官僚の反逆 (幻冬舎新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982901

感想・レビュー・書評

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  • 【どんな本?】 「官僚制化」する社会を様々な側面から描写した本。
    特に、「官僚が悪い」といって改革を進める人たちこそが、その改革で「官僚制」を強めてしまうという逆説が面白い。「改革派官僚に騙されるな!」という帯タイトルがある。
    【著者紹介】 (出典:wiki)
    中野 剛志(なかの たけし1971年 - )日本の経産官僚、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構総務企画部主幹、評論家、元京都大学大学院准教授。研究分野は経済ナショナリズム、保守思想。著書「国力論」「TPP亡国論」「日本思想史新論」など

    【オススメな点】
    ・著者は国内外の政治経済の見識が広い(近代の政治経済から現代の政治状況+他国事例)
    政治経済の基本的考えやその名著(論文)を紹介しながら解説してくれるので、知識が増えるという意味で勉強をした気になれる。(自分で原著を読み込んだわけではないので、盲信は危険かもしれない。)
    例:オルテガの「大衆の反逆」(「大衆」と「エリート」の違い)。マックス・ウェーバーの官僚論。高橋伸夫の「虚妄の成果主義」(年功序列制、成果主義等の真実)、ペルーや韓国の構造改革の結果

    【目次】
    序章:反逆の宣言
    第一章:虚妄の行政改革
    第二章:官僚制化する世界
    第三章:グローバルな統治能力の危機
    第四章:反逆の真相
    終章:政治主導を目指して

    【要約】
    ・「TPP使って、外圧で日本を変える」と宣言した日本政府OB、アメリカの外圧を利用することがまったく悪いことだと発言する外務官僚。
    →これは「国民主権」の否定を宣言している。国民主権、すなわち国民が自国の将来は自分たちの意思で決めていきたいという民主主義の理想の放棄。
     ⇒このような「官僚の反逆」の背景には何があるのか ←テーマ

    ・日本1990年より、構造改革が目指してきた。しかし政治主導を目指したはずの改革運動の結果、逆説的なことに「官僚制化」が広がってしまった。その範囲は、官界はもちろん、政界、財界、学会の隅々にまで及んでしまった。
    例:政界・官界…小泉政権、民主党政権  財界…世界のグローバル化(マクドナルド化) 学会…主流派経済学  
    ・官僚制…非人間的、計算可能な規則。官僚制組織は、大衆民主制の随伴現象である。
    官僚制の本質は、「だれかれの区別をせずに」「計算可能な規則」に従って事務処理をしていること。
    ・グローバル市場に広がる官僚制化現象(マクドナルド化)。市場における利潤追求行動は、実は官僚制化と親和性が高い。→グローバル化とは官僚制化である。
    ・新自由主義(「自由放任(完全なる自由市場)」「構造改革」「規制緩和」「小さな政府」)を達成するには、その手段として、官僚制が必要である。なぜなら、市場に介入しようとする政治に対抗できる強力な専門家集団が必要であるから。その専門家集団こそ官僚にほかならない。

  • グローバル化=官僚制=大衆社会化=定量化
    という定義のもと、議論を単純化して示しているため、
    逆にくどさと分かりにくさを与えてしまった印象。

    ただし、
    成果主義や新自由主義などの定量化できるもののみを重視する態度は、極めて官僚的であり、非人間的、機械的である。それは現実世界を極めて表層的にしか捉えていない
    という点については、非常に共感できる。

    個別的でナショナルな自由民主政治を、その非効率・非定量・不透明さにもかかわらず、目指す必要があるが、その処方箋はない。
    その面倒さに嫌気がさした市民が、独裁を標榜するような政治家が率いる集団に喝采を送ったりしてしまう。
    民主主義を尊重する態度を続けるのであれば、その面倒さを乗り越えていく覚悟が求められるのだろう。

  • 古賀茂明氏の著書も合わせて読んでみたい。

    個人的には最後の終わりにの部分がすっきりした。

著者プロフィール

中野 剛志(ナカノ タケシ)
評論家
評論家。1971年、神奈川県生まれ。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年
に同大学院より優等修士号、2005年に博士号を取得。2003年、論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism) でNations and Nationalism Prizeを受賞。著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)、『TPP亡国論』『世界を戦争に導くグローバリズム』(ともに集英社新書)、『国力論』(以文社)、『真説・企業論』(講談社現代新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『富国と強兵─地政経済学序説』(東洋経済新報社)、『目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(ともにベストセラーズ)などがある。

「2019年 『MMT現代貨幣理論入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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