他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
3.45
  • (8)
  • (12)
  • (18)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 174
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983908

作品紹介・あらすじ

マスコミやネット住民はバッシングが大好物。失言やトラブルによって「悪人」となった対象を見つけては非難するが、最近ここに一般の人も追随し、まるで国民総出のいじめの様相に。このとき、非難する側は必ず「正義」を振りかざすが、実は他人を傷つけて楽しむ心理も混在する。もともと、似た価値観を共有する日本人は、差異に対して敏感で嫉妬を抱きやすく、異物を排除する傾向が強い。さらに、適度に豊かな現代には空虚さが蔓延し、若者は悲観的で自信がない。現代人の心の歪みを、精神科医である著者が斬る!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 精神科医である著者が、閉塞感からくるネットの炎上やマスコミの加熱するバッシング報道について、日本人の特性や現在に至る社会変革なども交えて考察する。
    頷けることばかりで、うーむとなるのだが、明確な解決策があるわけでもない…ついこの前も吉本興業のお家騒動が加熱報道されたばかりだが、暫く日本の社会はこういった息苦しさを抱えたまま進んでいくのだろう。
    10代〜20代の若い世代が抱く、未来に対する希望も自己肯定感も低いという事実。先進国の中で最下層に位置するというのは、この状況を写す鏡であるのだろう。2019.8.9

  • みのもんた。
    朝青龍。
    沢尻エリカ。

    一世を風靡した有名人が、一つの出来事をきっかけに日本中から情け容赦のないバッシングを受け姿を消していく。

    その攻撃には、マスコミだけでなくインターネットやSNSなどの発展に伴い、誰でも参加が出来てしまう。

    攻撃対象を見つけては炎上を繰り返していく。

    最近では攻撃の対象は有名人だけでなく、一般人にまで広がっている。

    そして改めて思う。
    自分もその参加者の一員なのだと。


    人を攻撃している時に感じる、正義感による陶酔。

    指先一つで裁判官に、場合によっては神にすらなったように錯覚できる時代。

    ある日突然、誰もが被害者になり、加害者にもな
    る。

    大事な時間を費やし、「好き嫌い」で一時の憂さ晴らしをする。

    ちょっとした差異から生まれるジェラシー。
    攻撃することそのものが目的となる。


    不寛容で、再チャレンジがしにくい社会。
    若者が悲観的で希望が持てない日本。

    著者は、統計と精神科医としての経験から分析する。

    「日本ほど物質的に豊かな上に、便利で安全な場所は他にはない。文化的にも豊かだ。現代の日本に欠けているものがあるとすれば、それは『智慧』であり、『教養』である」

  • こないだの青森の市議の一件で、市議会の議長辺りが「めっ!」と怒れば済む程度のことwを、正義の味方面したテレビが鬼の首を取ったようにバッシングしまくっていたのを見ていて、なんだか無性に読んでみたくなった本。

    で、読んだのは読んだんですけー。
    読んでいて、なんだか文革時の密告社会のようでウンザリでした。
    あと、連合赤軍の「総括」も思い出して、嫌ぁーな気分に。
    この本に出てくるようなことって、たぶんそれらと全く同じ構造で起こっているんでしょうね。

    「義」は確かに大事だけど、「仁」はもっと大事なわけでー。
    「仁」を忘れた「義」ばっかりが横行している世の中なんて、息苦しいだけ。
    つまり、今の日本人にある閉塞感って、それこそが根本の原因なんじゃないの?

    憂さ晴らしに面白がってした私たちのバッシングを、マスコミやマスコミに出ている専門家と称する人たちが耳ざわりよく、かつ正しいことのように新たなマナーやルールにして。
    それを情報として、“これは正しいんだから知らなきゃ時代遅れ/非常識なんだぜ”と流す。
    その情報の耳ざわりの良さに私たちはそれを喜んで、あるいはカッコつけて受け入れる。
    やがて、それはスタンダードになり、スタンダードになったことで、今度は世間から強要されるようになる。
    気づけば、私たちはそんな新たなマナーやルールでがんじがらめになっている。
    そんな大人たちを見て、子供は自分の未来を感じとって、絶望していく…
    いや、そんなことは書いてないですよ(笑) 
    書いてないけど、ふとそんなことを思いました。

    とはいえ。
    そういえば、「オカルトクロニクル」というサイトに“現代においては一部の芸能人の方々が、『天狗』になったせいで神隠しになる”みたいな一文があったんですけどw、この本で紹介されていた例の中には神隠しにあってもしょうがないんじゃないのぉ~みたいな人もいるとも思っちゃったり(笑)
    つまり、この本に書いてあることを必要以上に「正解」としてしまうと、また新たなバッシングの根拠を作ってしまうことになるんじゃないかと…。
    ていうか、アイドルと芸人の顔見るのにウンザリで、最近テレビをめっきり見なくなったなぁ~。


    感想からは離れますけど、TVもネットも。最近はバッシング(の程度)の基準が、もはや全然デタラメになっているような気がしますね。
    タレントだか放送作家だか知りませんけど、彼ら/彼女らも叩かれるのが怖くて、何を良い/何を悪いと言ったらいいのか全く判断が出来なくなっているのではないでしょうか。
    つまり、ルール(法律)を犯した人(犯罪者)全くバッシングしないけど、マナー違反程度の人(気に障った人)は徹底的に叩きまくる、みたいなあの風潮ですよ。
    それこそ、仕事上で上司が部下を叱るのと、仕事外で上司が部下に明らかな暴力行為をするのを、どちらも等しく「パワハラ」という言葉を安直に使って済ませている、と言ったらいいんですかね。

    これも全然関係ないようですけど、堀江貴文って、個人的には、頭が良すぎて無責任にしか生きれない人というイメージしかなかったんです。
    でも、こんな世の中になっちゃったんなら、人なんて無責任にしか生きれないみたいな考え方も必要なのかなーと思いましたね。
    一冊、読んでみようかな。

    って、今回もほとんど本の感想なってない(笑)

  •  最近の、どうにも挙げ足取りな風潮に心底、嫌気がさしています。
     どうでも良いことに、イチイチクレームつけたり、炎上したり。
     例えば、ベッキーの不倫。当人たちで解決させればいいのに、全く迷惑もかかっていない人たちが、面白く盛り上げて。

     そんな事をイチイチ、ネット記事にする記者もいますね。(そんなのは記者じゃないけど)msnも最近ヒドイ。
    ブログで誰が何と言ったことで炎上→謝罪とか。誰々のSNS発言に誰々がSNSで応酬とか。
     
    そう言うのに、うんざりしてました。
     
    そんな所で、本書を知り読んでみた。
    精神科医の視点から、色々な考察が書かれています。

    読んで、「解決。スッキリした。」とはなりませんが、なるほどです。

  • パッシングする個々の心理、社会環境、歴史から分析されていた。
    この類を本を読んだことがない人にはおすすめ。
    重要な内容はそれ程多くなく、ある程度想像していた内容であった。
    全体的に一般的で優しく、ページ稼ぐために話をのばしている節がある。
    少し流しながら読んでも十分内容を理解できる内容。

  • 身近に相手を貶すことでしかコミュニケーションが取れない人がいて借りてみたら、もっとマクロな視点だった。でも実は根っこは同じなのかも…と勉強になった。

  • 他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑。岩波明先生の著書。他人のちょっとした過ちや失言をことさらに大きな問題に取り上げて、傲慢な上から目線で非難したり、バッシングしたり、いじめ・ネット私刑と思われるようなことをしたりするのは、多くの人が嫉妬感情や欲求不満を抱えているから。岩波明先生によると、それは日本社会特有の問題。ではそのような不寛容な日本社会に渦巻いている嫉妬感情や欲求不満を少しでも減らすためにはどうすればいいのかについても知りたくなりました。

  • 日本人の特性、ネット社会、SNS、メディアの取り上げ方、興味があることは人の不幸、炎上、等々、現代社会での現状を語る。匿名性の中で他人を吊し上げることで溜飲を下げることが一般化しているのか。著名人や公の立場の人はうっかり本音など言えたものではない。

  • 社会
    心理

  • 201607/

    国連児童基金(ユニセフ)は、2008年に先進国に住む子供達の「幸福度」に関する調査報告を発表した。
    子供の「主観的な幸福度」に関する項目の中で、「孤独を感じる」と答えた日本の15歳の子供の割合は29.8%と、対象国の中で第一位で、ずば抜けて高かった。日本に続くのはアイスランド(10.3%)とポーランド(8.4%)だった。もっとも低いのはオランダの2.9%だった。
    このように、日本の子供における「孤独さ」は、先進国の中で際立って高い。この点は、これまでに述べてきた社会的な「まなざしの欠如」と関連している現象であろう。つまり、子供達を見守り、同時に縛ることにもなる、目に見えない社会的なルールや、インフォーマルなコミュニティが、希薄となっていることを示している。その一方で、子供達を縛る「規則」は多い。けれどもそれらは管理的なきまりであり、あるいは学校社会のルールやネット上での約束事であり、子供達の本質的な内面と結びつくものではない。/

    内閣府は、2013年度において、わが国と諸外国の若者の意識に関する調査を行った。その結果の一部であるが、「自分自身に満足している」という問いにイエスと答えたのは、日本の若者の45.8%にすぎず、欧米の若者の80%以上という回答と比較すると極端に低かった。
    このように、多くの調査の結果は共通性が大きい。具体的に言えば、他の先進国と比較して、日本の若者は、「孤独で、将来への希望がなく、自己評価が低い」のである。/

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

昭和大学医学部精神医学講座主任教授

「2023年 『これ一冊で大人の発達障害がわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩波明の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮下奈都
パオロ・マッツァ...
北野 武
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×