カラス屋、カラスを食べる 動物行動学者の愛と大ぼうけん (幻冬舎新書)
- 幻冬舎 (2018年7月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344985117
感想・レビュー・書評
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研究者の日々、安定のユーモアと面白さ。
カラス最高。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この人の書くカラス話は本当に面白い。
今回はカラスについての話だけじゃなく、観察の経緯や仕事のことも書かれててそちらも面白かった。
それにしてもこの人、どの本でも毎回ぶどうパン食べてて見かけると笑っちゃう。 -
動物行動学研究は意外とアウトドア派。
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「鳥好きとは限らないくせに無人島に行っちゃう鳥類学者」 は川上和人氏でしょー?
「バッタを倒しに行っちゃう昆虫学者」は前野 ウルド 浩太郎氏で…
「ダニを求めて西へ東へ飛び回っちゃうマニア」ってだれ?!
気になって夜眠れない…
…昼寝しすぎか。 -
身近にいるはずなのに意外と何も知らないカラスの生態について紹介した本かと思いきやそうではなく、生物学者である作者がフィールドワークなどであったエピソードが中心の内容です。
タイトルからの想像は裏切るものの、たいへん面白おかしく語られており、あまり知ることのできない生物研究者の仕事や、生物についてのマメ知識も得ることができます。 -
自分もカラスが大好きで、この著者の「カラスの教科書」は面白かった。本書ではカラスに関する記述はほぼ前半だけで、残りは他の動物の野外調査日記。前半は、読むのに没頭してバス停を乗り越してしまうほど面白かったが、中盤以降は失速。これは出てくる動物が自分の興味と違うからか。
文章自体に独特の面白さがあり、カラス関連のものでは遺憾なく発揮されていたが、カラス以外のエピソードでは、それほどでもなかった。
同じカラス好きとして、本書が売れるといいですねと思うが、幻冬舎の企画が先行してて、中盤以降は無理やり書いてる(書かされてる?)ような印象を受けた。この著者なら一冊まるまるカラスエピソードでいけると思うのだが、なぜそうしなかったのだろう? -
読んでてクスッと笑える内容もあり、自分の知らない生物研究者の方々のやっていることが分かりやすく書かれてもいて、たいへんタメになったし面白かった。
だが、はしがきにもある通り、タイトルとはかけ離れた内容も多いので、タイトル買いした人にはやや不評かもしれない。 -
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本書を開いて最初に見る「まえがき」
そこでいきなり「最初にまず、お断りしておかなくてはならない。」と始まる。
何だ何だ、と続きを読むと「『カラス屋、カラスを食べる』は内容の一部ではあるが、一冊丸ごとカラスを調理して食っている内容の本ではない」
なるほど、それは確かにそうだろう(しかし『本当においしいカラス料理の本』(塚原直樹著/SPP出版)なる本があることも同時にまえがきで教えてくれるのだが)
しかし、まあカラスの研究者によるカラスをめぐる話が読めるのだろう、と思っているとこれも裏切られる。
なぜなら「本書は『カラス屋の大ぼうけん』というタイトルで企画されていた」ように、著者がフィールドワークの際に出くわした(さらに厳密にはフィールドワーク中とは言い難いような)「アハハと笑える「ぼうけん」」をまとめた本だからだ。
では期待外れかというとそうではなく、自然を相手にする研究者の、野性味あふれるフィールドの体験記は興味深い。カラス屋を自負する著者でも、カラスだけ、ではなく、ミズナギドリの島に向かい、夜にウミガメを押さえ、剥製標本を修理し、猛禽を調査してはクマタカを見つけ、屋久島ではサルを追う。
屋久島での前期調査最終日に行われた打ち上げ、肉を調達しに行った部隊が連れて戻ってきたのはなんと…の件に至っては「バッタ博士のいるモーリタニアかよ!」と思わざるを得ない展開(ちなみにここで提起される「どこまでが「生き物」でどこからが「食品」?」という問いは、『先生、脳のなかで自然が叫んでいます!』(小林朋道著/築地書館)の「第2章 ノウサギの”太腿つきの脚”は生物か無生物か」にも通じて、生物学者が生命というものに日々向き合っていることを感じさせる)
新宿で野宿をして襲われかけ、全裸で川で水浴びをし、マムシを食い、夜明けに妙な事態に遭遇する。
フィールドを相手にするということは、かくも様々なことに出くわすのだが、関西出身ならではの軽妙な筆致で生き生きと描かれる。
学生時代、フィールド系のサークルに所属していたが、あー周りにいてたのはこういう奴らばっかりだったなー
あ、この本の一番”新書/実用書”らしいところは「キムチ鍋を作る時には「スルメと塩サバを入れよう」かもしれない。