重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

著者 : 大栗博司
  • 幻冬舎 (2012年5月29日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982611

作品紹介

宇宙を支配する力の正体
アインシュタインの相対論から始まり、ブラックホールやビッグバン、ホーキングのパラドックス、さらには究極の統一理論とされる超弦理論まで、最先端の理論が直感でわかる、エキサイティングな宇宙論。

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)の感想・レビュー・書評

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  • 『宇宙になぜ我々が存在するのか』を読んで、わくわくする一方、途方に暮れた。はて、この分野に少しでも近付くには、次に何を読めばよいのか・・・?
    ネット上で、本書の試し読みが目に付いた。目次をさらっと見るに、GPS・重力七不思議・相対論・ブラックホール・シュレーディンガーの猫・超弦理論・多次元と、なかなか興味を惹く項目が並んでいる。ちょっと読んでみようか、と借りてみた。

    私たちが地上で日常生活を送れるのは、重力のおかげと言ってもよい。重力がなければ、すべては宇宙空間に飛んでいってしまう。
    しかし、重力には意外に謎が多いのだという。重力の七不思議といわれるものがある。


    1)重力は「力」である
    2)重力は「弱い」
    3)重力は離れていても働く
    4)重力はすべてのものに等しく働く
    5)重力は幻想である
    6)重力は「ちょうどいい」
    7)重力の理論は完成していない


    1)はニュートンのリンゴのエピソードがよく知られる。リンゴにも月にも、「万有引力」が働いている。2)は、磁石との比較を考えるとよい。クリップが磁石に吸い付けられる力(電磁力)は重力よりも遙かに強い。5)に関しては、エレベーターの上昇・下降がよい例になるだろう。重力には見方によっては姿を変える、不思議な性質がある。6)は、重力が今より大きかったら物質はすぐに重みでつぶれてしまったり膨張して拡散してしまったりしただろう、ということである。そうであればそもそも生命体など生まれようがない。
    こうしたことを含めて、7)の不思議がある。身近な力なのに、実はわかっていないことが多いのだ。

    物理の理論は「10億(10の9乗)」ステップで広がっているという。
    通常より1つ大きいステップ(10億メートル=月の軌道)に上がるまではニュートン理論で説明が付く。それより1ステップ上がると(銀河の大きさ)アインシュタイン理論が必要である。さらにもう1ステップ上がるとアインシュタインの理論も破綻してしまう(ちなみに小さい方にいくと、1ステップ下がって(10億分の1(ナノメートル))分子サイズであるナノ・サイエンス、さらに1ステップ下がると(<10億x10億>分の1)素粒子の世界となる。こちらでは量子力学が活躍するが、これより小さくなると量子力学理論もまたほころびが見えるようになる)。

    アインシュタイン理論では、重力は時空間の歪みである。平らな面に重みのある球を乗せると面には凹みができる。その凹みに落ちていくのをイメージするとよいようである。

    ところがアインシュタイン理論にも限界がある。相対論と量子力学を融合させる試みの中で生まれてきたホログラフィー原理によると、三次元空間のものは二次元に変換できるのだそうだ。この場合、重力はもちろん、空間そのものが「幻想」だということになるのだという。
    ただ、現実世界にいる際、重力理論は日常現象を理解するのに必要なものであるので、重力理論自体が無用になるわけではないようだ。

    いささかキツネにつままれるような話もあるが、「二次元世界に球が現れたらどう見えるか」、「円周率が3.14でない世界」、「超高速粒子は過去に戻りうる」、「粒子が過去に向かうことと反粒子が未来に向かうことは同じである」等、エキサイティングな話題がちりばめられている。

    数学と物理が切磋琢磨しながら、この分野はどこへ向かっていくのだろう?
    読み終わって、やっぱり、わくわくしつつ当惑もしている。わからないながらも、何だかわくわく感に惹かれて、またいずれこの近辺に立ち寄るような気もしている。すべてをわかることはないのだろうが、それもまた楽しい、のかもしれない。

  • この本は重力にフォーカスして現代の素粒子・宇宙物理学の分野ではどのような研究がされているかということについて書かれた本です。

    最初に重力の導入から相対性理論、ブラックホール、量子力学ときて最後に超弦理論へと話題が展開していきます。

    超弦理論に関する一般書はいくつか読んでいましたが、欠損角の概念やファインマンダイアグラムの見方、閉じた弦は事象の地平線で開いた弦になるという考え方が知ることができて満足です。

    図も多く掲載されており、物理になじみがない方でも比較的読みやすいのではないかと感じた一冊です。

    相対性理論やブラックホール、超弦理論に興味がある方にはオススメだと思います。

  • 「重力とは何か」で始まった問いが、時間や光と重力の関係につながる。さらに相対論を通して広い宇宙の話になったかと思うと、超ミクロな世界を解き明かす量子論の話になり、その超ミクロな量子論が超弦理論となって再び宇宙の謎の解明へとつながる。まさか素粒子の世界の研究が、宇宙とこの世界自体の研究につながっているなんて。なんてドラマチックでエキサイティングなのか。
    七章~最終八章の辺りでは、大栗先生のパッションがほとばしっているよう。 もう少し量子論が理解できたら、もっと楽しめそう、悔しい。

  • ・重力の性質を考えると、重いものと軽いものが同時に落ちるのはやはり不思議です。重力は質量が大きいほど強く働きます。したがって、重い物体ほど「地球に引っ張られる力」が強い。もし同じ高さから同時にリンゴとスイカを落とせば、より質量の大きいスイカのほうが地球に強く引っ張られるので、先に着地するように思えます。
    ところが実際には、そうはなりません。空気抵抗がない場所では、質量に関係なく、物体は同じ速さで落下します。これは何故でしょうか。
    そこで私たちが忘れがちなのは、ものは重いほど「動かしにくい」ということです。
    …学校の授業では、動かしにくさを表す質量と、重力の強さを表す重さを区別して教えます。実際、この二つはお互いに何の関係もないように思えます。どちらかが大きくて、リンゴかスイカのどちらが先に落ちてもおかしくはないのです。ところが現実には、なぜかぴったりとキャンセルされるので、同時に落ちる。これについては精密な実験が行われており、現在では10兆分の1の精度で「質量」と「重さ」が一致することが分かっています。では、どうして「動かしにくさ」と「重力の強さ」という二つの効果がぴったりキャンセルされるのか。これについては、ニュートン理論でも説明されていません。このWHYへの答えを出したのが、アルベルト・アインシュタインでした。

    ・病を得てからは短命かもしれないと知り、生きることには価値があって、自分には成し遂げたい事がたくさんあることを悟った。―スティーブン・ホーキング

    ・LHC<欧州合同原子核研究 機関(CERN)の世界最大級加速器(Large Hadron Collider)>の1京倍のエネルギーを実現する加速器を考えてみる。LHCと同じ技術を使うとすると、その加速器は銀河の厚みと同程度の半径です。そのエネルギーで加速した粒子の波長は、<1億×10億×10億×10億>分の1メートル。10ナノ・ナノ・ナノ・ナノメートルになります。そして、この波長の粒子が衝突した際に生まれるブラックホールのシュワルツシルト半径は、<1億×10億×10億×10億>分の1メートル。加速器の分解能とブラックホールの大きさが同程度になるので、「技術的に不可能」なのではなく、「原理的に不可能」。物理学では、原理的にすら観測できないものは「ない」のと同じであると考えます。

  • 正直言って、後半はよくわかりませんでしたが、それでも、ワクワク感は最後まで持続しました。

    わからないことが心地いいと思える本には、なかなか出合えないですが、この本は、数少ない、わからないことが心地いいと思える本でした。

    重力について理解するだけでなく、もう少し入門的な、相対論や万有引力に対する理解を深めるためにも有効な本だと思います。

  • 素粒子物理学の現役研究者である筆者が、身近な重力をとっかかりに、物理学・宇宙論の魅力を詰め込んだ一冊。はっきり言って一回読んだだけじゃわからん。再読はマスト。尻上がりに難解な内容になっていく構成のため序盤の読み飛ばしは禁物。確かにわかりやすく歴史的なストーリーも把握しやすくコンパクトにまとまっているし宇宙論のさわりとしてはいいと思う。しかし超弦理論などの複雑怪奇な理論をたった数ページで理解できるわけもなく、理系であれば歯がゆくもどかしい思いに悶々としながらページを繰ることになるはず。全体を俯瞰するには非常によい。

  • 潮汐力の説明のところはとてもわかりやすかった。
    量子力学は多次元の話になってくると、もはやたとえ話で雰囲気をつかむしかないが、それなりに楽しめた。

  • 子供達が小さい頃、よく公共施設の科学館に連れて行った。簡単な重力の実験が遊びながら出来るようになっていた。ふと、何で離れている月や太陽から力が伝わるんだろうと疑問が湧いた。ニュートンさん、変じゃないか。
    「ブラックホールを避けて、ロケットを打ち上げよう」なんてゲーム状の展示もあった。スマートボール大のボールを斜めに打ち上げるゲーム。盤にはスリバチというか、アリジゴク状の穴が幾つも。もしや、重力は空間の歪みではなかろうか。
    中高生の時分には何も思わなかったのだが、いい歳して重力のことが解からず、気になっていた。で、新聞評を見て購入。

    アインシュタインの相対性理論の説明は似た説明を過去にも読んだな、と思いつつ読み進んだ。読んだ事実と理解は別物ではあるけれど、本書の説明はかなり解かり易い。噛み砕けない処を無理に丸呑みさせられるように感じることが無い。しっかり理解したと云うつもりもないが、面白かった。
    超弦理論も数年前は何か胡散臭く語られていたが、研究が進んだ成果は、おお、そうなのかと驚きと伴に納得させられる内容だった。重力についてもそこまで解かったのかと感心。逆に云えば、今まで意外と解っていなかったんだなあ。

    本書については先端の研究家が自身の研究をわかり易く、熱を込めて語ってくれるのだから、文句のつけようがない。とても楽しい読書ができた。電車やバスで即時に眠りこけることも多かったが。
    量子力学についてニールス・ボーアについて全然触れず、コペンハーゲン派以外の学者を取り上げていたのが、ちょっと不思議。

    この後は、電磁力を教えてくれる良い本ないかな。

  • 相変わらず何かよく分かりませんが、知的興奮をもたらしてくれる。
    この作者も天才?
    スポーツ選手と違い、学問の世界では言語による説明能力が天才と呼ばれる人には備わっている模様(当たり前か)だが、この人もその匂いを感じる。
    「科学とは自然を理解するために新しい理論を構築していく作業」、昨今の経済学者等に聞かせたいお言葉です。

  • 前半はスラスラ読めてちょっと物足りないくらいだけど、後半は脳みそ高速回転状態。たぶん、このあたりは数学的に理解した方が分かりやすいんだろうなぁ。

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