死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2795
感想 : 346
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984622

作品紹介・あらすじ

もし、あなたがよりよく生きたいと望むなら、「世の中には知らないことが無数にある」と自覚することだ。すると知的好奇心が芽生え、人生は俄然、面白くなる。自分の無知に気づくには、本がうってつけだ。ただし、読み方にはコツがある。「これは重要だ」と思った箇所は、線を引くなり付箋を貼るなりして、最後にノートに書き写す。ここまで実践して、はじめて本が自分の血肉となる。伊藤忠商事前会長、元中国大使でビジネス界きっての読書家が、本の選び方、読み方、活かし方、楽しみ方を縦横無尽に語り尽くす。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;丹羽氏は、大学卒業後に伊藤忠商事に入社。社長になった時に、約4,000億円の不良債権を処理し、業績をV字回復させた同社の救世主。国際連合世界食糧計画協会会長などを歴任し、民間出身で初めて駐中国大使を勤めた人。「負けてたまるか!若者のための仕事論」「人間の本性」「会社はだれのために」など、著書多数。
    2.本書;氏の読書哲学(=思考力の源泉は読書)を書き綴った本です。 それは、「読書は、“考える力・想像する力・無尽蔵の知識や知恵”を与えてくれ、生きる力を培ってくれる」です。6章立てで、「第1章;本に代わるものはない 第2章;どんな本を読めばいいのか 第3章;頭を使う読書の効用 第4章;本を読まない日はない 第5章;読書の真価は生き方に表れる 第6章;本の底力」です。
    3.個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
    (1)第1章の中の『何が教養を磨くのか』より、「私が考える教養の条件は、“自分が知らないということを知っている事”と、“相手の立場になって物事が考えられる事”の2つです。有名大学を出てたくさん知識を持っている人が、必ずしも教養人とう訳ではない」
    ●感想⇒昔、友人達数人で、教養人について議論したことがあり、ノートにメモが残っていました。「教養人とは、広い知識をベースに持ち、バランスの取れた精神構造の持ち主、豊かな心の持ち主、経験豊かな感性を日常生活に活かしている人」とあります。著者の考える教養とは違うかもしれませんが、私達のいう教養にも、本書の「知らないを知る」と「相手の立場に立つ」はベースとなる心構えです。宮本武蔵(小説)で著名な吉川さんの「会う人みな師匠」という言葉を想起します。ちなみに、私が尊敬する人間像の3つのキーワードは、“①謙虚・誠実 ②感謝・慈しみ ③合理的思考”です。
    (2)第4章の中の『頭に残るノート活用術』より、「本を読んでいて心に引っかかってくる箇所、印象的な言葉や興味深いデータについては、線を引いたり、付箋を貼ったり、余白にメモをとったりします。そして読み終えた後に、もう一度傍線を引いた箇所やメモを読み返す。その中から“これは重要だ” “覚えておかなくては”と思ったものをノートに書き写します」
    ●感想⇒私は、読書を始めた頃は、キチンとノートに感想を書いていました。今はノートを取りません。書いても読み返す事が少ないので時間節約です。その代り蛍光ペンで気に入った箇所に線引きします。読後に、引いた線が10~20箇所になります。その中から、3~5箇所に絞り込んで、印象をキーワード化し、最後に備忘録としてPCに蓄積します。月に一回程度読み返して、確認と整理をしています。読書に定番は無いので、色々な方法を試行錯誤し、自分に合ったやり方を探せばよいでしょう。読書は記録する事よりも、楽しみ学ぶ事が大切なのです。
    (3)第4章の中の『頭に残るノート活用術』より、「沢山の経験を積んで、沢山の本を読む。時間をかけて(心の)シワを沢山作ってきた人はシワの数だけより深い人生を生きられる。そうやって心のシワを増やすことは何物にも代えがたい喜びだと思います」
    ●感想⇒会社に入った頃、上司に企画書を見てもらった時に言われました。「君の頭脳構造は浜辺に盛った砂山と同じだ。波が寄せてくると砂山がきれいに元の浜辺に戻ってしまう。何も残らないのだ。心のひだ(シワ)を沢山作らなければいけない。読書と経験に尽きる」。上司は読書家でした。これを機会に読書の有用性を自覚し、「負けてたまるか」と本を読み漁りました。上司が陰ながら褒めていたと聞いて、大変うれしく思いました。読書は疑似体験ですが、経験を補うのによい手段です。時折、上司を思い出し、感謝の念に堪えません。
    4.まとめ;新聞の書評を見て、本書を買って読みました。正直に言えばそれ程、目新しさのある本ではありません。しかし、著者は人生の大先輩であり、読んでみると含蓄ある言葉が幾つもあります。前述の3点以外にも、“小説で考える力を養う、読書は心を自由にする・・・等”です。しかし、私と考え方が異なる点もあります。例えば、「ハウツー本は読まない、読書は即効性を求めても意味のないものが多い」という点です。これは、リタイアした人には当てはまると思いますが、現役にはやや無理があります。私の考える読書の目的は、①自分の生きる人間形成作り ②社会情勢の収集 ③仕事のプロを目指す専門知識 の3点です。従って、ハウツー本が必要な時期があります。ライフステージに合わせて、3つの目的に強弱をつければよいと考えます。いずれにしろ、読書は自由な想像活動なので、自分なりの読書スタイルを楽しみたいものです。蛇足かもしれませんが、宇野氏は本書の印税を“中国から日本に来る私費留学生への奨学金に寄付する”という事を付加えておきます。(以上)

    • 文月の十三夜さん
      私も読んでみることにします。
      私も読んでみることにします。
      2022/03/07
    • ダイちゃんさん
      ダイです。文月の十三夜さん、いいねサイン&コメントして頂き、ありがとうございます。コンビニ人間等のレビューを読ませてもらっています。よろしく...
      ダイです。文月の十三夜さん、いいねサイン&コメントして頂き、ありがとうございます。コンビニ人間等のレビューを読ませてもらっています。よろしくお願いします。
      2022/03/08
  • タイトルが気になって購入。予想通りすごく良い本だった。

  • 良書って何だろうと改めて考えさせられる本。人が勧めたものではなく自分で良いと思ったものをが中々難しい。
    著者の人柄は好ましいし、本を通じて新しい学びに気づける事を教えてくれます。
    謙虚さと貪欲さと曲げられない意志の強さを持たれながら楽しく今を生きている姿が読書によってならばやっぱり本は素敵なものだと思う。

  • 朝日新聞に掲載された「読書はしないといけないの?」という大学生からの投書を目にした著者が、若者の読書離れを憂い、読書への想いや本の選び方・読み方、効能などを語った読書論。

    印象に残ったのは、本書のなかで著者が定義する「教養のある人とは」のくだりです。著者曰く教養のある人は「想像力がある人」であり「相手の立場に立って物事を考えられる人」であると説きます。自分は何も知らない、つまり「無知の知」を知ることは自分を謙虚にし、あらゆることから何かを学ぼうという姿勢が生まれる。周囲から学ぶことは同時により良い社会や人間関係を築こうとする努力に繋がり、結果的に自分自身を成長させる糧になる、という旨です。
    著者の仕事論にも繋がる姿勢。年齢を重ねても、自分にも周囲にも謙虚であり続けたいと改めて思います。

    全体的に本を読まない人向けのメッセージが多いように感じたので、読書に抵抗が無い人やそもそも本好きな人が読んだところで刺さる言葉は少ないかもしれません。「読者はただ読むのではなく考えながら読むべし」はショウペンハウエルも言ってたなぁと再確認しました。反省。

  • 本読みにとって、何とも心魅かれる題名。
    ビジネス界きっての読書家が、本が読まれなくなった現状を憂い、本を読むことの大切さを論じる。
    ビジネスにおいて、情報は大事だが、考える作業をしないと知識にはならない。読書で得たものが知識になるのは、本を読む行為が『考える』ことを伴うものだからと説く。
    著者が言う本は、古典とか哲学書とかあるいは自己啓発書とかの高尚な(?)ものばかりかと思いきや、小説などのフィクションでも、『考える読書』はできるという。
    「楽しいから読む。わくわくするから読む。心が潤うから読む。そういう気持ちで読むから本はいいのです。読書は無償の行為ゆえに無上の値打ちを持っているのです。」との個所を読み、最近は小説に偏っている読み手としては、ホッと一安心(笑)。

  • 読書に対する自分の捉え方・感覚が著者と似ている事が確認できた。特にただ読むのではなく、内容に対して自分の頭で一歩奥まで考察を加えてみる大切さは共感できた。(多読ではなく精読、量より質)

    自分がこのシチュエーションだったらどうリアクションするだろう?
    著者の主張はこの場合にも当てはまるだろうか?
    これって本当かな?
    この小説に裏には著者のこんな経験があるのではないか?
    等・・・

    なんでもいい。ただInputするのではなく自分の頭でReactしてOutuputをする事。それが自己意見の形成や人生のやりがい・目標設定力に寄与する。

    思い返すと受動的な人生だったかもしれない。自分の意見を持つ事が苦手だと感じる。周りの目を気にしすぎず、自分の頭を使う事。第一は楽しむ事。加えて読書を通じて感情・意思組成力を磨いていきたい。

  • 丹羽宇一郎さんが書かれた本のブクログ登録は、4冊目。
    著者は1939年生まれなので、この本を書かれた時の著者の年齢は77歳位と思われます。

    p175
    医療が高度に発達したいまは、昔のように死を自宅の畳の上で迎えることが少なくなりました。多くの人は病院のベッドの上で亡くなります。つまり、以前は日常のなかで身近にあった死は、いまでは隔離された病院のなかにあるわけです。
    死が非日常なものとなれば、現代人にとって死は一層不安と恐怖の対象になってきます。死は生命あるものの自然現象なのに、それを自然にとらえることができなくなるわけです。

    同感です。

    この本は、150ページまで読んで、図書館に返却。

  • 民間出身でありながら、日中が険悪だった時期、初の駐日大使に就任した著者の本だったので以前から読みたくて積読状態になっていたのをやっと手にして読み終わった。読書に対する著者の思い、またそこから生まれる人の生き方考え方仕事のやり方、エピソード等幅広く書かれたエッセイで、興味深く読めました。共感したり納得したり、本好きには楽しい読書になるかと。

  • 読書好きの人が書いた読書好きの人のための本です。
    ぼく自身読書家なので、この本を読むことで自己肯定感が潤いました。(笑)

    読書への向き合い方、読書の有用性、読書で人格を磨くことを学べます。

    読書は、知識の宝庫。先人たちが残した生きた財産。
    自分の無知を知ることで新しい見識と教養が得られます。

    現代人でたまに見られる「思考停止になる人」は確実に読書が足りてないです。
    教育機関が読書を好きになるような仕組みを作るのも面白いかもしれませんね。
    そうすれば、早い段階に自発的に学ぶ癖が身に付きますから。

  • 笑うこと、多読、選択、人生(時間)は有限だということ。著者の丹羽さんの読書経験が本を通して伝えられている。実利主義の人が増えていて、必要最低限の結論のみを求める、そんな経験に乏しい生き方をしないようにしたいと思いました。豊かで多様な感覚に気付ける余裕がある状態を維持するぞー。

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著者プロフィール

丹羽宇一郎(にわういちろう)
公益社団法人日本中国友好協会会長。一九三九年愛知県生まれ。元・中華人民共和国駐箚特命全権大使。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事(株)に入社。九八年に社長に就任すると、翌九九年には約四〇〇〇億円の不良資産を一括処理しながらも、二〇〇一年三月期決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。〇四年会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任ののち、一〇年に民間出身では初の駐中国大使に就任。現在、一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、伊藤忠商事名誉理事。

「2023年 『仕事がなくなる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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