官僚の反逆 (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982901

感想・レビュー・書評

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  • マックス・ウェーバーの官僚に対する考え方をうまく引用して、グローバル化と大衆化、そして官僚化に対する警鐘を鳴らしている。
    とくにグローバル化の例で出したマクドナルドの説明は非常に分かりやすかった。
    効率性・計算可能性・予測可能性・支配、そういった観点で見れば今タケノコのように出店してるフランチャイズなどまさにそのような例なんだなって思いました。

  • 筆者は、冒頭、外圧を使い、TPPへの参加をヌケヌケという元外務省官僚を批難する。

    そして、そのことは、新自由主義、グローバル化が霞が関官僚の官僚、政治家、経済界も含め、現代社会を大衆化させてしまった弊害だと論じているのである。

    論説の、根拠は、スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットとマックス・ウェーバーの主張である。

    引用されたウェーバーの一節を紹介。

    官僚制が「非人間化」されればされるほど、それだけより完全に、官僚制は、資本主義に好都合なその独特な特質を発展させることになる。

    ここで、より完全にというのは、官僚制が、愛や憎しみ、およびいっさいの純個人的な、総じて非合理的な、計算できない感情的要素を、公務の処理からしめだすのに成功することなのであって、それは、官僚制の徳性として賞賛される固有の特質なのである。

    まことに、近代文化が複雑化と専門化の度をくわえるにつれて、それは、個人的な同情、恩寵、恩恵、感謝の念に動かされる旧い秩序の首長のかわりに、人間的に中立・公平な、それゆえ厳密に「没主観的」な専門家を、それ「近代的文化」をささえる外部的装置のために必要とするのである。



    とにかく、日本をもとより、現代社会がかかえる官僚制の問題に警鐘を鳴らすすぐれた著作でありました。

著者プロフィール

中野剛志(なかの・たけし)
一九七一年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。九六年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(ベストセラーズ)など多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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