世界はこのままイスラーム化するのか (幻冬舎新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983960

作品紹介・あらすじ

近代以降、世界は先進国のキリスト教文化圏の価値観で回ってきた。それが今、資本主義システムへの不信感と共に、根底から揺らいでいる。実際、ヨーロッパではクリスチャンの教会離れが深刻化し、キリスト教は衰退の兆しを見せている。そこに、ムスリムの人口増加、移民・難民流出問題が加わり、イスラームは相対的にその存在感を増している。テロや紛争、移民の労働問題に苦悩しつつも、先進国がイスラームに魅せられる理由は何か。比較宗教学の島田裕巳が、世界屈指のイスラーム学者かつムスリムの中田考と激論。日本人だけが知らないイスラームの真実と未来とは。

感想・レビュー・書評

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  • ムスリムである中田さんと司会・島田さん(比較宗教学者)の対話。
    題名はあまり当てはまらないと私は感じた。理解力不足かな?でも妥当だとしたらキャッチーでちょっぴりずるい。

    ・イスラム→モスク等を寄進
     神のものにしてその運営費をかせげる分を子孫に
     *日本の中世で社寺に寄進するような
    ・商人の宗教である 悪いことをしてもいいことで帳消し
    ・スンナ派 シーア派
    ・カリフ制:国にとらわれない個人の宗教

  • イスラムについてほとんど知らなかったので貴重な内容だ。ただ現在の近代国家とイスラム社会はどう折り合いをつけるのだろうか?サウジアラビアやエジプトがイスラム教の国家だと思っていたけど、それは大きな誤解だと分かった。また、スンナ派とシーア派の共存も難しそうだし、イスラムと国民国家は両立しないし、このさきどうなるのだろうか?

  •  宗教学者の島田裕巳とイスラーム研究者の中田考による対談。

     世界はこのままイスラーム化するのかというよりはISを絡めながらイスラム教、イスラム社会とは何かを話している感じ。内容が被る中田考と内田樹の対談本『一神教と国家』の方が面白かった。
     ISより中田考の提唱するカリフ制の方が可能性がありそうだ。

  • 宗教学者・島田氏と中田氏の対談集。
    イスラームとはそもそもどんなものか、現代世界の中でイスラーム世界はどう広がり、この先どうなっていくのか、など。

    日本に暮らしているとイスラームとの接点がきわめて少なく(世界ではイスラームの勢力は広がりつつあるのに)、イスラーム教がどんなものなのか、イスラーム的な世界や国のとらえ方・考え方がどんなものなのかがほとんどわからない。

    著者のひとり、中田氏は自らが途中からイスラームに改宗したムスリムである。
    わたしたちが疑問に思ったり、間違った理解をしがちなポイントがよくわかっており、易しい言葉で解説している。

  • 前提として、私はわりとユダヤ教とキリスト教についての神学的理解があるのですが、イスラム教についての知識は全く持っていませんでした。その状態で、入門としてはかなりわかりやすく、そして良質な知識を得ることができたと思います。
    具体的な内容は本書を読んでみて欲しいのですが、イスラムが神と個人の関係を前提にした宗教ということがよくわかりました。そのため、イスラムにはキリスト教のような教会組織はありません。国における概念なども、馴染みのある西洋的な常識が当てはまりません。このことがわかったことは大きな収穫でした。

  • キリスト教文化圏の価値観でしか世界を見ていない我々は、今一度頭をリセットして世界そして宗教を見直す必要がある。
    一見危なそうに見えた中田氏だったが、至極全うな学者であり、宗教者であった。
    島田氏もそのキャパシティの大きさにより、うまく論点をひきだしすことに成功している。

  • ■ジハードはイスラームを驚かす異教徒に対する戦いであり,ムスリムの義務とされる。
    ■ワッハーブ派の創始者であるムハンマド・イブン・アブドルワッハーブは,イブン・タイミーヤから大きな影響を受けた
    ■一般にイスラーム原理主義とみなされるサラフィー・ジハード主義は,イブン・タイミーヤから始まったといっても間違いはない。
    ■サラフィー主義とはクルアーンとハディースに基づいた初期イスラームの時代への回帰を目指す立場。
    ■スンナ派はハナフィー派,マーリキー派,シャーフィイー派,ハンバリー派の四つの法学派に分かれるが,サラフィー主義はこうした法学派が生まれる以前のイスラーム世界を理想視する。
    ■田中智学が唱えた「八紘一宇」は法華経に対する信仰を中心として世界を統一するという遠大な理想

  • イスラムについて、他の宗教との違いを対談形式で解説。
    政教分離の欧米や日本との根本的な違い、特にカリフ、イスラム法といったあたりが理解しやすい。

    だからと言ってこれからどうすればうまく収まるのだろう??


    欲望は否定せず、ケチがいけないというイスラムの感覚。面白いかもしれない。

  • 宗教に疎い私も偏見の塊であったことが分かり面白かった。

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著者プロフィール

島田裕巳(しまだ・ひろみ):1953年東京生まれ。宗教学者、作家。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任し、現在は東京女子大学非常勤講師。現代における日本、世界の宗教現象を幅広くテーマとし、盛んに著述活動を行っている。 著書に、『日本人の神道』『神も仏も大好きな日本人』『京都がなぜいちばんなのか』(ちくま新書)『戦後日本の宗教史――天皇制・祖先崇拝・新宗教』(筑摩選書)『神社崩壊』(新潮新書)『宗教にはなぜ金が集まるのか』(祥伝社新書)『教養としての世界宗教史』(宝島社)『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)等多数あり。

「2023年 『大還暦 人生に年齢の「壁」はない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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