八紘一宇 日本全体を突き動かした宗教思想の正体 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983830

作品紹介・あらすじ

2015年衆議院予算委員会で三原じゅん子議員が「八紘一宇」ということばを口にした瞬間、部屋の空気が変わり、ざわついた。戦時中の日本の海外侵略を正当化する役割を果たしたと認識される一方で、宮沢賢治、石原莞爾、北一輝らを魅了した、日蓮主義者・田中智学のこのことばは、どういう意味そして経緯で戦前戦中の日本人を、天皇を中心とする熱狂に駆り立てたのか?そして戦後、八紘一宇はどう生き延び、日本に溶け込んでいったか?現代に連なる日本的精神を読み解く画期的論考。

感想・レビュー・書評

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  •  戒壇建立の大詔が煥発され帝国議会がこれを決議し日本以外の国々が受け入れるはずもない忠孝を世界各国に宣伝しあらゆる片々道学を一蹴して人類を忠孝化し法華経信仰を諸国に行き渡らせて世界を同義的に統一せんと田中智学は天皇の勅宣を待つ。掩八紘而為宇あめのしたをおおひていえとなさむ。けれども神武天皇がみた地の果ては地元の一地域の果てにすぎない。

    『そこに、過去の時代を振り返ることの難しさもある。それぞれの時代において、社会全体を支配する空気は著しく異なっており、のちの時代になってそれがどういうものだったのかを推し量ることは難しいのだ。』170頁

  •  八紘一宇の言葉の元となった戦前の日蓮ブームを追う。

     田中智学を起点とした日蓮ムーブメント。そこには宮沢賢治や石原莞爾など名だたる人々がいた。その頃の日蓮思想は天皇を中心とした世界統一を描いていて、それが神道や戦中の日本思想へとつながっていく。さらに戦後には創価学会などの新宗教となって社会にに影響を与えていく。
     なぜこの思想が戦争へと突き進む日本の中心になったのかをもっと知りたかったが、この本の内容だけでもかなり貴重だ。

  • 八紘一宇。なんとなく戦時中に国民意識を高揚させるために使われていた言葉だということは知っているけど、詳しいことは知らない。戦争を煽る言葉のようで、なんとなく口にすることも憚られる雰囲気がある。だから、書店でのこの本を目にしたとき、八紘一宇について知りたくてすぐに買った。

    国会で三原じゅん子が八紘一宇発言をしたのは2015年の3月だ。麻生太郎財務大臣は、宮崎県にある八紘一宇の塔(現在は平和の塔)について言及した。実際に、そんな塔があるなんて知らなかったし、戦争肯定として捉えられるからPHもしていないんだろう。八紘一宇の塔は紀元2600年ということで、昭和15年に宮崎県知事の発意で完成したらしい。

    では、八紘一宇という言葉はどこから来たのか。それは、田中智学が造語したらしい。田中智学は国柱会の設立者だ。そして、国柱会は時代を動かす思想的原動力のエンジンとなった。二・二六事件しかり、国体論しかり。また、その運動に関係した人は、石原莞爾であり、宮沢賢治であり、牧口常三郎という面々だ。少なからず現代にも影響を与えている。だからこそ、避けられる言葉なのかもしれない。

    このあたりは、もう少し勉強したいなと思う。そのための入口本としてはいい本だと思った。

  •  「なるたる」って漫画があったんですよ。
     その中で暗躍するキャラが「八紘一宇 やれると思ったんだけどな」というセリフが出てくる。

     さて、この八紘一宇とはなんぞや。簡単には「世界全体を一つにまとめ上げ、共同体をつくりあげる」という意味で使われる。

     その言葉から、大日本帝国において国体と結び付けられて他国への侵略スローガンに使われたとして、今では使われなくなった言葉である。


     さて、その八紘一宇の出所について、戦前に起きた日蓮主義、田中知学による、天皇を世界全体の賢王としてまとめ上げるという考えを発祥とする。

     んだって。

     その後は日蓮宗についてダラダラと書かれているけど、正直興味はなく、話のキモは日蓮主義者による言葉だということが分かっただけだった。

  • 八紘一宇の意味は冒頭の説明で分かったが、それ以外の説明が長くてうんざりする内容になっているのが残念。

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プロフィール

1953年、東京生まれ。宗教学者、作家、東京女子大学非常勤講師。76年、東京大学文学部宗教学科卒業。84年、同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻は宗教学。日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任。日本宗教から出発し、世界の宗教を統合的に理解する方法の確立をめざす。主な著書に『葬式は、要らない』『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』『もう親を捨てるしかない』(以上、幻冬舎新書)、『戦後日本の宗教史』(筑摩選書)、『ブッダは実在しない』(角川新書)など。

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