ショッピングモールから考える ユートピア・バックヤード・未来都市 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
3.86
  • (22)
  • (32)
  • (21)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 303
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984042

作品紹介・あらすじ

地方や郊外に乱立するショッピングモールは、これまで地元商店街の敵であり、コミュニティ荒廃の象徴とされてきた。しかし、果たしてそうだろうか?実際は、小さな子どものいる家族や高齢者にも優しい公共空間としての役割を担っている。それは日本だけではない。世界の都市部でも、政治や文化や宗教や階層が異なっても、誰もが同質のサービスを受けられるショッピングモールが、理想の街の姿とされる。差異と格差が進む今こそ、均一であることの価値を見直すべきではないか。ショッピングモールを出発点に、変貌する人間の欲望と社会の見取り図を描く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文化祭のシフォンケーキみたいな一冊。クオリティ求めてなかったけど食べたら意外と本格的でちょっと驚いた時のことを思い出す。

    ちゃんと面白かった。プロローグにあった「追体験」みたいなもんがこんなテーマでできるわけねーべやなぁと思ってたけど、ちゃんと読めたしなんだかうまく言えないけど興味深かった。

    昔東京駅構内の蕎麦屋でバイトをしていたことがあって、着替えとかする為に丸の内北口近くにあるバックヤードに入るんだけど、中ってもんのすごい広いのよ。おそらく人が行き交うコンコースを囲うように動線があって、通路をくねくね通って200mぐらい歩くとやっと更衣室に着くんだけど、もうその空間が本当に好きだった。誰も知らない東京駅を俺は知ってるんだーっていう謎の優越感を当時は持っていたっけな。そしてそれは本書のショッピングモールに似てるなぁと感じた。まだまだなんもわかってないけど少なくとも都市計画は興味のある分野だし、うまく言えないけど知的好奇心がくすぐられたような気がする。コンパクトシティ標榜or計画してる富山とか青森とか宇都宮の話もして欲しいなぁ。

  • 「ショッピングモールイスラム起源説」「モール性気候」などショッピングモールを素材に知的な言論ゲームを楽しんでいる。

    「ショッピングモール本」が学術的アプローチなのに較べ本書はモールがさらにカジュアルに語られている。ディズニー・ワールドとの比較も。

  • ショッピングモールの建築構造や周辺環境などの分析から哲学者と写真家がああでもない、こうでもないと言っている印象の本。

    個人的に興味深く感じた点
    ・本家のディズニーワールドを訪れた東氏の話をきっかけに出てきた、ディズニーとモールの比較から派生した話。
    ディズニーランドもショッピングモールも1つの構造物の中に『楽園』を作ろうとする試みという指摘。

    ・駅やモール内にある構造物としての植物の話
    空調設備のきいたモール内が適切な生育環境ではない植物なども施設内には置かれていて、ローテーションで屋外に出してリハビリしているとは驚いた。人は自然をコントロールしているのではなく、自然にコントロールされていると感じた。

  • 【由来】
    ・何でだっけ?

    【期待したもの】
    ・地方創生、まちづくり、という観点

    【要約】


    【ノート】
    ・ザッと30分以内でななめ読み。面白い。でも今の自分にとって精読すべき本ではないと判断。ただ、面白い。

    ・ショッピングモールは世界中で普遍的な新たなコミュニティ形態の最先端の実験場との見立てで行った対談集。実は本書でも上述の「先行形態」について述べられていたのがセレンディピティっぽくて興味深かったです。「ショッピングモールを地元の商店街に対する悪としてしか見立てないのはおかしい」という問題意識こそが、本書を読んだ一番の収穫。「ゲンロンカフェ」なる行事での対談だったらしいが、こういう知的に面白い催し物、札幌でも盛んにしたいなあ。

    【HARA無双】
    ・東浩紀の年代の評論家は、まとめて好きになれず。
     ショッピングモールについては、昔から言っているように、皆、中に住めば良いわけで、そういう意味では半端です。すでにアメリカでは多くのショッピングモールが廃墟化していますし、イオンだって、病院や介護施設、学校、図書館、もちろん住居を加えて、要塞化でもしない限り、同じ運命を辿るはず。地元の商店街の活性化に芽がないのは、当然だが、同じ延長線上で行けば、モールだって同じだ。もっと2001年の宇宙船のように、生命維持装置化しないとね。

    【目次】

  • 石川初さんが参加された付章が、現場感や豆知識なども含めショッピングモール論への広がりがあって痛烈に面白い。このままではついうっかりゲンロンの会員になってしまいそうだ。

  • タイトルにもあるようにショッピングモールについて考える本ではなく、ショッピングモール「から」さまざまなことを考えていく本。

    ショッピングモールといえば大資本の象徴であり、地元の商店街との関係性や、まちのコミュニティの毀損や荒廃という問題とセットで語られることが多い気がする。

    だが、排他性が少ないのはショッピングモールの方だという本書の指摘はたしかにと思わされる。
    今のショッピングモールはこどもから高齢者まで誰でも過ごしやすく設計(少なくとも公共施設よりは)されており、その場にいる人間に対して、文化や宗教、階層などでサービスの質が異なるということはない。
    ある種、民間施設でありながら最高の公共空間である。

    そして、それは理想の街の姿である。

    という風に、ショッピングモール「から」どんどん話が広がっていく。

    建築物は外観を想起するのが一般的だが、ショッピングモールは内装でできてるという話やディズニーワールドの完璧さ、ショッピングモール・イスラム起源説など、ショッピングモールからここまで広がるか、というほどに話が展開されていく。

    本書は対談の内容がメインであるが、対談者は業界の専門家ではない。
    その分、印象論での話がメインであり、だからこそ出てくる発想がここまでの展開に導いていると思われる。

    特にロジカルな内容ではなく、ショッピングモールを題材として今の社会を描写した作品といってもいいかもしれない。

    ただ普通に、最後まで面白く読ませていただいた。

    個人的には人が多いところはとても疲れるので、ショッピングモールは苦手です。。

  •  グローバルで味気ないイメージを持っていたショッピングモールだが、この本を読んで印象がガラリと変わった。
     確かにショッピングモールは排他性がなく弱者にも優しい。ずっと外側からの眺めがチープだと思ってたが、それは外側はバックヤードである為だったのだ。
     ディズニーランドなどもそうだが、現実とは違う異質の空間をつくるという思想がショッピングモールにはあるように思えた。それは近未来の体現でもあるし、都市実験の場でもあるように思えた。
     
     知的刺激に溢れた一冊。確かに「ショッピングモールを考える」のではなく「ショッピングモールから考える」本だった。

  • 東さん(ゲンロン)と大山さん(デイリーポータルZ)の対談本。学術的なものでなく、気軽に話した内容。しかし、経験や歴史から大胆な仮説が出てきて、とても面白い。

    ショッピングモールから、理想の町、TDR、道の認識などとても考えるべきところが多いと感じた。

    <メモ>
    モールこそローカル
    →今は地元の人の利用が多くもはや正統である

    車→モール
    外をかんじることがない
    空港のモール化も同じ
    TDLは外(バックヤードなど)がない

    ストリート文化
    京都、博多、パリ、モール
    道(公共空間)が先にできる
    ⇔東京、田んぼなど土地が使われそれの余りが道になる

    ディズニーワールド
    空港から帰るまでディズニー以外を考えなくてもよい
    すべてにおいてディズニーがある

    ストリートコンセプト
    ショッピングモール=ストリート=都市

    田んぼコンセプト
    百貨店=フロア=田んぼ
    →~通りといえない
    →カーナビの発達

    パリは~通りなど、シーケンスをで見ている
    東京=地下鉄(~線)

    写真
    ためておくと価値が見直されることもある
    リアルタイムが重視されるが、違う軸で考える

    カーナビ
    田んぼシステム⇔ストリートシステム⇔座標
    の変換アルゴリズム

    モール性気候、モール性文化、モール性教国
    例)砂漠で、人工的に気温27度、湿度55%でヤシの木を植え、北ヨーロッパのジオラマを置き、サンタさんと写真を撮るムスリムの親子

    モール
    階級、年齢、宗教が関係なくなる
    モール的作法
    どこの国でも、モールのトイレの位置がわかる
    →我々にとって快適とは何かを求めた結果

  • 対談集なので、読みやすいです。読んでみて川崎ラゾーナに行きたくなりました。

  • モールに行くとなんとなくワクワクしてしまう方だが、この本でさらに好きになった。

    モールは内装で吹き抜けが大事であること、エスカレーターでフロアの概念を無効化、利用者はさまざまな階層が混ざっているなどなど。旅先でのモール利用時の安心感を再認識できた。
    空港とモールとの対比、地下街との相違なども興味深い。

    対談で構成されていて、その場に参加しているような感覚となり、読後楽しい余韻にひたれた。
    大山さんの「わあ素敵」を聞いてみたい!
    外国のモールめぐり旅行もしてみたい。

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東浩紀(あずま ひろき)
1971年東京生まれ。批評家・作家。ゲンロン代表。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。
著書に『存在論的、郵便的』(サントリー学芸賞思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞受賞作)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015受賞作)ほか多数。『ゲンロン0 観光客の哲学』は第5回ブクログ大賞人文書部門、第71回毎日出版文化賞受賞作。

東浩紀の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
飯田 泰之
國分 功一郎
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

ショッピングモールから考える ユートピア・バックヤード・未来都市 (幻冬舎新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×