読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344985735

感想・レビュー・書評

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  • 年間200回の読書会を主催・運営する「猫町倶楽部」というコミュニティの代表が書いた、読書会についての本。
    名称だけ聞くと谷中辺りに本拠地がありそうに思えるが、拠点は名古屋。
    東京・大阪など全国5都市で開催されていて、のべ参加人数は9000人というから大変な成果だ。

    これから読書会を立ち上げたいと思われる方や、近くで開かれるなら参加したいという方には運営方法や参加の心得などが参考になることだろう。
    だが、すでに読書会を開いている、あるいは参加したことのある方には既知のことがらを確認するために読む作業となる。
    タイトル通り「入門」なので、経験値ゼロの方向け。

    「世の中には、一生かけても読み切れないほど無数の名著があり、読んだ本が自分の血肉となるというのならば、まだ読んでいない本と同じ数だけ、自分自身の可能性もまた眠っています」

    これは良い言葉だ。
    読書会と聞くだけでハードルを上げてしまう方が多いかと思うが、要は、読んだ本を中心にして会話のキャッチボールを楽しむもの。
    立派な感想を述べる必要もないし、延々と自分の知識を披露する必要もない。
    他のひとの発言を受け止めて咀嚼し、自分にない見方・感じ方を面白がる気持ちが大切。
    同調圧力など皆無だし、そもそもそんな雰囲気には決してならない。ひとの話を聞くのが、皆楽しくてたまらないのだから。
    その繰り返しで、自分もひとも変わっていく。そこが醍醐味かと。

    「自分の発する言葉に一番影響を受けるのはほかならぬ自分自身だろうと思います」

    私の経験では「私って口下手だから」「私って人見知りだから」と、暗に保険をかけたがるひとほど、とんでもなく饒舌になる。
    自分の思いを言語化でき、それを受け止めてもらえるという事は、そのひとを変える力を持つ。
    これは教育にも大切な視点で、読書はそれをアウトプットすることで、インプットの完了だという記述もある。
    不安や焦燥、羞恥や羨望、言葉にするのも憚られるような気持は、大人も子どもも同じように持っている。それを「こういうことで困っている」と言葉に出来るなら、問題は解決に向かう。
    読書会がその一助になれば、どんなにか良いことだろう。

    巻末には猫町倶楽部の過去の課題本が載せられている。
    こちらを参考にして読むも良し、自分が感銘を受けた本を課題本にして立ち上げるのも良し。
    一度でも経験すると楽しくてたまらないものなので、ぜひ皆様にもお薦め。
    あまり本を読んだことがないという方ほど、読書好きが瞠目するような意見を言ってくれるものだ。ひとりで読んでいた本が、何十倍にも成果をあげて自分に返ってきてくれる。
    ちなみにワタクシの第一回の課題本は、安房直子の名作「きつねのまど」だった。

    著者の奇抜な企画に時々??となったが、これで読書会の敷居が低くなり、もっと広がって行けば良いなぁと願っている。

    • 淳水堂さん
      nejidonさんこんにちは。
      私も去年くらいから読書会に参加しようとして探し中です。
      猫町読書会を検索しましたが、作家ご本人がいらした...
      nejidonさんこんにちは。
      私も去年くらいから読書会に参加しようとして探し中です。
      猫町読書会を検索しましたが、作家ご本人がいらしたり、参加者100人とかなのですね!
      あいにく近い日程では都合が合わず…。
      nejidonさんのいらっしゃる読書会にも参加したいです。
      2020/01/27
    • nejidonさん
      淳水堂さん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!
      おお、淳水堂さんは参加する方向でお考えでしたか。とても楽しみです(*^^...
      淳水堂さん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!
      おお、淳水堂さんは参加する方向でお考えでしたか。とても楽しみです(*^^)v
      そうなんですよねぇ、猫町倶楽部はかなり大きいのです。
      なので、企画もなかなかけた違いでして。
      でも紛れ込むには良いかもしれません・笑
      都内は案外開催箇所が多いので、他にも見つかるかもしれませんね。

      私のところは 課題本型の読書会なので、皆が読んできてくれればそれでOKなのです。
      きつねの窓→父と呼べ(山本周五郎)という流れでした。
      なかなか良いと思われませんか?笑・笑
      2020/01/28
    • 淳水堂さん
      nejidonさん
      コメントありがとうございます!

      私は読書会では、テーマを決めて各自が本を紹介する型と、ブックバーで少人数で好きな...
      nejidonさん
      コメントありがとうございます!

      私は読書会では、テーマを決めて各自が本を紹介する型と、ブックバーで少人数で好きな本を紹介する、に参加したことがあります。
      課題図書として一冊じっくり語り合うのは出たことないのです。
      各自紹介の時は、冊数制限ないので大人の本プラス児童書や絵本ももっていっています。
      SNSで検索すると、読書会や、ブックバー、ブックカフェが沢山あり、すっかり乗り遅れた感(^_^;)
      年に数回は行きたいなあと思ってます。
      おすすめ読書会とかありましたらまた教えて下さいませ。
      2020/01/28
  • 26.読書会を主宰している側なので勉強の為に拝読
    日本における読書会の歴史
    課題本に古典や名著から選書することによる普遍的メッセージの継承
    フィルターバブルに取り込まれぬよう最適化された情報の外に出て良質なノイズに触れる
    街の書店で本を手に取るときの偶然の出会い

    P66
    ヤバいという言葉 KY空気を読む時代
    喜・悲・驚・怒いずれにも感情を表す際に広く使われる
    調和を乱さぬよう
    自分の考えより先に、マジョリティの意見に同調

    読書会という居場所をもってコミュニティ作り、コミュニティビジネスと言った範囲にも及ぶ

    ・なぜ本を読む?
    自分では生きられない人生を生き、視野を広げる
    ・なぜ読書会に参加する?
    一冊の本の感想を複数の人と持ち寄り、より多面的な視座を得る為

  • 日本最大級の読書会『猫町倶楽部』代表の山本さんがお書きになった読書会入門書。平易で率直な言葉で綴られていて、読みやすい。『猫町倶楽部』への参加をお考えの方は、ご一読をお勧めする。かく言う私も、その希望者の一人ではあるのだけれど。

    こんなにたくさん?本の感想を書いておきながら、私の読書会の体験は、高校の3年間だけである。私の高校は、非常に図書委員の委員会活動が濃密だった。作家訪問・読書会の企画運営・無論参加もした。他校との交流も盛んだったし、発行している校内報も充実していた。ひとりで集中する読書と、課題を自分たちで選んで読み、自由に意見を交わす読書、どちらも面白いものだと、その時知った。

    大人になり、長じて公立図書館で司書の仕事をしたり、雑文を書くことをしていると、当然本は読んでいるのだが、大人のための、有志による読書会の参加経験だけは、ないままにここまで来てしまった。ブクログで『いいね』していただけるだけで、毎回こんなに嬉しいのだ。他の方の意見が聞けて、自分の語った言葉にお返事が頂けるのだ。楽しくないわけがない。

    まして。どうしても手が伸びなかった本だって、山本さんがおっしゃるように、課題書だったらかじってみようとするはずだ。さあ、それがどんな味かは、読んでみてのお楽しみ。

    いろんなことが書いてあったけれど、大事なことは『論戦』する場ではなく、『語り合う』場だということ。穏やかに話し、ゆったりと

    「そういう感じ方や考え方もあるのね」

    と思って聴いていたら良い。違う意見を持ってもいいし、同意しても良い。新たな見解が生まれたらシェアするのも一興。その場の誰もが、読者という同じ立場で、一緒に過ごそうね、とまあそういう場。(だと私は読み取った)

    社会論、組織経営論としても面白くて、私自身、本を読むことを、読みっぱなしにしないで、自分から何か発信できないかなと考えているので、そういう観点からも、先駆者の視点というのは、とても参考になった。

    読書会もたくさんあるので、『猫町倶楽部』さんだけでなく、いろんなところを覗いてみるもいいし、思い切って参加をしてみてもいいし。私の場合は、自宅からの参加になってしまうので、オンライン…うーん。時間が合うかな?というところがクリアできればいい。

    とにもかくにも、『プディングの味は、食べてみないとわからない。』

    常識と本と時間さえあれば、参加してみるのが一番いいのだ。どんな発見があるかは、百人いらしたら百通り。あなただけの、私だけの宝物になるはず。うーん。面白そう。

    巻末の既出課題図書リスト、まず読み始めてみようかな。…いっそ自分でオンライン読書会、立ち上げちゃおうかしらん。でもね、その前に参加経験積みたいのよね。悩ましいことだ…。

  • 興味はある。あるが、一歩踏み出せてない…
    読書を趣味にしているからには“本の理解”を深めたい事は確か。

  • 一度は参加してみたいと思っている「猫町読書会」。この感想を読んで下さっている方の中には行かれたことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。主宰者の山本さんの本業はリフォーム会社の社長。仲間とビジネス本を読む会を始めたら人が集まるようになり、いつの間にか、全国5都市で年200回ほど開催、1年間ののべ参加者数は約9000人という日本最大規模の読書会になっていたそうです。企画も選書も山本さんだけが行い、サポーターは毎年変わるけど会則はない。組織が上手く回るよう色々考えられた結果、成長したんだなぁと思いました。

    p89
    “遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん
    遊ぶ子供の声聞けば わが身さへこそ揺るがるれ”

    p92
    「フィルターバブル」という言葉があります。アメリカ人のイーライ・パリサーという人の造語で、ターゲティング広告や個人の思考に最適化された検索結果によって、その人が知らず知らずのうちに自分の関心のある事柄以外に、目を向けられなくなってしまっている状態、自分の嗜好の外側に出られなくなっている状態のことです。日本語では、“情報のタコツボ化”などと言われたりもします。ターゲティングによって何を利用してもその人に最適化された情報ばかりが提供されるようになった結果、インターネットを利用する多くの人が、知らず知らずのうちにこのフィルターバブルの中に閉じ込められていると言われています。

    p94
    閉じられた空間の中でひとたび発せられた音は反響し、その後も長く響き続けます。ことことをエコー・チェンバー現象と言いますが、同様のことがフィルターバブルの中でも起こると言われています。

    自分の好みや思想に合ったものだけと向き合い、そうでない情報を知らず知らずのうちに遮断していると、偏狭的になってしまうばかりでなく、その姿勢でもって社会全体に思わぬ影響を及ぼしてしまう。

  • 読書会に参加しようかなと思う人へのお誘い本。
    参加してみたいと思いつつも、中々行動に移せない人の
    背中を押してくれます。
    重い腰をあげて、ポチッと参加を決めてみました。

  • 読書会に興味はあるけど踏み出せない、そんな自分の背中を押してくれるかと思ったけれど、逆にやっぱりいいかなという気になった。自分のリコメンドには出てこない本との出会いや、同じ本をどのように他の人は受け止めるのかなどはこの読書メーターで満たされている気がする。リーダー像は飲み会の幹事、という著者の発想にはなるほどと思うところがあった。幹事をしたいと思うような私にとっての「飲み会」って何だろうなと考えさせられた。

  • 違う考え方があることを知ること。グレーに留まる力をつけること
    【感想】
     読書会を主催するので、読んでみた。著者自身が、自分の経験によって得た考えを語ってくれていて、面白かった。読みやすい新書の中に、参考になるコンセプトがいくつか示されている。長年継続して運営してきたなりのこだわりや試行錯誤が詰まっていた。意図的に厳しくしているところもあれば、ゆるくしているところもある。非営利のコミュニティを運営の経験談としても面白い。

    【本書を読みながら気になったコト】
    ・知性を競い争う必要はない
    ・合議制にはしない。課題本は自分(読書会主催者)が決める
    ・読書会は、書をもって新しい自分に出会う機会
     →フィルターバブルを抜けて、自分に最適化された情報を抜けて、学ぶ意義
    ・運営ポリシーは明文化しない
    ・モテるため、出会いのために本を読むのも結構。本を読了してくるのであれば、本をよむきっかけは何でもよい

  • たくさんのジャンルの本を読む

  • 読書会に興味があって、読んでみました。読書会と言っても、いろんなタイプがあることがわかりました。そして、自然と自分でも読書会とはこういうもの、という固定観念があることに驚きました。参加したことも見学したこともないのに!だから、主催者の大変さが少し想像できました。

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