アイドリング脳 ひらめきの謎を解き明かす (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎 (2024年11月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784344987494

作品紹介・あらすじ

ぼーっとしている時、眠っている時に、脳がしている「スゴい働き」とは? 
この秘密を知れば、「ひらめき」が次々に湧いてくる! 
「悩んでいたけど、寝て起きたら解決策が見つかった」「リラックスしていると新しいアイデアが浮かぶ」といった経験は誰しもあるだろう。実は、睡眠中やぼーっとしている時の脳は、記憶を整理して問題に対する正解を導き出すという、起きているとき以上に積極的で高度な情報処理をしている。これが「アイドリング脳」だ。ひらめきを得るためには、アイドリング脳をいかにうまく働かせるかが鍵。分子脳科学の最前線に立つ著者が、驚きの研究成果を分かりやすく解説するとともに、ひらめくための実践的方法も紹介する一冊

感想・レビュー・書評

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  • ボーっとしている時間にも意味がある。寧ろ、知識を詰め込むような勉強をする時間よりも、頭を整理してアイデアを捻り出すには、ボーっとしている時間が必要だ。睡眠やジョギングなどでのデフォルトモードネットワーク、フロー状態。

    夢の中で解決策がひらめいた人でいうと本書でも紹介される化学者のケクレ。夢の中でベンゼン環の構造をひらめいた。同じく夢の中で元素周期律表を発見したメンデレーエフ。日本では湯川秀樹が原子核の中で陽子と中性子を結びつけている「中間子」のアイデアがひらめいたというのは有名だ。

    この本を読んで益々睡眠の大切さが分かる。一方で勉強時間のために睡眠を削るのは得策ではなく、そのために人間にはやはり時間が限られている事を再認識する。では記憶には限界があるのか。この点は読む本によって見解が異なる。

    海馬は、記憶を短期的にとどめておく場所で、海馬でつくられた記憶(ニューロン集団)は大脳皮質へとコピーされる。大脳皮質にコピーされた記憶は、何十年経っても思い出すことができるが、2年以内の比較的新しい記憶は海馬を使って思い出すことになる。

    著者の実験では、ニューロンの新生によって海馬の古い記憶が消去され、新しい記憶が刻まれていくという。経験や体験が変質しやがて忘れていくものなのだとしたら、我々は何を蓄積しているのだろうか。ひらめきだけではなく、記憶についても考えさせられる本だ。

  • デフォルトモードネットワークなどの研究のお話。

    研究内容の面白さもさることながら、研究者マインド的な部分も面白く読ませていただきました。

  • 「アイドリング脳」を読んで──思考を止めないことが創造の鍵

    最近読んだ『アイドリング脳』という本が、私の脳に対する見方を大きく変えてくれました。私たちが何気なく使っている「脳」は、実は驚くほど高度で、しかも効率的な仕組みを持っています。

    本書のなかで特に印象的だったのは、人の脳が「数少ない経験(=データ)」から“正解らしきもの”を一瞬で導き出す力、つまり“直感”についての記述です。そして、その直感はさらに新しい創造へとつながるという指摘でした。

    「全ては脳の中にある」という視点

    私はこの本を読みながら、「すべての情報や答えは、すでに自分の脳の中にあるのではないか」と感じました。大切なのは、それらの情報をどう結び付け、ネットワークとして活用するか。つまり、常に学び、思考を止めない「アイドリング状態」の脳を維持することこそが、創造性を育てるカギなのです。

     AIとの比較で見えてくる「人間脳」のすごさ

    興味深いデータも紹介されていました。人間の脳と同等の機能を持つAIを稼働させようとすると、なんと50万人都市に匹敵する電力が必要だとか!私たちの脳が、いかに省エネかがわかります。

    しかも、脳は“不要な情報”を自動的に取捨選択し、省略しながら記憶するという、高度な情報処理機能を持っています。五感からの膨大なインプットを効率よく処理しつつ、必要な情報はしっかりと保持する。人間の脳のキャパシティは、ほぼ“無限大”に近いとも言われているそうです。

      睡眠中にもひらめきは生まれる

    もう一つ印象的だったのが、「睡眠」の役割です。睡眠中も脳は静かに、しかし確実に活動を続けています。記憶を整理し、重要な情報を選抜し、時には“ひらめき”までも生み出す。寝ている間に問いが立てられ、それに対する直感的な解が浮かぶというのは、科学的にも納得のいく話です。

    だからこそ、思考を止めず、アイドリング状態で脳を動かし続けることが大切なのだと、改めて感じました。


       「年齢に縛られない思考」を目指して

    この本の中で紹介されていた、葛飾北斎の言葉が強く心に残りました。

    「70才以前までに書いた絵は取るにたらないもので、80才でさらに成長し、90才で絵の奥義を極め、100才で神妙の域に到達し」

    年齢を重ねることがむしろ創造性の深まりに繋がる──。それはまさに、アイドリング脳のなせる技なのではないでしょうか。

    私も、自分の直感を信じ、思考を止めない姿勢を持ち続けていきたい。そして年齢に関係なく、若々しく柔軟な思考を保っていたいと、心から思いました。

  • 睡眠がひらめきに必要だと分かった。

  • アイドリング脳という新しい概念を知り、これまで何となく思っていたことを科学的に実証された思考と実験の軌跡を分かりやすく説明されており興奮が止まらない。ひらめきを生み出すことに必要で明日からの生活を豊かに変えるコツがたくさん詰まっている。最後に僕自身の仕事も紹介していただいており、素直に嬉しく思った。

  • ひらめきについてだけでなく、研究に対する姿勢についても色々書かれており興味深かった

  • さらっと読みやすく、最新の知見を学ぶことができます。薄い本ですが内容は結構濃いです。

  • 選書番号:475

  • 温泉でひらめく理由
    画期的な研究手法→潜在意識
    星座のような記憶のネットワーク:
    40億年の進化
    記憶←ニューロン
    精神活動を司る大脳
    記憶の中枢・海馬
    人生≒記憶
    記憶→知識
    記憶のキャパシティは無限大
    忘れた記憶も脳に存在:
    ひらめく場面・人それぞれ
    光遺伝子
    記憶→思い出す度に不安定
    ひらめきの瞬間:
    5つの部屋の関係性
    睡眠との関係
    ひらめきは寝ている間につくられる
    脳は経験していないのに予測
    アイドリング脳:
    直感を信じる
    AIまかせの研究
    即効性や有用性だけで判断しない
    目指さねければ始まらない

    アイドリング脳の定義と重要性
    - アイドリング脳とは: リラックスしているときや、何かに集中していない状態で脳が活動している状態。潜在意識が重要な役割を果たす。
    - ひらめきとアイドリング脳の関連: 創造的なアイデアや解決策が生まれる瞬間は、アイドリング脳が働いているときである。

    研究の背景と目的
    - 研究の出発点: 記憶とひらめきの関連性を探ることから始まった。潜在意識の研究は心理学や精神分析学の分野で長らく行われてきた。
    - フロイトの理論: フロイトは心を氷山に例え、意識の下に隠れた潜在意識の重要性を示した。著者はこの理論を基に新たな研究を進めている。

    アイドリング脳の研究成果
    - 論文の発表: 2022年には4本の研究論文を発表。アイドリング脳と記憶の関係に関する重要な成果を得た。
    - 実験の方法: マウスを用いた実験や、光遺伝学的手法を用いてニューロンの活動を観察し、アイドリング脳のメカニズムを解明。

    ひらめきの条件
    - リラックスの重要性: 温泉に浸かるなどリラックスした環境がひらめきを促進する。著者の実体験として、アイドリング状態がひらめきのカギであると強調。
    - ひらめきの場面: 日常生活の中で、移動中やリラックスしているときに新しいアイデアが生まれることが多い。

    潜在意識の機能
    - サイレント・エングラム: 忘れた記憶は脳内に痕跡として残っている。これが後のひらめきや創造性に影響を与える可能性。
    - 睡眠の役割: 睡眠中に脳は記憶を整理し、未経験の事象に備えて推論を行っていると考えられる。

    研究の展望
    - 今後の研究方向: アイドリング脳の研究を進め、潜在意識の機能や睡眠中の脳の処理を科学的に解明していくことを目指す。
    - AIとの関係: アイドリング脳のメカニズムをAIに実装することで、創造性のあるAIを開発する可能性についても言及。

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