生きのびろ、ことば

  • 三省堂
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784385363813

感想・レビュー・書評

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  • 小池昌代「言葉以前」では、自然のなかにはそもそも言葉など無いというところを出発して、言葉と向き合う。杉本真維子「沈黙する身体」では、自分の身体がある瞬間から突然くっきりと意識されるようになったその瞬間から出発して、言葉と向き合う。
    特に良かったのは、四元康祐「〈詩の共和国〉への通行証」で、「翻訳文学が苦手」だった著者がいかにして翻訳文体そして翻訳詩を受け入れ、また味わうようになったのかを書いたもので、同じく翻訳文学が苦手な自分にとっては目からウロコだった。

  • 笑い、文語、エロス、肉体、路上、挨拶、間、オノマトペ、方言、死語、まじない、翻訳、ネット詩から「ことば」について考察する、詩の入門書的エッセイ集。
    特に興味を惹かれたのは「オノマトペ」と「ことばと肉体」「死語」の章。多面から見る「ことば」って本当に深く面白い。あと「まじない」の章を書いた伊藤比呂美が「(自分の)過去の詩はうんこ」と言い切り、常に新しい「ことば」を生み出そうとしている潔さに感服した。

  • 詩人による言葉の考察。
    やはり伊藤比呂美さんの感覚が好きです。

  • 「そこには何の言葉も介在しない。ダイレクトに、わたしと朝顔の命が結びついている。世界にそのように感応したとき、これはわたしの癖かもしれないが、その経験を、言葉に置き換えておきたいという欲望が生まれる。」−小池昌代「ことばとエロス 言葉以前」

    幾人もの詩人たちが言葉に向き合って、懸命に何故それに突き動かされるのかを考えている。わかるような気になる論説もあるし、気持の寄せられる場所が全くない言い分もある。やはり、好きな詩人の言葉には不思議な説得力があるのを発見する。

    説得力? そう書いてみると少し違う。それは何か言葉の持つ意味に共感できる力のように聞こえるけれど、実際には意味以前のナニカに触れるような感覚のことだ。そのことを自分の身体に最も響く(つまりは共鳴し易い)言葉で語っているのは小池昌代だ。言葉は言葉以前に生まれる感情を写し取ろうとする現象であることを、この詩人は解り易く説いている。

    もうひとり、言葉を意味を越えたものとして投げつける力の強い詩人の言葉が印象的だ。詩の大きな役割は「まじない」で、まじないとは言葉でものを動かすことだ、と言い切る。そう言い放つ伊藤比呂美は、無茶苦茶なフォームで時速160kmの剛速球を自然に投げてしまう地肩の強い投手のようで、言葉が熱を帯びている。小池昌代とついつい対比して、言葉以後、ということを考えてしまいたくなる。

    そうして、自分が言葉の向かっていく先を見ていないことを意識させられる。自分は言葉の生まれてくる方を向いている。そこに何があるのかに引き寄せられている。そのことがはっきりと解ったような気がする。

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著者プロフィール

1959年生まれ。’97年詩集『永遠に来ないバス』で現代詩花椿賞、’00年詩集『もっとも官能的な部屋』で高見順賞、’01年『屋上への誘惑』で講談社エッセイ賞、’07年「タタド」で川端康成文学賞、’10年詩集『コルカタ』で萩原朔太郎賞、’14年『たまもの』で泉鏡花賞を受章。おもな作品に『感光生活』『弦と響』『野笑 Noemi』『幼年 水の町』がある。

「2018年 『変愛小説集 日本作家編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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