昭和45年11月25日―三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃 (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981850

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫が市谷の自衛隊東部方面隊総監部に乗り込み、自衛隊の決起を促し自決した三島事件から40年以上経つ。この本には三島由紀夫は出てこない。三島の周囲にいた120人の証言である。証言者は作家川端康成から椎名誠、政治家田中角栄から菅直人、芸能人中村歌右衛門からドリフターズ、歌手美空ひばりからユーミン、等等多彩である。もちろん嘆き悲しむ人から、嘲笑する人までいるわけだが、当時の昭和日本の社会的な雰囲気が良くわかる本である。時代の切り口としては大変よく出来たドキュメンタリーとなっている。

  • 知れば知るほど三島事件の謎が深まるばかり。

  • 三島の主義主張には共感しないけれど、なぜだか惹かれては彼の小説を幾度も手にしてきた。この本に出てくる百余人の証言者たちにも熱烈なシンパは殆ど出てこない。ただ彼のスター性カリスマ性による求心力は大きなもので死後40年経った現在でもその力は持久している。アンチであったはずの大江がいちばん三島の精神性を受けとめ、アンチのアティチュードのまま答えているのが印象的だった。1975年11月25日の衝撃と時代の空気を感じることができた。

  • 三島由紀夫とその日の人々

  • 「1970年11月25日あの奇妙な午後を僕は今でもはっきりおぼえている」と村上春樹の「羊をめぐる冒険」は始まる。昭和45年11月25日がどんな時代の一日であったかを知るにはとても良いやり方で、この本は書かれている。100人以上の著名人が11月25日をどう感じどう過ごしたか、又その人が三島とはどのような位置関係にあったかを知る事で間接的に時代と三島を知る事ができる。先の村上春樹にも少なからず影響を与えたはず。そして読めば読むほど、三島は自身の信じる陽明学、「知行合一」の最後の実践者であると再確認することになる。それから40年、時は流れて今、時の総理は憲法改正、自衛隊の国軍化を目指している。右翼化する日本と言う人もいる。しかし三島の時代と比べてもどれほどの人が憲法や自衛隊の事を本気で考えているのだろうか?平和ボケもいいかげんにして欲しいと言いたくなる。与えられた物に満足していてはいつまでたっても本当の戦後は終わらない。三島の檄文をあらためて読んでほしい。

  • 三島由紀夫の文学論に直接触れるのではなく、時代を共有した諸氏100名以上の回想を述べることで、却って三島由紀夫がどういう存在だったのか、そして昭和45年とはどのような雰囲気の時代であったのか、断片的にとはいえ分かり、非常に面白かった。

  • ファンなら読んでいて、
    本書がある三島作品のトリックを導入しているのが、
    よくわかることと思う。

    こんなに沢山の人が事件について語っていたとは。
    いやはや、著者の努力に頭が下がるばかり。

  • 事件自体はほんの数時間の出来事だった。しかし、その事件の発生は
    各界に大きな衝撃をもたらした。

    日本を代表する作家であり、ノーベル文学賞受賞の可能性も取り沙汰
    された三島由紀夫は自身が主催する民兵組織「盾の会」会員を引き連れ、
    自衛隊市ヶ谷駐屯地を訪れた。

    三島と自衛隊は近しい関係にあった。だが、この日の訪問は穏やかには
    終わらなかった。

    東部方面総監を人質に取り、自衛隊員にクーデターの決起を促す
    演説を行う。三島の演説には自衛隊員からのヤジが飛ぶ。

    これだけでも充分な大事件である。その後、三島は自衛隊員が彼と
    一緒に立とうとしないことを確認し、切腹という方法でこの事件の幕
    引きをする。

    その日、昭和45年11月25日。三島由紀夫と盾の会の事件は、当時の
    著名人、またその後、世に出ることになる著名人にどんな衝撃を与え、
    何を残したのかを時系列で綴ったのが本書である。

    膨大な資料を駆使して120人の事件の受け止め方を描いており、
    この事件を検証した類書とは趣を異にしている。

    今、「11月25日」といってもすぐに三島由紀夫と盾の会事件と答える
    ことが出来る人は少ないだろう。あの日に何が起きていたのかを
    追体験するにはいい。

    事件検証の資料は何冊か読んだが、結局、三島由紀夫が何を思い、
    このような行動に出たのかは分からなかった。

    もしかしたら、クーデターなんて当の三島自身も可能だなんて思って
    いなかったのではないか。あの日、東部総監室の赤い絨毯の上で
    切腹し、死に至ることは彼が夢見たナルシシズムの終着点では
    なったのだろうか。

    「三島は季節を間違えたな。桜の季節にやるべきだった」

    寺山修二が「天井桟敷」のメンバーに言ったという言葉が印象的
    だった。そう、何故、11月だったのだろう。桜の舞う季節だった
    のなら、その死はまた違った印象を残したのかもしれない。

    三島さん、いや、公威さん、おもちゃの兵隊に囲まれて、あなたは
    自分の理想とする死に方で死んだのですか?

  • あの日、あの人は、どうしてたか?という本。

    印象に残ってるのは、ユーミン。
    偶然演説している三島を目撃したらしい。

    1970年ということは、
    自分が生まれるよりも10年以上も前のことなんだけど、
    当時、『その日』を体験していた人は、
    当然、今も普通に生活しているわけで、
    遠い昔の話ではない、という衝撃を受けた。

  • この当日の、百数十人の文壇、演劇・映画人、政界やマスコミ関係者などの記録を時系列に追いながら、三島由紀夫の自決事件の真相と意味を問うたノンフィクション。

    大変面白い視点で、人々と三島との関係性のみならず、登場した多数の著名人その人たちもなかなかに興味深い。

    全体を一読した後のあとがきがまた非常に面白く、著者が、この三島事件という彼の一世一代の「大芝居」は、1970年代であったから成り立ったもので、現代の風潮を考えれば、もし今同じことが起きてもこうは行くまいと言うのには、膝を打つ思いだった。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「カメラジャーナル」「クラシックジャーナル」を創刊し、同誌のほか、ドイツ、アメリカ等の出版社と提携して音楽家や文学者の評伝や写真集などを編集・出版。クラシック音楽、歌舞伎、映画、漫画などの分野で執筆活動を行っている。

「2019年 『阪神タイガース1985-2003』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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