ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 354
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983724

作品紹介・あらすじ

性交渉未経験の男性がこの20年間、増え続けている。いまや30歳以上未婚男性の4人に1人が童貞だ。オタクが集うシェアハウスで理想の女の子の絵を描き続ける32歳、容姿への自信のなさから同性愛を選択した36歳、AV男優に採用されたが女優に嫌がられセックスできないまま自殺した33歳-。彼らに共通するのは、過剰なプライドの高さ、コミュニケーション不全、潔癖な女性観だ。童貞というコンプレックスは彼らの社会的な自立をも阻害する。性にまつわる取材を続ける著者がえぐる日本社会の不健全さ。衝撃のルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の取材や分析能力は低く、論旨は的外れだが、内容としては興味深い。
    というのも因果が逆なのだ。著者がくり返し言及する「坂口(仮)」のごとき人物は、中年にして童貞だからそのような「困ったちゃん」なのではない。そんなどうしようもない人間だから、(男性からと同様に)女性に(も)受け入れられず、当然の帰結として童貞であるにすぎない。
    本書のタイトルを正しく付け直すなら、「ルポ中年クズ男」だろう。男性の中には一定数、このようなどうしようもない性悪がおり、彼らはしばしば能力も低く、社会の底辺にあって、同僚となる「運や能力に恵まれずとも懸命に働く善男善女」に多大な迷惑をかけ続けている。そして介護に代表される、(現在の)待遇は悪くとも社会に不可欠な産業を蝕み、崩壊せしめ、ひいては上から下まで幅広い層にとって有害な存在となるのだ。
    そういったクズ人間のありように、童貞かどうかは関係ない。それはいみじくも、ついでのようにほんのわずか触れられている「中年処女」たちのありさまに——著者は意図せぬまま——描き出されている。生まれや育ちに困難があったところまでは同じでも、その結果として彼女たちはあきらめなくてもいいところであきらめ(ありえない高望みを並べる中年童貞とは真逆)、他者を攻撃することはけしてない(これも真逆)。中年童貞と違って、中年処女は静かだ…と著者が話を聞いた、数多の中年童貞および処女を見続けてきた識者は証言する。中年童貞たちの問題が「童貞」にあるのではないことは、この一点を取ってみても明らかではないか。
    にもかかわらず、男女ともにあてはまる「性体験の有無」という属性に原因をこじつけ、さらに「オンナどもが金持ち・チャラ男・ワルに群がる馬鹿(とまでは著者は明言していないが、言っているも同然である)だから、あぶれた男が童貞をこじらせる」と、その責任を女性になすりつけている。本書のレビューを見たところ、「自分の偏見ひとつで童貞男性を貶めすぎ!」というものが多かったが、貶められているのはむしろ女性のほうだろう。そこはまるきり問題にされず、男性の被る害ばかりが声高に批判されるさまは、いかにもいつもの「男尊女卑ニッポン」である。

    ところで、男性が必ず主張する「オンナは善良な地味男よりも金持ち・チャラ男・ワルに群がる」というのは何なのだろうか? 私も女をやって長いが、自分自身は言うに及ばず家族・親族・友人、さらにそれらのそのまた友人知人を辿っても、そのような実例に接したためしがない。
    考えてもみてほしい。女性のセックスには不可避的に、妊娠のリスクがつきまとう。そしてひとたび孕んでしまったら、平均たった3万円の養育費すら、支払い率はわずか2割。しかもそれをバックレた男性へのペナルティは何もなく、女性ばかりが「自己責任」と叩かれる…私たちが生きているのはそういう、恋愛が破れてしまった場合(に限らないが)、極端に女性に不利な社会なのだ。そんな状況下で、好きこのんで「より不実」な男を選ぶ女性が、そんなに大勢いるだろうか?
    これは知能程度の問題ではない、自己防衛本能の話である。生物としてそこまで「壊れて」しまっている個体が、はたしてそんなに大多数、そんなに長く生き延びることがありえるだろうか…?
    ことほどさように、「オンナが金持ち・チャラ男・ワルを選ぶから悪い!」という主張には根拠がない。

    ただ前述したように、この社会に一定数いる「困ったちゃん男」がどうしようもなく有害であることを、はっきりと可視化してみせた。超高齢化社会を目前にした今、この指摘はとても意味があるものだと思う。
    こういった「困ったちゃん男」を作り出さないこと——そして、どうしても一定数生まれてしまう「困ったちゃん男」にいかに対処するか(ベーシックインカムから酒瓶まで…)。
    それを考えていくことばかりは、確かに著者が言うとおり、これからの社会の急務であろう。

    2018/2/4読了

  • 本業のフリーライターに将来的な不安を抱えていた著者の中村淳彦氏が、副業として介護事業をしていたことがあった。その時、深刻な問題であると中年童貞の存在に気づいた、とある。

    常識に欠けており、世間から徹底的にズレている。コミュニケーション下手で、自分を客観視できない。幼い頃から、勉強、スポーツ、恋愛などに成功体験がない。女性に対して潔癖を求める。という共通点を持つ。(高学歴中年童貞は勉強以外)

    そのため、彼らは時勢に流されて、スキル不要な職業を転々とする。現在は介護業界である。注意すれば逆ギレし、新人が入ればイジメをし、老人を虐待する。真面目で優秀な職員は疲弊し、施設全体が壊れていく。

    そんな暗澹たる状況ながら、数少ない解決策として、怖い親父のような存在に、きちんと怒られる経験の必要性というのがあった。その具体例は、最終章にあるネトウヨの宮田氏だけであった。この問題の根深さを考えたら、たった1例だけでも良しとしなければならないだろう。

    中年童貞の存在を、その言葉と共に世に知らしめた中村氏の力作だと思う。

  • いまや30歳以上未婚男性の4人に1人が童貞だとか・・・そんでそーゆー人たちに共通するのは、過剰なプライドの高さ、コミュニケーション不全、潔癖な女性観、らしい。
    童貞というコンプレックスは彼らの社会的な自立をも阻害する。

    もちろん、みんながみんなそうではないのだろうけど、読んでみると「あ、なるほどなー」と思うことも、しばしば。

    やっぱ、ちょっと変わった人たちだから、女性にも敬遠されちゃうのかなー?
    容姿が悪いからって思いこんでる人もいるみたいだけど、そこじゃないんだよね。容姿がフツーでも、童貞の人はいるもんねぇ・・・女性に対する期待が高すぎたりするのかな?

    それとも童貞でいる理由をそのへんに持ってってるだけなのかもだけど。

    なんか福祉関係に多いとかなんとか。しかも、トラブルメーカーだったりするらしい。自己肯定がクセになってるのかも?んで、空気読めないっつーね。。。

    とりあえず「体験」って大事よねー、ってことかな?

    なかなか、いろいろ考えさせられるルポだったのだー!

  • 日本を、プライドがだめにする。

    暑いし光熱費を節約するために涼しいところで本を読もう、と気になっていた初めて行く図書館へ。

    結果、読みたい本を読まずに開架で見つけた本を読みふけってしまうというあるある。

    人目に付きながら、キャッチーなタイトルなこちらの本を。

    すごいですよ、長野県の人口と同等の人数が、30歳以上の中年童貞であると、最初のページで提示されます。何たるインパクト。

    第一章から出るわ出るわ、社会とうまくコミュニケーションの取れないおっさんたちが。

    こういった人たちのタイプとして、自分に自信のないタイプと 自己を過大評価してしまうタイプとが挙げられています。

    ああ、いるいるこんな人たちと職場で見かける困ったさんの事を思いながら読み進めていきました。

    過大評価タイプの共通項がどうも「プライド」だと思うんですよね。

    このいらんプライドが、他者との交流を邪魔して、更なる負のスパイラルへ墜ちていく図式を完成させるのだと、こういった本を読むと感じます。

    そんな中、第六章でにわかにおお!と私のテンションが高まります。

    こちらでも紹介させていただいております田房永子さんが登場するじゃないですか。

    (これ、出たいなぁ。田房さんに分析・コメント頂きたい 「うちの母ってヘンですか?」田房永子 秋田書店)

    こういった日本の問題点は、田房さんのテーマとリンクするのだなぁと。そして私もそういうつながりのある本を選んでしまうのだなぁと。

    母と娘の問題を投じる田房さんが論じる母と息子。

    そちらの方が、残酷だなぁと、ぐさぐさと突き刺さる思いになりました。

    毒親に対し、女性は耐えられなくなり、病んで気づいて逃げ出す事もできるが 男は一生母親の保護の元、社会を母親の用水だと思って終えられる。

    まさにその通りだと、我が身を持って感じます。

    私は家を出て、今は数年に1度しか家に戻らず、男兄弟は大学卒業後定職に就かず親にパラサイトして30歳を迎えようとしている。

    さらに、そこから小川氏(仮名)、二村 ヒトシ氏へのインタビューで「父親」へと話題が移ります。

    団塊の世代が父親になる力がなく、それ以下の世代の男に子供を育てられない。
    ああ、まさにそれもその通り!と叫びたくなるような言葉。

    そういった中必要とされるのが父親的存在を持っていう人の存在。
    血のつながりはなくとも、会社や、コミュニティで絶対的な権力の中で再教育が必要であると。
    翻ってそれが現代社会の中でどれだけ困難なことかということを考え、最終的にため息をつくことに。

    文中でもあったように、邪魔なプライドが高く、コミュニケーション能力の低いこういった人たちは、北欧の凍死する人たちのように、淘汰されるほかないのか。

    女性の社会進出に伴い、確かに私も、自分一人を養うことはできる生活を送れていて、そこで収入も低くコミュニケーション能力も低いのにプライドだけが高い男と関わる必要は無いと感じてしまいますからね。

    危機的な人工減とそれに伴う困難を目の当たりにしない限り、どんどん日本の人口が減っていくんだろうなと思った次第です。

    中村さん名前のない女たちか職業としてのAV女優とか、以前から気になる本の作者さんでした。

    是非、読みたいな。

  • 童貞の中年の恐ろしさがよくわかる。とにかく客観視できない彼らは、他人と会話ができない。実は、結婚し家庭をもち、そこそこの企業でそこそこの役職についた中年でも似たような傾向が見受けられる。男性特有の悪徳なのか。

  • ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)2015/1/30

    ある程度自分自身や社会を客観的に分析できる力、外から自分を見る視点のない人物では全くダメ
    2016年10月17日記述

    中村淳彦氏による著作。
    1972年生まれ。中村淳彦は、日本のノンフィクション作家、ノンフィクションライター。
    東京都目黒区生まれ。 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校、専修大学経済学部卒業。
    編集プロダクション、出版社を経て、フリーライターとなる。

    中年童貞と言ってもまず高学歴型と極端な低学歴型の2種類がある。
    本書内でも紹介される読書会で世間知を取り戻したネトウヨ宮田氏やAKBに金をつぎ込みまくる私大職員増井氏あたりは疑問を感じながらもまだ良い。

    それ以外の登場人物には大きな違和感を覚えざるを得ない。
    やはりある程度自分自身や社会を客観的に分析できる力、外から自分を見る視点のない人物では全くダメだということだ。
    童貞が原因というよりそこら辺のおかしさがあって結果として中年童貞に至っているという印象。
    著者は性欲があり風俗に行く事自体は恥ずかしいことではないとしている。
    その通りだ。ただ実際に知っている知人で風俗は行っていて童貞じゃないからって
    頭のネジのおかしい奴は残念ながらいるのも事実だ。

    印象に残った文章を引用してみたい。

    男性独自の冷静沈着、客観的な判断力というのは、多く童貞を失うことによって得られるものだからであります。
    童貞のあいだのものの考え方には、どうも
    禁欲からくるマイナスがある。
    「貞潔は、ある人々においては徳では有るが、
    多くの者においては、ほとんど悪徳である」とニーチェも言っているとおりです。
    「行動学入門」三島由紀夫

    年齢に関係なく、二次元好きなオタクに共通しているのは処女信仰です。
    処女信仰は、処女であることがなにより重要であるという考え方です。
    処女じゃないと人間ではないっていうのは異常ですが、オタクにとっては当然の思考。
    愛情を注ぐのは必然的に幼い女の子になる。

    基本的にオタクの人は真面目で、一つのことに集中できる職人気質な性格です。
    40代、50代はお金がある。若い世代のオタクは金がなく親にパラサイトしたりニートになってしまっている。

    警備会社はあぶれ者とかドロップアウトした人たちのセーフティネットとして機能している業界
    ネットを居場所にして発信している人で、ぶれない軸を持っているのは一部である。
    大部分は多数派意見に流される。
    成功者で高学歴、金を持っているけど女性だけは苦手、みたいな中年童貞以外は現実から離れすぎて、救いようがない。

    中年童貞に多い属性は介護職員、農業関係者、ネット右翼の3種類。
    介護も農業も国や自治体の政策で、補助金出して人を集めている。
    政策が絡むと失業者のセーフティネットになって、本当にとんでもない奴ばかりが集まる。
    職場が破壊されるのは当然、産業も破壊される。

    モテるのは、いつの時代もヤンキー、運動部のエースである。
    女性は無条件に強者を選択する。
    女性はどんなに真面目で誠実であっても、自信のなさやコミュニケーション能力に難があったり、また流行からズレていたりする男性は弱者として排除する。
    男が女性に排除されない為には、強者に見えるコミュニケーション能力、
    それが叶わないならば弱者として切り捨てられない環境に身を置くことが必要なのだろうか。

    恋愛は「お互いの完璧さを競い合うレース」ではありません。
    お互いの強みを生かし、弱みを補い合う為にするのが恋愛でありセックスであり結婚です。

    子供への過干渉、価値観の押し付け、退治扱いするなどの毒親が中年童貞を産んでいる

    中高年の婚活は就職活動を超える厳しい状況だった。
    相手に外見と収入、勤務先と趣味くらいしか伝わらない為、そもそも婚活をする必要のない
    スペックが高い男性だけが、女性とカップルになるという現実がある。
    婚活女性が結婚相手に求めるのは年齢、外見、収入の3点である。
    どれが欠けても排除の対象となる。
    残念ながら多くの中年童貞が誇りにしている純粋さや
    優しさ、異性に対する潔癖さは、女性が男性に求める条件には入ってこない。

    婚活市場においても童貞の人は基本的に人見知りが多いから、誰ともちゃんと会話ができない。
    他人と比較して客観的に自分を見直したり、
    外部から情報を入手して成長することがないので厳しいです。

    中年童貞には父親的存在が必要
    60代の団塊世代と70代以上の人達では、父親としての能力が違う。
    団塊世代は甘やかされて育っているから、何事も自分を優先する。
    そういう人は子供を育てられない。

  • 筆者の先入観が強めの印象。
    しかし興味深い内容でもあった。中々他人事とは思えない。

  • 風刺みは強いけど興味深く読めた。知らない世界を知った、くらいの。

    リストカットしてしまう人の章が読みきれず飛ばしてしまった。

  • 興味深く読めましたけれども、中年童貞をこき下ろすかのような書き方はいただけませんな…と思いましたね…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    なんというか、いかにも”悪者”みたいな感じでね、当事者に対する優しさがないように思いましたねぇ…けれども、こういう、こき下ろす感じで書かないと売れないのかな? とも思いましたね…とにかく中年童貞という”生物”に対する優しさ・愛に欠如した、著者の書き方だと思いましたよ!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    人間関係の希薄化が叫ばれている昨今、結婚相手も自ら努力して見つけないとならないのはキツイですね…特にコミュニケーションの下手な、中年童貞のような人は…。

    お見合い結婚のような周囲が気にかけてセッティングしてくれるような、そんな結婚の仕方のような日本人には合っているんじゃないですかね?? 今や廃れたお見合い結婚ですが、コロナもありますし、これをきっかけにまたお見合い結婚ってやつが見直されることを切望致します…。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 著者の主観が強すぎて、ルポルタージュとしての客観性が保たれてれるか疑問。
    また、性体験に伴う童貞卒業は恋愛の結果として後から付いてくるものであって、「童貞卒業すれば中年童貞の問題点が改善されるので、早いうちに性体験すべき」という論調で性体験を経て童貞卒業すること自体を目的化するのは筋が違うと思う。
    童貞だから人間関係がうまく構築できないのではなく、人間関係がうまく構築できないから童貞なのである。彼らに必要なのは、第一に逃げることなく自分と向き合い自己を客観視して自分自身を理解することであり、それを踏まえた上で自分自身の長所を生かせる居場所の中で適切な距離感を考えながら人間関係を構築していく手法を自ら学ぶことなのではないかと思う。

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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