ショッピングモールから考える ユートピア・バックヤード・未来都市 (幻冬舎新書)
- 幻冬舎 (2016年1月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344984042
感想・レビュー・書評
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タイトルにもあるようにショッピングモールについて考える本ではなく、ショッピングモール「から」さまざまなことを考えていく本。
ショッピングモールといえば大資本の象徴であり、地元の商店街との関係性や、まちのコミュニティの毀損や荒廃という問題とセットで語られることが多い気がする。
だが、排他性が少ないのはショッピングモールの方だという本書の指摘はたしかにと思わされる。
今のショッピングモールはこどもから高齢者まで誰でも過ごしやすく設計(少なくとも公共施設よりは)されており、その場にいる人間に対して、文化や宗教、階層などでサービスの質が異なるということはない。
ある種、民間施設でありながら最高の公共空間である。
そして、それは理想の街の姿である。
という風に、ショッピングモール「から」どんどん話が広がっていく。
建築物は外観を想起するのが一般的だが、ショッピングモールは内装でできてるという話やディズニーワールドの完璧さ、ショッピングモール・イスラム起源説など、ショッピングモールからここまで広がるか、というほどに話が展開されていく。
本書は対談の内容がメインであるが、対談者は業界の専門家ではない。
その分、印象論での話がメインであり、だからこそ出てくる発想がここまでの展開に導いていると思われる。
特にロジカルな内容ではなく、ショッピングモールを題材として今の社会を描写した作品といってもいいかもしれない。
ただ普通に、最後まで面白く読ませていただいた。
個人的には人が多いところはとても疲れるので、ショッピングモールは苦手です。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グローバルで味気ないイメージを持っていたショッピングモールだが、この本を読んで印象がガラリと変わった。
確かにショッピングモールは排他性がなく弱者にも優しい。ずっと外側からの眺めがチープだと思ってたが、それは外側はバックヤードである為だったのだ。
ディズニーランドなどもそうだが、現実とは違う異質の空間をつくるという思想がショッピングモールにはあるように思えた。それは近未来の体現でもあるし、都市実験の場でもあるように思えた。
知的刺激に溢れた一冊。確かに「ショッピングモールを考える」のではなく「ショッピングモールから考える」本だった。 -
対談集なので、読みやすいです。読んでみて川崎ラゾーナに行きたくなりました。
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モールに行くとなんとなくワクワクしてしまう方だが、この本でさらに好きになった。
モールは内装で吹き抜けが大事であること、エスカレーターでフロアの概念を無効化、利用者はさまざまな階層が混ざっているなどなど。旅先でのモール利用時の安心感を再認識できた。
空港とモールとの対比、地下街との相違なども興味深い。
対談で構成されていて、その場に参加しているような感覚となり、読後楽しい余韻にひたれた。
大山さんの「わあ素敵」を聞いてみたい!
外国のモールめぐり旅行もしてみたい。 -
ショッピングモールにおける吹き抜け構造の役割を教えてくれた本。散策が楽しめるような(回遊性のある)昔ながらの市場が経済的・建築規制的(建替が難しい)によって失われていく一方なのに対し、それに擬態した空間を一つの建物の中に構成してしまうモールは、一つの都市と呼べるのではないか。
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ショッピングモールがなぜ日本で発展してきたか、そして海外でのモールとの違い、モールあり方が会話形式で議論されているのが面白かった。
モールを語る上でまちづくりの仕組みやストリートの生い立ちなど、広い視点で考えるやり方がよかったです。 -
ショッピングモールをただの人工物と捉えず、そこにどう哲学的な深さを見出すか。本書では結論が出ていないが、どこか可能性を感じる。
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ショッピングモール推奨の本だと思いますが、内容はとてもわかりにくく読み辛かったです。確かにショッピングモールは便利だと思いますが、それだけになると味気ない気がします。車が必要なところが多いと思いますし。個人商店との共栄は難しいのでしょうね・・・。
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ショッピングモールから考えると都市設計理論の対談本。
ショッピングモールやテーマパークについて、新しい知見を与えてくれた。