- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344986145
作品紹介・あらすじ
自然界の真理の発見を目的とする基礎科学は、応用科学と比べて「役に立たない研究」と言われる。しかし歴史上、人類に大きな恩恵をもたらした発見の多くが、一見すると役に立たない研究から生まれている。そしてそのような真に価値ある研究の原動力となるのが、自分が面白いと思うことを真剣に考え抜く「探究心」だ――世界で活躍する物理学者が、少年時代の本との出会いから武者修行の日々、若手研究者の育成にも尽力する現在までの半生を振り返る。これから学問を志す人、生涯学び続けたいすべての人に贈る一冊。
感想・レビュー・書評
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こういう自身の修養ヒストリーのエッセイを書くのは、湯川秀樹『旅人』以来、物理学者のたしなみになっているのかな。
興味の赴くまま一生懸命やっているうちに、現在に至っております、という率直な述懐。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
超ひも理論の分野で成功している物理学者の自伝を追いながら、基礎科学の重要性を再確認するテーマ。事業仕分けの蓮舫でなくても、読んで学べることは多い。一番のハイライトとしては、天才少年がどのようなことに興味を持ち、どのような本との出会いがあったかを具体的に見れる点。やはり読書はとても重要。
アメリカの一流大学の研究者でも、突出した天才は稀だが探究を長く続ける体力には眼を見張るものがあるとのこと。 個人を尊重する自由な気風でこそイノベーションが生まれるのであれば、民主国家に豊かな国が多いことの裏付けと言えるのか。専制的な抑圧の国では限界があるのか -
「重力とは何か」や「強い力と弱い力」を書いた大栗さんの新作。基礎科学の研究者である著者の半生を描くと同時に、哲学の時代からの科学の歴史を描いている。
私も企業の一研究員である中で、心に残ったのは「自身の知的好奇心に忠実であれ」ということと、「ミッションを大事にすること」の2つ。
私が感じたことは本の内容とは少し違うかもしれないが、自分が面白いと感じたことが一番意欲が湧くし、素直な気持ちで取り組めるということ。しかし一方で、好奇心の持ったもの全てに手を出していては時間が足りない。そんな時に、自身の軸=ミッションに沿ったものを選ぶべきであると思う。
特に、ミッションに沿うことは組織運営を考える上でも重要と思う。マネジメントの役職に就いた際にはぜひ意識していきたい。 -
自伝的内容だが、子供の頃のエピソードをはじめ研究者になるまでの探求する心の成長がよくわかります。
大栗先生が大学院でつけるべき3つの力として以下を述べてます。
「問題を見つける力」
「問題を解く力」
「粘り強く考える力」
粘り強く考える力という点において研究者の人達は答えがでるかどうかわからない問題でも何十年も費やすのだから脱帽です。
「探求する精神」について深く学ぶことが出来る本でした。
良書です。 -
「はじめに」を読んでビックリ。癌の手術をしていたんですね。幸い転移はなかったとあります。一安心です。最初の3分の2は著者の半生が描かれています。いくつかのエピソードは、他の著書にも書かれていることですが、初出のエピソードもたくさん載ってます。高等研究所の研究員として採用されたときに嬉しさのあまり後方宙返りしたとか、大学に入学するまでに読んだ本(ハイレベルです)とか、東大ではなく京大を選んだ理由とか、勉強した受験参考書とか、京大から東大に移る経緯とか。
後半の3分の1は、基礎科学を研究することの意義について書かれています。おそらく、本書で一番伝えたいことなのだと思います。また、大栗先生は研究者として一流なだけでなく、組織のオーガナイザーとしても優秀な方であることが分かりました。それだからこそ、米国の物理学会で成功をおさめることができたのでしょう。 -
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読みたい本が増える本。大栗先生が大変な読書家だとわかる。同じ本を読んでみたくなる。
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物理学者の思考法
岐阜の商店街で育った少年時代の話が面白い
両親が働く店の奥で勉強。商店街の中にある本屋に行ったり。
●考える材料
自分の頭で考えるためには、その材料である知識も重要です。知識が乏しくては自分の考えを豊かに広げることができません。
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●先人の教え
東島清
自らの知的好奇心に忠実であれ
佐々木閑との対談
「どんなものでも機能が発揮できるときが幸せなのだ」
アリストテレス『形而上学』
すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する。
トマス・アクィナス『真理について』
人間の究極目標は、宇宙とその諸原因の全秩序が霊魂に書き記されること
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ブルーバックス「南部陽一郎物語」を読んで、積読本だった本書を手に取りました。がんの転移の可能性を指摘されたタイミングで、ずっと避けていま研究人生の回顧録を執筆したとのこと。結局、転移もなく、この本が生まれたのは若い世代にとっては幸運でした。物理を学ぶ学生だけではなく、まだ進むべき道を見つけていない若者にとっても良書だと思います。まさに、書名通りの「探究する精神」が小学生の時から発現し、その知的好奇心が研究人生をドライブして来たことが、丁寧に書かれています。知的好奇心の道標が、本であり大栗博司版「ぼくはこんな本を読んできた」になっています。最初に通った近所の本屋さんの名前が「自由書房」っていうのもいいよなぁ…もちろん物理学の名著、大著もありますが、最近出版された新書などでの気づきもいろいろ引用してあって、人生まるまる「自由書房」で自らを放牧している感じ。素敵です。著者は物理学が統一理論に向けてぐいぐい前進したいた時代の学者で、しかも数理連携の重要性の推進役の一人であることも含めて、物理学の「日の当たる道」が眩しく見えます。この新書を読んだのか4月の天気のいい朝、窓から日差しの溢れる電車の中で。はるか昔の新学期のワクワク感が蘇りました。
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300ページ程で読み応えがある。好みの小説のようにワクワク楽しみながら読めるものでも無いが、表題を構成する各単語の意味を納得出来る形で平易に書かれている。小学生が読むのは辛いだろうが、内容的には小・中学生から読んでみて欲しい書物。未だ小さな子を持つ親にも読んで欲しい。
著者プロフィール
大栗博司の作品





