怖い俳句 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 115
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982697

感想・レビュー・書評

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  • 趣味で川柳や俳句をしている親類が勝手にこの本を置いて行った…。俳句なんて…学校の授業でつくったきりで…本を置いて行かれても困る…と思ったけど、読んだら思った以上にこわかったです。見たことあるな名前もちらほら。


    そして虫(蟲)、蛇、縊死、花、芒などの多いこと。多いこと。


    ●流燈や一つにはかにさかのぼる 飯田蛇笏
    アニメ「僕だけがいない街」のEDや、貴志さんの「新世界より」のワンシーンが浮かんだ。



    他こわかった句。

    ●月照らすわが死後もある靴の河 鈴木六林男
    ●死ね死ねとそそのかされぬ煮凝に 加藤けい
    ●月天心まだ首だけがみつからず 真鍋呉夫
    ●林間を鬼とぶ野菜光る村 金子兜太
    ●吊るされて 一と夜 二た夜と 揺れるばかり 高柳重信
    ●六月の皿に盛りたる人の顔 栗林千津
    ●ホントウニ死ヌトキハデンワヲカケマセン 津田清子
    ●むこうから白線引きがやって来る 樋口由紀子
    ●ローソクをもってみんなはなれてゆきむほん 阿部完市
     
    ●釣瓶落しの日が首つりの縄の中 有馬朗人
    『京都綺談』の高木彬光『廃屋』に雰囲気が似ていた。


    一番好きなのは…
    ●砂丘風紋翅ひろげゐる揚羽の死 山口草堂
    でした。


    一、二を争う怖さの句の怖さは、私が未熟すぎて全然理解できませんでした…。(三角形の句なんて…ちんぷんかんぷん。)ただ女の人の句の方が圧倒的に怖さを感じた。(←怨、みたいな…。)お風呂に入って髪を洗っている時、久しぶりに後ろが気になりました…。真夜中にトイレに行って廊下で自分ちの猫にばったり会っただけで悲鳴をあげてしまったり…。パッと見怖くないのに、よく考えるとホラーだったり…小説の怖さとは雰囲気がまったく違う。おそろしい。


    それにしても俳句はこんなに短いのに、小説やアニメを思い出させたりと…伝える力やイメージさせる力は圧倒的に強い。まえがきでも述べられているように、“世界最短”で“世界最恐”とはこの事なのね…と思い知らされました。

  • そういえば最近、
    (怖い思いをした事が無いな・・・。)

    本書を手にとりながら、そう思った。

    夜中のトイレも
    母親の小言も
    ホラー映画の中のゾンビにも

    ビビらなくなったね。私…。

    ふと、
    (怖いもの…

    どこへ消えたんだろう?何時の間にいなくなっちゃったんだろう?)

    無敵の私は、ほんのちょっとだけ寂しくなり、

    歌人達が一体何を怖れているのかが、
    突然気になりだした。


    ねぎを切る うしろに廊下 続きけり

    戦争が 廊下の奥に 立っていた

    口開けぬ 蜆(しじみ)  死んでいる 


    ぞくっ、とする。

    私には全くみえない

    亡霊が 歌人の目には  見えている    おそまつ。

    • MOTOさん
      九月猫さんへ

      こんにちわ。 コメントありがとうございます♪

      そういえば、この3作品、
      特にゾクッときた句を適当に並べただけだったのですが...
      九月猫さんへ

      こんにちわ。 コメントありがとうございます♪

      そういえば、この3作品、
      特にゾクッときた句を適当に並べただけだったのですが、
      あれ?
      いつの間にか3句一体となって、恐怖倍増してませんか?ぶるぶる。(どなたの仕業だろう?^^;)

      無敵ですが、たった17文字にやられました。

      >紙面より 出てはならぬと 本を閉じ (^^;
      2013/03/24
    • 九月猫さん
      MOTOさん、おはようございます♪

      あああ、本当だぁっ!
      MOTOさんのレビューを読んだときには
      ちゃんと一句ずつわけて読んでいた...
      MOTOさん、おはようございます♪

      あああ、本当だぁっ!
      MOTOさんのレビューを読んだときには
      ちゃんと一句ずつわけて読んでいたのに、
      コメント書くときにはなぜか繋がってるものと思ってます・・・。

      >どなたの仕業だろう?^^;)

      ひいぃ。
      コワイのでわたしのボケだということにしておいてくださいぃ(T_T)
      (いやそれはそれで、違うイミでコワイですが;)
      2013/03/24
    • MOTOさん
      九月猫さん こんばんわ♪

      いやいや~
      確かに感想書いた時は、
      ちゃんと一句ずつわけていたはずなのに、
      改めて読んだら、なぜか繋がっていた、...
      九月猫さん こんばんわ♪

      いやいや~
      確かに感想書いた時は、
      ちゃんと一句ずつわけていたはずなのに、
      改めて読んだら、なぜか繋がっていた、ってのも…

      いやぁぁぁ~
      コワいですねっ!
      お互い、蜆の味噌汁のねぎ刻むときは・・・
      せいぜい背後に気をつけましょう・・・

      (…て、余計コワいっつーの♪^^;)



      2013/03/24
  • 世界最短の詩である俳句。

    その俳句の世界で、誰もがその名を知る「俳聖」松尾芭蕉は
    「言ひおほせて何かある」(すべてを言いつくしてしまって、何の妙味があるだろうか)
    と言っている。
    (この言葉は本書の中でも紹介されている)

    要するに「チラリズム」

    ただ、俳句で「怪奇」や「恐怖」を表現した場合、短いだけに、かえって想像が掻き立てられてしまう。
    本書では、そんな怖い俳句を紹介している。

    その怖さの種類にも
    「幽霊画を見たり、怪談話を聞いているような怖さ」
    「作者自身、もしくは作者がおかれている状況が怖い」
    「作者が体験したことが怖い」
    といったものがある。

    「幽霊画を見たり、怪談話を聞いているような怖さ」は比較的、分かりやすい。(紹介されている句の数も最も多い)
    なにより、所詮「絵」や「話」なので、実際に危害を加えてくるようなものではないという、ある種の「安心感」もある。

    そのような句の中で印象に残った句としては次のようなものがある。

    稲づまやかほ(顔)のところが薄(すすき)の穂  松尾芭蕉
      骸骨たちが能を舞う絵に感じ入っての句。骸骨の幽霊たちが踊り狂うさまを偶然、見てしまったかのよう。

    狐火や髑髏に雨のたまる夜に
    公達(きんだち)に狐化けたり宵の春
    巫女(かんなぎ)に狐恋する夜寒かな
      すべて与謝蕪村の句。怖い句ではあるが、同時に絵になる感じがする。

    流燈(りゅうとう)や一つにはかにさかのぼる  飯田蛇笏
      怪奇現象?

    蛍死す風にひとすぢ死のにほひ  山口誓子
      嗅覚にうったえる、というのはこの句だけ。「死のにほひ」がどんなものか分かりませんが、嗅げば、それと分かるものなのだろう

    百物語果てて点せば不思議な空席  内藤吐天
      さきほどまで百物語をしていたメンバーの一人こそ実は死者そのものだったのか・・・。
      「山小屋の四人」の怪談を連想させる。

    水を、水を 水の中より手がそよぎ  坂戸淳夫
      水の中からのびてくる手は「助け」を求めているのか、「仲間」を増やそうとしているのか・・・。

    海避けて裏道とほる死者の夏  大屋達治
      海水浴客でごったがえす海沿いの表通りから一歩、裏通りに入ると表の喧騒がウソのような静けさ。
      死者が歩くにはもってこいの環境なのだろう。

    隙間より雛の右目の見えてをり  小豆澤裕子
      ホラー映画で隙間から外の様子を覗いたら、邪悪な者もその隙間から中の様子を覗いていた、というシーンを連想させる。

    「作者自身、もしくは作者がおかれている状況が怖い」という句(自由律詩が多い)は紹介されている数は少ないものの、かなりゾッとするものがある。

    皿皿皿皿皿血皿皿皿皿  関悦史
      よく見ると「皿」の羅列の中に、形のよく似た「血」が混ざっている。
      いまだに意味不明だが、「皿」という日常品の中に突然「血」が出てくる怖さがある。

    ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン 津田清子
      文句なしで怖い・・・。

    本書の中で一番、怖かったのが「作者が体験したことが怖い」という句。

    戦争が廊下の奥に立つてゐた   渡邊白泉
      廊下の奥に立っていた「戦争」は人型で、ずんぐりむっくりの体型、全身真っ黒、顔は大きな口だけの異形の者(推測)
      「冷酷無比」ではあるものの、「邪気」はない気がする。

    この作者の他の句も怖い。

    繃帯を巻かれ巨大な兵となる
    赤く蒼く黄色く黒く戦死せり
    眼をひらき地に腹這ひて戦死せり 
      どれも「この世ならぬ者」が関わっておらず、戦場で実際にありそうな光景なので、よけいに恐ろしい。

    結局、一番怖いのは「この世ならぬ者」ではなく、「生きている人間」なのだろう。

  • 寺山の歌集に衝撃。
    しかし頭の悪い高校生ゆえ季語を知らない。
    切れ字もぴんとこず。
    とはいえ川柳というと言葉が低俗な印象。
    やっぱり俳句より短歌だ、
    俳句ではわずかに山頭火くらいだな、
    とまったく無駄なこだわりを持ち続けていたが、
    まったくの誤りであると眼を見開かされた。

    言葉少なく指し示すことの豊饒さ。

    ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン

  • 【怖い~を読む―2】
    いそうでいない…とか、見えそうで見えない…
    ってのが、「怖さ」を引き起こすんだろうなぁ。
    俳句は17音…すべてを語るには短すぎる…
    わかりそうでわからない…う~む、やっぱり怖い…

    本書にもあるように…
    「鑑賞する主体によって、感じる怖さはおのずと違ってきます。」
    …というわけで、ボクが怖いぃ~と思ったのは、
    こんな句でした…絞りに絞って10句…

      稲妻に道きく女はだしかな            泉鏡花

      戦争が廊下の奥に立つてゐた         渡邊白泉

      葱を切るうしろに廊下つづきけり        下村槐多

      うしろとは死ぬまでうしろ浮き氷         八田木枯

      不安な世代完全な形で死ぬ電球        上月章

      水を、水を、水の中より手がそよぎ       坂戸淳夫

      呪う人は好きな人なり紅芙蓉           長谷川かな女

      六月の皿に盛りたる人の顔            栗林千津

      きみのからだはもはや蠅からしか見えぬ    中烏健二

      かあさんはぼくのぬけがらななかまど      佐藤成之

    怖いもの見たさで一気に読んじゃったけど、
    ふと気がつけば、この本…俳句の世界を概観できるように
    なっています…そして、人の心に蠢く闇のありようも…まさに、
    本書で語られることのすべてがある世が「怖い」のかも…

  • 似たような感じで先行ヒットした桐生操『ほんとうは怖いグリム童話』や中野京子『怖い絵』みたいな「あの有名な作品に実はこんな怖い意味が…」というのとは違うが、俳句にもいろんな味わいの作品があるんだと知ることができて面白かった。

  • 「俳句の怖さは、その決定的な短さに由来します。」六月の 皿に盛りたる 人の顔/栗林千津, 鏡ヨリ 見知ラヌ我ノ 迫リ来ル/関悦史―おぞましくも美しい俳句の世界へようこそ【中央館3F-文庫・新書 080/GE/268】

  • 買ってから、あれーまた怖いの買っちゃったよー。なぜ、わたしは怖いものに惹かれるのかなーとしみじみ考えながら読みました。芭蕉から、現代までの怖い俳句の数々。ひとつひとつ読んでいくと、これはあんまり怖くない、わぁ!これはゾッとするなぁ。と自分の嗜好がわかってきます。説明が付与されない不安、分からなさ、ぽんと放り出された不条理。そういった怖さに俳句の形式はぴったりです。

  • まえがき冒頭は
      俳句は世界最短の詩です。
    とのこと

    俳句・・・何気にと手にしたら、結構はまりました
    はっきりくっきりこわい句や、そこはかとなくこわい句の数々
    芭蕉から、戦前、戦後、女流、自由律、現代まで、
    多くの俳人の作から著者が採ったものを紹介
    この最短の詩から、背景や意味を読みとるのは、
    慣れていないからなかなかむつかしかったけど
    解説のおかげで楽しめました
    また、読んでみたくなりました








    稲づまやかほのところが薄の穂  松尾芭蕉

    稲妻に道きく女ははだしかな    泉鏡花

    ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン   津田清子

    口あけぬ蜆死んでゐる        尾崎放哉

    無人駅にころがるつぶれたランドセルの記憶   種田スガル

  • 怖いものが好きというよりも俳句が好き。あの短く切り詰められた形式は、長い文章よりも人の想像力をさまざまに刺激するからこそ、見えない世界の怖さを感じさせる作品も多いのだろう。怪奇趣味のものだけでなく芭蕉から今日まで幅広い句集を渉猟して紹介した編者の労力がすごい。以下、個人的に印象に残ったものをいくつかメモ。

    流燈やひとつにはかにさかのぼる(飯田蛇笏)

    人殺ろす我かも知れず飛ぶ蛍(前田普羅)

    死にければ闇たちこむる蛍籠(山口誓子)

    包帯を巻かれ巨大な兵になる(渡邊白泉)

    萬緑や死は一弾を以て足る(上田五千石)

    野遊びの児を暗き者擦過する(永田耕衣)

    鶏殺すこと待て海を見せてから(大原テルカズ)

    鶏しめる男に雪が殺到す(橋本多佳子)

    この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉(三橋鷹女)

    ひとりゐて刃物のごとき昼とおもふ(藤木清子)

    もう一度 核爆発の閃光(ハトがでますよ)ハイ、チーズ(高橋龍)

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著者プロフィール

1960年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。早稲田大学第一文学部卒。87年『地底の鰐、天上の蛇』(幻想文学会出版局)でデビュー、97年『百鬼譚の夜』(出版芸術社)で本格デビューし、幻想小説、ミステリー、ホラーなど多岐にわたる分野の作品を次々に発表する。近年は時代小説に力を入れ、人情ゆたかな世界を描き続けている。「小料理のどか屋 人情帖」「南蛮おたね夢料理」「大江戸隠密おもかげ堂」「包丁人八州廻り」「大江戸秘脚便」など各シリーズがある。

「2018年 『八丁堀の忍』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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