増補新版 ヘイト・クライム 憎悪犯罪が日本を壊す

著者 :
  • 三一書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784380130120

作品紹介・あらすじ

憎悪犯罪を考える必読書。「ヘイト・スピーチ」は、言論でなく暴力と迫害だ!吹き荒れる差別排外主義に抗するために!

感想・レビュー・書評

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  • 1.前田朗『増補新版 ヘイト・クライム 憎悪犯罪が日本を壊す』三一書房、読了。日本における朝鮮人差別が生む「ヘイト・クライム」(人種・民族・国民的な差異をターゲットにして行われる差別行為とそうした差別の煽動)を取り上げ、政府と社会が繰り返してきた歴史と現在を見つめ、未来を展望する一冊。

    著者は表現の自由を守るためにもヘイト・クライムを処罰すべきと主張する。国債人権法の歩みを踏まえ、人種差別禁止法の必要性に触れるが、非常に説得力に富む。人種差別を正当化して他者の人格権を否定するヘイト・スピーチは言論ではなく紛れもない犯罪である。

    初版は2010年。本書は憎悪犯罪が席巻する昨今の事態に対応して憎悪新版として加筆された。関東大震災下における朝鮮人虐殺と現在の問題は通底していることを本書は丁寧に描き出す。ナチやルワンダの悲劇は対岸の火事ではない。「憎悪犯罪は社会を壊す」。

    政府は拷問等禁止条約に基づいて設置された拷問禁止委員会からの勧告に「従う必要はない」と閣議決定した。暴言は過激デモだけでなく政治家、そして日本政府の問題でもある。どんな差別も罵声も自由だと勘違いするのは政府の姿勢にも原因がある。

    。朝鮮人差別とヘイト・クライムの現在を冒頭で紹介、歴史的なコリアン・ジェノサイドの系譜を訪ね、国際人権法の歩み~人種差別禁止法の制定へ向けた人種差別との闘いを展望する構成。「責任としての抵抗」は如何にあるべきか。本書は基本書の1つになろう。

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著者プロフィール

一九五五年札幌生れ。朝鮮大学校法律学科講師。日本民主法律家協会理事、日本友和会理事、救援連絡センター運営委員。著書に『軍隊のない国家』(日本評論社)『旅する平和学』(彩流社)非国民シリーズ3部作『非国民がやってきた!』『国民を殺す国家』『パロディのパロディ――井上ひさし再入門』(以上耕文社)『ヘイト・スピーチ法研究序説』『ヘイト・スピーチ法研究原論』『ヘイト・スピーチ法研究要綱』『黙秘権と取調拒否権』『憲法9条再入門』(以上三一書房)『500冊の死刑』(インパクト出版会)、共編著に『思想の廃墟から』(彩流社)『思想はいまなにを語るべきか』『新にっぽん診断』(三一書房)等。

「2022年 『令和から共和へ 天皇制不要論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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