性犯罪者の頭の中 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 335
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983472

作品紹介・あらすじ

平成24年、警察に届けられた強姦は1240件、強制わいせつは7263件。だが実際の被害は約10倍とも言われる。性犯罪者は「外見も気持ち悪い人」と思われがちだが、実は身なりも会話も普通で結婚しているケースも多い。そんな彼らはなぜ性犯罪をし続けるのか?「強姦するたびに自分がレベルアップしていく感覚があった」と十数件の性犯罪を繰り返す者もいれば、性犯罪をやめられない自分を苦に自殺する者もいる。共通するのは日常生活での"満たされなさ"。その感情がどう変化していくのか。彼らを性犯罪へと駆り立てる心の闇を赤裸々に綴った一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 罪を犯してしまった者たちと罪を犯さないでいる者たちの差とは何なのか。
    様々な事が数値化され、徹底的に分析されている。誤解を恐れずに言うと実に興味深く、また恐ろしくもあった。意外と普通の男が性犯罪を犯しているという……。
    心の闇に迫る良書である。

  • ちょっと頭の中のぞけました

  • ★★★
    今月6冊目
    思ってるキモオタみたいな奴が犯人より高学歴、会話も普通で人当たり良い奴が犯人て事が多いらしい。これは病気みたいなもんで再犯率は高く、教育が大切だそうで。

  • 性犯罪=男性から女性への犯罪 と考えがちであるし、事実、法律もそのようになっている。しかし、性の多様性が叫ばれる今、法律を見直す必要を考えさせられる。
    性犯罪は性的欲求の表れというのも安易な考えである。窃盗を犯すものが皆、金に困っているわけでは無いと考えられるのになぜ、性犯罪は性的欲求が爆発したものだと考えるのか。
    報道される事件についてもその背景にまで考えを深めたい。

  • 性犯罪者との交流から知った、彼らの独特の考え方や物事の捉え方を書いている。被害に合うか合わないかは、こういう人たちと出会うか出会わないかの違いでしかないのだなとぞっとした。

  • ネットの記事で紹介されていて読もうと思って読んだ本です。

    自分で読むと決めて手に入れ読んだのはいいのですが、読んでいる間「訳が分からん
    」と頭が沸騰しそうになりました。

    様々な受刑者の例が出てきて、実際どう思い、どう行動し、どう性犯罪へと向かって行ったかがわかる本でした。しかし、その心理は私には分からず、何度も頭の上にクエスチョンマークを浮かべたのです。
    これは共感できるかなぁ。と思ったのは「やめられない自分」を止めるために自殺という点です。やめようとしている意思の強さがまだ理解できます。
    抵抗されても「喜んでいる」と思いこんだり、性犯罪を「スキルアップ」の道具とみなしたり。その能力をもっとほかの所に生かせればいいのに…と読んでいて何度も思いました。それだけ性犯罪をされる方の多くが事前の下調べが充分にされていて、いかに捕まらないように気を配っているか。その緻密さ、仕事に生かしたら、いいんじゃないかなぁ?!と本当に何度も思いました。でも、仕事じゃ満たされないのでしょうね。彼らは。また、生きるか死ぬかと言う状況の時「死ぬ位なら性犯罪を。」と思うのが闇が深いなと思いました。生きるか死ぬかのメンタルの時に「性犯罪」が選択肢に出てくるあたり本当に闇が深いです。
    性犯罪なのだから性欲のコントロールで話が済むかと思ったら、全然そうじゃなかった辺りもため息が出ました。
    性犯罪、被害者には非は全くありません。加害者が100%悪いです。
    彼らが校正プログラムにつながり、再加害がない事を祈ります。

  • 理解はしたくない。でも考え方は変わった。

  • 通常理解の及ばない性犯罪者の考えへの取っ掛かりが得られた。性犯罪は衝動的ではなく計画的な場合が太宗というのも新たな知識だった。犯行が徐々にエスカレートしていく事や、再犯への陥り易さ、そして一部で言われている被害者の人の責任論は何ら無根であること等を、理由にも触れながら論理的に説明されている。
    結局考えていることは分かっても何ら理解は出来ないが、対策を考えるべきではあるだろう。

  • NHKスペシャルの担当者が、性犯罪累犯に取材した内容を軸に、性犯罪者の心理を解き明かそうとしている。
    分析的なところは、多くが大阪大学・藤岡淳子教授の著作と取材結果に依っているので、そり深く掘り下げたければそちらを読んだほうが良いかもしれない。
    『性犯罪者の動機は、性欲だと思うと見誤る…』という話は耳目を引くし、そういう部分もあるということは納得したけれども、やはり性欲、動物的な獣のような欲求に支配されての犯罪であるパターンも多く登場した。
    「アダルトビデオの模倣」が動機になっているのは、強姦を犯した少年では50%にのぼるらしい。
    身分制社会が性犯罪の素地になっていたのではないかという著者の見方は賛成。

  • 性犯罪者の犯行動機や性犯罪の実態、再犯防止の可能性やその手段について、実際の加害者の声を交えながら記した1冊。性犯罪というと加害者の場当たり的な(突然ムラムラして、とか)性的欲求に根差していると思われがちだけれども実際は全く違う。性犯罪はゲームのような感覚だったとある受刑者は言う。「あらゆる手掛かりを探し、様々なケースを推察・想定したり、環境を十分に把握してシュミレーションしたりして、自分の能力を使って犯行の絵を描いていく」「犯行がエスカレートしていくにつれて経験値が増え、自分がレベルアップしていく感覚があった」そして性犯罪は過度のストレスが引き金となって行われることが殆どで「性犯罪の被害に遭うのは女性が露出の高い服を着ていたせいだ」というは見当違いも甚だしい誤った理論だ。当然「女性は嫌がりながらも本心では喜んでいる」といった論も加害者側の認知の歪みで間違っている。受刑者らによると性犯罪を重ねるうちに自分で辞めようと思っても辞められず、かえって逮捕されてほっとしたという声もあって、性犯罪は行為依存という病気の側面もあるように見受けられる。刑期を終えて出所した後、彼等は「また性犯罪をしてしまうのではないか?」と怯えて暮らす人も少なくないようで不安のあまり自殺してしまった元受刑者もいるとのこと。一番の課題はやはりいかに再犯を防ぐか?だ。刑務所の管轄で更生プログラムは実施されているが欧米と比べて質と量において不十分ではないかと受刑者自身が危惧している。アメリカでは薬物を使って男性ホルモンを抑制させる「化学的去勢」や性犯罪者についての情報公開を定めた「ミーガン法」、韓国ではGPSの装着を義務付けるなど対策は行われている。それぞれのやり方に一定の効果はあるだろうけれど、本書の最後にまとめてあるように性犯罪者を孤独にしないことが一番の再犯防止だと私も思う。

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著者プロフィール

1996年東京大学教養学部卒業。同年NHK入局。報道局、スペシャル番組センターなどを経て、現在報道局報道番組センター社会番組部チーフ・プロデューサー。「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」などを担当。ギャラクシー賞奨励賞を2度受賞。著書に『新聞消滅大国アメリカ』『加害者家族』『性犯罪者の頭の中』(いずれも幻冬舎新書)がある。

「2015年 『反骨の知将 帝国陸軍少将・小沼治夫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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