【中国版】サブプライム・ローンの恐怖 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982345

作品紹介・あらすじ

2011年、中国政府は毎月のように金融引き締めを実施しているが、インフレが収まる気配はない。一方で、雇用者数の8割を占める中小企業が金利上昇により銀行から融資を受けられず、倒産ラッシュが勃発。金融引き締めの手綱を緩めれば食品価格が跳ね上がり、中国全土で暴動が勃発するため、中国政府はもはや手立てがない状態だ。リーマン・ショック後に約48兆円(4兆元)の財政出動をし、壊滅的な先進国の輸出を支えた中国は、その副作用でまさに自爆寸前。中国が内包する矛盾だらけの経済の実態を暴く。

感想・レビュー・書評

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  • 様々な角度から現在の中国の問題について書かれています。不動産市況の今後を読むうえでは非常に参考になる一冊です。中国のインフレの元凶も理解できました。。政治的な混乱は軍部の増強につながり、これは世界の平和にとっては大きなリスクとなりそうです。。自らの将来戦略に関しても考えさせられる1冊です。

  • 中国という国の状況をわかりやすく伝えてくれる本。
    なんだかすごい課題を内包していることはよくわかりました。
    こんな国に投資して進出していく日本の会社ってどうなんでしょうか?
    資産の投機ならまだしも投棄にならないことを祈るばかり。
    でも、まわりを見渡せば、中国、北朝鮮、韓国、そして、極めつけは日本か。
    なんとまあ東アジアの国々って個性的でリスク満載なんでしょうか。

  • 私は仕事の都合で中国に赴任してから2年になるが、
    至るところで暴動と呼べる事件が起きているとは
    知らなかった。

    当然、中国人もほとんど知らないだろうと思う。

    2012年の中国経済はどうなるのか。
    非常に興味深い。

  • 中国不動産バブルは崩壊し、共産党政権は混乱に陥る、

    という石平氏の希望的観測の本

    四大古典小説の小話、
    「西遊記」「紅楼夢」「三国演義」「水滸伝」

    「3400万人余剰男」と「植民地戦略」

  • 中国の喫緊の課題が、インフレと不動産バブルの崩壊であることが繰り返し述べられていて大変参考になる。軍事面も含め中国情勢から目が離せない。石平氏の著作は始めて読んだ。活躍に注目したい。

  • 外資系に勤務しているのですが、先日社内会議があり、今後のわが社の成長は中国やインドの成長にかかっていると確認したばかりです。

    そんな状況にいる私にとって、中国が崩壊するとは信じたくないですが、この本を読むと不安になってしまいます。

    この本の著者(石氏)は、中国の実情に詳しい方であり、彼が2012年には崩壊をし始めると警告しているのである程度の覚悟は必要なのでしょうか。

    サブプライムローンの崩壊の影響は日本を含めて全世界に悪影響を及ぼした中で、中国だけは一時期からV字回復したと世間では言われていますが、それは中国政府の金融政策(異常な量的緩和)によるもので、いずれ崩壊するとのことです。

    以下は気になったポイントです。

    ・2011年6月現在、北京市で売れ残りの不動産在庫面積は、すでに3300万平方メートルで、時価では約12兆円であり、平均的販売率からすると、在庫消化には1年半以上かかる(p16)

    ・中国はずっと好景気であるが、意外なことに、「需要が供給を上回ることがほとんどなく、むしろ逆」、中国経済は2006年からすでに深刻な生産過剰になっている(p23)

    ・中国が直面しているインフレは、普通のインフレと異なって、需要や供給と関係がなく、企業などによって提供されるモノやサービスの量を上回る形で、中央銀行によって貨幣が増やされて、貨幣価値が下がることでインフレが起きるものである(p28)

    ・一般に先進国では、マネーサプライとGDPの比は50から70%(バブル経済の日本は20%)であるが、現在の中国は260%である(p31)

    ・中国では、国民消費は経済全体に占める割合が低く(1991:48%、2010:37%)、内需の慢性的不足(米国:70%、日本:60%)になっている、そのために投資と輸出の拡大を図る必要がある(p34、37)

    ・中国では1回の診療で払う一人当たりの平均医療費は、月給の4分の1程度もある(p38)

    ・スイスUBSの試算では、現在の中国で中産階級と認定できるのは、2500万人程度で、総人口比較2%のみ(p39)

    ・1997から2007年までの11年間、中国のGDPに占める労働報酬の比率は、53%から40%程度に落ちた(p40)

    ・中国の外貨管理制度のもとでは、国内企業の稼いだ外貨は企業の手元には入らない、中国政府(中国銀行)によって買い占められて、政府の外貨準備高となる、その代り、輸出企業の稼いだ外貨に相当する額の人民元を発行して、輸出の対価として企業に渡す(p45)

    ・人件費、エネルギー資源の高騰がもたらす生産コストの急増、アメリカ経済の衰退が原因で、中国では輸出が伸び悩み、中国の多くの企業が「利益ゼロ」になり、多くの企業が工場や機械を売却しようと努力している(p54)

    ・日本では企業の生産部門が調達した資金は30兆円程度(GDP比較で6.4%)で、中国の場合は、借金の割合は28%である(p68)

    ・死にかけた不動産バブルが復活したのは、2009年から政府が行った放漫融資にあった(p92)

    ・中国人民はいまは四大古典小説を実演している、エリートと金持ちは「西遊記」、高級幹部は「紅楼夢」、地方政府は「三国演義」、庶民は「水滸伝」である(p132)

    ・多くの富裕層を海外移住にとりたてたのは、中国国内の環境汚染、食料・医薬品の安全問題、公共サービスの悪さ、社会的不平等、法制度の不整備等にある(p156)

    ・過去10年間に中国から海外への移民数は年平均45万人で、彼らが外国へ持って行った資産は2500億ドルで、中国政府と国内企業がいままでに行った直接投資の2倍(p157)

    ・一般の出生比率は、女100に対して、男は103-107であるが、中国(2008年)では、男が120であった、これは「一人っ子政策」による(p200)

    ・中国は過去30年間にわたって「一人っ子政策」により、人口を4億人減らすことができた(p203)

    2011年10月29日作成

  • 献本御礼

  • 前半だけ読めば著者の問題提起する中国経済の問題点が理解できると思う。

  • 中国のバブルについて知りたくて読書。

    著者の本を初めて拝見させてもらう。著者のような専門家に活躍してもらえる日本であって欲しいと個人的に願う。さすがに中国出身だけあり情報取得に長けている印章を受ける。

    新しい本なので2010年4月の庄河の土下座嘆願、2011年8月の大連のデモなども取り上げられている。

    日本でもデフレ解消のためにマネーサプライを増やすことを主張する専門家もいるようであるが、むしろ日本は実施して、多少インフレへ誘導してもいいのではと思ってしまう。日本が再び経済成長の道を歩み出すことで、中国にも大きな影響が与えられると思うから。

    大連に住んでいてもこれだけの格差、物価上昇の中で、ある程度の治安が保たれていることは奇跡だと感じることがある。

    インターネットの力が今後の中国の方向性へ影響を与える要因となりつつある。仮にバブルが崩壊して、経済成長が失速したときに正当性と存在価値を問われる可能性がある共産党政府はどうのような国策を出してくるのであろうか。

    人民解放軍を統制する憲法、法律がないという事実は衝撃的。シビリアンコントロールされていない北朝鮮と同じだと初めて知る。

    もし中国人と結婚しても不動産を購入する氣にはなれなくなる1冊。

    読書時間:約50分

    本書はお借りしています。有り難うございます。

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著者プロフィール

評論家。1962年、中国四川省成都市生まれ。1980年、北京大学哲学部に入学後、中国民主化運動に傾倒。1984年、同大学を卒業後、四川大学講師を経て、1988年に来日。1995年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了し、民間研究機関に勤務。2002年より執筆活動に入り、2007年に日本国籍を取得。2014年『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。近著に『漫画でわかった! 習近平と中国』(かや書房)、『世界史に記録される2020年の真実 内患外憂、四面楚歌の習近平独裁』(ビジネス社)、『中国五千年の虚言史』(徳間書店)、『日本共産党 暗黒の百年史』(飛鳥新社)などがある。

「2021年 『中国 vs. 世界 最終戦争論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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