ジャミ-ラの青いスカ-フ

  • さ・え・ら書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378014869

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  • タリバン後のアフガニスタン~ジャミーラは,父が道路工事の仕事中,病気で死んでしまった母親を発見する。父は母の埋葬が済んだ晩から阿片を吸うようになり,家財を売ってカブールに行くと,ジャミーラをトラックの荷台に乗せ,娘を使用人として酷い扱いを受けているにも拘わらず酒を呑んでいる。その家を追い出されると,家を売った金を結納として戦争未亡人と結婚するが,継母から使用人のように扱われた挙げ句に嫌われ,父によって市場に置き去りにされる。親切な肉屋の主人が泣く泣く,ジャミーラを孤児院に入れるが,母の形見の青いスカーフの下には裂かれたままの唇がある。アメリカ軍医によって整形手術を受けたジャミーラは綺麗な顔を持って得意になっている恥ずかしい自分を発見し,チャドリを着るようになった。孤児院で初めて字を学び,算数を知り,先生の使いで,ソラヤと共に買い物にも出してもらえるようにもなる。市場の肉屋を捜し当て,嬉しい再会を果たした後,院まで送ると言った主人共々まいこになった一行は,ジャミーラに導かれて,父と継母が暮らす家に入り,義兄のマスードはジャミーラに気が付かず,ソラヤに一目惚れしたようだ。継母は数度,ソラヤと院に掛け合って,親友と義兄の結婚は成立した。父の口から,実の娘は地雷で死んだと言われた結婚から6日目,ジャミーラはソラヤの嫁ぎ先で,元の家族と再会する。ジャミーラの口唇が閉じ,孤児院で職を得られそうだと聞いた父は,他の場所に移って婿をとれば幸せが約束されるというが,ジャミーラは孤児院の子ども達の役に立ちたいと申し出を拒否する~パキスタンから3歳でカナダに移住し,トロントに住む女性。非ムスリムが書くイスラームの世界は偏見に満ちていると感じて書いた。まじめなムスリムの暮らしは窮屈だが清々しいものかも知れない。継母のように強欲な人や,父のように誘惑に弱い人,ソラヤの様に信念が堅く強い人,アルワのように何も教えてもらえずに弱くて汚い子,肉屋の主人のように優しくて親切な人,どこの社会でも色々な人がいるさ。戦乱が続くと当然,個性ってものが強烈に表に出てくる

  • アメリカがアフガニスタンに侵攻した直後に起きたこととして書かれたフィクションだが、実際にあった事件がもとになっているらしい。
    読んで、アフガニスタンの一般市民の窮状、生活の中のイスラム教、スカーフ、チャドリなどの効用など、女性たちの生活もわかって、勉強になった。

    〈本から〉
    チャドリを着て、ソラヤとカブールの町に出ると、自分が
    なぞめいて見えるのがわかる。男たちは、わたしを見ると
    うなずき、道をあける。わたしは、網目のあいだから相手を見ているのに、男のほうからは、わたしの体の何ひとつ見る
    ことができない。たとえ精神をわずらった男でさえ、わたしをみだらな空想の対象にすることはできないのだ。

    「もし、自分が美しくないと思ったら、少なくとも、よい
    人間になるよう努力しなさい。そうすれば、みんなは、きっとみとめてくれる」

  • タリバン政権崩壊後のアフガニスタンが舞台。少女の不幸が孤児院に行ったことで好転するなんてつらすぎる。

  • アフガニスタンで暮らす少女は母の死後,父とともにカブールへそしてそこでは継母にこきつかわれ,あげくのはてには孤児院へ・・イスラム教・アフガニスタン・タリバン・・・テレビのニュースで耳にする言葉だが,はたして日本にいる私たちにはどのくらいのことがわかっているのだろうか・・・この本を読むと少しは見えてくるだろうか・・とても読みやすい本なので,たくさんのヤングアダルトたちに読んでもらいたいと思いました。そしてどんな読後感を持ったか一緒に話をしてみたいな・・・

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