強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982932

感想・レビュー・書評

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  • 現役バリバリの素粒子物理学者である筆者が、前作「重力とは何か」に引き続き一般人向けに書いた解説書で、書名通り強い力と弱い力をわかり易く書いたものである。それらの解説は、素粒子の標準模型の解説でもある。湯川秀樹博士の頃から、素粒子物理の理論と実験の進展を逐一解説し、多くの研究者によって作られてきたこの理論が、ヒッグス粒子の発見で完成した、と説明する。わかり易くと言っても難解な理論であり、読み進むにつれ次第についていけなくなる。何度も読み返さないと、分かり易くまとめた本書でさえ理解は覚束ない。時々垣間見える筆者の天才ぶりに驚くが、それくらいでないとこの理論の本当の理解が出来ないのだろうし、アインシュタインの言う「本質の高貴さ」は辿り着けないのだろうな、と思った。

  • 『重力とは何か』と同じ大栗さんの2冊目
    重力の方が身近なこともあるし
    重力とは何かの方が、ちょっとわかりやすいかもしれないが
    これもわかりやすく、最先端物理の内容を紹介してくれる本

  • 自分のしらない力があるというのは捨て置けないため、購入したが、たしかに、大学の講義の片隅で「核力」や「強い、弱い相互作用」などの力は聞いてた気がする。力の呼称がまだ定着してなかったようだ。

    とりあえず、復習できてよかった。

  • 量子力学というのは私の想像力を遥かに超え、
    なかなか理解が及ばない。
    ということで何とか理解するべく購入した本。
    この著者と仕事をしたことがある友人は
    まずは『重力とは何か』から、
    とアドバイスをくれたが、
    4つの力の方がはるかに謎だったのでこちらを購入。

    一言で言うと、わかりやすいです。
    大して賢いとは言えない私でも、
    それなりについていけた、
    気分には少なくともなれました。
    ただ、人に説明するには、
    あと30回くらい読まないとだめかもしれない。

    宇宙や物理や量子力学に馴染みのない人にも分かり易く説明しよう、
    という真摯な姿勢が感じられました。
    若干わかりづらい例えもありましたが、
    まあ良いです。

    私のように、
    興味はあるけど専門的すぎると自然と理解を拒んでしまう人
    におすすめです。

  • 何十人のノーベル物理学者たちの理論を増改築した素粒子の標準模型。陽子や中性子内に素粒子を結び付け、距離が離れるほど強くなる漸近的自由性を持つ強い力(力を伝える素粒子:グルーオン)。原子核をベータ崩壊させて陽子と中性子を入れ替え、かつ時計回りのスピンを持つ粒子だけに働くというパリティ対称性を破る法則である弱い力(力を伝える素粒子:ウィークボソン)。β崩壊時に質量保存の法則を維持するニュートリノ。そしてヒッグス場により電磁気力と弱い力を統一し、素粒子の質量を定めるヒッグス粒子の発見により標準模型は証明される。

  • 同じく、数式を使わない本。大栗先生の文章の明快さはすばらしすぎる。真に理解し、ごまかしや省略がなく、適切な例えを用い、かつ、明快な文章である。
    いちど、朝日カルチャーセンターの公演も聞きに行きたい。
    http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=212760
    図書館で借りて読んだが、『重力とは何か』と合わせて本棚の備えておくべきだろう。

  • 読みやすい語り口だった。しかし、内容はかなり難しく、まさに新宿駅に迷い込んだようであった。前著の重力とは何かでは、迷ったりしなかったが、それは、ゴールデンゲートブリッジのように完成された理論だったからなのかもしれない。

  • 研究室の帰りに夜空の星をながめながら、この答えを知っているのは世界に自分しかいないという感動を覚えることは、研究者なら誰しも経験することでしょう。(「あとがき」より)

  • 標準模型を踏まえて、「ヒッグス粒子」の位置付けや発見の意義を説く。「強い力」「弱い力」の説明がメインだが、その前提として質量とは何か、力とは何か、「場」などが平易に説かれている。南部の「対称性の自発的破れ」の重要性が少しイメージできた。

  •  自然界に存在する四つの力。うち重力については前著『重力とは何か』であつかったので,ということで,本書は残りの三つの力について。つまり,標準模型の解説だ。中でも特に謎の多い「弱い力」が主役になっている。
     話題のヒッグス粒子についても詳しく,決して水飴のようなイメージでとらえられるものでないことや,万物の質量の起源では全然ないこと,「神の粒子」でもないことを丁寧に教えてくれる。
     ヒッグス場は電子やニュートリノ,クォークに質量を与えはするけど,それじゃ普通の物質の質量の1パーセントにも満たない。クォークを閉じ込める強い力のエネルギーが質量の起源のほとんどだそう。
     あと,ヒッグス粒子の解説本のタイトル「忌々しい(Goddamn)粒子」が編集者によって変えられて「神の粒子」になっちゃったとか。これが独り歩きして,大々的に報道されちゃったなんて,ホントかな?でも世の中って案外そういうものかもしれない。

著者プロフィール

カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授/ウォルター・バーク理論物理学研究所所長
東京大学カブリIPMU主任研究員
米国アスペン物理学センター所長

「2018年 『素粒子論のランドスケープ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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