トマス・ジェファソン本を愛し、集めた人

  • さ・え・ら書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378041414

作品紹介・あらすじ

アメリカ独立宣言を書き起こしたトマス・ジェファソン(1743‐1826)は、また、本をこよなく愛した人でもありました。そんなジェファソンの半生を、彼の残した言葉とともにつづった伝記絵本。

感想・レビュー・書評

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  • 第3代アメリカ合衆国大統領の、伝記絵本。
    アメリカ独立宣言の起草者のひとりでもあると言うし、博学で得意分野も幅広かったひとらしく、様々な視点から生涯を語れそう。
    でも、この本では「本をたくさん集めた人」として紹介されている。

    それも、単なる収集マニアではなく、どれも全て目を通してから自費で買い集めたという。
    言い換えれば大変な読書家であり愛書家でもあり、勉強家だったということ。
    本の随所に本人の言葉があり「学生にとって必要なこと。それはただひとつ。図書館を活用することである」というものがあり、これがなんと1790年のもの。
    未来のために投資することの出来る、大変な先見の明の持ち主だったということになる。

    本がとても高価だった18世紀。
    印刷機は手動で、印刷された紙を折り、順番どおりに重ねて綴じて革製の表紙を付ける。
    その工程の全てが手作業だったという。
    現代に生きる私たちの考える「本を買う」とは、次元が違うのだ。
    「わたしは50年にわたって本を集めてきた。どんな苦労も費用も惜しまず、
     買うタイミングものがさなかった(1814年)」
    分類し、司書を置き、買う本を推薦し、議会図書館の礎を築いたひと。大変な偉業だ。
    日本のお金持ちさんたちにも、ここは見習ってもらいたいなぁ・笑

    ところが負の側面もあって、奴隷制に反対しながらも自らは生涯で600人もの黒人奴隷を所有していたという。そのおかげで本を買えたということになるが、過酷な労働を強いていたとは思いたくない。
    マイナス面ばかり見ると、誰もなしえないほどの善行さえ霞んでしまう。
    心したいところだ。
    トム・ソーヤーの家では奴隷のジムをそれは親切に扱っていたし、トムにとっては信頼し心を許せる相談相手でもあった。現実にも、そういう家庭はあったろうという話。

    細かいペン画の上に水彩を施し、更に小さな小さな点描を打ってある。
    それが、まるで紙に凹凸面があるかのような柔らかな味を出している。
    赤い見返し(これがとても美しい)に貼り付けた二枚の緑の紙。
    更に、裏表紙のISDNコードの表示ヵ所が通常とは違う。
    そんな装幀の工夫も面白い。

  • この本もフォローしている方のレビューを読んで、そういえば学校図書館にもあったことを思い出し、コロナ禍の今、本の有り難みを噛みしめつつ読んでみた。

    第三代アメリカ合衆国大統領トマス・ジェファソン。
    独立宣言の草稿を書き、建国の父と言われているが、正直、本好きだとは知らなかった。
    ジェファソンは、アメリカ議会図書館という知識の殿堂の基礎も築いたそうだが、その本への愛たるや、生涯に集めた本は1万冊。
    本は、今とは全く比べられないほど高価な物だったことを考えると、驚くしかない。

    著者は、中学の卒業旅行でジェファソンの邸宅だったモンティチェロを訪れ、ジェファソンとその図書室のことが忘れられなくなったそうだ。
    モンティチェロをググると、なるほど!実に美しい建物だ…。

    伝記絵本は、漫画や本に比べてやはり絵の持つ力が絶大。ジェファソンが如何に苦労して本を集め、それを深く愛していたかが伝わる。


    本書には出てないものも含めジェファソンの格言をあげてみる。

    ・情報は、民主主義における貨幣である

    ・最もよく知っている人間は、自分がほとんど知らないことを知っている。

    ・敵は通常、言いたいことを言い、信じたいことを信じるものだ。

    ・何かを行うときは、常に世界中に見られているかのように行動しなさい。私は大いに運を信じている。そして懸命に働けば働くほど運が増すことを知っている

    ・本なしでは生きていけない

    2020.5.10

  • 又突然、古い本が読みたくなって
    押入れ文庫の探索を始めた。

    が。
    案の定お目当ての本は出てこない…
    頭を何度もぶつけながら
    超ヘビー級のダンボール箱を
    出しては開き、一冊、一冊、読み込んでは仕舞う。
    恐ろしい程手間のかかる作業中にふと聞こえた気がしたのは、
    本の愚痴。
    (また、ダンボールに戻されるのかよ…)


    これはさっき読んだ絵本のせいかも。

    トマス・ジェファーソン
    (第3代アメリカ合衆国大統領)
    稀に見る本の虫!!
    本が好きで好きで、
    一日15時間も読み続けたと言う彼の蔵書は
    瞬く間に増えていった。

    裕福な家庭に育った彼は
    読み終えた本をブクオフに持っていく事もなく、
    ダンボール箱に閉まって置く事もなく、
    巨大な本棚にどんどん収納し、
    時間をかけて分別。

    なんと羨ましいっ!
    大きな屋敷の一階を全て図書室と変えてしまったのだ!

    この絵本を
    うちの子(本)達に見せたら
    涙を流して羨ましがるだろう…

    私設図書館なんて
    愛読書家の夢でもあるかも知れないが、
    本の夢でもあるのだ。(なんて。)

    トマスの大事な図書館は
    その後紆余曲折はあったが、
    結果的にアメリカ連邦議会図書館の基礎となった。

    彼が残した言葉が
    いちいち面白かった。

    一度火事で大事な蔵書が燃えてしまった事を嘆き
    「ああ。
     焼けたのがお金だったら
     こんなに悲しまずに済んだものを!」

    わかる~♪と、思った。(^^;)

  • トマス・ジェファソン(1743-1826)は字が読めるようになると、その日からずっと本を読み続け、奴隷農園を経営する父親の書斎の本の全部を、学校に入る前に読み終わっていたそうです。「本なしでは生きられない」「暇さえあれば本を読む」そんな生活に甘んじていたトマスでしたが、その知性と博学を買われて〝アメリカ独立宣言〟を起草、第三代合衆国大統領に選出され、アメリカ建国の父と崇めらるのでした。トマスが生涯をかけて集めた本は、アメリカ連邦議会図書館の基礎となり、世界最大の図書館として存続しています。

  • アメリカ独立宣言を書き第3代大統領になったトマス・ジェファーソンの本に関する伝記的な絵本です。日本の江戸時代にこんなに膨大な本を読み、また集めた人物が居たことにビックリしました。そしてそれらの本が世界最大の図書館、アメリカ連邦会議図書館の基礎を成したのですから素晴らしいことですね。

  • わざわざ感想を残しておきたい絵本です。
    アメリカ独立宣言で有名なトマス・ジェファソンが、活字中毒レベルの読書好きだったとは初めて知りました。そして、本の収集癖もマニアというか、狂気のレベル(褒めてます。)。
    私財を費やして図書館の充実に努めたということを本書で初めて知りました。
    世界史でアメリカの歴史を学ぶときに、こういうことも教えて欲しかったなぁ。
    この本がとくに良かったのは、2014年に日本で出たものですが、ジェファソンが奴隷を使っていたという事実にも触れているところ。
    リンカーンを含め、アメリカの偉人と奴隷制の関係が、最近よく話題になりますが、時代を先取りしてるな、と感じました。

  • アメリカ第3代大統領トマス・ジェファソンの伝記絵本。前から気になっていたもの。ジェファソンが本好きとは知らなかった。

  •  本は人を変える、人を変えることは世界を変えることにつながる。
    いついかなる時も「本!本!本!」ってなるトマスさんは、もう"本大好き人間"とか通り越して人の形した本じゃん!って思った
    実際、この本ができちゃってるしね(笑)

     「学生にとって必要なこと、それはただひとつ、図書館を活用することである。」
    -トマス・ジェファソン、1790年

     本当にそう思ってるからこそ出た言葉なんだろうなって思った

  • 0歳4ヶ月 図書館

    ジャケ借りしてみたけど、完全に大人が楽しむようなタイプの絵本だった。
    絵も細かくてかわいらしく、親の私はとても面白かった
    小学生くらいになったらまた読ませてあげたい

  • 独立宣言は彼の起草。読書家の彼はすべての知識を肯定する理想主義者だったが、他の建国の父たちはpeopleによる直接選挙をするほど楽観主義ではなく、大統領は各州知事の投票で決めることになった/米英戦争で議会図書館が全焼失し、彼は蔵書6500冊を寄贈しようとして「良い本もあるが悪い本(無神論的な論説のことをいうらしい)もある。わからない言語の本も」と反対されたりもした。結局、受け容れたが1850年の火事で半ば以上が失われ、今なお補充できないタイトルさえあるという。それでも世界一の図書館であることは間違い無いが

    時代というか、「彼は奴隷の所有者であった」「その労働による利益で読書の余裕を得た」と後書きに書いてある。

    インディアンが“奴隷にするにはプライドが高杉”、“インディオ(スペイン語圏)は奴隷生活するとすぐ死んでしまう”ので「黒人奴隷をアフリカから輸入」を非難するのは当然だが、私には“(フレンチ・インディアン戦争で味方になった部族を含めての)北米インディアン絶滅政策”に不言及なのが気になる。西海岸の《発見》も驚くほど杜撰な探査計画によるもの。
    リンカーンの共和党設立につながる演説に「建国の父たちも奴隷制廃止を志していた…」とあるが、「すべての人が平等に作られ」と現実と相反する理想を掲げている目標は宗教的信念に近い。いまのアメリカが“核兵器廃絶”を志しているのと同じぐらいと考えればいいだろうか。

  • バーブ ローゼンストック (著), ジョン オブライエン (イラスト), Barb Rosenstock (原著), John O'Brien (原著), 渋谷 弘子 (翻訳)

  • 生涯本を読み続け、集めた本が、アメリカ議会図書館の基礎になった。
    第3代アメリカ合衆国大統領、トマス・ジェファソンの話。
    本の収集話が面白く、本好きな人から見ると微笑ましい内容。
    こんな人がいるんだな。

  • アメリカの独立宣言を起草した人、大統領だった人、そのくらいは知ってたけど、彼が無類の本好きだったこと、本の蒐集でアメリカの図書館に貢献したことなんかは全然知らなかった。
    アメリカ人も日本人も最近本を全く読まないという人が増えているという実情を、ジェファーソンさんは天国から嘆いているでしょうねー。

  • なるほど!
    だけど、読み聞かせは難しいかな

  • 米国初代大統領、トマス・ジェファーソンの伝記的絵本。
    独立宣言を起こした人とか、大統領とかよりも、大の本好き・読書家だったことに主眼を置いている。

  • 何と言っても表紙が好き。
    見返しに上質紙を使ったり、バーコードの位置が優しく、本に敬意をあらわしている絵本だなと思いました。

  • 本を好きな人は、いつの時代でもいるのよね〜〜

  •  トマス:ジェファソン。アメリカ、独立宣言、第3代大統領。世界史の中の1人としてしか認識していなかった人物と本との関わりを知ることができた。

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著者プロフィール

アメリカ・シカゴで生まれる。大学卒業後、企業のマーケティング部門で働いたのち、教師を経て児童文学作家になる。主にノンフィクションの作品を書いている。
翻訳作品に『にぎやかなえのぐばこ カンディンスキーの うたう色たち』(ほるぷ出版)、『トマス・ジェファソン 本を愛し、集めた人』(さ・え・ら書房)がある。現在は、夫とふたりの息子と、大きな2匹のプードルともにシカゴ郊外に在住。

「2018年 『ゴッホの星空』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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