世界物語大事典

著者 :
制作 : ローラ・ミラー 
  • 三省堂
3.72
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本棚登録 : 404
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784385162430

作品紹介・あらすじ

空想の王国や不思議の国を舞台にした世界の文学作品を集めたブックガイド。4千年に及ぶ物語の歴史を網羅、『ギルガメシュ叙事詩』や神話伝説から、近現代のSF・ファンタジー・幻想文学の名作まで、世界各国の専門家による解説で紹介。美しく貴重な図版満載、オールカラーの豪華本で、プレゼントにも最適。

感想・レビュー・書評

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  • 古今東西の歴史的名作小説を時系列に従って紹介する本。
    A4サイズの厚手の本の中に約100作品で、壮大なタイトルに負けない充実した中身だ。
    名作群を解説するのは、これまた熟練の書き手さんが41人。
    世界的に有名な文芸評論家や作家さんたちで、どの方の文章も素晴らしい巧さ。
    そうそう、それを言いたかったの!と何度口をついて出そうになったことやら。
    図版、イラスト、映画スチール、自筆原稿なども惜しみなく掲載され、それはそれは美しく豪華に仕上がっている。

    第一章 古代の神話と伝説
    第二章 科学とロマン主義
    第三章 ファンタジーの黄金時代
    第四章 新しい世界の秩序
    第五章 コンピューター時代

    スタートはギルガメシュ叙事詩から。
    あらゆる作品の原点は、人類最古の物語にある。
    オデュッセイアからオウィディウス、千夜一夜物語へと続くが、古典派の絵画が驚くほどの鮮やかさで蘇っている。
    画集と見紛うほどの美しさで、これが本書の最大の特徴かも。
    三章(1901年から1945年)のファンタジーの黄金時代ではそれがよく生かされている。
    コナン・ドイル、バロウズ、ラブクラフト、トーベ・ヤンソン、サン・テグジュペリ。
    牧歌的な物語もある一方でカフカやボルヘスなどのモダニズム作家もとりあげられている。

    1946年から1980年までをまとめたのが第四章。
    大戦の負の遺産とその後の冷戦を経て、作家さんたちが新たなものを生み出そうとした時期で「1984年」「華氏451度」「時計じかけのオレンジ」「猿の惑星」などが登場。
    図版ではなく映画スチールが多くなる。
    「指輪物語」や「ナルニア国物語」が生まれたのもこの時期。
    第五章ではスティーブン・キングが登場し「ハリー・ポッター」も。
    もはやユートピア小説では飽き足らずディストピアものも出てくる。
    カズオ・イシグロからサルマン・ラシュディの「二年八か月二十八夜」までで締めくくり。

    時代の中でのその作品の位置と、後世に与えた影響も語る解説だ。
    ものによっては結末まで明らかにされる。
    だが斎藤美奈子さんの言葉を借りれば、結末がわかった程度で魅力が半減するようなそんなやわな作品群ではない。
    時を経ても残る作品というのは、それだけの力があるからだ。
    社会的に影響を与えたものであればなおさら。
    あの話はそんな風に繋がっていくのかと、新たな眼で見ることになったものがたくさんある。

    スティーブンスンの「宝島」と、ルイスの「ナルニア国物語」の地図が、「ファンタジーの世界地図」と同じもの。それを発見したことで喜んでしまった。
    手元に置きたい豪華本で、今日一日だけで何度開いたことか。
    物語を愛してやまない方、これは読まねばですよ。

  • 魅力的な空想世界を描いた古今東西の物語についてまとめた文学ガイドブック。空想世界と言ってもは、所謂ファンタジー系もあれば冒険活劇やヒーロー系、近代ではSF系と幅広く、古いものは『ギルガメシュ叙事詩』から現代までだだっ広い守備範囲。
    そして「大事典」と題しているだけあって、文字だけでなく、本の表紙や関連する図版も盛りだくさんで、眺めたり拾い読みしても十分に楽しめる内容。
    本好きだから、知ってる作品はそれなりにあるのかなと思っていたのだが、全然知らない作品ばかり。だからこそのガイドブックであり事典なのかなと。

  • 神話・古典から現代作品(主にファンタジーやSF)まで、
    98の想像で描いた“世界の物語”の事典、というよりブックガイド。
    1 古代の神話と伝説(~1700)・・・ギルガメシュ叙事詩、西遊記、
              ユートピア、ドン・キホーテなど18作品。
    2 科学とロマン主義(1701~1900)・・・ガリバー旅行記、エレホン、
             かえりみれば、オズの魔法使いなど13作品。
    3 ファンタジーの黄金時代(1901~1945)・・・失われた世界、
             城、英雄コナン、星の王子さまなど15作品。
    4 新しい世界の秩序(1946~1980)・・・ゴーメンガスト、ソラリス、
          百年の孤独、影との戦い、見えない都市など25作品。
    5 コンピューターの時代(1981~)・・・侍女の物語、七王国の玉座、
           ハリー・ポッターと賢者の石、1Q84など27作品。
    構成は2~6ページに、作者名・作品名・年代・概要、
    あらすじ・解釈等の文章と、現存する作品・著者の肖像・絵画や
    映像等のカラー画像。
    執筆者紹介(日本人は無し)、索引、出典一覧(邦訳無し)有り。
    邦訳の書誌情報は出版社のウェブサイトに有り。
    想像の中だけに存在する“世界”を描く物語のブックガイドです。
    それは、遥か古代の神話や寓話から現代の創作まで。
    理想、古代への憬れ、風刺、体制批判、不条理、未来への期待等、
    込められているものは様々ですが、何れも独創的な作品です。
    他作品から或いは他作品への影響も示されています。
    また、自筆の画像・・・ラブクラフトの蜘蛛の巣のような文字の羅列、
    ピークのスティアパイクとフューシャのイラスト等に感動!
    初めて知る作品、最近の作品もあるので、読書の一つの指針に
    なりそうです。未訳のものも気になるところです。

  • 『世界物語大事典』刊行: 翻訳百景
    http://techizen.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-1b3ce6.html

    4000年に及ぶ物語の歴史を網羅『世界物語大事典』 | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店
    https://www.kinokuniya.co.jp/c/20191008192022.html

    世界物語大事典[事典-図鑑・大全-]|辞書は三省堂|#文学作品 #ガイドブック #世界文学 #文学 #オールカラー #図書館
    https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dict/ssd16243

  • 挿絵が非常に魅力的で、挿絵だけで紹介されている物語を読みたいと思った。

    各物語の紹介文も興味を沸き立たせてくれて、個人的読みたい本リストに、本書で紹介されいているほとんどの本を追加した。今まで何となく知っていた物語(不思議の国のアリスなど)も、この本の紹介文を読んでもう一度ちゃんと読みたいと思った。

    後半になるにつれて時代が進むが、それにつれてユートピア作品とディストピア作品の数もかなり増えている。
    そんなユートピア作品・ディストピア作品に自分は惹かれると改めて分かった。

    読みたい本が一気に増えて困る本。

  • 不思議な世界を散歩してみよう!鋭く、美しく、わかりやすい、最高のガイドブック。

  • 学生選書ツアー2023選書図書

    【所在・貸出状況を見る】
    https://sistlb.sist.ac.jp/opac/search?q=9784385162430

  • ふむ

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/729662

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著者プロフィール

越前 敏弥
1961年生まれ。文芸翻訳者。訳書『世界文学大図鑑』『世界物語大事典』(以上、三省堂)、クイーン『Yの悲劇』、ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』(以上、KADOKAWA)、ダウド『ロンドン・アイの謎』、ブラウン『真っ白な嘘』(以上、東京創元社)、ハミルトン『解錠師』(早川書房)、マッキー『ストーリー』(フィルムアート社)など。著書『文芸翻訳教室』(研究社)、『翻訳百景』(KADOKAWA)、『名作ミステリで学ぶ英文読解』(早川書房)、『はじめて読む! 海外文学ブックガイド』(河出書房新社、共著)など。

「2023年 『オリンピア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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