら調べることにする、という方針でさえいれば、それはそれで役に立ちそうな予感がする。難しい言葉さえ気にならなければ、面白く読める、と思う。
という訳で、僕は取り敢えず、社会システム理論なるものや、再帰的近代化論というものがあり、何となく、これからは知っておいた方が良さそうなものだ、という程度の理解をした。本書に書かれた内容の適否については、語れるほどの知識が無い。もう少しキチンと「『この社会』を論じるための『評価の物差し』」を身につけた上で、考えてみられればと思う。 -
これはわかりやすく面白い。宮台真司の日本論。
凄い平たく言えば、社会包摂力を高めるべし、ということであろうか。
格差拡大だとか自殺増加とかいじめとか高齢化による孤独死とか、いろいろあるが、それらは人や地域の繋がりが希薄になり、全て自分で解決しなければならなくなるために起こる。昔だったら社会がセイフティネットとなって受け皿となっていたものが、今はない。
学生時代にハイエクなどの新自由主義に傾倒していたので、昨今の新自由主義批判には正直「?」な気持ちでいたのだが、本書を読んで疑問が氷解した。この人も新自由主義なのだが、「小さな政府と大きな社会」という言葉で納得。ハイエクなんかも家族の重要性とかを(エンゲルスの家族論との対比なのかわからんが)説いていたような気がするし、人と人との関係性は重要で、社会もまた重要なのだと思う。