弱者はもう救われないのか (幻冬舎新書)

  • 幻冬舎 (2014年5月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784344983458

みんなの感想まとめ

社会的弱者の救済について深く考察する本書は、戦後日本が直面するグローバル化の影響を背景に、弱者切り捨ての流れを鋭く指摘します。著者は、内外の文献を参照しながら、弱者救済の理論を探求するものの、決定的な...

感想・レビュー・書評

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  • 社会的弱者救済を実現しようとしてきた戦後日本が、世界的潮流およびグローバル化の流れの中で、弱者切り捨て、弱者の自己責任へと、舵を切ろうとしている、と著者は指摘する。
    そして、内外の著作を取り上げ、弱者救済の理屈付け、理論づけを探求するが、いずれも正解といえる答えは見いだせない。
    最後は、理由なんてない、と爽やかに言い切る覚悟を持てるかどうかだ、と結論付ける。
    常に、社会的に弱い立場の人、努力しても報われることの叶えられない人、の心情を忖度して発言する著者の姿勢に、敬意を表したい。

  • とても理解しやすかった。平成を深く考えずに生きてしまった結果が今。反省と後悔。そして不安。

  •  なぜ、社会は弱者を救う必要があるのか、というところを論じた、というか、論じたかったんだろうなあという感じの本。

     引用(時に孫引き)している本の中には、これから読んでみたいと思うものもあったので、そういう情報を得られたという意味では役に立った。
     以上。

     というか、香山リカって、研究者というよりは本質的に『テレビで何かしゃべる人』なんだなあと思った。
     本書で述べている内容も、著作したというよりは、あちこちから持ってきて切り貼りして自分の個人的コメントを付け足した感じ。
     まあ、中高生が、社会福祉に興味を持って最初のとっかかりとして読むにはいいかもしれないけど。

  •  著者が子どもの時分の回想から、現在日々の診察室で感じる格差の拡大。
     そもそも明治時代の中葉までは、貧民という概念は存在すらなかったらしい。高度成長からバブル、新自由主義へと弱者の切り捨てに至る時代の変化。
     自分自身の思いを問い詰め、リベラル知識人の責任や、そもそも弱者を救済すべき根拠があるのかにまで思いを馳せる。宗教それとも倫理であろうか。
     弱肉強食の適者生存で進んできた今日、答えは見つからないとしつつ、それでも我々は手を差し伸べてきたと結ぶのである。

  • 結論が人間臭くて好きだった。
    自分だけが豊かになった幸せになってそこで終わりじゃいけない。
    そもそも弱者強者で分けること自体良くない気がしてきた。
    年齢性別年収に固定観念を持たずに、人間同士として接することが理想かな、自分の。

  • はじまりは前橋市に届いた伊達直人のランドセル。最終的には、全国で何千人もの伊達直人が現れ、恵まれない子供たちのため善行に走った。最初にランドセルを贈った伊達直人は決してお金に余裕があったわけでもない。不幸な境遇にある子供たちの力になりたいとの一心に突き動かされての行為であったという。東北大震災では車椅子の女性を助け、自身は津波に流された女学生もいた。本書では精神分析、思想、経済、様々な視点からわが身をさしおいても弱者を救済する行動について論考する。あとがきには社会的公正や恵まれない子供たちのため世界を飛び回るドゥダメル氏の言葉が引用されている。「弱い人や困っている人を救うのは自然で当然のこと。理由などない」。けだし胸いっぱいに広がる清しい名言である。

  •  「弱者切り捨て」のグローバリズムに席巻された新自由主義の潮流の中で、「自由と公正を柱とする福祉国家」のモデルは崩壊してしまうのか。

     「弱者にやさしい社会」が失われつつあることを危惧する著者が、精神科医としての実体験も交えながら「『神なしのヒューマニズム』は果たして可能か」「なぜ、弱者を救わなければならないのか」と問う。

     「大きな物語の終焉」に際して、「新しい物語」を求める社会の要請に応えられなかった自身を含む「リベラル派知識人」の不作為責任を指摘する第3章は必読。当時「わかってくれるクレバーな人にだけわかってもらえればよい」という著者が抱いた印象は、そのまま日本の教会が固持してきた姿勢にも適用できる。

     小樽で教会学校に通い、キリスト教にも親近感を覚え、教会にもたびたび足を運びながら、洗礼を受けることには抵抗を感じてきたという複雑な胸の内が読み取れる。

     著者自らが導き出した最後の結論は、実にシンプル。「弱い人や困っている人を救うのに、理由なんて何もない」。(松ちゃん)

  • 古今の思想・宗教に弱者救済の根拠を多方面から探り、
    リベラルな立場から、個人の自由と 市場経済と多数決を乗り越える新しい倫理を模索するわけであるが、結局明解な結論は示せていない。
    それほど難しい問題でもあるということだろう。
    中でも個人的にはローズルの「格差原理」や「集団的資産」の紹介は参考になった。

  • リベラル対新自由主義
    どちらに進むよか

  • 香山リカさんの実力が垣間見えたような、そんな感じ。
    いつものふわっとゆるく、やさしいメッセージをくれる本とは一味違う。タイトル、目次を見ても、そんな感じは最初からしていたけど。
    前半はいまの日本がどのような状況にあるのかを書いていて、後半から「他者を救う意味」というところを宗教や哲学の立場から検討していて、まさにこの後半がおもしろい。
    最終的には、「ひとを救うことに理由はいらない」やって、ポップな結論ですが、これがすごく好きでした。

  • 生活保護バッシングなどに対する「反論」としては余りにも道徳主義的であり、「リベラル派の責任」などを訴えておきながらそれこそリベラル系のメディアで論じられてきた生活保護問題に関する議論(生活保護問題対策全国会議『間違いだらけの生活保護バッシング』など)をほとんど参照せず現代の日本人の心性の問題として論ずる様はまさに傲慢としか言いようがない。いい加減自分だけが現代日本人の本質とメディアが果たすべき責任を知っているという態度から脱却すべきではないか。

  • 気が滅入るタイトルです、、、

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    http://www.gentosha.jp/articles/-/2064

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著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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