- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784380712081
感想・レビュー・書評
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日本の古典文学作品にはしばしば「鬼」という不思議な存在が登場します。人を食らう怪異であり、病魔の化身であり、死者の魂であり、地獄の獄卒でもある日本の「鬼」は、過去の人々にどう理解され、どのように文学に語られてきたのか。本書は実に多様な姿で物語に現れる日本の「鬼」について、文学史上での立ち位置を整理しながらその系譜をわかりやすく解説しています。「日本古典文学ってどんなことを扱うの?」という興味をお持ちの方におすすめです。
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN03685647詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
帯裏
現代に〈鬼〉は作用しうるか。近世にいたって鬼は滅びた。過酷な封建幕藩体制は、鬼の出現をさえ許さなかったのである。そこでは、鬼は放逐される運命を追うことによってのみ農耕行事の祭りに生き、折伏され、誅殺されることによってのみ舞台芸術の世界に存在が許された。祭りや、歌舞の形式のなかに埋もれつつ、その本来的エネルギーも圧殺寸前の状態となっている現在、最後の叫びを上げているような〈鬼〉のすがたに、私は限りない哀れを覚える。それとともに、機械化の激流のなかで、衰弱してゆくほかない反逆の魂の危機を感ずる。〈日常〉という、この実りすぎた飽和様式のなかで、眠りこけようとするものを醒すべく、ふしぎに〈鬼〉は訴えやまないからである。 -
主に中世の文献を使って、鬼とそれに関するものについて論じた本。