語りつぐ者

  • さ・え・ら書房
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本棚登録 : 142
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378014975

感想・レビュー・書評

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  • 装画に惹かれて借りた。
    現在と過去が交錯しているが、とても読みやすかった。
    過去編は、アメリカの独立戦争に巻き込まれた少女の目線で語られている。
    現代と交互に話が進むせいか、歴史物にありがちな生臭さ、悲壮さはあっさり感じられたので、読みやすかったのかもしれない。

  • アメリカ建国時代の少女ズィーの肖像画から、現代を生きる子孫の少女エリザベスが、その半生を調べて語りつぐ物語。
    アメリカ独立戦争については、教科書程度の知識しかなく、国として自立しようとする愛国派とイギリス国王のもとで生きようとする王統派に近隣でも分かれて戦うことになったこと、激しかった闘いの様子など、その概略(?)を知ることができた。

    物語は軽い語り口で読みやすく、ズィーが自分の土地を守るために戦おうと変わっていくさまや、エリザベスの父との関係、友達が作りにくい性格、伯母(亡くなった母の姉)でもあるリジーや、そのいとこのハリーなど、あまり人付き合いに長けた性格ではない不器用な面々と心を通わせていく過程などは楽しく読めた。
    ただ、エリザベスが何かにつけて流されることが多く、自分から何かを変えていこうとしているかどうかなど、掘りが浅い気もした。エリザベスの隠れた才能「語りつぐ・物語をつくる」ことについても、今ひとつ、明確には描かれておらず、その根拠が見えず、唐突。

    また、イロコイ族が出てくることもあり、そもそもアメリカに暮らしていた人たち(インディアン)が、王統派に与して新たに入ってきた開拓民という名のアメリカ人たちに対抗していたこと、それは、つまり先住民(インディアン)の暮らしが開拓民(アメリカ人)たちに脅かされていたという建国史の裏側があることも考えなければならないのでは、と感じた。

  • アメリカ独立戦争は知っていたが、それは何となくイメージしていたような、英国とアメリカとの戦いというだけではなく。アメリカの中でも、イギリス国王に忠誠を誓い独立を阻止しようとする王党派と、イギリスから独立しようとする愛国派に分かれて、戦っていたことを、これまで知らなかった。

  • 舞台はアメリカ。現在(21世紀)に生きるエリザベスとアメリカ独立戦争の頃の祖先の姿とを交錯させながら描かれている。不器用で何をさせても失敗ばかりのエリザベスとその祖先のズィーが自分の使命に気づき、強く勇気を持って人生を切り開いていこうとする物語。・・・今自分がここにいるのは遥か、遥か昔からずっと語りつがれてきたものをまた語りついでいくために。

  • なかなか良かった。現在と南北戦争時を行き来する設定がちょっとわかりにくかったのと、あれこれと問題が多すぎたのが気になるところ。でも、全体としては、おもしろかった。

  • 伯母の家にあった自分によく似た肖像画の少女。調べていくうちに、アメリカ独立戦争に巻き込まれた祖先であることがわかる。

    読み終えてタイトルの意味が腹落ちしたとき、とても良い本だったなと思えた。
    あまり知識のない独立戦争についても興味がわいた。

    ただ、毎回思うのだが、さえらの本はいつも装丁がいまいちである。良い本が多いのに、表紙が違えば、もっと多くの人に読んでもらえるのでは。。。

  • 叔母の家で見つけた自分とそっくりの少女ズィーの肖像画に引き付けられたエリザベス。ズィーは、自分の祖先だった。21世紀のエリザベスと、18世紀のアメリカ独立戦争の中をたくましく生きるズィーの物語の章が交互に展開していき、ぐいぐい引き込まれていった。孤独感の中で、自分に自信が持てなかったエリザベスが、ズィーの生い立ちや過去の歴史を調べていくうちに、祖先への愛情や感謝の気持ちを抱き、自分の存在価値に気がつき、成長していく様子がとても清々しかった。

  • 2014.9.26読了
    2014読書感想文コンクール中学生の部課題図書
    アメリカ独立戦争の頃の話。

  • エリザベスとズィーの物語。
    アメリカの独立戦争について、ほとんど知らないので、ちょっとわかりにくいところがあった。
    自分の祖先がどんな人物で、どんな風に過ごしてきたのか、知ったり語ることは、すばらしいことだと思った。

  • 今年の中学の読書感想文コンクール課題図書。
    正直いってつまんない。
    このころのアメリカを描いた作品なら『からすが池の魔女』の方がずーっといい。
    現代を生きる少女に語る才能が芽生えるのは唐突だし、独立戦争時代の少女も、感情移入できるタイプではない。
    しかも、一番厭なのは愛国派が正義で、王党派は悪という風に書かれているが、それを納得させる材料がなにもないこと。じゃあ、ズィーが、女ながらに闘おうと決意した理由はどこにあるのか。単に父と兄がいたから?ますます納得できない。好きな男もコロコロ変えるし。
    共感できない登場人物であれば、それにかわる、物語の強さなり、語りの面白さなり、新たな歴史認識なりあるべきだが、特になし。
    これで感想文書けって言われても困っちゃうね。
    さ・え・ら書房はやたらこの田島董美さんを装丁・装画に使ってるんだけど、内容に合うとき(目でみるシリーズ)はいいけど、物語においてズィーの肖像画が重要な意味を持つだけに、これはちょっと…と言う感じ。
    美人ではないけれど、その人となりを知りたくなるような魅力的な少女、というふうには見えない。
    モディリアニ風にしたかったのか?首が長すぎるけど。

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著者プロフィール

ニューヨーク市ブルックリン生まれ。20 年間教師をしたのち、子どものための本を書き始め、60 冊をこえる著作は広く子どもたちに読まれ愛されている。邦訳作品に『ノリー・ライアンの歌』、『リリー・モラハンのうそ』、『ホリス・ウッズの絵』、『語りつぐ者』(いずれもさ・え・ら書房)などがある。2度のニューベリー賞オナー賞を受賞。コネチカット州在住。

「2017年 『ジュビリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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