民主主義が一度もなかった国・日本 (幻冬舎新書 み 3-2)

  • 幻冬舎
3.71
  • (25)
  • (57)
  • (50)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 511
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981522

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 旧民主党が政権与党になった頃に書かれた対談本。

    時期を考慮してある程度割り引いて読む必要もあるとは思うが、民主主義への参加のためにはまだまだ有権者やマスコミ側の政治教育が不十分であると言う趣旨の発言には頷かざるを得ないと思う。

    個人的にはまだ日本は民主主義黎明期で、日本人には民主主義国家の一員として習熟しているとは言えないと感じているため、これからどう学んでいくべきかのヒントは多々含まれていると思う。

  • 今エネルギー問題で日本でもEVシフトが進んでいる状況であるが、2009年のこの対談の時から、環境問題は政治問題でいち早くそのゲームに参加することが重要だと訴えられていたことに驚いた。
    14年遅れでなぜ日本がCO2削減やEVへ舵を切る必要性が高いのかを理解できた。

  • もうずいぶん前のことのように思えるけれど、民主党政権ができて鳩山首相が誕生して割と直後に行われた福山×宮台対談。
    福山氏は至極まともなことを言っていると思うし、新しい時代の幕開けを想像させる語り口に満ちている。ただそれは当時のことで、今は民主党は下野し、党自体がなくなった。これだけの内容が語られていながら、なぜ民主党はあっという間に下野したのか。それを考えながら読むと面白い気がした。
    民主主義がどうのこうのと対談しているというよりは、民主党が政権をとったというのは、日本に何が起こったからなのか、何を期待されて民主党が政権を取れたのかという論点であるように思う。
    中身はとても面白い。一方で、繰り返しになるがこれだけの哲学と使命感を持った政権がなぜあっという間に下野したのか。それをセットで考えながら読むべき一冊。

    特に民主党が力を入れていた「マニフェスト」についての箇所は面白かった。「与党は実績で、野党はマニフェストで」なんて、言われたら当たり前だけど言われないと「ああそうか」とならない。まだまだ勉強が足りないと痛感した。

    「宮台 アンソニー・ギデンズがいうように、『包摂』は福祉国家へのぶら下がりと違って『参加』抜きでは成り立たない。企業のように競争に耐える工夫に『参加』せずに地域主権化は無理です」(位置No.1201)

  • この本が出されてから丸一年以上が経過し、鳩山をはじめとする民主党のカスぶりがこれ以上ないような状態でさらけ出されている今日、書かれた内容も寒々しく聞こえるのは仕方無いところ。。
    一方で、他の著書でも言われているような宮台氏の見解というものには非常に納得できるものが多いと思うのも事実。
    民主党うんぬんは置いといて、日本の政治を考える上でとても良い材料になるのは間違いないと思う。

    しかし…政権交代直後の上梓ということもあって仕方がないとは言え、ルーピー鳩山を買いかぶった内容の部分は読んでいて恥ずかしいばかりです。。

  • この本が書かれた時点で民主党が短期間でこけることは予想されてなかったようだ。
    自民党政権の批判。

  • 自民党から民主党への政権交代を果たした直後の興奮と、その後の凋落を知る立場からすれば、まさに虚しいばかりの宮台真司と福山哲郎による対論。
    ここで変えようとしていたものが、なぜ変えられず、それどころか退行してしまったのはなぜなのか、改めて考えないといけません。次の政権交代のために。

  • レビュー省略

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:302.1||M
    資料ID:95100100

  • とても良い内容を話しているのにどうしてこうなった。

  • 民主党政権が誕生して1ヶ月を経た頃におこなわれた、社会学者の宮台真司と、外務副大臣(当時)の福山哲郎の対談です。新しい政治がはじまるという期待に満ちた二人の言葉が随所に見られるのですが、安倍政権が高い支持率を維持している現在読むには、ややつらいものがあります。

    本書の冒頭で宮台が、市場主義対談合主義、権威主義対参加主義の二つの座標軸で構成される大枠を示して、民主化とは権威主義から参加主義へと移行することを意味するのであり、そのさい、個人を社会的に包摂することがめざされなければならないという見解が示されています。それにつづいて、二大政党制そのものよりも、民主化への移行が重要だと主張しています。ただ、自民党の一人勝ちとなった現在から見ると、政治参加を含む個々人の社会的包摂を実現するフォーマットとして、二大政党制を確立させるというのも、重要だったのではないかという気がします。

    もうひとつ気になったのは、民主党政権が打ち出した「東アジア共同体構想」です。宮台もこのころしきりに「亜細亜主義」を語っていましたが、本書ではその境界設定問題が取り上げられ、境界設定は恣意的だが任意ではないという主張が提示されます。ただこれも、現在の安倍政権が中国封じ込めという、まったく政治的に反対の立場に沿った境界を設定して、アジア・太平洋地域における実のある外交を展開しているのは、皮肉な事実だという気がします。

全47件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮台真司の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×