探究する精神 職業としての基礎科学 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344986145

作品紹介・あらすじ

自然界の真理の発見を目的とする基礎科学は、応用科学と比べて「役に立たない研究」と言われる。しかし歴史上、人類に大きな恩恵をもたらした発見の多くが、一見すると役に立たない研究から生まれている。そしてそのような真に価値ある研究の原動力となるのが、自分が面白いと思うことを真剣に考え抜く「探究心」だ――世界で活躍する物理学者が、少年時代の本との出会いから武者修行の日々、若手研究者の育成にも尽力する現在までの半生を振り返る。これから学問を志す人、生涯学び続けたいすべての人に贈る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • こういう自身の修養ヒストリーのエッセイを書くのは、湯川秀樹『旅人』以来、物理学者のたしなみになっているのかな。
    興味の赴くまま一生懸命やっているうちに、現在に至っております、という率直な述懐。

  • 超ひも理論の分野で成功している物理学者の自伝を追いながら、基礎科学の重要性を再確認するテーマ。事業仕分けの蓮舫でなくても、読んで学べることは多い。一番のハイライトとしては、天才少年がどのようなことに興味を持ち、どのような本との出会いがあったかを具体的に見れる点。やはり読書はとても重要。
    アメリカの一流大学の研究者でも、突出した天才は稀だが探究を長く続ける体力には眼を見張るものがあるとのこと。 個人を尊重する自由な気風でこそイノベーションが生まれるのであれば、民主国家に豊かな国が多いことの裏付けと言えるのか。専制的な抑圧の国では限界があるのか

  • 「重力とは何か」や「強い力と弱い力」を書いた大栗さんの新作。基礎科学の研究者である著者の半生を描くと同時に、哲学の時代からの科学の歴史を描いている。

    私も企業の一研究員である中で、心に残ったのは「自身の知的好奇心に忠実であれ」ということと、「ミッションを大事にすること」の2つ。
    私が感じたことは本の内容とは少し違うかもしれないが、自分が面白いと感じたことが一番意欲が湧くし、素直な気持ちで取り組めるということ。しかし一方で、好奇心の持ったもの全てに手を出していては時間が足りない。そんな時に、自身の軸=ミッションに沿ったものを選ぶべきであると思う。
    特に、ミッションに沿うことは組織運営を考える上でも重要と思う。マネジメントの役職に就いた際にはぜひ意識していきたい。

  • 自伝的内容だが、子供の頃のエピソードをはじめ研究者になるまでの探求する心の成長がよくわかります。

    大栗先生が大学院でつけるべき3つの力として以下を述べてます。

    「問題を見つける力」
    「問題を解く力」
    「粘り強く考える力」

    粘り強く考える力という点において研究者の人達は答えがでるかどうかわからない問題でも何十年も費やすのだから脱帽です。

    「探求する精神」について深く学ぶことが出来る本でした。

    良書です。

  • 「はじめに」を読んでビックリ。癌の手術をしていたんですね。幸い転移はなかったとあります。一安心です。最初の3分の2は著者の半生が描かれています。いくつかのエピソードは、他の著書にも書かれていることですが、初出のエピソードもたくさん載ってます。高等研究所の研究員として採用されたときに嬉しさのあまり後方宙返りしたとか、大学に入学するまでに読んだ本(ハイレベルです)とか、東大ではなく京大を選んだ理由とか、勉強した受験参考書とか、京大から東大に移る経緯とか。
    後半の3分の1は、基礎科学を研究することの意義について書かれています。おそらく、本書で一番伝えたいことなのだと思います。また、大栗先生は研究者として一流なだけでなく、組織のオーガナイザーとしても優秀な方であることが分かりました。それだからこそ、米国の物理学会で成功をおさめることができたのでしょう。

  • 例えば、人はどんな道を辿って理論物理学者になるのだろう。その過程ではなにを学んでいるのだろう。『探求する精神』は、素粒子論を専門とする大栗博司先生が、子供の頃の思い出から、職業として科学者を選んで活躍するまでの半生の道筋を聞かせてくれる得がたい本だ。特に大学での勉強の三つの目標を案内するくだりは、みなさんの参考になると思う。意外に思われるかもしれないけれど、大栗先生はご自身がそうだったように、リベラルアーツや哲学や歴史を学び、幅広い本を読んでおく重要性を指摘している。そんな文系っぽい科目は不要なんじゃないの? と思ったら、まずはそのくだりだけでも見てみてくださいな。
    (選定年度:2024~)

  • 超弦理論の分野の研究をリードしてきた大栗博司博士の研究者としてのこれまでの歩みを振り返った回顧録。

    理論そのものに関する解説よりは、研究者としてどのような環境で学び、研究をしてきたかということを中心に書かれており、副題にもあるように基礎科学をいかに支えていくかということが大きな問題意識となっている。

    筆者が小学生の頃に展望レストランから地球の大きさを測る方法を考えるエピソードは、筆者の知的探究心の核の部分が垣間見れて、とても印象深かった。

    また、大学院の選択やプリンストンの高等研究所、カリフォルニア工科大学への移籍など、キャリアの節目においてチャンスを積極的につかんで、自身の力をより伸ばせる方向に環境を変えていっている様子には、世界をリードする研究者になるためにはプロアクティブに機会を掴んでいくことが大切なのだということを感じさせられた。

    最終章の第四部では、基礎研究の意義について論じられている。すぐに何に役に立つかは分からない研究であっても、かつての天文学や電磁気学のように、現在の生活の基盤を作るうえで欠かせない仕組みに繋がっている研究がある。

    そのような研究を進めている人たちの純粋な知的探究心と、チャレンジングな課題に取り組む姿勢が、社会の中できちんと居場所を与えられることが大切なのであると感じた。

    筆者は基礎研究環境の充実のためには国の政策の役割が非常に重要であると述べている。一方で、ルネサンスから近代化までのヨーロッパや20世紀のアメリカにおいては貴族や民間の財団など、国家とは異なる存在がこのような基礎研究のサポートに大きな役割を果たしてきたのではないかとも思う。そのような存在がない日本において基礎研究の場を作っていくことは、相当大変なのではないかとも感じさせられた。

    そういった意味からも、本書のように、世界の第一線で活躍する研究者が自らの研究環境の履歴や、そこからどのようなことを得られたのかを分かりやすい本で世の中に伝えていくことは、とても大切なことであると思う。

  • 物理学者の方がどのように物理に興味を持って、どのように研究を進めていったかについて自伝的に振り返ってます。
    正直なところ読んだ感想は、自分には学者は無理でしたごめんなさいという感じで、好奇心は合ってもここまでは頑張れないなぁと思ってしまって(集中力が続かないことには自信があります、私)。
    ただこういう突き詰めて考えることのできる人に突き詰めて考えることのできる環境を提供することは大事だと思います。

  • 1.基礎科学の研究者
    2.その研究に社会的・経済的価値を見出すイノベーター
    3.このような研究やイノベーションを支援するプロデューサー

  • 学問のプロである学者の人の半生が書かれた本。多くの気づきと納得があった。
    僕は自己啓発本として読んだ。学ぶとはどういう事なのかについて、理解を深められたと思う。自分は今何をすべきなのか、考える材料になった。

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著者プロフィール

カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授/ウォルター・バーク理論物理学研究所所長
東京大学カブリIPMU主任研究員
米国アスペン物理学センター所長

「2018年 『素粒子論のランドスケープ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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