ルポ東大女子 (幻冬舎新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984905

感想・レビュー・書評

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  • 東大に在籍する女子を東大生と呼ばず東大女子と呼ぶことに、この国のジェンダー問題の根源があるのではないか、という。
    東大卒女性の著書やインタビュー、一時期話題になったアメリカのスーパーキャリアウーマン、シェリル・サンドバーグの著書「LEAN IN」などからも引用があるのだが、これらの女性たちが語っていることが、問題の核心を見事に突いていて、鳥肌ものなのだ。
    「私たちの社会は、性別に拘らず、他者の面倒を見る人より、自分のキャリアに時間をかける人を上だと考えている」(プリンストン大学教授アン=マリー・スローター)
    という一文は、本当に突き刺さった。

    しかし、女性でなく男性がこの問題を掘り下げて新書として世に送り出してくれたことに、小さな明かりが灯っていることを感じる。2019.1.26

  • 「男の子なのに東大」と言われたことのない東大男子が、「女の子なのに東大」と言われてきた東大女子に出会ってびっくりするという話があったが、覆いにびっくりして欲しいものだと思う。
    女の子は「最高のもの」「最高の地位」を望んではならないという空気が日本にあることに自覚的な若者が増えるのはいいこと。
    次世代を育てる人に読んでほしい。
    (もちろん、社会の構成者である誰が読んでも無駄ではないです)

  • ふむ

  • オオタ先生の力作デス‼️

  • 2021年ですら、東大入学者の女性の割合は20%だと知って驚愕。医学部はほぼ5割なので医学部の感覚だと30-40年くらい前の世界だなぁと。

    家事や、育児と仕事とのジレンマの内容については世間はまだこんなことでジタバタしてたのかと正直思ってしまいました。コレはまだまだ大変だぞ、と。医療界はまた別の問題がありますけどね…。

    しかしながら、労働人口は減少の一途で四の五の言ってられない状況に追い込まれることは確実で、男女ともに学力の他に、生活能力を身につけることと、ケア労働を軽視しないこと。ケア労働(育児と介護)を外注するにせよ、分担するにせよリスペクトの気持ちを持つことが大事だと言うことなのかなと思いました。

  • "女の子なんだから東大なんて行かなくてもいいじゃない""下手に東大なんて出たら結婚できなくなる"

    男子であれば最強のブランディングである「東大卒」という看板が、女子ではまるで「レッテル」かのように、マイナスに見られたり、自分自身のコンプレックスやプレッシャーになったりする。

    女子に求められるものが、素直さ、愛嬌、控えめであることなど、いわゆる「女はちょっとバカなぐらいがかわいい」という、昭和の意識から変われてない強烈な中高年男性社会ジャパン…

    それを変えるには「社会の意志決定層に女性を増やす」最先鋒である、東大に女子が増えること。だから本当は"女の子こそ東大に行った方がいい"。そして多大なる選択肢の中から人生を選んでほしい。

    もし私が東大卒で揺るぎないキャリアを手に入れていたら、家事育児を夫から一方的に押しつけられて、キャリアを諦めることもなかったのかもしれない。
    そう思う一方で「娘に東大を目指してほしいかは微妙…」と感じてしまう私も、きっと昭和のスタンダードから抜け出せてないんだろうなぁ。

    (ちなみに娘はまだ小一だし、自分自身は東大を目指したこともない学力なのですべて妄想)

    <以下本文より意訳抜粋>

    ●男性中心社会において、女性に対する「客観的な評価」そのものがすでに無意識の偏見(バイアス)によって、客観性を損なっている。
    ・パフォーマンスバイアス
    ・パフォーマンスアトリビューションバイアス
    ・コンピタンス/ライカビリティトレードオフバイアス
    ・マターナルバイアス

    ●献身的というステレオタイプのせいで女性は犠牲を強いられ、しかも報われない。男性同僚の仕事を手伝っても、育児や家事をしてもこの「ジェンダー・ディスカウント」がおこる(コロンビア大フランク・フリン教授)

    ●夫の1日3時間の家事労働が、年収1000万の妻の労働継続を可能にすれば、家事労働の時給は1万円に相当する。
    (東大のジェンダー論講義 教養学部 瀬地山角教授)

    ●東大出身の男性でバリバリ仕事しながら子ども3人というケースで、彼らは「欲張り」とは言われない。なのに女子では無意識にその表現が出てくる非対称性。

    ●相手の学歴さえ問わなかったら、一番選択肢があるのな東大女子。けれどその選択肢が豊富かつ高レベルだからこそ葛藤が強い。

    ●「男vs女」ではなく「競争vsケア」。
    妻の自己実現や世帯収入よりも、自分の死後実現や出世欲を優先するのが当たり前、という考えを手放す男性が増えなければ、このジレンマは解消しない。

    ●女性であれ男性であれ、仕事と家庭の両方の責任を持つ人たちは、キャリアの面で妥協を強いられ、代償を支払っている。これは「女性の問題」ではなく「育児の問題」。私たちの社会は、性別に拘らず、他者の面倒を見る人より、自分のキャリアに時間をかける人を上だと考えている。それが社会の歪みと差別の根源。

     

  • 東大女子の卒業後

    就職、結婚、子育て

    男の方が学歴が高くなきゃいけないという
    プライド
    女は子供ができたら仕事を辞めなきゃいけないという
    先入観と葛藤

    今の男女平等は女が男に合わせてる
    だけど、男が女に合わせるべき。

    東大に来たのは将来の選択肢を増やすためだが、
    それまでの頑張りを考えると
    その選択肢の中で他の人には選べないものを
    選びたくなる。

    が、専業主婦(主夫)よりも働く方が偉いとかは無い。

    育児と仕事、どちらも人生にとって大切なこと。

    夫婦でお互いに支え合い、
    お互いがどうすれば物事が上手くいくかを考える。
    逆算して考える。
    どちらかが育児休暇をとっている間
    どちらかは働ける。

    また、お金があればベビーシッターや家政婦(夫)を雇って
    効率的に生きれる。


    東大を頂点にした
    偏差値のピラミッド

    働き方改革と大学入試改革

  • 内容うす…

  • 東大女子というタイトルから、これだけ色々な示唆を含んだ内容になるとは予想してなかった。 途中のジェンダー論に関連するインタビューが印象深く、共働きの部分は自分も近い将来起こりうることとして、話をする必要があると感じた。

  • ■東大生の強み「東大力」
    ・与えられた課題の本質をきちんと理解し,
    ・課題の達成に影響する要因を掌握し,うまく調整した上で,
    ・スケジュールをきっちり立てて,その通りにひたすら邁進し,
    ・誰からも文句を言われないような形で完遂することができる力
    ■東大生の弱点
    ①寄り道せずに損をする
    ②人生の「お題」が立てられない
    ③流行オンチと貧乏性
    ■女性の活躍を阻む4つのバイアス
    ①パフォーマンス・バイアス(成果に対するバイアス)
    ・女性は男性よりも厳しい評価を受けやすい
    ・男性は能力を見込まれて雇用されたり昇進したりするが女性が雇用されたり昇進したりするためには実績が求められる
    ②パフォーマンス・アトリビューション・バイアス(成果の理由に対するバイアス)
    ・男性の成功は本人の実力によるものと認められやすいが女性の成功はそうとは認められにくい
    ・男女で同じ仕事をしていても男性の・貢献度の方が高く評価されやすく逆に女性は失敗を責められやすい
    ③コンピタンス/ライカビリティ・トレードオフ・バイアス(能力か好感か二者択一のバイアス)
    ・能力が高い女性は嫌われるという傾向
    ・女性的な面を示す場合のみ女性のリーダーが効果的だとみなされる
    ・女性は女性として好感を持たれながら結果も出さなければならないということが強力なリーダーシップを発揮することを困難にし雇用にも昇進にも交渉にも影響を与えてしまう
    ④マターナル・バイアス(母性に対するバイアス)
    ・母親はよき労働者になれないという思い込み
    ■「働き方改革」と「大学入試改革」は車の両輪
    ・高度成長期からバブル景気の時期くらいまでの昭和型成長社会において過度な競争社会を勝ち抜くためには,高い偏差値と専業主婦が必要だった
    ・「働き方改革」とは要するに専業主婦に頼らずに社会を回す方法を考えようということ
    ・「大学入試改革」とは要するに偏差値の差に対する過敏症を治そうということ

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著者プロフィール

おおたとしまさ:教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立後、数々の育児・教育誌のデスク・監修・企画・編集を務め、現在は教育に関する書籍執筆および新聞・雑誌・webメディアへの寄稿を行う。テレビ・ラジオなどへの出演や講演も多数。心理カウンセラーとしての活動経験、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書は『ルポ名門校』(ちくま新書)、『勇者たちの中学受験』(大和書房)、『不登校でも学べる』(集英社新書)など80冊以上。オフィシャルサイト:http://toshimasaota.jp


「2024年 『学校に染まるな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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