人間にとって成熟とは何か (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983120

作品紹介・あらすじ

人はみな平等に年を取るが、しだいに人生がおもしろくなる人と、不平不満だけが募る人がいる。両者の違いはいったい何か。「憎む相手からも人は学べる」「諦めることも一つの成熟」「礼を言ってもらいたいくらいなら、何もしてやらない」「他人を理解することはできない」「人間の心は矛盾を持つ」「正しいことだけをして生きることはできない」等々、世知辛い世の中を自分らしく生き抜くコツを提言。まわりに振り回され、自分を見失いがちな人に贈る一冊

感想・レビュー・書評

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  • 著者は成熟の一つの証
    として立ち振舞いの品
    の良さを説きます。

    しかし、それは外聞を
    取繕う術を身に着けた
    だけで、

    その道の行先における
    内面は最期まで未熟な
    ままではないかと。

    人生は常に問題がつき
    まとうのが当たり前で、

    不足に思うことがある
    のも当然です。

    あるいはまた、
    齢を重ね諦観を持つに
    至るも、

    それらを人生の重さの
    実感だとして深く感謝
    出来るまでの、

    その次元の成熟に至る
    人は一体どれだけいる
    のでしょう。

    かく言う私は未だ諦観
    の入口に留まったまま、

    日々累々の細事に際し
    問題や不足に不平不満
    を禁じ得ません。

    外聞を取り繕うことに
    長けること。

    人生に諦観を持つこと。

    問題や不足に感謝する
    こと。

    これらはそれぞれ次元
    が異なる成熟の境地と
    考えます。

    ・・・
    なんて堅苦しく書いて
    みましたが、

    要するに、
    困難に直面したときに
    いかに反応するか。

    表向き冷静をよそおい
    つくり笑顔が出来るか
    ではなく、

    こんなものさと諦めて
    淡々と事にあたるでも
    なく、

    よもやその困難にさえ
    感謝の念を抱くことが
    真に目指す境地であり、

    そこまで至る人はごく
    少数ではないかと。

    なんて、
    秋の夜長に理屈っぽい
    酔っ払いの戯言でした。

    • Manideさん
      コルベットさん、おはようございます。

      成熟とはなにか?なんて、面白いですね。
      哲学的な問い、答えのない問いは、好きです。

      成熟する必要は...
      コルベットさん、おはようございます。

      成熟とはなにか?なんて、面白いですね。
      哲学的な問い、答えのない問いは、好きです。

      成熟する必要はないと思いますが、
      それを考えてみることは、人生に新しい視点が加わるかもしれないですね。
      面白そうです(^^)
      2023/11/02
    • コルベットさん
      Manideさん、おはようございます。いつもありがとうございます。本当に、成熟する必要なんてないんですよね。そんなことよりもっと大切なことは...
      Manideさん、おはようございます。いつもありがとうございます。本当に、成熟する必要なんてないんですよね。そんなことよりもっと大切なことはいくらでも。酔っ払いの迷い言として見逃してください。。
      2023/11/02
    • Manideさん
      (^^)(笑)
      (^^)(笑)
      2023/11/02
  • 自律、自覚して、人に期待しないで生きること。理屈や努力だけでは人は生きられないこと。つらい、悲しいと思えることも、曽野綾子氏は、ありのままうけとめる。

    人は「川の流れに立つ杭のようでなければならない」。それは、世の中の災難、不運、病気、経済的変化、戦争、内乱、すべてがボロ切れかゴミのようになってこの杭にひっかかるのだが、それでも杭はそれらを引き受け、朽ちていなければ倒れることもなく、端然と川の中に立ち続ける。

    気になった言葉は以下です。

    ・「安心して暮らせる社会」は、幻想
    ・憎む相手からも人は学べる
    ・人間の幸福の形というものに定型はない。なぜなら、最期に大切なのは、心の問題だからだ。心の中の幸福の量と質は、その目安を文書ではあらわせない。
    ・人権とは受けて与えることです
    ・思ったことをそのまま言わない
    ・私たちは他人というものが、ほんとうはわからない。
    ・品がいい人は、流行を追わない。群れようとする心境を自分に許さない。品を保つということは、一人で人生を戦うということなのだろう。
    ・品というものは、多分に勉強によって身につく。本を読み、謙虚に他人の言動から学び、感謝を忘れず、利己的にならないことだ。
    ・「問題だらけなのが人生」とわきまえる
    ・他人より劣ると自覚できれば謙虚になれる。
    ・人生には安心して暮らせることなどない。
    ・ほんとうに力のある人は威張らない、総じて威張る人というのは、弱い人だ。
    ・どなたの前でも、誠実に礼儀正しく、怯まずにお話しできるように
    ・どんなに努力しても、そうはならないことがある。それに努力すれば必ずよくなるのだったら、誰でもそうするだろう
    ・諦めることも一つの成熟なのだとこの頃になって思う。しかし、その場合も、十分に爽やかに諦めることができた、という自覚は必要だ。
    ・真面目な目的で人に会うときは、精一杯のおしゃれをしていく
    ・目立たない、ということは、称賛も受けにくいが、つまり避難される要素だけは取り除くという守りの姿勢である。
    ・相手に読んで理解していただく、という謙虚な姿勢を持ち続けること、しかし、書く方は居住まいを正して全力をあげて書かなければならない。
    ・初めての方に理解してもらうという姿勢を整えることが、ものを書くことの基本姿勢なのである。しかし、不特定多数の読者に対しては、相手がこちらのことを何も知らない人なのだという基本から、始まって、自分の思うことを伝えようとあらゆる努力をしなければならない。
    ・世界を意識した地理的、時間的空間の中に自分を置き、それ以上でもそれ以下でもない小さな自分を正当に認識できることが、実はほんとうの成熟した大人の反応なのだと思う。
    ・おもしろさは困難の中にある
    ・ボランティアとは自分の心に向かってやるもの
    ・甘やかされて得することは何もない
    ・貧困の条件はたった一つしかない。貧困とは「今夜食べるものがない」ことを言う。
    ・人生は最後の瞬間までわからない
    ・自由とは必ず義務を伴うものだ
    ・結論は簡単にでない。評価も単純にはつかない。人間は、どれほども、自分の眼の昏さを知って謙虚になるべきだ。
    ・今以上落ちる方法がないんだから、あなたは実にいいところにいるんだわ。後は上がるだけじゃないの。
    ・人間、現状を客観的に見て笑えれば、たいていの窮地から脱出できるのである。
    ・「すべてはかりそめにすぎない。おぼえる者もおぼえられる者も。」「遠からず君はあらゆるものを忘れ、遠からずあらゆるものは君をわすれてしまうのであろう。」マルクス・アウレリウス 自省録 より
    ・「ものごとを軽く見ることができるという点が、高邁な人の特徴であるように思われる」アリストテレス エウデモス倫理学 より
    ・よくも悪くも、人間は一時たりとも、留まったり静止したりしていない。生きることは、動き回り、変化することなのだ。

    目次は次の通りです。

    第1話 正しいことだけをして生きることはできない
    第2話 「努力でも解決できないことがある」と知る
    第3話 「もっと尊敬されたい」という思いが自分も他人も不幸にする
    第4話 身内を大切にし続けることができるか
    第5話 他愛のない会話に幸せはひそんでいる
    第6話 「権利を使うことは当然」と考えない
    第7話 品がある人に共通すること
    第8話 「問題だらけなのが人生」とわきまえる
    第9話 「自分さえよければいい」という思いが未熟な大人が作る
    第10話 辛くても頑張れない時は誰にでもある
    第11話 沈黙と会話を使い分ける
    第12話 「うまみのある大人」は敵を作らない
    第13話 存在感をはっきりさせるために服を着る
    第14話 自分を見失わずにいるためには
    第15話 他人を理解することはできない
    第16話 甘やかされて得することは何もない
    第17話 人はどのように自分の人生を決めるのか
    第18話 不純な人間の本質を理解する

  • Na図書館本

    なかなか手厳しいお考えもありましたが、何にでも表裏はあるものだし、正しいだけの人なんていない。もっと尊敬されいという思いが、自分も他人も不幸にする、まさしく。
    品は写真の時にピースしないとか、耳が痛いこと。
    健康、美容に心がける? 否、曽野流は、教養をつけ心を鍛える。

  • 今やるべきことはバイトやボランティアではなく本を読み学ぶことだ。謙虚に。

  • 何度も脱線しつつも、「成熟とは何か」に話しを戻して頑張ってまとめられている。時々「さすが鋭いな」という部分はあるが、「厄介な人だなあ」と思わせる部分も多くあり、最終的には「この人はこう考えているんだなあ」という受け止め方をして読了。参考になるご意見もあったので☆三つ。

  • 曽野綾子さんは、とても語りっぷりがいいので購入したのだが。

    結局、彼女がこの本の中で言いたかったことは、成熟についてだったのだろうか?

    私がこの本を読んで得たのは、人間の生き方は千差万別であって、そのことを、素直に認めようということ。

    曽野綾子さんが、年をとって、少々丸くなったということだろか?

  • 人間にとっての成熟は、どういうことか、筆者の考えが書かれてあります。
    なるほどと思うものもあるし、それはどうかなと思うものもあります。
    いろんな考えの人がいて当たり前であるため、なるほどと思うことは参考にさせていただきます。

  • まともなこと言うなあと言う点と老害ぽさが目立つ(保守的すぎる)点が散見されたがたまにはこの手の本もいいね

  • 曽野綾子さんは聖心女子大学で、私の好きな須賀敦子さんや渡辺和子さんの3学年下です。さらに4学年下に美智子さま。
    私はこのあたりを舞台にしたドラマを見てみたいです。朝ドラで扱ってくれないかしら。

    曽野さんも須賀さん渡辺さん同様クリスチャンですが、作家だからか、ちょっと厳しいです。
    この本はエッセイと思うのですが、実名をあげて批判しているところもあります。
    彼女は今までもそうだったのでしょうか?面白かったですけど。

    浜田雅功さんのオリンピック誘致広告について「この広告文はめちゃくちゃなのだ」と。
    余談ですが、この章で曽野さんは「東京オリンピック」を予言。神様の預言ではなくて、理論立てて説明しています。

    野田聖子さんの件に触れ
    「お世話になっていいのである。他人のお世話にならずに生きていられる人などいない。しかしどれだけお世話になったかを見極められない人には、何の仕事もできない。
    政治はもちろん、外交も経済も学問も芸術も、すべては強烈に他者の存在を意識し、その中の小さな小さな自分を認識してこそ、初めて自分の分をわきまえ、自分が働ける適切な場を見つける。
    それができるようになるのが、たぶん中年から老年にかけての、黄金のような日々なのである。肉体は衰えて行っても、魂や眼力に少し磨きがかかる。成熟とは、鏡を磨いてよく見えるようにすることだ。」

    「私は或る人が品がいいと感じる時には、まちがいなくその人が成熟した人格であることも確認している。」
    「品は、群れようとする心境を自分に許さない。」
    「品を保つということは、一人で人生を戦うことなのだろう。それは別にお高く止まる態度を取るということではない。自分を失わずに、誰とでも穏やかに心を開いて会話ができ、相手と同感するところと、拒否すべき点とを明確に見極め、その中にあって流されないことである。」
    「品というものは、多分に勉強によって身につく。本を読み、謙虚に他人の言動から学び、感謝を忘れず、利己的にならないことだ。受けるだけでなく、与えることは光栄だと考えていると、それだけでその人には気品が感じられるようになるものである。」

    「成熟ということは、傷のない人格になることでもない。そういう人もいるだろうが、やはり熟すことによる芳香を指す言葉のように思う。或る人の背後にあるその人間を育てる時間の質が大切だ。」

  • キリスト教の思想をベースに、著者が人間として成熟するとはどのようなことかを説く。年齢のせいか、流行りを極端に論じすぎている部分もあるが、「あるがままを受け入れる」という根底の考え方は共感できる。

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著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

曽野綾子の作品

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