人生が深まるクラシック音楽入門 (幻冬舎新書 い 16-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982215

感想・レビュー・書評

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  • 鼻歌でいいんだ

  • 2021/2/25

    序盤の、「中絶を考えていた女性がバッハに感動し、この素晴らしい音楽がある世界に子どもを連れてきたい」という話には読者の僕も感動。音楽は心に語りかけるもので、映画『ショーシャンクスの空に』では文化と隔絶された人々の心にも音楽が響くんだ!ということが強調されている。

    僕自身、素敵でありつつも過酷なことが多いと感じるこの世界で子どもをつくることの責任を時々考えるが、この世に人の心を震わせる音楽がある限り、それは肯定されるべきことなのかもしれない。



    メモ

    ポップスがカバーする範囲は心全体の1.2割
    → ちょっと言い過ぎ、かな

    ブラームス交響曲第4番の冒頭からも、過ぎ去り帰ってこない人生、残された日々への愛惜と焦燥という人間の真実の声が聞こえてくる。
    桑田佳祐も美空ひばりも難しい音楽。細部に神が宿る。
    声に出して歌い、ピアノで弾いて、音楽が元来求める姿を掴む
    ベートーヴェンは超力を失ったが自身の声は聴くことができた
    → 第9の合唱 「おお、友よ!こんな(器楽の)音ではない、もっと心地よい響きに歌声を合わせようではないか!」
    好きな曲は鼻歌で歌う、口笛でも
    ベルリンフィル→プロテスタント(合理的) ウィーンフィル→カトリック(瞑想的) それぞれで運命を聴き比べ
    第9はオスマン帝国の楽器であるシンバルやトライアングルを使っていて、ウィーン包囲も考えると喧嘩を打っているよう
    イタリア→カトリックでロマネスク建築が多い。小さいので音が響く→単旋律で転調を多用できない。
    ドイツ → プロテスタントでゴシック建築。大きいので音が響かない。
    イタリアの低音はバッソ・コンティニュオ→通奏低音
    ドイツはゲネラルバス
    プロテスタントのオランダが早い時期に海を制したのは地動説に基づいた正確な海図を作れたから
    → ポルトガルスペインは大航海時代を率いたが、地動説禁止という足枷から天体観測が発達せず衰退
    英雄の最終楽章はフーガ
    ワーグナーは「前奏曲と愛の死」

  • 入門書ほど正確を期していただきたい。ホントは星なんか付けられない、トンデモ本。

    P.25:バッハのカンタータやオラトリオなどの教会音楽は、「死」を正面から見据えてつくられています。
    →そんなこと断定できない。

    P.31:バッハの《ゴールドベルク変奏曲》は、もともと、不眠症の王侯貴族が安眠用に作曲させたものでした。
    →今では諸説有

    P.34:一般的な西洋音楽史の本を開けば、その歴史は《グレゴリオ聖歌》から始まったとされます。
    →その前に音楽はなかったというのか、ギリシャは?

    P.50:実は《第九》のシラーのテキストには「空を複数の太陽が駆け巡る」という一説があります。
    →本当?

    P.68:イタリアとドイツでは、そもそも低音の呼び名からして違います。イタリア語では「バッソ・コンティニュオ」、通奏低音と呼ばれます。コンティニュオは英語の「コンティニュー(続く)」と同じですから、まさに「通奏」です。それに対して、ドイツ語は「ゲネラルバス」、ジェネラルつまり「一般的な低音」です。
    →はぁ?

    P.73:バッハが愛用した「平均律」的な調律でした。
    →大嘘

    P.77:バッハ自身はプロテスタントですが、カトリック教会からの作曲依頼も受けました。なかでも一番有名なのは《ロ短調ミサ》でしょう。
    →これは異なことを。新説か?

    P.242:一人の少年によって発見され、彼の手になる革命的な奏法でよみがえったのが、バッハの《無伴奏チェロ組曲》だったのです。
    →どこから引用したの、こんな話。

  • すごく配慮の行き届いた本だと思った。音楽史、楽器史、演奏家史、すべてがバランスよく配分されていた。また、著者自身の個人的音楽遍歴も書かれていて、クラシックが気になっているけれども躊躇している人にとって恰好の入門書だと思った。

  •  大学では物理学を修めた作曲家・指揮者である著者が、「こんなきれいな音楽があるなら…」、「音楽は心を入れる」、「震災後に勇気を沸かせた」とクラシック音楽へいざなう。
     難解な数式ではなく、自身にある日突然響いた「弦チェレ」の体験、最初はネット動画のつまみ食いでも良いと敷居が低い。
      一方、時代とともに移ろう、建築様式や宗教との関係、楽器の起源や録音技術など、理詰めで納得の行く解説の密度・レベルは高い。
     巻末に是非ライブで聞いてほしい12作品とともに、著者の私的な音楽遍歴ともいえる127の推薦作品ガイドが載り、音楽への愛が満載の本。

  • 三葛館新書 762.3||IT

    本書は作曲家であり、指揮者でもある著者によって書かれたクラシックの入門書になります。クラシック音楽はグレゴリオ聖歌にまで起源を遡れば、なんと約1200年の歴史があるそうです!それを聞くだけでも高尚で取っ付きにくそう・・・と思われた方はぜひこちらを読んでみてください。日常生活の中のクラシックから西洋音楽の歴史、楽器の歴史や音色まで「へぇ~」と感心したり「そうだったのか!」と驚かされたりすることがたくさん紹介してあります。この1冊を読み終わる頃には、クラシック音楽がより身近に感じられるかもしれません。
                                  (うめ)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=63525

  • なるほどーと、勉強になった。
    知ってる曲、好きな曲ばかりではなく、いろんな曲を聞いてみようと思った。

  • クラシックという音楽分野について、違った視点を与えてくれる本です。著者のことは、不勉強で十分理解していなかったのですが(すみません)、感銘を受けました。

  • 素晴らしい!

    東大卒の博識の指揮者でもある著者のクラシック入門書。
    非常に分かりやすく、音楽に関する幅広い知見の中から面白いエピソードを散りばめています。

    著者は東大理学部物理学科を卒業し、東大の大学院で理学系研究、および文化研究博士課程修了。

    現在は脳認知生理学に基づく音楽表現の国際基礎研究プロジェクトを推進されておられます。

    音楽はその作曲者の意図を理解するならホールで聴くべきだとありました。
    正にその通りで、演奏される場所が土壁の教会なのか広い教会なのかによってバッハは曲作りを意図してたという説には非常に感銘を受けました。
    ひいては現在の音楽についても言えます。
    作曲者の本来の意図を理解するなら、スピーカーで聴くのではなくホールにて残響音や音の出場所を含めて感じるのがよいとしてます。とくに、ワーグナーやマーラーは作曲の創意工夫が音響にあるとのこと。

    CDからでしかワーグナー、マーラーは聴いたことがないので、一度ホールで聴いてみたくなりました。

    その他、分かりやすく作曲家や歴史についても言及。

    自信を持って星五つを付けられる本です。

  • 入門とあるが、結構奥深い。教会の建築様式がロマネスクからゴシックに変わったことや、宗教革命によって教会に大勢の人々が入り音が吸収されるようになったためにモノフォニーからポリフォニー(ドイツバロック)へ移行したとか、フランス革命によって芸術がキリスト教から解放され、魔女や妖精を取り入れた物語のある音楽(ロマン派)への移行した、といった歴史的背景は興味深かった。
    また、擦弦楽器の中に入っている魂柱やチェロやコンバスのエンドピンが音を響かせる重要な役割を果たしていることや、舞台から効果的に音を聞かせるために様々な工夫がなされていることも知ることができた。

    <関心を持った曲>
    フランク:交響曲ニ短調

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著者プロフィール

1965年生まれ。作曲家=指揮者。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。
東京大学大学院物理学専攻修士課程、同総合文化研究科博士課程修了。第一回出光音楽賞ほか受賞。東京大学大学院情報学環・作曲=指揮・情報詩学研究室准教授。『さよなら、サイレント・ネイビー』(集英社)で第4回開高健ノンフィクション賞受賞。

「2009年 『ルワンダ・ワンダフル!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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