きみが、この本、読んだなら とまどう放課後 編

  • さ・え・ら書房
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本棚登録 : 161
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378015569

作品紹介・あらすじ

「ねえ、この本、読んでみたら」
あの本を読んでほしい子、いませんか?――大切な人へ本をすすめる4つのストーリー。本の紹介をテーマにしたアンソロジーです。

感想・レビュー・書評

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  • なぜだろう、こんなにどきどきするのは。知りたい。この本を分かちあいたい−。飛行機の話になると夢中になる、となりの席の子を描いた「赤いコードロン・シムーン」をはじめ、大切な人へ本をすすめる、4つの物語を収録する。

    目次
    「赤いコードロン・シムーン」森川成美
    「たそがれ時の魔法」高田由紀子
    「走っていくよ」松本聰美
    「ぬすまれた時間と金色のパン」工藤純子

  • アンソロジー。
    本との巡り合わせってご縁だなと思うけど、その縁の影響をモロに受けちゃった少年少女たち。彼らに必要な本だったのでしょう。見方を変える、一歩踏みだす、変わりたい自分を後押ししてくれる本の存在は、とても貴重。

  • 小学6年生の4人がそれぞれが思い悩んでいる局面でとある本と出会い、それをきっかけに動き出します。
    その状況を励ますのにぴったりな本ばかりでその本を自分もまた読んでみたくなりました。

  • やだもう。がまくんのクッキー、思い出したら食べたくなっちゃった。

  • 小学校高学年向け読み物
    とまどう放課後編・ざわめく教室編
    各4人の作家の短編集

    主人公は6年生の男の子や女の子で、学校での出来事を中心に話が展開します。
    一冊の本を読むことで、主人公が成長していきます。読書の楽しさに気づいたり、自分を見つめ直したり、進路や夢を考え始めたりします。
    どれも爽やかな雰囲気で、読後に前向きな気持ちになれる作品です。

    図書館で子どもたちにおすすめしやすい本です。
    ・一つのお話が短いところ
    ・4人の作家さんのお話が読めるところ…自分の好みの作家さん、作風を見つけることができる(2編合わせると8人になります)
    ・お話の中で本が紹介されているところ…これ一冊で終わらず次に読む本につながっていく
    ・本をおすすめする時に、作家さんの別の作品やお話に出てきた本を紹介することができる

  • 彼氏欲しい、、、
    ハハハ
    www

  • 「ねえ、この本、読んでみたら」
    本の紹介をめぐる、4つのお話のアンソロジー。

    ◯『赤いコードロン・シムーン』森川茂美
    女子が苦手で飛行機が好きな翔(かける)は、隣の席のすみれの机の上に、フランスのシムーン社が1930年代に製造した飛行機、コード・シムーンの模型の写真がのった下敷きを発見したことから、すみれと仲良くなる。すみれに『星の王子さま』をすすめられて読んでみた翔だが、飛行機以外の内容にはさほど興味が持てなくて…。
    ・『星の王子さま』(岩波文庫)サン=テグジュペリ 作 内藤濯 訳 岩波書店

    実を言うと、私は世間の評価ほど『星の王子さま』の良さを理解できていない大人です。でもこのお話を読んでいると、どんな読み方をしたっていいんだなって思えて、ちょっと気が楽になります。
    翔は一回目、飛行機の型番が気になって読んで、出てこなかったことにがっかりする。でもその後に、サン=テグジュペリの経歴を調べ、彼が持っていた飛行機や、この話がどのタイミングで描かれたかを理解する。そのことで、二回目は史実とものがたりの違いに着目し、そこから著者が描きたかったものを想像する。三度目にやっと、キツネが王子さまに教えた言葉に目を留め、バラの花に着目して読んでみる。
    いろいろな読み方をして、最後にすみれが怒った理由に思い当たり、さらに、自分が言いたかったことをもっときちんと伝えたいと思う翔。飛行機の型式はただの数字じゃないんだよって、翔が想いを伝えられた場面が好きです。
    その時の心の持ちようで、その本から感じる思いも違ってくるのだし、自分が着目する箇所も全然違ってくる。でもそれは、どれが正解とかじゃなくて、どんなふうに感じたって別にいいんだよって。そう言ってもらえているようで、うれしい。

    ◯『たそがれ時の魔法』高田由紀子
    図書委員の葉月は、憧れの透也くんと一緒におすすめ本のポスターを作ることになる。葉月のおすすめの『コンビニたそがれ堂』のポスターを、透也が絵、葉月が文字を担当し、作り上げることが出来るが、葉月は透也が転校してしまうと知って…。
    ・『コンビニたそがれ堂』(ポプラ文庫ピュアフル)村山早紀 著 ポプラ社

    『コンビニたそがれ堂』、こないだ最初の方だけ読んで返してしまった。葉月が辛い時期を乗り越えられた本、またきちんと読んでみたい。
    引っ込み思案で内気な葉月が、最後に振り絞った勇気に乾杯。

    ◯『走っていくよ』松本聰美
    仲良しの麻衣ちゃんが転校してしまった綾香は、クラスの三人組・大月さんたちに言われて、寄り道をしているという噂の変わり者の転校生・佐川さんを尾行することになって…。
    ・『ポケットのはらうた』くどうなおこ 詩 ほてはまたかし 画 童話屋
    ・『また すぐに会えるから』はたちよしこ 詩 大日本図書
    ・『オーパル ひとりぼっち』オーパル・ウィットリー 原作 ジェイン・ボルダン 編 バーバラ・クーニー 絵 やぎたよしこ 訳 ほるぷ出版

    佐川さんが結構変わった子で面白かった。それにしても、紹介する本を詩に設定するのは難しそうだなぁ。くどうなおこさんの『のはらうた』はいいですよね。カマキリリュウジ、超懐かしい。大月さんたち三人組も、そんな悪い子ではなく、優しい世界。「ミツルは風で、リュウジはカマキリで」とか言ったら、「なにそれ、変なやつ」ってなりそうだけど、「風と話するなんて、ちょっと楽しそう」って反応になる三人組は優しい世界。

    ◯『ぬすまれた時間と金色のパン』工藤純子
    サッカーが好きな和弥は、サッカーを休み塾に通い始めた卓に影響を受けて、塾に入り、中学受験を目指すことになる。サッカーの強い中学に入るために勉強をしているはずなのに、気持ちばかり焦る和弥に、同じクラスの春香が無理やり押し付けたのは、『モモ』という本で…。
    ・『モモ』ミヒャエル・エンデ 作 大島かおり 訳 岩波書店
    ・『ふたりは いっしょ』アーノルド・ローベル 作 三木卓 訳 文化出版局

    「本を閉じるのがさびしい…」
    私もはるか昔、『モモ』を読んでいた時に思っていた気がする。いつまでもいつまでも読んでいたいと思わせる本。そんな本に出会えると本当に幸せだ。
    しかし『モモ』の金色のパン、全然覚えていないので、こちらもまた読み返さないとなぁ。

  • 4人の作家さんによるアンソロジー。
    主人公はみな6年生で、誰かが誰かに本をすすめ、その本によって世界が拡がっていく。
    小さな恋と友情が、甘酸っぱくて切なくて、鼻の奥がつーんとなる。
    本の読み方・受け止め方も大人とはまるで違うのが興味深い。

    1、「赤いコードロン・シムーン(森川成実)」
      登場する本は「星の王子さま」「海に消えた星の王子さま」

    2、「たそがれ時の魔法(高田由紀子)」
      登場する本は「コンビニたそがれ堂」

    3、「走っていくよ(松本聰美)」
      登場する本は「ポケットのはらうた」「また、すぐに会えるから」
      「オーパル ひとりぼっち」

    4、「ぬすまれた時間と金色のパン(工藤純子)」
      登場する本は「モモ」「ふたりはいっしょ」

    6年生が主人公と言えど侮ってはいけない。どれも素晴らしい。
    ケストナーの言葉を借りれば、子どもの悩みが大人より小さいなんてことは決してないのだと改めて知ることになった。
    その時その場を、今よりもはるかに真剣に不器用に生きていた自分。
    その年齢独特の、ものの見方・感じ方。
    とっくに通り過ぎたはずの時代を、ふとふり返ってみたりする。

    1番に登場する話のタイトル、ちょっと面白いでしょ。
    これはサン・テグジュペリが乗っていた飛行機で、1930年にフランスのコードロン社が製造したのだという。シムーンは砂漠に吹く砂嵐のこと。
    主人公の少年は、二日間で3回も「星の王子さま」を読む。
    読む意味合いもその都度違い、読んで考えて、勧められた理由まで気づいていく。

    3番目の「走っていくよ」が一番心に残るかな。
    登場する「佐川さん」という女の子が、まるでその頃の自分のよう。
    「詩は心の鍵」と言う言葉が出てくる。
    「そのひとの心の鍵穴にぴったりと合うと、キーっと心が開いていくの。。」
    工藤直子さんの優しい詩が読まれる場面があって、ここがとても良い。
    「心がしぼんじゃった時、物語は読めないけど詩だったら読める」という言葉も。自分の本棚から同じ詩集を出して、私もゆっくり読んでみた。

    作者さんたちは皆、人を見る目がとても優しい。
    それが紹介する本とマッチして、読むことで新たなドラマが生まれていく。
    どの子も、本が語る言葉をしっかり受け止めていく様子が書かれ、本は本来このような読み方をするものだと、考えさせられた。

    良書があっても、友だちや先生などガイド役がいないと読む機会は訪れない。
    どの子も、心の鍵にぴったりと合う本や詩に出会えるといいな。
    なお、本書には同タイトルで「ざわめく教室編」もある。どちらもお勧め。

    ☆今年もお付き合いいただき、ありがとうございました。
    新しい年が皆さんにとって、少しでも良いものでありますように。☆

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん 夜型さん 皆さん
      コロナ禍で、ストレス過多でしたが、それに感けてられないくらい、良書をご紹介くださり有り難うございました...
      nejidonさん 夜型さん 皆さん
      コロナ禍で、ストレス過多でしたが、それに感けてられないくらい、良書をご紹介くださり有り難うございました!
      来年も、宜しくお願いします。。。
      2020/12/31
    • nejidonさん
      猫丸さん。
      新しい年が明けました。
      今年もよろしくお願いします♪
      わざわざご挨拶にいらしたのですね。気が付かなくて失礼しました。
      い...
      猫丸さん。
      新しい年が明けました。
      今年もよろしくお願いします♪
      わざわざご挨拶にいらしたのですね。気が付かなくて失礼しました。
      いえいえこちらこそ、です!
      猫丸さんのご紹介のおかげで、読みたい本がどーっさり増えました。
      たくさんの良書に出会い、たくさんのお話ができたらと思います♡
      2021/01/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      にゃ〜ん
      尾崎真理子「ひみつの王国」の或る部分を再読しようとして、どんどん遡って最初に戻っている、、、今年の一年を予想さ...
      nejidonさん
      にゃ〜ん
      尾崎真理子「ひみつの王国」の或る部分を再読しようとして、どんどん遡って最初に戻っている、、、今年の一年を予想されて思い遣られる。

      何はともあれ、本年も宜しくお願いいたします!
      2021/01/01
  • 何気なく図書館の新刊の棚からかりた児童書。
    すごく大当たりの良い本だと思った!短編小説が4作入っていて、どれも素敵で子ども達も読みやすいんじゃないかな。朝の読書時間みたいなものがあるなら、ピッタリだと思う。全部ふりがな振ってあるし、中学年からでも楽しめるかもしれない。小学生でも色々あるから、ひとつでもお気に入りの作品が見つかれば良いなぁ。私は、『たそがれ時の魔法』が好きかな。引っ込み思案のシャイな女の子が1人の男の子と関わってから最後にこんな勇気を出せるようになったんだなと心がほっこりしました。4つの短編小説の主人公は、女子2人に男子2人だから偏りなく読めるのも良かったです。私が小学生の時に出会いたかったw

  • 2話目の「たそがれ時の魔法」、甘酸っぱくてキュンキュン♪

    「後ろの景色はなつかしい。前の景色は、わくわくするー」
    いい言葉だなぁ。
    ほんの少しの勇気で前へ進め!

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著者プロフィール

森川 成美
東京都生まれ。「アオダイショウの日々」で第18回小川未明文学賞優秀賞。『マレスケの虹』(小峰書店)で、第43回日本児童文芸家協会賞。そのほかの作品に『さよ 十二歳の刺客』『はなの街オペラ』(ともにくもん出版)、「アサギをよぶ声」シリーズ、『ポーン・ロボット』(以上、偕成社)、『夢の発電って、なんだろう?』『光るマウスが未来をかえる』(以上、講談社)、『てつほうの鳴る浜』(小学館)など。

「2023年 『かわらばん屋の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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